アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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『魔法戦記リリカルなのはForce』の主人公トーマ・アヴェニールの居場所を、スバルさんから聞き出したわたし――高町ヴィヴィオだったが、ルヴェラへの渡航費用で悩む。
お、お婆ちゃん……プレシア・テスタロッサの埋蔵金があるって本当っ!?



第6話 アインハルトさんのバイザーでは3倍のスピードは出ない

 ミッドチルダ中央市街地にある人気のない公園。わたしは周囲の様子をうかがいながら小声でサラちゃん(ガンプラ)を操る大魔導師に尋ねた。

 

「プレシアお婆ちゃん、本当に埋蔵金――隠し財産なんてあるの?」

 

『ええ。賠償金や特許料もあったけど、それだけで〝時の庭園〟を購入したあとの、維持費や研究費用が賄えるなんて、あなたも思わなかったでしょ?』

 

「それは……」

 

 100体以上のゴーレムの制作費などを含めて、確かに、個人で得られる額を遥かに超えている。

 

『表向きの収入とは別に手に入れた資金は、複数の次元世界に分散して、それぞれ別名義で口座を作ってあるのよ。もちろん、ほとんどが事件後に押さえられたみたいだけど、アルフやフェイトの知らない口座はいくつもあるわ』

 

「つまり、この世界のお婆ちゃんが亡くなったあとも、亡くなったと知られないまま、休眠口座みたいになってるってこと?」

 

『ええ。口座管理料がかかる世界もあるけれど、私の預金額に比べればたいしたことないもの。それどころか、むしろそういった金融機関の方が残っているようね』

 

 まさに現代の埋蔵金だ。

 

『チケットは私が購入しておくから、あとはパスポートなんだけど……そうね、昔フェイトに用意したのがいくつかあったから……』

 

 そういえば、フェイトママってジュエルシードを手に入れるため地球へ来る前にも、お婆ちゃんの指示で複数の世界を渡り、捜し物をしていたのだ。

 時の庭園は目立つので、民間の次元船や転送ポートを使うこともあっただろう。

 しかし、違法クローンであったフェイトママに正式な身分証明があったとは思えない。亡くなったアリシアさんの番号も使えない。

 渡航許可を得ようとしたら、

 

「……ん? それって偽造パスポートというやつなのでは~」

 

『ヴィヴィオ、そういうときは発想の転換をするの。

 アクシズから地球圏に帰還したシャア・アズナブルは、クワトロ・バジーナという戸籍と連邦軍の軍籍を手に入れて、エゥーゴに参加したでしょ』

 

「な、なるほど……」

 

 

《ヴィヴィオ~、またママにだまされてるって~》

 

 

「アリシアさん!?」

 

 サラちゃんから聞こえてきたのは、お婆ちゃんではなく、水樹奈々さんのロリボイス。

 

「王様やアミタさんとの話し合いは終わったの?」

 

 

《なんかね、思ったより面倒くさいことになってるから、もう少し待って欲しいって》

 

 

 それはむしろチャンスかも。

 

「あー、急がないからごゆっくりって伝えておいてもらえるとうれしいでーす」

 

 

《かしこまり~。レヴィに伝えとくね》

 

 

 フェイトママ顔の2人を思い浮かべる。

 レヴィかあ~。

 アリシアさんと気が合いそうだよねぇ。魔力光も似ているし。

 とりあえず、

 

「お婆ちゃん。こっちの世界のわたしに、これ以上迷惑をかけたくないので、シャア方式でお願いします」

 

『ええ、わかったわ。それとヴィヴィオ、あなた洋服も買わないとね』

 

「あ」

 

 そういえば靴下のままだっけ。

 わたしは気にならないけど、身に着けている物も、最初の爆発の際にところどころ焦げている。人によっては〝みすぼらしい〟と感じるかもしれない。

 

「変身魔法じゃダメかな?」

 

『空港で検査されるでしょ』

 

「そうでした」

 

 どうせ一時的だしなあ~。

 いくらこの世界では故人といってもお婆ちゃんのお金だ。出費は抑えよう。

 この辺りで一番安いアパレルショップといえば……。

 

『それと、お金は気にしなくていいから、しっかりした物を買いなさい』

 

「あう」

 

『言葉づかいと同じ。それなりにいい品を身に着けていれば、空港のチェックも甘くなるのよ。「Force」6巻で、いつもと違いスーツ姿のフッケバイン首領と手下が、乗客として悠々と次元船に乗っていたでしょ。そんなものなのよ』

