アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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あけましておめでとうございます!

新年一発目――というか、1月1日なので、初詣(?)ネタで書いてみました。

今年の夏は『魔法少女リリカルなのは Reflection』があるそうで、しかもPSP用ゲーム『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』のキャラが出るということは――ひょっとすると、アレがこうして、ヴィヴィオとアインハルトの出番があるんじゃないかと思ってみたり。
というか、出て欲しいな~。
せっかく『ViVid Strike!』もやったことだし……。

そんなわけで、本年もよろしくお願いします!!



風雲ヴィヴィオ神社

「おはようヴィヴィオ」

「おはようママ~……って、ママじゃない!? 騎士カリムぅぅ――っ!?」

 

 

 元旦。

 目が覚めると、わたしは聖王教会の敷地内に特設された(ルーテシア作)謎の神社の本殿に祭られていた。

 

「な、ナニコレ……?」

 

 いつもの黒い衣装と違い、紅白の巫女さん衣装に身を包んだカリムが答えてくれる。

 

「いくら次元世界最大規模の宗教組織とはいえ、年々、信者の数は減っているの。

 そこで、新しい信者獲得のため、何か目新しいイベントを考えよう――ということになって、はやてに相談したところ、地球の初詣というシステムを聞いて『コレだ!』と思ったのよ」

「はあ……」

「初詣の場合、祭られている神社の神様に1年の感謝を捧げたり、新年の無事と平安を祈願したりするものでしょ? で、聖王教会の場合、聖王が信仰対象なわけ。つまり……」

「わたし……? って、ああぁぁ!? 寝てる間に大人モードで、しかも衣装がオリヴィエみたいになってるぅぅ!?」

 

 黒い戦装束ではなく、青いセイバーカラーの衣装でもなく、ピンクの――例えるなら、

 

「『DOG DAYS』のミルヒオーレ姫みたいな格好だ!」

「確かに、シニヨンキャップもつけていて似ていますが……違います。オリヴィエの人物画でよく描かれるピンクの衣装です」

「あ~」

 わたしも見たことがある。覇王イングヴァルトの回顧録なんかに使われている挿絵でもおなじみのアレだ。

「でも……どうして?」

「聖王教会では生き神様――ヴィヴィ陛下をお迎えして、信者のみなさまの結束を高めつつ、新しい層も獲得しようと計画したの」

「そんな……わたしがオリヴィエの複製体ってことは……」

「聖王教会主催『聖王女オリヴィエ公式コスプレ大会』優勝者ということにしてあるから大丈夫!」

「それはそれでなんかイヤァァ! ううっ、これもカリムが考えたの?」

「……いいえ、主にセインとシャンテが」

「やっぱりかぁぁっ!」

 

 どこかでクシャミをする音。

 

「まあ、最近ヴィヴィオも試合映像がミッド中に中継されるようになってきたし、いい機会だと思うのよ」

「……そう言われると」

 

 色々と誤魔化せる気がする。

 

「もちろんそれだけじゃないわ。これを見て――」

 

 モニターに映るのは、開け放たれた赤塗りの巨大な門。

 

「合図と同時に開門して、コース上の様々なアトラクションや妨害をクリアしながら、一番にヴィヴィオのもとにたどり着いた人が、今年の『福魔導師』になるのよ」

「色々混ざりすぎだよねっ!? これ、なんてフロニャルド!?」

「だからフロニャルドではありません」

「――ていうか、参拝にきてアトラクションって……大丈夫なの?」

「聖王教会もいきなり本番はしないわよ。プレオープンということで、今回は教会関係者のみの出場になっているから」

「出場って……やっぱり参拝じゃないんじゃ……」

「ちなみに、すでにレースは始まっているんだけどね」

「もう始まってるの!? っていうか、参拝なのにレース、レースって言ったよねっ!?」

 

 カリムはスッと目を逸らした。

 

「第1の関門は『マスタードラゴン池』よ」

「スルーされた上に、何だか凄そうな名称だけど……大丈夫?」

 

 天空装備が必要なのではないだろうか。

 

「ルールは簡単。池の上の飛び石をポンポン渡って、向こう岸にたどり着けばゴール。ただし、池に落ちると失格。もちろん、飛行魔法やウイングロードといった移動魔法は禁止よ。他の選手を妨害しつつ、一番にゴールを目指す――というものね」

「選手――ってところが、すでに参拝でもなんでもないんだけど……意外に普通……じゃなかったぁぁ!?」

 

 池の上の小さな足場で、振り袖姿のなのはママとフェイトママのお尻が激突!

 

「どっかの競女みたいなことになってるぅぅ――っ!?

