17号は戦艦霧島に憑依するようですよ?   作:榛猫(筆休め中)

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KIRISIMAのこれから

 

ドックを出た俺達は入り口の前で立ち尽くしていた。

 

迎えを待つためだ。

 

 

「遅いな、電の奴...」

 

(補給に行くと言っていましたし、私の計算ではもうじきに来るはずです)

 

俺の呟きに中の霧島がそう話す。

 

いったいどんな計算だよ...。

 

内心で半ば呆れていると、パタパタと走ってくる音が聞こえてきた。

 

 

「ハァ...ハァ...お待たせなのです」

 

そんな声に振り向くと、そこには息を切らして立っている電の姿があった。

 

 

「あ...いえ、そんなに待っていませんから大丈夫ですよ?」

 

危ない危ない...思わず素で返しそうになってしまった。

 

(気を付けてくださいね?もし私達の事を知られたりしてしまったら大混乱になることは間違いありませんから)

 

分かってるさ、まあ任せとけって

 

と、そんなやり取りをしつつ電の方に意識を向ける。

 

電は息を整えてしっかりとした口調で話し出した。

 

 

「それならよかったのです。それじゃあ赤城さんが呼んでいたので執務室に案内するのです」

 

そう言って俺達に背を向けて歩き出す電。

 

俺達もその後について歩き出すのだった。

 

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

「ここが執務室なのです」

 

そう言って稲妻に案内されたのは鎮守府内のある一室の前だった。

 

 

「ここが...」

 

なんだ、割と普通な作りじゃないか、俺はもっと際どいものを想像していたんだけどな...。

 

(通常はこれが普通なんです。あそこ(呉鎮守府)がおかしいだけなんです)

 

まあ、それは俺も同意だな。

 

その間に電が戸を叩いてノックをして声をかけていた。

 

 

「赤城秘書艦さん霧島さんをお連れしたのです」

 

 

『どうぞ、入ってもらってください』

 

 

「はいなのです。中へどうぞなのです」

 

そっとドアを開けて俺達を中へと招き入れる。

 

 

「失礼します...。」

 

一言だけ断りを入れて俺達は中へと入っていく。

 

そこには入渠する前にも出会った赤い旧道着の女、赤城がにこやかに座っていた。

 

 

「戦艦霧島、参りました(ビシッ)」

 

とりあえず記憶を頼りに敬礼をする。

 

 

「ふふっそんなに固くならなくても大丈夫ですよ?それ電さん、案内ありがとう、もう下がっていいですよ」

 

 

「了解なのです!失礼しました!」

 

そういうと、電は部屋を出て行った。

 

赤城は電が出ていくのを見届けると、不意に口を開いた。

 

 

「身体の調子はどうですか?」

 

と、そんなを聞いてきた。

 

 

「えぇ、おかげさまで凄く軽くなりました」

 

そうかえすと赤城は少し微笑んでから話し出した。

 

 

「それは良かったです。それじゃあそろそろあなたのことを聞かせてもらえますか?」

 

その言葉に俺は一瞬ドキリとしてしまう。

 

まさか俺達の事に気が付いたのか?

 

すると、霧島が声をかけてくる。

 

(いえ、おそらく赤城さんが聞いているのは先程までの私達の状態の事を言っているのかと...)

 

なるほどな、そういう事ならお前が話すのが適任だな。

 

(分かりました、では私の言ったことをそのまま伝えてください)

 

あぁ、わかった。

 

 

「分かりました、実はですね...」

 

そうして俺は霧島が話したことをそっくりそのまま話した。

 

自分たちが呉の第五艦隊に姉たちと共に所属していたこと、

 

ある時遠征でFlagshipクラスのレ級の艦隊に遭遇し遭遇戦になったこと

 

その戦いで自分以外は全て沈んでしまったこと

 

藁にもすがる思いで鎮守府に救援要請を出すも切り捨てられてしまったこと

 

やむなく撤退の最中にeriteクラスのル級に見つかり命からがら逃げ延びてきたこと

 

 

「以上が私の体験してきた全てになります」

 

俺が話し終えると、今まで黙って聞いていた赤城はそっと口を開いた。

 

 

「そうだったのですね、それは大変でしたね...よく生き延びました」

 

そう言って優し気に微笑む赤城

 

(ッ!!)