 

 言われてみれば、3巻の空中戦で2人の姿は撮影されている。さらに、魔導事典によるとフッケバインは、

『凶悪犯罪集団として広域指名手配がかけられた武装グループ』

 となっている。

『Force』の1期~2期までの時間経過を考えれば、当然、姿形データと共に、さらなる手配がかけられているだろう。次元港なら特に厳しい。

 顔認識システム――とかは考えたらダメなんだろうなあ~。

 

「ピーチ城みたいな警備ってこと?」

 

『違うわよ。キノピオはあれでも頑張ってるのよ』

 

 意外にもお婆ちゃんがキノコ族に優しい。マリオシリーズをプレイして思うところでもあったのかもしれない。

 

『あなた「ViVid LIFE」2巻で、アインハルトが怪しい黒ジャージにカツアゲされてると思い、助けようと挑んだら、実はチャンピオンの子だったでしょ?』

 

「あ~」

 

 ジークさんだ。

 

「だってパーカーのフードを被ってて、顔が見えなかったから」

 

『そういうことよ。認知バイアスや光背効果って聞いたことあるでしょ。逆もまた然り。人間はね、外見がしっかりしているだけで、無意識に相手を信頼してしまうものなのよ』

 

 だからフッケバインもスーツだったのか~。

 そういえば、4巻でヴァンデインの工場を襲撃したときも、潜入するためスーツ姿に変装してたっけ。

 

「だったらわたしも学校の制服とか……あ、それじゃこっちのわたしに迷惑がかかるか……」

 

 普段着も同様。

 できるだけ、いつものわたしとは違う格好をした方がいいのかもしれない。

 例えば、

 

「常にノースリーブとか?」

 

『クワトロじゃないんだから……って、あなた、元々ノースリーブ多いじゃない』

 

 ノースリーブどころか肌色が多い。

 

「つまり、発想の転換で、クワトロではなくシャアっぽい格好をすればいいと?」

 

 ヘルメットに仮面。

 

『いやいやいや、せめてフル・フロンタルくらいにしときなさい』

 

「全裸だけに?」

 

『そうそう』

 

 フル・フロンタルは〝全裸〟って意味なのだ。

 

 

《アホなことばかり言ってないで、早く洋服を買ってください》

 

 

 テスタロッサ家の良心に怒られた。

 

「リニスさん、もしかして、もう帰還準備が整っちゃったとか!?」

 

 

《いえ、まだですが、エルトリア側に転移座標のデータは送ったので、急がないと目的達成前に帰ることになりますよ》

 

 

 それは大変。急いで大型のショッピングモールに向かう。

 いつもは着ないような格好ということで、民族衣装っぽいファッションを集めたセレクトショップに入る。

 

「お~、これってイクスが着てたガリアの民族衣装みたいかも」

 

 文化保護区や管理外世界の衣装が多く、中には「コスプレか!?」と思うような中世の衣装まである。

 

「これはイスタで、こっちはリオの実家のだし……」

 

 これはこれで迷うかも!

 すると、ふわふわ飛んでいたサラちゃんが動きを止めた。

 

 

《あら、プレシア、これって……》

 

 

『あ……あー、そうね』

 

 リニスさんに対して、お婆ちゃんの歯切れが悪い。はて、何だろうと思い見てみると、

 

「これ、フェイトママが子供のころ着てた服に似てるかも」

 

『A's』や『The MOVIE 2nd A's』の夢の中で着ていた衣装といえば、わかる方も多いだろう。

 シンプルな丈の短い白のワンピース……というかチュニックに、黒いマントと黒い靴。そして赤いベルト。

 

『ヴィヴィオ、こんな服は気にせず、自分が気に入ったものを選びなさい。あなた、クワトロ大尉みたいな格好にするんでしょ』

 

「そんな襟を立てたりノースリーブにはしないよっ!? まあ、ちょっとは惹かれる部分があるけど~」

 

 

《あ~、惹かれるんですねえ。でも、赤色は目立ちますよ?》

 

 

「うっ……」

 

 わたしもそう思う。

 Zガンダムでアポリーやロベルトが亡くなったのも、リック・ディアスを赤色に塗っちゃったことが原因な気もするし。いや、もちろんそれだけじゃないけど……。

 