 しかも、教会関係者のみって……参加してるの、なのはママにフェイトママ、八神家にもと機動六課にナンバーズ、コロナやリオ、それにアインハルトさんといったジムのみんなに……リンネさんたちストライクアーツ関係者ばっかだよ!?」

「ええ『教会=聖王=ヴィヴィオ』関係者だから」

「わたしのかぁぁ!」

 

 カリムは再びスッと目を逸らした。

 

「マスタードラゴン池を突破した勇士たちを待ち受ける第2の関門――それは『シュラク隊海峡』よ!」

「その名称は色々アレだよね!? 確かに女性ばっかだけど、ジブラルタルでマスドライバーで死んじゃいそうだよねっ!?」

「こちらのルールもいたってシンプルよ。やたらと揺れる細い吊り橋を渡り切るだけ。ただし、選手を妨害しようと、何発もの魔法弾が飛んでくるので、避けるなり、シールドで防ぐなりしながらゴールを目指すの」

「……う、う~ん、これもルールだけ聞くと普通かも」

 

 よくよく考えると、先ほどのマスタードラゴン池だって、ママたちだからバトルになったけど、一般参加者なら競女みたいなことにはならないだろう。

 キャッキャしながら遊ぶ程度――。

 

「でも、さっきもだけど、落ちたら濡れたりケガしたりするんじゃ……。せっかく参拝に来てくれたのに……」

「そこも万全よ。境内全域に安全フィールドが働いているので、落ちても〝だま化〟するだけ」

「だま化ってなに!? けものだま? やっぱりフロニャルドの戦興行なの!? 勇者様、勇者様どこぉぉ~っ!?」

「違います。フロニャルドでもなければ勇者様でもありませんから――」

 

 モニターに神社――というより、野外ライブ会場みたいな光景が映し出される。

 

「そして、最後の関門がオリヴィエモードのヴィヴィオと一緒に写真撮影ができる権利をかけての、ハンマープライス!」

「なにそれオークション!? 参拝どころかレースでもないよね!? 何その課金制度、最後は魔力でもなく財力なの!?」

「教会の運営も大変なのよ……」

「うわ、生々しい……」

「なので、大口のお客様には別途個人撮影会をお願いします」

「うわ、リアルだ!」

「例えばダールグリュン家とか」

「それ雷帝……って、わたしよりジークさんの撮影会の方が喜ぶんじゃ……。だいたい、オリヴィエモードのわたしと写真とって、誰が喜ぶの?」

 

 一般参拝客からしてみれば、ただのコスプレ大会優勝者――そっくりさん。

 事情を知っている人たちからしてみても、ただの複製体。わたしはわたし、どちらかといえば、高町なのはの娘――の方が通りがいいだろう。

 

「ヴィヴィオ、あなたは自分自身を過小評価しすぎね。もっと自信を持っていいのよ」

「カリム……」

「ほら、モニターのアインハルトをご覧なさい――」

 

 わたしは、未来を視るというカリムの助言に従ってアインハルトさんを見た。

 

「――はっ!? 振り袖どころか、いつものちょっとエッチなバリアジャケットじゃない! カラーリングは一緒だけどズボンはいてるよ! 

 もしかして――パンツじゃないから恥ずかしくないもん! の幻想から解き放たれたとか!? 

 初めて会ったころは普通にスカートだったのに、最近ではスリットが大きく割れすぎてインナーが丸見えだよ――って心配してたんだけど!!」

「いえ、違います。アインハルトの格好は覇王クラウス・G・S・イングヴァルトの衣装よ」

「え……?」

「教会にも飾ってあるからヴィヴィオも見たことあるでしょ? 椅子に腰かけて優しく微笑むオリヴィエと傍らに立つクラウスの絵画を。同じ構図でオリヴィエの子孫と撮影することは、覇王家直系の悲願だったのよ」

「覇王家の悲願安いね! 明日にでも一緒に写真とるよ!?」

「そんなわけで、オープン!」

 

 

 ――ボン! ボン!

 

 

 小さな火薬音と共に、わたしがいる本殿の前後左右の壁がパタンと倒れる――と、そこは、先ほど映し出された野外コンサート会場のステージ上。

 

「あ、あれ、本殿は……?」

 

 観客席には、すでにレースを終えたママたちの姿が。

 

「きゃぁぁ――っ! ヴィヴィオ、こっち向いてぇぇ、ほら、ほらフェイトちゃんは撮影係!」

「任せといて!」

 

 さらに、

 

 

 ――ズゴゴゴゴゴ!

 

 

 ステージと観客席の間。地面から巨大な賽銭箱が迫り上がってくる。

 

「ナニコレぇぇ!?」

「それではみなさま、ヴィヴィ陛下の寵愛をかけて、お賽銭をお納めください!」

 

 なのはママがハンドバッグを開く。

 

「こ、ここはヴィヴィオの将来のためにと貯めている学費を……」

「ちょ、ちょっと待ってなのは! それ本末転倒だから、預金通帳しまってぇぇ!」

「ふぇ、フェイトママ、早くなのはママを止めてぇぇ――っ!!」

 

「陛下のため、我々もとナンバーズの財力を結集してぇぇ!」

「ダメぇぇ! 特にそこの双子ぉぉ! ノーヴェ早く止めて止めてぇぇ――っ!!」

 

