アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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『魔法戦記リリカルなのはForce』の世界に飛ばされたわたし――高町ヴィヴィオは、ルヴェラ鉱山遺跡の地下に広がる違法研究施設に無事潜入したのだけど……。
あれ? ちょっと待って。
トーマが原点回帰で9歳少女に変わった世界の場合、ここに捕まっているリリィさんは一体どうなるの?



第15話 とーまの嫁は女の子じゃないと思った?

 違法研究施設の奥深く。

 薄暗い中、ぼうっと光る生体ポッドが立ち並ぶ室内で、わたしはこの世界のトーマ・アヴェニール――とーま・ナカジマが走り去った方向を見つめていた。

 おそらくあの先に、原作でリリィさんが拘束されている安置室――という名の実験室があるのだろう。

 

「わたしたち、〝リリィさん〟〝リリィさん〟って言ってたけど、本当に〝リリィさん〟なのかなあ?」

 

『どういうことよ?』

 

「だって、この世界、トーマがとーまちゃんに変わったんだよ? だったらリリィさんだって逆方向にメガ進化。ザフィーラとか、ドズルとか、ラオウみたいな、ムキムキ男性キャラに変わっていてもおかしくないんじゃ……」

 

『……ポケモンなら頼もしいけど、リリカルなのは的には最悪ね』

 

「しかも、原作通りなら、捕まっているときのリリィさんは全裸。なので、マッチョで全裸のリリィ(男)が、見開きでポージングしながら登場。金属の拘束具も、メキッと自力で破壊。響き渡るとーまちゃんの悲鳴」

 

 どこのシルバーマンジムだよ! って感じだ。

 

『それはもう、プラズマアークで焼かれちゃってもいいんじゃないかしら?』

 

「さらに、大柄なムキムキ男性キャラが、ここぞとばかりにとーまちゃんに誓約(エンゲージ)を迫る。後に融合」

 

『それはフェイトに通報しておけばいいのかしら?』

 

 つまり、

 

「敵はフッケバインやヴァンデイン社だとばかり思ってたけど……まずはとーまちゃんをリリィさん(男)の魔の手から助けないとダメなんだよぉぉ!」

 

 わたしはとーまちゃんのあとを追って駆け出した。サラちゃん(お婆ちゃん)も飛んでついてくる。

 

『なんだかもう、目的が入れ替わっているのだけど……そうね。もう少し冷静に考えてみましょうか。

 原点回帰ということは、

「高町なのは = とーま」

 なのだから、

「ユーノ・スクライア = リリィ」

 ということ。

 つまり、変身魔法を使い小動物に姿を変えることでマスコットキャラの立ち位置を確立するキャラ――ということね』

 

「うん。ただ、いくら原点回帰とはいえ1期と同じフェレットはないと思うから、いっそのことケロちゃん的な生物とか……」

 

『だったら、キュゥべえでもいいんじゃない? 僕と契約してエクリプス感染者になってよ――的な』

 

「……うっ、当たらずといえども遠からずのような。どーせなら、湿布を貼ってくれるキュゥべえがいいなあ~」

 

『あら「巴マミの平凡な日常」のキュゥべえね。基本、コタツからは出てこないけど、巴マミの話せる(筆談)ペット感がスゴいわよね。というか、あのキュゥべえなら私も1匹欲しいわ。便利だし。リニスと交換で――』

 

 とーまちゃんがいる間は黙っていたのか、サラちゃんからその山猫の使い魔さんの声が聞こえてくる。

 

 

《聞いてますよ、プレシア! そんなこと言っていると〝また〟雑巾絞ったお茶入れちゃいますよ!?》

 

 

『〝また〟って、ちょ、あなた、そんなことしてたのぉぉ!?』

 

 サラちゃんからドタバタ音まで聞こえはじめた。

 うわ。何気に修羅場ってるなあ……。

 修羅場……修羅場ねぇ……修羅、あ、

 

