アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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『魔法戦記リリカルなのはForce』の世界に飛ばされたはずのわたし――高町ヴィヴィオが出会ったのは、とーまちゃん(9)女の子だった。
むぅ……どーせわたしの知ってる『Force』と違うなら、1巻で殺される教会のシスターたちを救ってもいいよね?



第8話 幼女戦記リリカルとーまっ!

『魔法戦記リリカルなのはForce』1巻。

 自分探しの一人旅の途中、主人公トーマが立ち寄った第23管理世界ルヴェラ文化保護区の教会から、物語はスタートする。

 そして、1巻の終盤。

 始まりの教会は、トーマのライバルキャラ――武装集団フッケバインの灰髪の銃剣使い――ヴェイロンの手で破壊され、シスターたちは皆殺しにされる。

 

 だけど……。

 

 わたしがこの世界で出会ったトーマは、トーマ・アヴェニール(15)男性ではなく、とーまちゃん――とーま・ナカジマ(9)女の子だった。

 

 であれば、

 

 この世界は1年先の未来――『魔法戦記リリカルなのはForce』と似て非なる世界。

 並行世界の1つではあるけれど、主人公が別人。まったく異なる世界なら、少しくらい変化があっても構わないだろう。

 だって、聖王教会のシスターということは聖王の信徒――つまり、わたしを崇める敬虔な信者たちということなのだぁぁ!

 

 これは助けねばっ!

 

 教会の受付カウンターにいる眼鏡の老シスターに向けて、わたしは言い放つ。

 

 

「えっと、今から伝える内容は、わたしの言葉ではなく、聖王の神託として、疑うことなく信じて欲しいんですが――」

 

 

『やめなさい、V2!』

 

 

 お婆ちゃん――プレシア・テスタロッサの声が響き渡る。

 

「あの……」

 

 立ち上がろうとした老シスターを、お婆ちゃんが操るサラちゃん(ガンプラ)が手で制した。

 

『申し訳ありません。うちの孫は少々誇大妄想の気がありまして、狼少年ならぬ狼少女ですね。何を話したかは存じませんが、お信じなさらぬよう。ほら、行くわよ、V2!』

 

「ちょ、引っ張らないでよお婆ちゃん~」

 

 耳をつかんだサラちゃんに、わたしは教会の外に引きずり出された。

 

「もう! どうして〝言わせねぇよ!〟するのぉぉ!?」

 

『ヴィヴィオ、この世界の歴史を変えることはやめなさい』

 

「もう十分変わってるって! トーマが女の子で9歳で幼女なんだよっ!? わたしたちが知ってる『Force』とは異なる未来を歩んでるんだから、歴史を変えることにはならないでしょ!?」

 

『それがどうしたというの?』

 

「どうしたのって……」

 

『ここでタイムトラベルについて詳しく話すつもりはないけど……そうね、ヴィヴィオ、よく思い出してごらんなさい。

 ルカ子が女の子になったところで、世界が大きく変化することはなかったでしょ?』

 

「それは――って、それ、シュタゲの話だよねぇぇ!?」

 

 だが男だぁぁ!

 

『しょうがないわね。例えば……そうね、古くはドラクエ3や4で勇者の性別を変えても、ストーリーに大きな変化はなかったでしょ?』

 

「ドラクエ……まあ、そうだけど……」

 

『不満そうね。じゃあFGOで主人公の性別を変えても、やっぱりストーリーに大きな変化は起きないでしょ』

 

「それはそうだけどー、リヨぐだ子とリヨぐだ男は――」

 

『あれはなし。考えちゃダメ。以前、劇場版の「Detonation」とコラボしていたPSO2なんて、性別どころか、種族や見た目――そうね、マイキャラ設定でいいなら年齢だって自由に変更できるけど、物語に大きな変化は起きないわ』

 

「そんな、アニメやゲームの話をされても~」

 

『あら、リリカルなのはの原作はゲームでありアニメよね?』

 

「……あ」

 

『ようやく理解したようね』

 

「じゃあ、トーマの性別や年齢が変わったとして、会話や若干のイベントに変化があったとしても、大筋としては『Force』の物語に変化はないってこと?」

 

