アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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「低い、低い!」といじられてきたキャロ・ル・ルシエの身長。
ところが、
『実は、最近キャロの身長がスゴく伸びていたみたいで……』
エリオ・モンディアルから相談を受けた高町なのはは、こんなこともあろうかと、伝説のマジックアイテムを用意するのだが……!?

『ぴこぴこリナちゃん』や『うちでの小槌君グレート』って、一体どれだけの人が知っている(覚えている)んだろう……?
「知っている(覚えている)!」「思い入れがある!」って方は、よければコメントください。検索したら、思いのほか記述が少なかったので……。

『ViVid Strike!』12話(ラスト)の感想。
最終回お疲れ様でした。
とても綺麗に終わっていたと思います。
満足しました!
8位の人……そういえば『ViVid』のときも、ヴィヴィオの対戦相手でゼッケン番号が1084っていたな~。
あと、もしどうしても心残りがあるとすれば……いじめっ子トリオかな、と。
なのはシリーズだと、いつも最後まで分かり合えないキャラがいますが、いじめっ子トリオが超反省して、孤児院の奉仕活動を手伝っているところを再会とか、ラストの1枚絵でいいからあったら、それはそれで、さらに優しい世界になったかな、と思います。

それでは最後にもう一度、最終回お疲れ様でした!



ぴこぴこキャロちゃんとうちでの小槌君グレート

 ある日の夕食後。

 高町家のリビングに、エリオから秘匿通信が送られてきた。

 

 

『実は、最近キャロの身長がスゴく伸びていたみたいで……』

 

 

「「「な、なんだってー!?」」」

 

 

 わたしとなのはママとフェイトママは、そろってデザートの翠屋ケーキを落とした。

 

 

『先日、僕はいつもより早く家に帰ったんです。

 そうしたら、洗面所にフェイトさんやなのはさんみたいな長身の女性の影が見えて……次の瞬間、パッと光ったかと思うと、いつものキャロが現れて、お帰りなさ~い、って。

 だけど、まるで常時魔法を使っていたみたいに疲れた顔をしていて……。

 僕も気にはなっていたんです。

 ここ最近、キャロの身長がちっとも伸びてないなって……』

 

 

「「「…………」」」

 

 

『もしかしたら、僕やフェイトさんに、自分は変わってないから安心して欲しいって、身長が伸びたのを隠すため、わざと変身魔法で子供モードになってるんじゃないかって』

 

 

「それは流石にないんじゃ……」

 

 慌ててフェイトママが否定した。

 ところが、

 

「いや、あるかも……」

「なのは!?」

 

 わたしもすかさず追従する。

 

「キャロの気持ちもわかるかも。わたしだって、なのはママやフェイトママに心配かけたくないって思うもん。

 今の関係性っていうのかな、たとえ成長したとしても、2人の前では子供らしく振る舞いたい――そっちの方が喜んでくれるんじゃないかな~って思っちゃうから」

 

 

『だ、だよね!?』

 

 

「私も、そういうところあったなあ……」

 

 なのはママも翠屋のケーキを見ながら頷いている。

 

「で、でも、そんなのどうやって尋ねたら……家族会議、家族会議をすればいいの!?」

 

 フェイト一家、緊急招集である。

 

「安心してフェイトちゃん。こんなこともあろうかと、秘密道具を用意しておいたから」

「……ひみつ、道具?」

 

 

     ●

 

 

「てれれれってれ~。

 マジック・ハンマー『うちでの小槌君グレート』~。

 ――というわけで、こんなこともあろうかと(2回目)、教導隊(ヴィータちゃん含む)の面々と潜った『破邪の洞窟』で、手に入れておきました!」

「破邪の洞窟!?」

「アバン先生が潜ったやつだね!」

 

 不思議なダンジョンみたいなものだ。

 

「そんな連続して昔のジャンプネタを出されても……っていうか、そんなとこ潜って教導隊はヒマなの!? 執務官は忙しいのに!」

 

 さり気なく愚痴るフェイトママ。

 すると、

 

 

「そ、そんなことより、これどんな状況なんですかぁぁ――っ!?」

「あはは……」

 

 

 というわけで、実はエリオから通信をもらって、すでに3日目。

 よく晴れた青空の下。

 高町家の庭には、コロナから借りたゴーレムのゴライアス(なのはカラー)に、両肩をがっちりホールドされたキャロと、苦笑気味のエリオの姿があった。

 

「だ・か・ら、うちでの小槌君グレートで叩いて、キャロを大きくしてみようって。打ち出の小槌は知ってるでしょ? 地球のロストロギア」

「あれってロストロギアだったんですか!? ――じゃなくて、それでどうやってわたしの疑惑が晴れるんですか、なのはさぁぁ――んっ!?」

 

 なのはママはくるりと振り返る。

 

「ふっ、ヴィヴィオ、解説して――」

「了解、ママ!