「やっちゃえバーサーカー的なのはどうかな? イリヤさんみたく、とーまちゃんの方がマスコットになるの」

 

『それは……ふんっ! はぁ、はぁ、リニス……お茶の件はあとで話すとしましょうか……』

 

 一応、決着がついたらしい。

 

『腰が、いたた……そうね、確かにリリィがバーサーカー的なキャラだったとしたら、半裸でムキムキで拘束されていても違和感ないし、あと、通報しなくていいわね』

 

 うん、そこはとても大事だ。

 とーまちゃんとリリィさん(男)は、いいコンビになれるだろう。

 

「そういえば『Force』にも、バーサーカーっぽいキャラがいたよね。フッケバインに」

 

『ドゥビルね。マッチョで、リアクトすると全身が鎧に覆われるキャラね』

 

「そうそう。でさ、よくもったいないから没キャラを再利用して、別のキャラとして登場させるって話聞いたことない? だから、そのフッケバインの筋肉が、意外と初期リリィさんだったりして……」

 

『そんなリリィ誰得よ……』

 

 すると突然、

 

 

 ――ピー、ピー、ピー!

 

 

 耳障りな警告音が、辺りに大音量で鳴り響いた。続けて、通路の照明が赤色に点滅する。

 

「なにごとっ!?」

 

 

『警告! 警告! 安置室に異常を感知しました――』

 

 

 無機質な音声が繰り返し警告を発する。

 

「とーまちゃんとリリィさんが接触したんだ!」

 

 

『感染災害の危険発生。これより熱焼却処理を行います。近隣ブロックの職員は至急避難をお願いします――』

 

 

「マズい!」

 

『プラズマアークね』

 

「とーまちゃんがムキムキな人と誓約しちゃう!?」

 

『あ、そっちね……』

 

 これはいつもより急がねば!

 わたしは高速移動魔法を使う。

 

「ソニックムーブ(エリオver.)!」

 

 フェイトママのソニックムーブは飛行魔法の強化系だけど、陸戦魔導師であるエリオのソニックムーブは、ダッシュ・ジャンプの加速に性能をチューニングしてある。

 だから――こけしのようにサラちゃんの胴体をつかむと、わたしは床を蹴った。

 

『あうっ』

 

 一瞬で通路の端まで移動すると、迷わず壁に体当たり。その瞬間、ボールが跳ね返るように壁面を蹴り上げる。こうすることで、急停止したり、スピードを落としたりすることなく通路を曲がることができる。

 空間の立体移動というやつだ。

 よくわからなかったら、モンスターストライクで壁に跳ね返るのをイメージしてもらえればいい。つまり、角度が大事。

 まあ、エリオは身長や手足が伸びちゃったから、狭い室内だとぶつかって使いづらいみたいだけど。そこはフェイトママと同じブリッツアクションで代用するだろう。

 ただ、まだまだちっちゃいわたしなら、昔のエリオみたいに運用できる……いいんだか、悪いんだか。

 なので、アインハルトさんもちっちゃいままでいてくださいねぇぇ!

 ソニック・ザ・ヘッジホッグ気分で廊下を爆走する。

 

 

『繰り返します。近隣ブロックの職員は至急避難をお願いします。これより隔壁閉鎖を開始します――』

 

 

 通路前方で、シャッターとは比べ物にならないほどの厚さがある、金属製の壁が下り始めた。

 

「何だか映画みたいになってきたね!」

 

『私ももう年ね……遊園地に行っても絶叫マシンには乗れないわ……』

 

「ええ~、お婆ちゃんこんなとこで年を実感しないでよぉぉ!」

 

 ソニックムーブの速度を維持したまま、数メートルおきに閉まっていく隔壁の下を走り抜ける。

 

「閉まり切る前に通過してしまえば、どうということはない!」

 

『シャアじゃないのよ~』

 

 お婆ちゃんのツッコミも弱々しい。

 

「見えた!」

 

『パンツ?』

 

「違うよ!? 前、前!」

 

『志村後ろ~』

 

 ツッコミも雑だ!