『そういうことよ』

 

「だったら、この教会のシスターたちを助けたって――」

 

『それはやめておきなさい』

 

「どうして?」

 

『確かに、彼女たちは1巻にしか登場しないいわゆるモブキャラね。けれど、トーマはシスターたちが殺された状況と、彼の故郷を破壊された状況を重ねることで怒り、リリィなしでリアクトした。

 その行為が、結果的にヴェイロンの興味を引き、あの場でディバイダーとリリィを奪われることを阻止した。

 その猶予はわずか1日だったけれど、その1日がなければ、アイシスって子は、トーマを守る決意をしなかったかもしれない。

 それどころか、後にトーマとリリィは正しいリアクトを行えず、トーマは周囲の人たちを傷つけないよう、フッケバインのフォルティスが言うように、

「自滅の道を選び、1人で死んだ」

 可能性もある。

 そういった未来も有り得たってことよ』

 

「そんな……」

 

『まあ、バタフライ効果の一種だけど、小石を蹴ったことが世界大戦阻止につながる――なんてことに比べたら、たいしたことじゃないでしょ』

 

 まさか、教会のシスターたちを救うという善行が、トーマの――いや、とーまちゃんの――『Force』の物語をバッドエンドに導くだなんて……。思いもしなかった。

 だけど、

 

「とーまちゃんは9歳だし、トーマは15歳でしょ。トーマは7年前に故郷を滅ぼされたわけで、そうなると2歳なわけだし、ずっと捜してた〝藍色の羽根〟の入れ墨も、覚えてないとかで……やっぱり、シスターを殺す殺さないは関係ないんじゃ?」

 

『そうね。けれど、バッドエンドになる可能性もあるわけよね?』

 

「……あう」

 

 そうだ。

 どちらに転ぶかわからない以上、なるべく本来の――『魔法戦記リリカルなのはForce』がトゥルーエンドに向かうルートを壊すわけにはいかない。

 

『それにね、ヴィヴィオ。そもそもなのだけど、トーマには多くの矛盾があったのよ』

 

「矛盾? ……あー、聞いたことあるかも。トーマの故郷の事故、作中ではトーマの口から何度か『7年前』と語られてるんだけど、1巻の魔導事典では『新暦75年』になってるってやつでしょ?

 

『新暦81 ― 7年前 = 新暦74年』

 

 だから『7年前』か『新暦75年』のどちらかが誤りなんじゃないかって」

 

『ええ、そうね――』

 

 

 ちなみに、NanohaWikiでは

『新暦74年の誤植か?』

 と書いてあり、ウィキペディアでは、

『7年前(新暦74年)』

 と書いてある。

 つまり、両サイトの執筆者は、どちらも新暦75年を誤りと考えているようだ。

 

 

『それでヴィヴィオ、あなたはどう考えているの?』

 

「わたしも……やっぱり『新暦75年』が間違ってるかなって」

 

 真似たわけじゃないけど、NanohaWikiやウィキペディアと同じ意見だ。

 

「だって、トーマは作中に何度も『7年前』みたいなことを口にしてるし、5巻と同じころに発売した『Force』のフルカラー版でも『7年前』の台詞は変更してなかったから。

 フルカラー版は魔導事典が掲載されてないから不明だけど『7年前』が間違いなら、台詞が訂正されているはずだよ。

 それがない――ということは、やっぱり『新暦75年』の方が間違いだったんだろうなって」

 

『そう……。だからあなたは甘いのよ。フェイトと同じね』

 

「ええええっ!? まあ、フェイトママと同じならいいけど~」

 

『だまらっしゃい。ヴィヴィオ、もっと深く考えなさい。もっと疑ってかかりなさい。自分の考えに自信があるのなら尚更よ。一度、その考えを否定してみるの。あなたの母親のように、全力全開で、自分の考えを否定してみるのよ』

 

「そんなこと言われても~」

 

『いい? 結論から言うわよ。7年前、新暦75年――どちらも間違いなのよ』

 

「待って、待って、どういうこと?」

 