 

それを見て中の霧島が驚いたように声を上げる。

 

まるで今まで言われたことがないような態度だった。

 

そんな霧島に困惑していると、赤城が再度声をかけてきた。

 

 

「それにしても、あなたの所属は呉鎮守府だったのですね」

 

 

「え?えぇ...」

 

赤城のその言葉にさらに困惑したまま答えてしまう。

 

 

「実はここには居ませんが私達の提督も今は呉鎮守府にいるんですよ」

 

 

「え?」

 

言われた言葉の意味をよく理解できず、俺はそんな声話上げてしまう。

 

という事はまたあんなクズみたいなやつがまた仲間たちを虐げてるのか?

 

俺の内心を知ってか知らずか、赤城は続ける。

 

 

「見ての通り、今のここ江ノ島鎮守府には提督が居ません。ですが、私達にとって提督はあの人だけなのです...。他の方が入り込める余地がないほどに私達はあの人を信用しています」

 

それほど信用される奴なのか、なら、安心してもよさそうだが...。

 

 

「あなたはこれからどうしますか?あなたが希望するなら呉鎮守府に戻ることもできますよ?」

 

それを聞いて俺は即座に首を横に振る。

 

 

「いえ、どうせ戻っても私は轟沈処理をされていると思いますから...」

 

 

「そうですか...では、これは提案なのですが、霧島さん、私達の下に来ませんか?」

 

 

「え?」

 

 

「帰る場所がなくなってしまったままでは心細いでしょうし、何よりこのまま放っておくなど私には出来ません。だから、どうですか?」

 

俺は耳を疑った。

 

これは幻聴か?俺を仲間に加える?コイツはそう言ったのか?

 

 

「......よろしいのですか?」

 

そう問いかけると、赤城はニコリと微笑んでいった。

 

 

「はい、大歓迎ですよ」

 

 

「皆さんに迷惑をかけるかもしれません」

 

 

「仲間ならそのくらいの事は気にしないですよ」

 

 

「ここの方達が私が居た所と同じようなことになってしまうかもしれません...」

 

 

「その時は全員で抗うだけです」

 

 

「こうしている今でも同じ目に遭っている方達を放っておくわけにも...」

 

 

「なら、あなただけの調査部隊を作り上げればいいです」

 

なぜだ?どうしてここまでして俺を誘ってくる?

 

(もう諦めましょう...KIRISIMA、何を言ってもこの方には敵わないでしょう)

 

お前もそう思うかのか?

 

 

(えぇ...)

 

そうだよな、仕方ない

 

 

「......ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、しばらくの間お世話になってもよろしいですか?」

 

そう言うと赤城は一層嬉しそうに笑って言った。

 

 

「はい、喜んで歓迎しますよ♪」

 

 

「それじゃあ、これから宜しくお願い致します。赤城秘書艦」 

 

こうしてその日、俺は江ノ島鎮守府に配属することとなった。

 

だが、通常の配属とは異なる契約をしてもらう事となった。

 

まず俺は艦隊には所属せず、世界中にのさばっている世で言うブラック鎮守府の調査、撲滅するために鎮守府を長期間離れること

 

何かあった時はすぐに戻ってくること

 

新たに分かったことがあれば逐一鎮守府に連絡を入れること

 

それらを条件に俺はここ江ノ島鎮守府所属艦娘となったのだった。

 

 

「では、霧島さんも今日はもうお疲れでしょう?部屋に同室の者に案内させますから外で待っていてください」

 

 

「色々とありがとうございます、失礼します...」

 

そうして俺は赤城に一礼すると執務室を後にした。

 

 

確か同室の奴が迎えに来るって言ってたよな?どんな奴なんだろうな?

 

(分かりませんが、最低限の警戒は怠らないようにしてくださいね?)

 

あぁ、分かってる。

 

 

「霧島...?」

 

と、そこへ声がかけられる。

 

俺達がそちらを振り向くと、そこには俺達と似たような衣服に身を包み髪を後ろで束ねたとても見覚えのある女が立っていた。

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