 

「漫画で見た安置室! リリィさんが捕まってるところ! たぶん、とーまちゃんが中にいるから!」

 

 背中を床につけ、スライディングしながら隔壁を潜り抜ける。

 しかし、安置室の扉は、すでに赤くバッテンの描かれた隔壁で塞がれていた。電子ロックすら見当たらない。ご丁寧に、頑丈な鉄格子のおまけつき。

 

「こうなったら――その幻想をぶち壊す!

 ティロ・フィナ――」

 

『やめなさい――』

 

 ブスッ。サラちゃんの手刀がわたしのほっぺに突き刺さる。

 

「わたしの虹色のソウルジェムが黒く濁る~」

 

『いくら珍しく巴マミネタをやったからってその魔法はおやめなさい。中の末っ子とムキムキリリィまで巻き添えになるでしょ!?』

 

 あ~。

 

「だったら、ザ・ハンドで!」

 

『それも魔法じゃないでしょ』

 

「冗談だって――」

 

 サラちゃんを離すと、わたしは両手の拳に虹色の魔力を集中する。流れるような魔力付与打撃。

 ちょっと低い声で、

 

「ガイスト・クヴァール」

 

 隔壁だけをイレイザーで削り取る――というか消し飛ばす。

 チャンピオンことジークさんの必殺技。エレミアの奥義。しかし魔法である以上、わたしの〝高速魔法蒐集〟から逃れることはできない。

 

「ジークさんいただきました」

 

 ということで、わたしは轟音を響かせて安置室に飛びこんだ。

 

 

「とーまちゃん、無事っ!?」

 

 

 叫んだわたしは思わず目を丸くする。そこで目にしたものはといえば、ポージングをしたムキムキリリィさん――ではなく、うずくまるとーまちゃんと彼女に寄り添う、

 

 

「なんかケモミミキャラきたぁぁ!?」

 

 

『フェレットのフレンズかしら?』

 

「いやいやいや、流石にそれは~」

 

 たぶんあの子が、この世界のリリィさんなんだろうけど……。

 あの獣耳が本物なら、獣人か動物を素体とした使い魔の類。

 年齢は10歳くらいか。ただ、アルフや盾の勇者のラフタリアを思い出してもらうとわかりやすいのだけど、獣人は見た目と実年齢がかけ離れていることが多いので判然としない。

 おそらく、とーまちゃんに合わせて年齢が下がっているのだろうけど、性別が女の子のままの理由までは思いつかない。でも、ちょっと安心。

 あとでお婆ちゃんに尋ねよう。

 身長は低く、体型も細い。大人モードになると、原作のリリィさんみたいになる――といったらわかりやすいだろうか。そんな感じだ。

 髪型は原作とあまり変わらない。港町でアイシスさんにヘアカットされる前の、無造作に長く伸びた状態。ただ、色はもう少し白くて銀髪っぽいかも。

 瞳の色もグリーンではなく、暴走トーマのように赤っぽい。

 それにしても、頭の中央にあるぶっといアホ毛は仕様なのだろうか。原作のリリィさんにもあった。特にヘアカット前は顕著だったけど……。どこかで見覚えがあるような、ないような……。

 服装は原作通り、シュトロゼックシリーズのデフォルト衣装。スカートを履き忘れたようなワンピース。元の世界に帰ったらアインハルトさんに着てもらおう。太股がまぶしぃー。リリィさんは基本真っ裸だけど、実験室にあったということは、検査着の一種なのかもしれない。

 あと気になった点といえば、リリィさんの眉毛。ザフィーラや亡くなったゼストさん、ついでにラスボスのハーディスさんみたいに太くてゲジゲジの眉をしている。単に手入れをしていないからかもだけど、ふさふさだ。

 珍しい。

 何気に女性キャラでは初めてな気がするんだけど……あ~、そっか。

 やっとわかった!