『最初に言ったでしょ。トーマには多くの矛盾があったのよって。わかりやすいように、簡単な年表に起こしてみるわよ――』

 

 

●新暦74年(トーマ・8歳)……故郷壊滅(?)。

 

●新暦75年(トーマ・9歳)……『StrikerS』JS事件。9月に解決。

 故郷壊滅(?)。

 

●新暦76年(トーマ・10歳)……4月に機動六課解散。スバル特別救助隊へ。

〝最速〟で、この年にトーマはスバルと出会い保護される。

 

 

「……あれ?」

 

『まあ、トーマって子が2年間、山の中で一人暮らしてたっていうなら、それでもいいんだけど』

 

 8歳の少年に可能だろうか?

 せめて12~13歳くらいならなんとかなったかもしれないけど、8歳といえば、小学校2年生~3年生。故郷の町は建物まで破壊されていたし、8歳の子供に全てをまかなえというのは流石に無理がある。

 

「待って、待って。確かスバルさんって機動六課の前、ティアナさんと一緒に災害救助隊に所属してたよね。だったら、新暦74年に保護された可能性だってあるよね?」

 

 それなら問題ない。

 

『そうね。ただ、2巻の保護の申請と居場所作りのシーン、スバルとティアナの着ている制服をごらんなさい。特別救助隊の銀制服にフェイトと同じ本局の黒い制服。六課解散後ということよ』

 

「それは単純に漫画で間違えただけかも」

 

『新暦74年じゃ、まだナカジマ家にナンバーズもいないでしょ?』

 

「あう……」

 

『どちらにせよ、ハッキリしていないってことね』

 

「じゃあ、新暦76年以降に保護されたと仮定して、2年間の一人暮らしは厳しいから、やっぱり故郷の壊滅は『新暦75年』が正しいってこと?」

 

『そうね。6年前なら辻褄が合うわ。といってもギリギリだけどね。2巻の出会いのシーンを読めばわかるけど、トーマがスバルに出会ったとき、スバルはもう救助隊だった。ということは――わかるわね?』

 

「2人の出会いは六課解散後――4月以降ってことだよね」

 

『ええ。トーマが冬山で修行している描写があるから――そうね、新暦75年の終わりに事件が起きて、夏くらいに出会ったすればどうかしら?

 半年程度であれば、備蓄食糧など、生活に必要な品が残っていたかもしれない。

 それにね、復讐もそうだけど、人って負の感情に囚われたまま1人でいると、次第に心がおかしくなっていくのよ。

 でも、トーマって子はまだ、そこまで気が狂っていなかった。獣になることなく、理性の光を宿していた。

 長くても半年でしょうね。

 だから、トーマは早い段階でスバルに出会えて――そこだけは――本当に運が良かったのよ』

 

 サラちゃんの姿ではわからないけど、今ごろお婆ちゃんは遠い目をしているのかもしれない。

 

『ただね、スバルは鍛え直す目的で、ヴァイゼンを訪れたわけでしょ? 肉体や精神を鍛え直すといっても、夏くらいじゃ機動六課が解散して日が浅い。入隊して間もない。いっそのこと、1年後――新暦77年くらいの方がしっくりくると思わない?』

 

「それは~」

 

 10歳になっているとはいえ、また2年間の一人暮らしになる。

 

『まあ、ただの憶測よ。入隊してすぐ、ショックな出来事があったのかもしれないし。

 それに、さっきは否定したけど、新暦74年の方が都合のいいこともあるのよ? 故郷の事故は、隠蔽工作のあとが見え隠れするでしょう?』

 

 魔導事典には『事故ではなく事件であるとする声もある』みたいに書かれている。

 

『ヴァンデイン社は大企業だけど、ハーディスがあっさり逮捕されたことからも、局の調査に口出しできるほどの力はなかった。

 だったら、何処の誰が、事故として隠蔽工作したのか?』

 

「誰って言われても……」

 

『新暦74年といえば、まだ調査結果を捏造するくらい朝飯前な、彼らが元気だったでしょ?』

 

「……あ、最高評議会とスカさん!?」

 

 広域指名手配されていたスカリエッティなら、ヴァイゼンで活動していてもおかしくなかったわけで……。

 