「友達料は、お、お年玉を入れれば、入れればいいのかな……?」

「コロナ、リオ、正気に戻ってぇぇ!」

 

「こ……これを……」

「アインハルトさん、チャンピオンベルトを入れられても困りますからぁぁ!」

「じゃ、こ、これを……」

 

 ニャア。

 

「貴重だけど、ティオを入れちゃだめぇぇ――っ!!」

 

「ここは私に――ベルリネッタ・ブランド任せてください!」

「リンネさん、戦車も買えそうな黒いカード来たァァ!?」

 

「わ、わしも……」

「フーカさん、引っくり返したポケットが漫画みたいに空っぽだぁぁ!? 逆にお賽銭入れたくなるんですけどぉぉ――っ!!」

「スマン、スマンの、ヴィヴィさん。わし、給料のほとんどを孤児院に寄付しとるけぇ」

「うわ~、イイ話きたぁぁ――っ!!」

 

 すると、

 

「た、大変です、カリム!」

 

 紫髪の修道騎士がステージに駆けこんできた。

 

「どうしたのシャッハ?」

「ヴィヴィ陛下復活祭――」

「これ、そんな名称だったんだ!?」

「――の噂が、いつの間にか広まって、ミッド中から信者がぞくぞく集まって来ています!」

「ぞくぞく――って、そんなたかが知れているでしょう? まだ正式な告知もしていないのだから。あ、そうだ。せっかくだから集まっていただいたみなさんにも、企画の趣旨を説明して、アトラクションに参加してもらうというのはどうかしら? 一般客の反応も知っておきたいし。まあ、難易度も調整しなくちゃいけないから、ゴールできるのは10人に1人くらいでしょうけど……」

「その数、すでに数十万……いえ、数百万人とも……」

「なにその関ヶ原――って、それ10人に1人でもさばけないよ!? シャンテが死ぬ気で分身するとかしても」

「くっ……まさかそんなに集まるなんて……」

「予言しようよカリム!」

「こうなったら……シャッハ、プランDで行くわよ!」

「はい!」

「プランD!? プランDって何!? BとかCはどこ行ったの!?」

「ヴィヴィオ。せっかく遠いところから来ていただいたみなさまを、手ぶらで帰すわけにはいきません。なので、この会場を利用した野外ライブコンサートで乗り切ります!」

「や、野外ライブコンサートぉぉ!?」

 

 などと言っているうちに、観客席からシャッハによって連れてこられたのは――フェイトママ。

 カリムが頭を下げる。

 

「主席、一つよろしくお願いします」

「主席?」

「ううっ……ヴィヴィオのピンチとなれば、しかたないのであります」

「……あります?」

 

 ステージ上で、フェイトママの全身が金色の光に包まれた。

 

「もしかしてソニックフォーム……じゃない!?」

「フェイト・T・ハラオウン――リコッタモード!」

「うわぁ~、いつものフェイトママのままでアルフみたいな耳とか尻尾がついてるぅぅ――っ!」

 

 頬を赤らめてるフェイトママと相まって、ちょーカワイイんですけどぉぉ!?

 

「こ、コンサートとか、ちょー慣れているのでありますよ~」

「うわ、中の人とか色々混ざりすぎてるぅぅ!」

 

 すると、

 

「きゃぁぁ~、フェイトちゃんもふもふお耳に尻尾、最高ぉぉ――っ! エクセレントっ!!」

 

 興奮したなのはママが激写している。

 少し頭を冷やそうかぁぁ!?

 

「ちょ、なのはママ撮りすぎ! フェイトママが困ってるでしょ!!」

「ヴィヴィオ~」

「――でも、あとでわたしにもデータ分けてぇぇ! きゃぁぁ――っ!!」

「高町家の魂は、聖王家の遺伝子を超えるのね……」

 

 ちなみに物理で超えます。

 すると、顔を真っ赤にしてプルプルしていたフェイトママがついに覚醒した。

 

「……ヴィヴィ姫様、コンサートの準備をするであります」

「ちょ、フェイトママ……目が笑ってないよ?」

「ヴィヴィ姫様も、自分と同じ耳と尻尾をつけるであります。――クリスお願い」

 

 わたしの体に犬耳と犬尻尾が現れる。

 

「クリスが勝手に言うこと聞いてるぅぅ――っ!?」

「あ、そうだ。せっかくだから、髪もピンクにするでありますな」

「それもう、オリヴィエじゃなくて、ただのミルヒオーレ姫だからぁぁ――っ!?」

「さあ、ヴィヴィ姫様、ステージリハに行くでありますよ」

「わ、わたしキャラソンないんですけどぉぉ――っ!? 助けて勇者様~」

 

 なのはママを始め、観客席のみんなが、引きずられていくわたしを最上級の敬礼で見送ってくれた。

 

 ちなみに、その後のことはよく覚えていないのだけど、戦興行(違う)は大成功でしたでありますよ?

 

 

 

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