「ヴィータさんも、普段は赤色じゃないしねぇ……。まあ、バリアジャケットだけなら赤色もアリだと思うけど」

 

 3倍早くなりそうだし。

 

『そう? だったら考えておくわ』

 

 嫌な未来をひしひしと感じる。

 わたしニュータイプじゃないんだけどなあ~。聖王家の遺伝子にも、流石にそんなスキルはないだろう。命中や回避に補正がかかって、ファンネル(リリカルなのはならブラスタービット)の射程が伸びるのだ。

 

「そういえば、とてつもなくどーでもいいことなんだけど、シャアって、どうして逆シャアのときだけ黄色のノーマルスーツだったのかな?」

 

 モビルスーツ同様、ずっと赤系統だったのに……。

 一度、別の人の意見を聞いてみたかったのだ。

 

『そうね……色々と説があるようだけど、私なら、アムロと決着をつけるため、あえてララァのノーマルスーツと同じ黄色にした――なんてどうかしら?』

 

 そりゃ新説だ。

 リニスさんの落ち着いた声が聞こえてくる。

 

 

《ガンダム話は置いといて、これから向かうルヴェラで違和感がない格好を選ぶといいと思いますよ》

 

 

 なるほど。

『Force』の魔導辞典には、

『ルヴェラ地方は雄大な自然の景観や旧歴中期から続く閑静な町並みが保護指定されており、観光地として賑わっている』

 と書いてある。

 そうなると、

 

「ルヴェラの町並みにもあってるし、フェイトママの子供のころの格好がちょうどいいかも」

 

『もっとあなたに似合う、カラフルで可愛い洋服があるでしょ』

 

「シンプルだけど、これはこれでいいモノだと思うよ?」

 

 マ・クベの壺じゃないけど、あれはいいものだ~。

 

『はあ……あなたも物好きね』

 

 あの当時のプレシアお婆ちゃんが、フェイトママに〝アリシアさんの使っていた洋服をそのまま着させた〟とは思えない。

 リニスさんの衣装と色合いが似ているので、彼女が購入した可能性もあるけれど、わたしとしては〝最初の一着だけは、フェイトママとリニスさんの衣装を、プレシアお婆ちゃん本人が選んだ〟のではないかと思っている。

 何の根拠もないけれど、今のわたしと同じように、アリシアさんが着たことはないけれど、1度は着させてみたかった、流行とは違う衣服。それが、このシンプルな衣装なのではないか――。

 現在のお婆ちゃんにとっては、黒歴史なんて言葉じゃ言い表すことができないほどの葛藤があるのかもしれない。

 自己嫌悪の象徴。

 けれど、

 

「フェイトママも嫌いじゃなかったと思うよ。今も黒コーデが多いし」

 

『そう……』

 

 早速試着。ついでに鏡を見ながら髪型を黒いリボンでツインテールにする。

 お婆ちゃんにとっては、モリサマーが凸守からミョルニルハンマーをポコポコ食らってるような気分だろうけど。

 

『本当、嫌になるくらい昔のあの子に似ているわね……』

 

 

《こう、なんでしょう、新型バルディッシュを作りたくなりますね》

 

 

「あはは」

 

 ちなみに、なんだけど、わたしの黒いリボンのツインテール姿は、『ViVid』19巻の特典などで見ることができる。

(新しいところでは『Detonation』パンフレットの巻末漫画でも見れます)。

 19巻では、なのはママたちとバリアジャケットを交換するという企画イラストで、わたしは『StrikerS』時代の、フェイトママの真ソニックフォームの格好をしているため、ツインテなのだ。

 このときのイラストでいうと、はやてさんが一番エッチで(まさか、ミウラさんの格好でエロいと思う日が来ようとは……)、なのはママは異常に強そうで(戦ったらワンパンで負ける気がする)、フェイトママは……あの歳でアインハルトさんの髪型は~(へぷぅぅ!?)。

 わたしを見つめて、サラちゃんがわずかに小首を傾げた。

 

『確かにいつものあなたと雰囲気は違うのだけど、紅と翠の虹彩異色の瞳で、すぐにバレそうね』

 

 

《そうですねえ、リボンの色でも変えてみましょうか?》

 

 

 服装がシンプルになったことで、逆に瞳の色が目立つらしい。

 

「そんなこと言われても~……って、こ、コレは!?」

 

