アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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「わたしたちのミウラさんがこんなにちっちゃいわけがない!」

というわけで、

「ミウラさんは変身しても小さいけど、本当に大人モードを使っているの?」

という(意外と多かった)疑問を、裁判形式(?)で検証してみたいと思います。

●必要(?)な装備
・『魔法少女リリカルなのはViVid』原作7巻

「そんな装備で大丈夫か?」

といった感じで、なくても平気ですが、あると攻略(?)が楽になります。
持っている方は、ぜひ、傍らに置いてからこの話を読んでみてください。



逆転ミウラ裁判!

 ――カン、カン、カン。

 

 

 黒い法服に身を包んだフェイトママが、バルディッシュ(木槌フォーム)で、テーブルを叩いた。

 

「静粛に。それでは、弁護側――高町ヴィヴィオ。検察側――高町なのは、準備はよろしいですね?」

「もちろん!」

「ヴィヴィオ、今日は手加減しないからね」

「わたしだって負けないよ!」

 

 リビングテーブルの左右に分かれて座ったわたしとなのはママ。

 激しく睨み合う。

 

「それでは、被告人――ミウラ・リナルディ入廷してください」

 

 

「――って、どうしていきなりうち(八神家)で裁判ごっこやってるんだよ!?」

 

 

 カン、カン、カン。

 

「はい、ヴィータ。お静かに」

「お静かに――じゃねぇよ! 静粛にだろっ!?」

 

 そこは突っこむんだぁ~。

 

「いや~、フェイトちゃん、そのおヒゲ結構似合っとるな」

「そうかな、サイバンチョを真似てみたんだけど……」

「いやいや、はやてまで何を冷静に。――ほら、シグナムとシャマルも何か言えよ!」

「……主がいいなら、わざわざ目くじらを立てることもあるまい」

「それに、面白そうじゃない」

 

 ヴィータさんが「ちっ」と舌打ちした。

 

「おい、ザフィーラ――って、子犬フォームかよ」

「子犬ではない。小狼だ」

「区別つかねーよ!」

「ヴィータちゃん、そんなに突っこんで大丈夫? ちょっと回数多いよ?」

「おめーら家族のせいだろぉぉ!? いつもはこんなにしねーよ!」

 

 なのはママが「にゃはは」と笑っている。

 これは絶対にからかって楽しんでるな~。

 すると、ようやく夜天の主が動いた。

 

「まあまあヴィータ、その辺で。もっと発言したい子もおるようやし」

「もっと発言したい子……?」

 

 長いリビングテーブルの端と端。

 フェイトママの正面。

 座っているのは、ピンクのショートカットが似合うボクっ娘――。

 

 

「ど……どうしてボクが被告人なんですかぁぁ――っ!?」

 

 

「「「あ~」」」

 

 

 ミウラさん……。

 そういえば、まったく事情を説明しないまま八神家に連れてこられたんだっけ。

 けれど、そこはフェイトママ。華麗にスルースキルを発動する。

 

「それでは弁護側、これまでの経緯と、弁護をお願いします」

「はい!」

「おい、それ、弁護と検察がごちゃ混ぜになってないか?」

 

 わたしもフェイトママから受け継いだスキルで華麗にスルー。

 

「まずはこちらをご覧ください――こちらが現在のミウラさんです。

 それからクリス――」

 

 モニターに映像が映る。

 

「こちらが、試合中のミウラさんです。どうです? 何か気づきませんか? そうです。ミウラさんの身長は、ほとんど変化がありません。

 つまり、ミウラさんは『大人モード』を使っていない。

 わたしは、ずっとそう思っていました。

 

 

 ところがです!

 

 

『大人モード禁止大会』のとき調べたら、どうも使っているっぽいんです!

