アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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『全5話 - 第2話』

「私はずっと独学(ひとり)でしたから……」

孤独な修行の日々。
アインハルトの雌伏の時代!



新暦76~77年のアインハルトさん!

Memory;02 新暦76年

 

 

 覇王流の修練を続けて1年。

 

 初等科の3年生になった私は、クラウスの記憶に従い自分の強さを試してみることにした。

 

 相手は――人間ではない。

 

 古代ベルカにも生息し、かつてクラウスも戦ったことがあるという、森に住むハチミツ熊だ。

 

 彼らは極めて知能が高く、並の騎士より素早く動き、連携攻撃を行い、個体によっては古流武術を使いこなすという。

 

 

「一槍、お願いいたします!」

 

 

 正面から迫るハチくま。緊張する。2頭が連携して鋭い爪の一撃を繰り出す。落ち着け。覇王(わたし)は負けない。

 

「ハアァァ――」

 

 右のハチくまの打撃を受け流すと、左のハチくまの懐に潜りこむ。低い身長を活かす。下方からハチくまの顎を掌打で打ち抜いた。

 

「たぁぁ!」

 

 続けて肘。蹴り。その反動で別のハチくまのもとへ。腹部と胸部に2発。拳を叩きつける。

 ハチくまの巨体が崩れ落ちた。

 

 

「やれる……私は……覇王は、強……ぷろぉぉ――――ッ!?」

 

 

 これまでより一回りも二回りも大きな、母親ハチくまが現れて、私はあっさりKOされた。

 

 手強い。

 

 今の私ではとても敵わない。

 

 まずは、この母親ハチくまを目標に、トレーニングを続けようと決意した。

 

 

 

Memory;03 新暦77年

 

 

 

 4年生になった私は、大人の姿になる武装形態を身に着けた。

 

 この武装形態というのは、身体強化魔法であり、変身魔法の一種である。

 

 これまでは騎士甲冑――バリアジャケットのみだったのだけど、4年生になったというのに、わたしの身長は期待したほど伸びず、小柄な体格なままだったからだ。

 

 もちろん、変身するための魔力を、もっと一撃の破壊力に回す――という考え方もある。

 

 しかし、近接格闘という覇王流のスタイルは、拳が届かなければ、相手にダメージを与えられない。

 

 巨大な――手足も長い――母親ハチくまと正面から戦うためには、もっと長いリーチが必要だと判断したのだ。

 

 それともう1つ、

 

「クラウスの記憶にある肉体と、私の身体のズレが大きすぎる……」

 

 クラウスの記憶なら届く距離も、私ではまったく届かないのだ。

 

 この差を埋めるためにも、武装形態は重要なのである。

 

 ただ……、

 

「やっと変身が安定した……」

 

 デバイスを持たない私は、魔力コントロールが上手くいかず、また、大人になった自分のイメージが湧かず、修得に時間がかかってしまった。

 

 特にイメージの方が酷かったのだけど、クラウスの記憶を頼りに、どうにか大人のボディを手に入れることができた。

 

 これで、より覇王の身体資質を活かすことができる。

 

 

 

「再戦、よろしくお願いいたします!」

 

 

 こうして、1年前は手も足も出なかった母親のハチミツ熊に、私は勝利する。

 

「やった! 強くはなっている……強くはなっているけど……」

 

 私の強さは、人間相手ではどの程度なのだろう?

 

 今の私に、それを確かめる術はない。

 

 

 




『マリアージュ事件』を機に、アインハルトの運命が大きく動き出す!


次回『新暦78年のアインハルトさん!』

で、リリカルマジカルがんばります!
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