 サングラスでもないかと思い、装飾品のコーナーをのぞいていたら、中央の黄色く波打つ線が怪しく光る、ジオン系モビルスーツみたいな黒いバイザーを発見した。

 よくわからない人のために比較的最近の作品で例えるなら、ゴブリンスレイヤーの剣の乙女の目隠しとか、ゴドー検事の赤いバイザーの入った仮面みたいなの。

 

「……ていうか、アインハルトさんが初登場時にしてたバイザーにそっくりだぁぁ!」

 

 どこかで購入したか、参考にしたものだとは思っていたけど、まさか、まさか、こんなところで出会えるなんて……。

 

「コレだ、コレしかない……」

 

『落ち着きなさい、ヴィヴィオ。アインハルトのバイザーでは、3倍速くはならないのよ?』

 

 

《シャアの仮面にも、3倍速くなるような効果は付与されていませんよ? 固有スキルです》

 

 

 固有スキル!?

 か、どうかは置いといて、

 

「わたしがクワトロみたいなサングラスかけるのと、シャアみたいな仮面つけるのと、鉄仮面(F91)みたいなの被るのと、アインハルトさんみたいなバイザーつけるの、どれがいいと思う?」

 

 

『……バイザーね』

 

 

《……バイザーですね》

 

 

 満場一致でアインハルトさんのバイザーに決まった。

 驚くべきことに、シャア他に比べると、アインハルトさんのバイザーなんて、お可愛いことだったのだ。それに、

 

「元の世界に帰ったら、アインハルトさんごっことかできそうだし」

 

『それ、断空拳を食らうオチしか見えないわよ?』

 

 リオかユミナさんにつけてもらおう。

 こうしてわたしは空港から次元船に乗り、『Force』1巻の舞台である〝第23管理世界ルヴェラ〟へと降り立った。

 観光を一切せずに、文化保護区にある山向こうの教会を目指す。

 確かミヘナ街道沿いだったはず。

 到着したころには、すっかり日が沈んでいた。周囲に他の家屋がないせいか、森の中に教会の灯りだけがポッカリ浮かんで見える。

 中に入り、1巻に登場した眼鏡をかけた老シスター――この人、亡くなっちゃうんだよなあ――に確認すると、最近、電信絵葉書を送信した男性はいないという。

 

「ひょっとしたら追い抜いちゃったのかな……?」

 

『そうね。トーマが教会を訪ねたのは昼間だもの。まだ、近くの街の宿に泊まっているのかもしれないわね』

 

 リリィさんを抱きかかえていれば『ゆうべはおたのしみでしたね』なんだろうけど、そういうイベントが発生することもなく、ぐっすり休憩していることだろう。

 そういえば、今年のエイプリルフールの『FGOクエスト』で唯一残念だったのが、姫を抱えて宿屋に泊まったときの台詞だ。

 アレさえドラクエⅠっぽかったら、100点だったのに……。星3つどころか、星333くらいである。

 とはいえ、

 

「あ~、ここでタイムアップかあ~」

 

 わたしはカウンターに手をかけ、しゃがみこんだ。

 ドラマCDでの、転移から帰還までの時間を考えると、この辺りが限界だろう。

 

「十分もったともいえるのかなあ……」

 

 おとなしく、1年前の世界に時間移動しよう。みやげ話もいっぱいできたし。

 すると、しばらく無言で浮いていたサラちゃんから『安心しなさい』という声が聞こえてきた。

 

『今しがたギアーズから連絡があったのだけど、もう少しかかるそうよ。できればこちらの世界で一泊して欲しいって』

 

「ホントに?」

 

 本来なら、帰還に手間取るのは困るところだけど、今回ばかりはラッキーだ。感謝。

 さらに幸運なことに、老シスターによると、この教会は簡易的な宿泊施設としても利用できるという。

 昨今流行りの宿坊ではないけれど、旅行者にとってはありがたいサービス。

 

「漫画じゃなかったよね?」

 

 こんなサービス滅多にしないんだからね~。

 そういえば、N●Kの全マクロス大投票のキャラ部門では、シェリル・ノームが1位だった。

 とても素晴らしい企画だったと思うのだけど、もし、唯一欠点があるとするならば、マクロス系ゲームのキャラや機体が、含まれなかったということ。

 YF-30 クロノスに1票入れたかったのに~。

 

『漫画だけじゃわからないことも多いでしょう』

 

 確かに……。

 漫画でも、見えない部分で泊まっていた人がいたのかもしれない。

 簡単な手続き済ませて食堂へ向かう。

 

「ホントだ。わたし以外にも宿泊客がいるんだね」

 

 トーマと同じ観光目的だろうか?