 このフサ眉、誰かに似ていると思ったら、

 

「元首相の――」

 

『やめなさい』

 

 ざくっと、サラちゃんの手刀がわたしの喉に突き刺さる。

 ケホケホ……。

 

「ひ……『干物妹!うまるちゃん』の金剛ヒカリちゃんみたいなんだぁぁ!」

 

 ケモミミついてるけど。

 突然の闖入者であるわたしに驚いたのか、目をまん丸にして固まった表情も、どこかヒカリちゃんっぽい……と言って、どれだけの人がわかるんだろう!?

 わかんなかったら『うまる ひかり』とかで画像検索してみてぇぇ!

 

 

『感染災害の危険発生。これより熱焼却処理を行います。近隣ブロックの職員は至急避難をお願いします。電弧炉起動。熱焼却プログラム――プラズマアーク。カウントダウンを開始します』

 

 

『ヴィヴィオ、アーク炉が起動したわ。急ぎなさい』

 

「おっと、そうでした」

 

 わたしは急いで、とーまちゃんとリリィさん(?)に近づいた。

 

「ヴィヴィ姉ちゃん……」

 

 しゃがみこんでいるとーまちゃんがわたしを見上げた。彼女の左目からは赤い血が流れ出しており――相当痛むのだろう――押さえつけながら顔を歪めている。

 誓約前、全身から血を吹き出すエクリプスウィルス感染の初期症状。因子適合者になるための最初の関門なんだけど……。

 

 

『カウント……10……9……』

 

 

 しまった……。

 わたしがいるせいだ……。

 頼るべき相手。彼女の姉ポジションであるわたしがいなければ、とーまちゃんはどんなに痛くても、辛くても、強がって、目の前の少女を救おうとするだろう。

 リリィさんも同様だ。

 見ず知らずの、さっき出会ったばかりの自分を「助けるから」と言ってくれたとーまちゃんを、「必ず救おう」と決意して誓約する大事なシーンだったのだ。

 それが、わたしの出現で崩れてしまった。台無しになってしまった。

 とーまちゃんの今にも泣き出しそうな表情が、その証だ。

 

「ごめんね、とーまちゃん。対戦台でもないのに乱入しちゃった形みたいになって……」

 

 念話に切り替える。

 

(お婆ちゃん、このまま2人に誓約してもらっても大丈夫かな?)

 

(そうね。誓約自体は可能でしょうけど、どこまで力が引き出せるかは不明ね)

 

(なんで?)

 

(4巻でシュトロゼック5thとリアクトしたキャラがいたでしょ。だけど、リアクターがないヴェイロンにすら勝てなかった。適合相性はもちろんだけど、精神的なつながりが大事なのよ、融合には。まあ、エヴァのシンクロ率みたいなものね)

 

 納得。

 

 

『6……5……4……』

 

 

 安置室の天井に無数の球電が発生し、バリバリバリと耳をつんざく音が響いた。

 

『アーク放電ね。あの球に触れてはダメよ。高温で一発アウトだから。それと強烈な光を発するから、バイザーをつけているヴィヴィオ以外の2人は目を瞑っていなさい。目が焼かれるわよ』

 

 まさか、こんなところでアインハルトさんのバイザーが役立とうとは~。

 2人が慌てて目を閉じる。

 わたしはとーまちゃんとリリィさんの間にしゃがみこむと、2人の肩に手を回して体を抱き寄せた。

 

「とーまちゃん、リリィさん、いい? ここはわたしが防ぐから、わたしからくっついて離れないで!」

 

 さらにギュッと密着する。

 

 

『……1……0』

 

 

 ――ドオォォンン!