「いやいやいや、スカさんが『Force』に関係してたなんて……」

 

『そうね。ただの物語よ。ただ、私が何を言いたいのかは理解したでしょ?』

 

「うん。『Force』本来の主人公であるトーマ・アヴェニール自身が、故郷の事件一つ取ってみても、矛盾に満ちた存在だったってこと……だよね?」

 

『ええ。トーマの故郷が壊滅した年も、トーマがスバルと出会った年も、実は判然としない。だったら、とーまって女の子が9歳でも問題ないでしょ』

 

「でもお婆ちゃん、とーまちゃんが9歳ってことは――」

 

 

●新暦74年(とーま・2歳)……故郷壊滅(?)。

 

●新暦75年(とーま・3歳)……『StrikerS』JS事件。9月に解決。

年末、故郷壊滅(?)

 

●新暦76年(とーま・4歳)……4月に機動六課解散。スバルさん特別救助隊へ。

〝最速〟で、この年にとーまちゃんはスバルさんと出会い保護される。

 

 

「――ってことになっちゃうけど? 74年でも75年でも、流石に2~3歳で一人暮らしは不可能だと思うんだけど」

 

『そうね。だったらこうしたらどう?』

 

 

●新暦76年(とーま・4歳)……4月に機動六課解散。スバル特別救助隊へ。

とーまの故郷壊滅。

災害現場でスバルと出会い保護される。

 

 

『そもそも、一人暮らしなんてする必要ないでしょ。一例に過ぎないけど、これで「Force」のストーリーに影響は出るかしら?』

 

「そう言われちゃうと~」

 

『といっても、これもただの物語だから。実際に何があったのかは、とーまって子かスバルにでも聞いてみないとわからないわね。

 ただ……とーまの〝9歳〟って年齢、あなた気にならない?』

 

「うん。実はずっと気になってました。なのはママの……『無印』のころの年齢」

 

『そうね。リリカルなのはとしては初代を彷彿とさせる年齢なわけよ』

 

「魔法少女リリカルとーま!?」

 

『そんな感じね。さらにいえば、新暦76年の4歳って年齢はどう? 思い当たる節はない?』

 

「……ひょっとして、スバルさんがクイントさんに保護された年齢っ!?」

 

『ええ。運命的でしょ』

 

 自分やギンガさんの幼いころを、とーまちゃんに重ねたのかもしれない。

 

『それに、時期的にも、ナンバーズの4人――チンク・ディエチ・ノーヴェ・ウェンディを、ナカジマ家に引き取るかどうかの話が出ていたころでしょ? ついでに、もう1人くらい末っ子として迎え入れたところで、彼女の父親なら即「了承」でしょう』

 

 確かに、ゲンヤさんなら秋子さんなみに理解があるからなあ~。

 しかも、謎ジャムというデメリットなしで……。

 

「あ、だからナカジマ姓なの? アヴェニールじゃなくて」

 

『でしょうね。4歳なら自然と受け入れたでしょう』

 

 

「あ、ああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

『ちょっと、どうしたのよ?』

 

「今更だけど思い出した。ほら、前にこの世界のスバルさんと映像通信で話したとき」

 

 

『〝弟〟の前では、いいお姉さんでいたいですもんねぇ~。というわけで交渉成立ですねー』

 

『〝弟〟じゃないけど、ううっ……こんなあくどい子がヴィヴィオのわけない……』

 

 

「――みたいな会話してた!」

 

『あ~、あったわね~。アレ、伏線だったのね……』

 

 今の今まで忘れてたよ!?