 後ろ姿しか見えないものの、若いシスターと話している幼い女の子や、ツンツン頭の男性などがいた。

 ツンツン頭……。

 

「トーマはトーマでも、上条当麻オチだったりして」

 

『リリィと銀十字じゃなくて、禁書目録でした~、みたいな?』

 

「そうそう。トーマ、お腹すいたー、とか言い出すの」

 

『嫌なフラグね……』

 

 ちなみに、2018年秋から放映していた『とある魔術の禁書目録Ⅲ』は、原作を読んでいても「流石に駆け足だったかなあ~」と思う。

 ただ、アレで懲りずに、レイヴィニア・バードウェイに振り回される、いかにも不幸な上条さんらしい『とある魔術の禁書目録SP』の漫画や新約の2巻、あるいは超電磁砲ファンも納得してくれそうな、ドキッ! 水着だらけの新約16巻も映像化して欲しいものだ。

 

「あ、食蜂操祈と上条さんの過去話の新約11巻も捨てがたいけどね!」

 

『あなたそんなこと言ってると、本当に上条当麻……いえ「とある魔術の禁書目録たん」みたいな世界になっちゃうわよ?』

 

 うわ~。髪の毛引っこ抜かれそう。

 

「そういえばサラちゃんのカラーって、リインさんだけじゃなく、インなんとかさんとも似てるような……」

 

『フラグの重ねがけは止めなさい』

 

 そんなことを話しながら、食事を終えた私は清潔なベッドでばたんきゅー。流石に疲れました。

 そして翌日――。

 窓ガラスから朝日が差し込む中「ん~」と伸びをしながら廊下に出ると、通路の先から何やら話し声が聞こえる。

 

 

『ミッドチルダ宛ての電信絵葉書の送信、お願いできますかー?』

 

 

 をを!

 再び室内へ。

 お婆ちゃんはまだ寝ているのか、ベッドの上のサラちゃんから反応はない。

 調べる。

 へんじがない、ただのガンプラのようだ。

 

「お婆ちゃん、先行ってるね!」

 

 わたしは覇王バイザーをつけると、黒いマントを羽織ってタタタと現場へ急ぐ。

 目指すは眼鏡の老シスターがいる入り口カウンター。

 そこに立っていたのは、

 

「トーマ!?」

 

「ん?」

 

 振り返ったのは、わたしよりちょっと年下で、ショートヘアの女の子。たぶん、昨晩食堂で見かけた子供だった。

 

「ごめん、間違え――」

 

「んー、とーまなら、あたしもとーまだな」

 

「はい?」

 

 

「あたし、とーま。とーま・ナカジマ、9歳っ!」

 

 

 

【次回予告】

 

とーま、とーま、トーマ……。ナカジマ姓ってことは、ナカジマ家だし、やっぱりあのトーマなんだよね? でもなんで女の子? アヴェニールはどこいったの?? ただ偶然名前が似てるだけで、本物は別にいるとか??? 禁書目録どころか、まったく別人なんですけどぉぉ!????

 

次回【この世界が『Force』だとわたしだけが知っている】第7話。

 

【わたしにとーまが舞い降りた!】

 

で、リリカルマジカルがんばります!

 

 

 




なんとなく……ええ、今となってはなんとなく……なんですが、アインハルトさんのピークってひょっとしたら、最初にバイザーを外してノーヴェと戦ったときなのでは……と思うのですが、どうでしょう。
あとは、だんだんとがっかり成分が。
いや、いい意味でのがっかりですけど~(笑)。

それは置いといて。
とーま・ナカジマです。

・本来の主人公トーマ・アヴェニールとは別人なのか?
・それとも、よくある女体化なのか?
・もっと他に理由があるのか?

は、おいおい判明していくのですが、すでにヒントはいっぱい出ているので、勘のいい方は、とーまがどういった存在なのかに気づいたかと。
たぶん「あ~」と。
むしろ、そういった存在の方が、繋がり的にもアリだと思うのですが、どうでしょう?

ピンと来なかった方も、トーマがよくある女体化以外の理由で、女の子になる可能性を考えてみると面白いかもです。


あと次回7話の前に6・5話入ります。

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