 

 

 爆発音と共に、安置室が灼熱のプラズマに包まれた。

 激しい閃光。

 真っ赤な炎が渦を巻き、極度の熱が周囲の水分を蒸発させる。マグマの真っ只中にでもいるように金属が溶け出した。机や棚も原形を留めていない。リリィさんを拘束していた設備すらドロドロと火色に変化した。

 

 

『プラズマアーク正常作動!』

 

 

 頭上から機械音声が聞こえる。

 なーにが正常作動なんだか……。

 今ごろ遺跡の外では、白衣の研究者たちがこちらの様子をモニタリングしながら『やったか!?』と、喜び勇んで叫んでいるシーンだろう。

『いかなる防御をしようと、人間が生存することなど――』

 とか口にしているのだ。

 ところがどっこい。

 こちとら元祖生体兵器。聖王家の遺伝子をなめてもらっちゃ困る。

 

「わたしの無敵バリア(聖王の鎧)なら、死黒核爆烈地獄(ブラゴザハース)にだって耐えてみせる!」

 

「ブラゴザハー……?」

 

『状況は似ているけど、そのネタ、アニメ化しないと誰にもわからないと思うわよ?』

 

 聖王の鎧で複合発生させているバリアとフィールドの範囲を広げることで、わたし、とーまちゃん、リリィさんがいる空間だけを完全ガード。

 それ以外は、原作通りドロドロに溶けている地獄絵図。

 目を開けたとーまちゃんが、キョロキョロしながらハイテンションで叫んだ。

 

「ぐれいとだぞ、ヴィヴィ姉ちゃん!」

 

「ふっふっふ、もっと褒めてくれてもいいんだよ!」

 

 そんなわたしの隣には、相も変わらず呆然としているケモミミリリィさんの姿。次から次へと起きるイベント――変化に、頭が追いつかないのだろう。

 

「リリィさん……って、あれ、名前リリィ・シュトロゼックでいいのかな?」

 

 こくこく頷いている。

 どうやらとーまちゃんと違い、名前に変化はないらしい。

 

「もう大丈夫! なぜって? 私が来たぁぁ!」

 

『この世界にジャンプはないと何度言ったら……』

 

「人生で言ってみたい台詞の1つでしょぉぉ!? 緑谷少年!」

 

『誰が緑谷少年よ』

 

 リリィさんはわたしとお婆ちゃんのやり取りの意味がわからないのか、目をパチクリさせている。

 だよね~。

 まあ、引かれなかっただけでよしとしよう……。

 

「リリィさん、とーまちゃんと一緒に助けに来たよ! だからもう大丈夫。みんなで外に出よう!」

 

 すると、満面の笑みを浮かべたリリィさんが抱きついてくる。まさかのリリィダイブ。

 

《うん!》

 

 初めて精神感応で声が聞こえた。

 何だかわたしより年下のような反応。

 原作ではシュトロゼック5thの細胞年齢が14歳7か月だったから、4thのリリィさんはもっと年上のはずなのだけど、クローンだと話が変わってくるし、なによりトーマの年齢も低くなってるし、獣人化してるし、見た目で判断はできない。

 それでも……そうだよね。

 ずっとこんな研究施設に閉じこめられてたんだもんね。

 わたしだって、たまたま成功例だったから現在があるのだけど、もし聖王の遺伝子が正しく発現していなかったらと思うと、他人事ではない。

 

「リリィさん……」

 

 優しく頭をなでる。

 ついでに獣耳もいじる。

 最近はザフィーラやアルフの獣耳を触っていなかったので久しぶりの感触。眉毛と一緒でフサフサしている。〝ふさもふ〟だ。

 

「ずるいぞヴィヴィ姉!」

 

 背後からとーまちゃんがしがみつく。

 あー。

『Force』としては『とーまちゃん&リリィさん』コンビだもんな~。

 

「とーまちゃんも、リリィさんのケモミミ触りたいんだ?」

 

「違うぞ!」

 

 体だけでなく頭を、わたしの頬の辺りにこすりつけてくる。

 