 

『そうそう。伏線といえばもう1つ。あなた初めてとーまに出会う前、

「トーマはトーマでも、上条当麻オチだったりして……」

 みたいなこと言ってたでしょ。禁書目録ネタを連発して』

 

「あ~、そういえば~……って、ひょ、ひょっとして、とーまちゃんって打ち止め(ラストオーダー)的なポジションってことぉぉ!? 御坂姉妹ならぬナカジマ姉妹の末っ子ポジションでぇぇ!?」

 

『とーまが女の子で9歳になったのは、ひょっとしたら、あなたの責任かもしれないわよ? 立錐の余地もなくフラグを立てまくった』

 

「いやぁぁ~、そんなつもり全然なかったのにぃぃ~~!?」

 

『それはまあ、冗談としても、並行世界である「INNOCENT」も、みんな年齢が引き下げられていたでしょ? もしもトーマが登場していたら……』

 

「あ、性別はどうあれ、年齢は一桁だったんだ!」

 

『それにね、これは意外かもしれないのだけど……1巻のキャラクターファイルに、

「初期のデザインはすごく幼かったです」

 とコメントが書かれているの。

 そして、それを裏づけるかのように、フルカラー版1巻の巻末にある設定資料では、第1形態のトーマと並んで、15歳ではなく、なぜか12歳時のトーマのフルカラーイラストが掲載されているのよ』

 

「あ、あれ?」

 

『それがこのイラストなんだけど――』

 

 空間ディスプレーに表示される。

 

「あ~、茶髪になった子供時代のクロノ提督のようだって……あ、確かにちょっと、わたてんのひなたちゃんっぽいような気がしないでもないかも~」

 

 わたしはそこではたと気づく。

 

「待ってお婆ちゃん。ってことはだよ、ひょっとしてとーまちゃんて……」

 

『ええ。私もこうやってあなたに説明していて気づいたのだけど……。

 リリカルなのはって代々女性主人公だったわよね。

 当然、都築先生にだって「男性主人公にしていいのだろうか?」という葛藤があったと思うのよ。

 そこで思い出したのだけど、1巻の都築先生のコメントに、

 

「トーマはちょうど、第1期のなのはと似たような経緯で不思議な力と出会います」

「新メンバーで原点回帰という目標があったりします」

 

 なんてのがあるの。

 このコメントを素直に受け取るなら、構想の初期段階では、第1期の高町なのはのように、9歳の女の子が主人公だったバージョンがあったとしてもおかしくない……。

 そうは思わない?』

 

「うん。むしろ、まったく考えなかった――って方が無理あるかも。

 つまり、とーまちゃんって……トーマが女体化とか、そういった存在じゃなくて、むしろ……初期型トーマってことぉぉ!?」

 

『ええ、プロトタイプ・トーマね……』

 

 なんてガンダム! じゃなくて、

 

「そういえばサラちゃん――5-01型デバイスだって実験機だし、うわ、なんか、そういう世界なの? ここって!?」

 

『そうかもしれないわね……』

 

「魔法少女リリカルとーま……ううん、魔法戦記リリカルとーま……みたいな?」

 

『そうね。どちらかといえば、幼女だし、幼女戦記リリカルとーまかしら?』

 

「幼女戦記って……」

 

『あら、ターニャ・デグレチャフだって9歳でしょ』

 

 

「あああああああ!?」

 

 

 偶然とはいえ、まさか同じとは~。

 

『ただ、演算宝珠エレニウム九五式が実験機だとするなら、とーまよりあなたの方がターニャ寄りよね』

 

「いやああああああああ! アニメしか見てないからわからないけど、絶対最後、デスノートみたいに死んじゃうパターンでしょぉぉ!? フラグ立てすぎだもん、あの子というかあの人~」

 

『はあ、ネタバレになるから言わないけど、気になるならWeb版読むなり、ネットで調べるかすればいいでしょ?』

 

「それは嫌。アニメで見たい」

 

『はいはい。勝手になさい――』

 

 サラちゃんが空中でクルリと振り返る。

 

『まあ、なんにせよ、あなたがこれ以上かかわることもないわ。この世界に』

 

「……あ、そっか」

 

 わたしはもうすぐ、元の世界に帰るのだ。

 

「はあ~。わたしの知ってるトーマじゃなかったけど『星5』のレアキャラとーまに会えたから、これはこれで良かったのかも。全身ゴールデンなラッキー鷹文に会ったようなものだね~」

 

『そんなネタ、覚えてる人いるのかしら?』

 

 D&T(ダンジョンズ&タカフミズ)は、何気に面白かった。

 Keyミニゲーム集とか発売してくれないものだろうか。

 