 

 

『いやいや、使ってないよね!?』

 

 

 と、思ったけど『ViVid Strike!』の2話。

 みんなで大人モードに変身するシーンがあるので、確かに使っている。

 

 

『やっぱり使っているのかな?』

 

 

 だけど、納得できない。

 わたしは考えました。

 

 

『あのときは、あくまでフーカさんに見せるためであって、試合では使っていないのではないか……?』

 と。

 

 

 以前、こんな話を耳にしたことあります。

 ティアナさんは飛行魔法を使える。

 けれど、空戦できるレベルではない。

 だから、実戦では空を飛ばない――と。

 

 

 つまり、ミウラさんも、

『大人モードは一応使えるけど、試合で使えるレベルではない』

 と考えたわけです。

 

 

 魔法には、素質や適正もありますから。

 

 同じ魔法使いでも、ブライはヒャド系呪文の使い手で、マーニャは炎熱系呪文の使い手のように……」

「おーい、ドラクエ混じってんぞ~」

「フェイトママサイバンチョ(長いな)、『魔法少女リリカルなのはViVid』原作7巻を証拠として提出します」

「それ、証拠になるのか……?」

 

 ヴィータさんの疑問をよそに、フェイトママは1ページ目をめくって――ハッと両目を見開いた。

 

「どうしたん、フェイトちゃ――」

 

 続けてはやてさんが動きを止めた。

 すかさず振り返る。

 

「ミウラ、希望はあるでぇぇ!」

 

「ちょ、何なんですか一体ぃぃ!?」

 

 わたしはクリスに頼んで、7巻の表紙をめくってすぐのカラーページを、みんなが見えるように表示した。

 手もとに7巻がある方は、ぜひ一緒にご覧ください。

 全員が目をそらす。

 

「これが、驚異(胸囲)の格差ってやつか……」

「ごめん、ミウラちゃん。私、告訴を取り下げてもいいかも」

「ちょ、なのはさん、こんなことでやめないでくださぁぁい!」

 

 わたしは陳述を続ける。

 

「とはいえです。

『変身前』と『変身後』を比べると、若干ですが背や手足が伸びている気もします。

 ですが、これは〝誤差の範囲内〟だと思いませんか?

 わたしもよく、『ViVid Strike!』を見ながらアインハルトさんとわたしの身長の差を必死になって見比べていたんですが……」

「いたのかよ……」

「シーンや、話数によって若干異なっていました。だけど、これだって〝誤差の範囲内〟ですよね?

 それどころか、むしろ身長差がほとんどないシーンだと『よくやった!』と、褒め称えていたぐらいです」

「褒め称えるなよ……」

「そもそもです。ミウラさんがほとんど成長しないなら、変身分の魔力を一撃必殺の『抜剣』に込めた方がいい。

 特に、ヴィータさん――」

「お、おう」

「一撃必殺の重要性は、ミウラさんの師匠であるあなたが、一番良くわかっているはず。そんなあなたが、愛弟子に教えないわけがない!」

 

 わたしは改めて、フェイトママとミウラさんを見やった。

 

「以上のことから、ミウラさんは『大人モード』を使っておらず、よって、これから先、成長した暁には、はやてさんのようなショートカットが似合う、素敵な大人の女性に変身する――。

 だからこそ、わたしたちのミウラさんがこんなにちっちゃいわけがない――と、強く弁護する次第であります」

 

 そう――。

 ミウラさんの未来を守る。

 これがわたしの裁判の目的なのだ!

 

「なるほどな~」

「ふん、一応、筋は通ってるじゃねーか」

 

 などと、八神家からは高評価。

 さらに、ガタッ――とミウラさんが椅子から立ち上がる。

 

「ゔぃ、ヴィヴィオさぁ~ん……」

「わたし、弁護側ですから。ミウラさんはきっと大きく成長しますよ! ――アインハルトさんはちっちゃい方がうれしいんですが」

 

 すると、目の前のなのはママが「ふう」と息を吐いた。

 

「ヴィヴィオ、頑張ったね? でも、ママだって負けてないよ」

「それでは検察側――高町なのは、反証お願いします。なのは、ガンバレ!」

「ちょ、フェイトママサイバンチョ!?」

「あ、ごめん、ごめん。つい……」

 

 気持ちはわかるけどね!