「うぐ……」

 

 なんだこれミステ……。

 

『この子、自分もなでて欲しいのよ』

 

「そうなの!?」

 

「ヴィヴィ姉~」

 

《ヴィヴィお姉さん》

 

 なにこれ~。

 幼女2人に挟まれた。

 これがみゃーさん気分ということか~。

 わたしにとーまちゃんとリリィさんが舞い降りた。

 ココアさんなら「お姉ちゃんにまかせなさーい!」とか言い出すだろう。

 今ならノーヴェが小さい子ばっかジムに誘う気持ちがわかるかも~。

 ……と、いつまでもモフモフしている場合ではない。

 5-01型デバイスの力で身体強化されているわたしは、2人を抱えたままスッと立ち上がった。

 

「まずはここから出ないとね、原作通り」

 

「原作?」

 

《原作?》

 

「あー、うん、あまり突っこまないでくれるとうれしいかな」

 

 原作のトーマは誓約後、無意識のままディバイドゼロという砲撃で、なのはママみたいに天井に穴を開けていた。

 とーまちゃんは誓約しなかったけど、せめて状況くらいは似せておこう。

 

「天井を一気にぶち抜いて外に出るよ! 施設の人が通報しておまわりさんが来たら面倒だし」

 

「敵が守りを固めるかもだしな!」

 

 リリィさんもこくこく頷いている。

 うむ。ここは一発お姉さんらしい華麗な魔法を使わねば~。

 まずはひっついている2人を下ろす。

 

「特盛は無理だけど――」

 

 ツインテにしているリボンの片方をほどいて翻すと、それは虹色の魔力光となってわたしの手の中に集まった。

 バリアジャケットの応用で、大砲クラスのマスケット銃へと姿を変える。

 

 

「ティロ・フィナ――――げほ、げほっ!」

 

 

 急に咳きこんでしまい、口元に手を当てると、

 

「な……なんじゃこりゃぁぁ!?」

 

 手のひらが赤く染まっていた。

 

『あなた、またそんなネタを……って、どうしたのヴィヴィオ!? 目から血が!』

 

「は……?」

 

 まさかこの症状って……。

 

『ちょっ、ヴィヴィオ! マミるには早いわよぉぉ!?』

 

 視界が赤に染まる。続けて足の力が抜けていき……もう立っていられない! わたしの意識はフラリ倒れると同時に闇の中へ落ちていく。

 這い上がることはできなかった。

 

 

 

【次回予告】

 

……え? どーしよう。

やばいよ、やばいよ。

やっぱりティロ・フィナーレはダメだったかあ……。

ここはアルティマシュートにしておくべきだったか~。

……って、どっちみちダメじゃん!

こうなったら、アミタさんでもほむほむでもいいから、時間を巻き戻してぇぇ!

 

次回【この世界が『Force』だとわたしだけが知っている】第16話。

 

【あれがデネブアルタイルサイコクラッシャー】

 

で、リリカルマジカルがんばります!

 

 

 




ヴィヴィオがどうなるかは、次回を読んでくださいとしか~。

①肉片になる。
②14へ行け。
③その他。

さて、リリィさんが原作『Force』と違い、幼くなり、獣耳+銀髪、赤眼に変化しました。
ムキムキ男性キャラじゃなくて一安心。
この理由も次回プレシアが説明してくれますが、銀髪・赤眼に関してはシンプルな理由でして、『Force』を読んだことがある人なら、一度は考えたことがあると思うのですが、どうでしょう?
シュトロゼックシリーズは、あの人を参考に作られたそうですし……。
これくらいわかりやすい共通点があってもいいと思うのですが……。



諸事情のため、今回で休載します。

読んでくれていた方、これまでありがとうございました。

アインハルトさんの出番がないまま休載するのもアレなので、そのうちやる予定だった〝どうしようもない外伝話〟もアップしときます。
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