 うちでの小槌君グレートとは、古の大魔法使いダーク・シュナイダーが、色々あって小さな――ねんどろいどみたいな姿になったときに、これでぶっ叩かれてもとのサイズに戻ったという、伝説のいわくつきマジック・ハンマーだよ!」

「つまり、もしキャロが本当は成長しているのに、魔法で子供モードになってるなら、叩いた瞬間、デフォルメ状態が解呪されて、私やフェイトちゃんみたいな八頭身に戻ると――」

「裏切り者!」

「別に、今はデフォルメ状態じゃないですから!? それとヴィヴィオ、別にわたしは好きこのんでちっちゃい同盟じゃないから、これがわたしの普通なのっ! フェイトさんも何か言ってください!」

「キャロ、エリオ、ついにフェイト一家の団結力を見せるときがきたわ。家族の絆ね!」

「ちょ、それおかしい――っていうか、何でキメ顔!? もう、エリオくんも何か言って止めてよぉぉ!」

「ハンマーに、家族の絆……お正月にはキャロとフェイトさんと餅つきかぁ……」

「エリオくん、また何か違うこと想像してるよねっ!? わたしも結構憧れるけどぉぉ――っ!」

「スゴイね、なのはママ。フェイト一家の団結力……」

「ええ……」

「それ、違う意味の団結力だからぁぁ!?」

 

 ツッコミすぎて息切れしているキャロを見ていてふと思った。

 

「そういえば、ゴライアスがキャロを押さえてるわけだけど、なのはママ、誰がそのでっかいハンマーを持ち上げるの?」

「ふふ~ん、それはもちろん、先週に引き続き本職のハンマー使いに……といきたかったんだけど、なぜかヴィータちゃんが逃げ出しちゃったんだよねぇ……ヴィータちゃんも叩いてあげよっかって誘ったのが悪かったのかな?」

「ハァ、ハァ、ぞ、ぞれだぁぁ!」

「無理して突っこまなくても……」

「そんなキャロにレストリクトロック!」

 

 なのはママが(年齢を考えず)かわいく言うと、ピンクの光の輪がキャロの手足を拘束する。

 

「うわ~、これどっかで見たような……」

「……」

 

 フェイトママが目を逸らした。

 

「い、今ならティアさんの気持ちがわかりますぅぅ――っ!」

「……」

 

 エリオも目を逸らした。

 

「私、ティアナにはバインドかけてないんだけどなぁ……そうだ、チェーンバインドにしとく?」

「ん? それ、わたしとアインハルトさんだぁぁ――っ!?」

 

 わ、わたしは目を逸らさないよぉぉ!

 

「さあゴライアス、や~っておしまいっ!」

「GAAAAAA!」

 

 ゴライアスが若干駆け足で、うちでの小槌君グレートを拾い上げる。

 

「――って、ゴライアスがいつもより緊張感もって動いてるぅぅ!?」

 

 巨大ゴーレムが、呪われちゃいそうなほど外見が禍々しいハンマーを、大上段に振り上げた。

 何だかよくわからない魔力の奔流がバチバチ鳴っている。

 

「うわ、これ、物理だし……死んじゃうんじゃないかな、大丈夫、ママ……?」

「ひぃぃ!」

 

 流石のキャロも、もう突っこめない。

 

「非殺傷設定だから大丈夫! フーカちゃんとリンネちゃんの試合も平気だったでしょ?」

「あ~、ん? あとで歯医者予約してたけどね! ちなみに、あのときのちびっ子ひな壇にさり気なくキャロが混じっていても、絶対にバレなかったと思う」

「今言うことじゃないよねっ!?」

「じゃ、覚悟はいい、キャロ?」

「いいわけな――」

「全力全開! GO――ゴライアスっ!」

「GOAAAAAAAA!」

「ひっ、イッヤァァァァ――ッ!?」

「うっわ~」

「キャロ……」

「御武運を……」

 

 高町家とフェイト一家が敬礼ポーズで見守る中、禍々しいオーラと共に、うちでの小槌君グレートが振り下ろされた。

 

 

 ――ドッゴォォォォ――ン!

 

 

     ●

 

 

 そんなこんなで結論から先に言うと、

 

「……だから言ったのに、グスン」

 

 キャロは〝そのままの姿〟で、大きくなっていた。

 高町家の庭で体育座りをする巨大キャロ。

 

「と、とりあえず撮っとこ……」

「いや~、撮影しないで~」

 

 漫画やアニメでよくある、下から見上げるとパンツ丸見え状態というアレだ。

 

「GAA……」

 

 何となくゴライアスが気遣っているように見えるこの光景……。

 

「はっ!?」

 

 突然、なのはママが何かに気づいたように顔を振り上げた。

 

「巨大ゴーレムに、巨大デフォルメ魔導師ときたら……ぴこぴこ? ぴこぴこキャロちゃんなの……?」

「ううっ、デフォルメじゃないですぅ~、っていうか、ぴこぴこキャロちゃんって何なんですかぁ~」

 

 そんなキャロを慰めるのは、やっぱりこの人。

 

「ま、まあ、色々あったけど、キャロがいつも通りのキャロだとわかって、僕は安心したよ」

「エリオくん……」

「そうね。これからも隠しごとなんてしないで、2人とも私に何でも相談してね」

「フェイトさん……」

 

 涙目のキャロが、ようやく笑ってくれる。

 

「へへ、家族の絆が深まったなら、たんこぶができたかいもあったかな……」

「よかったね、キャロ!

 最近背が伸び悩んでいたところ、わたしたちがよく大人モードで戦っているのを見て、自分もやってみようかな、と思い立って変身したものの、むなしくなってもとの姿に戻ったら、偶然、帰ってきたエリオに見つかってしまい、はわわ~、と気まずくて正直に答えられなかったのに……。

 雨降って地固まる、だね!」

「そ、そうなの!?」

「キャロ、本当!?」

「な、な、何でヴィヴィオは見てきたようにわたしの状況を知ってるのぉぉ――っ!?」

「そりゃもちろん、ねぇ?」

「うん」

 

 わたしとなのはママは、顔を見合わせて頷き合った。

 

 

「「だいたい、そんなことだろうと、最初からわかってたからね/だよ!」」

 

 

フェイト一家「「「!?」」」

 

 

 後日、フェイトママの日記をこっそり見たら「3対2なのに勝てる気がしない」と書いてありました。

 

 

 

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