「そういえば、今ごろルヴェラ鉱山遺跡で、ヴァンデイン社の研究施設が撤退の準備を進めているころだよねぇ」

 

 機材とデータの搬出が終了するのは、確か日暮れごろだったはず……。

 そんなことを話しながら、道なりに歩いていると、ようやくサラちゃん経由でエルトリアから連絡が入る。もちろん、理由はわからないけど映像は出ない。音声通信のみだ。

 

 

《お久しぶりです、ヴィヴィオさん》

 

 

「その声は……アミタさん! お久しぶりです」

 

 赤毛のお姉さんは、相変わらずアスナさんみたいなおねーさん声をしている。中の人的に。

 わたしは素直に謝罪する。

 

「この度は、時間移動したあげく『Force』の並行世界に飛ばされちゃうなどという事件の後始末をさせてしまい、大変ご迷惑をおかけしました~。

 正直な話、もう少しとーまちゃんのその後を見守ってみたい気もするのですが、これ以上お手数かけるわけにもいかないので、おとなしく帰ることにしますね」

 

《えっと……それで、なんですが……》

 

「はい。来たときと同じように黒焦げアフロになれというなら、甘んじて受ける所存でありますっ!」

 

 5-01型デバイスがあれば、時間移動に伴う肉体への負荷も、たいした問題ではないだろう。

 

 

《いえ、そういうことではなく……その、落ち着いて聞いてくださいね。今のままでは、ヴィヴィオさん、あなたは元の世界に帰ることができません》

 

 

「はい?」

 

 

《キリエとユーリが綿密にシミュレーションした結果、ヴィヴィオさんの帰還には〝原初の種〟が必要だとわかりました》

 

 

「原初の種……げ、原初の種ぇぇ!?」

 

 

 

【次回予告】

 

原初の種って、確か最終巻でようやく語られた、『Force』のキーアイテムみたいなやつだよね? ……って、ちょっとたんま。

漫画で登場していないモノを、どうやって探せと? 見たことないモノを、どうやって見つけろと? 原作休載しちゃってるんですけどぉぉ!?

なんというハードモード! いや、なのは(魔王)モードだこれぇぇ!? もう、種割れしちゃうよ!?

 

次回【この世界が『Force』だとわたしだけが知っている】第9話。

 

【助けてアミティえもん!】

 

で、リリカルマジカルがんばります!

 

 

 




原初の種ということでようやく『Force』らしくなってきました。
原初の種については次回、フリッカージャブみたいな感じでやるとして……。
ストレートにやるべきか、とーまちゃんと同じでアッパーにすべきか、はてさて?

とーまちゃん
もともと、普通に15歳のトーマにしようかと思っていたのですが、本文中にもあるように、フルカラー版『Force』1巻を読んだとき、巻末に設定資料が載っていたのですが、
『左は珍しい12歳時のトーマ。本編のトーマと比べ~』
みたいなコメントとイラストがありまして、あとは、

原作『魔法戦記リリカルなのはForce』が、リリカルなのは初の男性主人公ということで、逆に、これまでのリリカルなのはシリーズを踏襲して、主人公が女の子だった場合を想定して、とーま(9)にしてみました。
本文中にもあるように、調べてみると初期トーマはもっと、それこそ第1期のクロノみたいにちっちゃかったようですし、これはこれでアリかと。
『Force』ファンやトーマ好きには反感を買うと思うのですが、二次創作ということでご容赦ください。
ただ、子供にしたことで、都築先生のコメントにある、
『魔法の力や戦いを怖いものとして描いてゆきます』
というのは難しいかもしれませんね。
まあ、この作品は、基本コメディですし、そっちの方がいいかなと。

ちなみに、映画の『Detonation』では、ラストのなのはなど、そういった怖い部分を描こうとしていたのかもしれませんね。『Force』で描き切れなかった代わりに。

……と、書きつつ、実はこの〝とーまちゃん〟には、もっととんでもない秘密が隠されていたりします。
『StrikerS』を見ていた人なら察しがつくかもしれませんが……。
原作に存在していたとしてもおかしくないはず……。
彼女の正体とは……??

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