 

「はい。みなさんお聞きのように、うちのヴィヴィオが頑張りました~。ライバル、ミウラちゃんとの熱い友情。偉い! もう私の負けでいいんじゃないかな――」

「おい」

「とも思いましたが、世の中そんなに甘くない――ということを教えてあげるのも親の務め。そこで、泣く泣くこの言葉を贈らせてもらいます」

 

 

 なのはママはビシッと指を突き出して、

 

 

「異議あり!」

 

 

「それ、やりたかっただけなんじゃ……」

「ノンノン。こちらには決定的な証拠があるんだから。

 フェイトちゃんサイバンチョ、検察側は証拠としてアニメのオフィシャルサイトを提出します」

「オフィシャルサイト?」

「そう。『ViVid』ではなく〝TVアニメ『ViVid Strike!』のオフィシャルサイト〟だよ。

 ヴィヴィオ、ちゃんと見てなかったんじゃないかな?

 灯台もと暗し。

 サイトの『キャラクター』から『ナカジマジム』のミウラちゃんを選択。

 さらに『バリアジャケット』の項目を見ると……。

 

 

【ミウラの試合での姿。18才ごろの姿を先取りで再現。小柄ながらタフで強靱な体と集束打撃「抜剣(バッケン)」でインファイトを得意とする強打者】

 

 

 と、表示されます」

 

 

「へ?」

 

 

「さらに、ヴィヴィオなら――。

【ヴィヴィオの試合での姿。18才ごろの姿を先取りで再現。長身と長いリーチに恵まれた体格を、ボディスーツとジャケットで覆ったスタイル】

 

 

 アインハルトちゃんなら――。

【アインハルトの試合での姿。18才ごろの姿を先取りで再現。古流の動作と一撃必倒の打撃技術「断空」を駆使して無敗のチャンピオンとして勝利を重ねている】

 

 

 フーカちゃん――。

【フーカの試合での姿。18才ごろの姿を先取りで再現。服装は師匠のアインハルトのものをフーカ流に再現している】

 

 

 リンネちゃん――。

【リンネの試合での姿。18~19才ごろの姿を先取りで再現。常軌を逸した筋力で、ガードの上からでも相手を薙ぎ倒す。競技格闘技のセオリーすら破壊するパワーの持ち主】

 

 

 以上のことから、まず、ミウラちゃんは確実に試合で大人モードを使っている。

 なおかつ、リンネちゃんを除いたナカジマジムの選手たちの大人モードは、みな18才ごろの姿を先取りで再現している――ということがわかるのです!」

 

 えええええ!

 百歩譲って大人モードは使っているとしても、あれで18歳だったのぉぉ――っ!?

 

「あう……」

 

 ミウラさんが白目向いて卒倒しそうになってるよ!

 な、何か反論しないと――。

 

「そ、そうだ! ミウラさんがナカジマジムに入ったのは『戦技披露会』のあとだから、それまでは大人モードを使っていなかったのかも!」

「だとしても、今使っていない――ということにはならないでしょ? オフィシャルサイトに書いてある以上、現在のミウラちゃんは間違いなく大人モード。それも18才の姿で戦っているの。

 ヴィヴィオが一生懸命に調べたのは知ってるし、否定したい気持ちもわかる。

 だけど、これがミウラちゃんの運命。

 デスティニーガンダム。

 ミウラちゃんの18才は……今とほとんど変わらないんだよぉぉ――っ!」

 

 

 ぐほっ!

 

 

 聖帝十字陵で北斗神拳奥義『天破活殺』を食らったサウザーのように、わたしは鎧と翼をもがれた。

 

「お……お師さん(ママ)……」

「ヴィヴィオ、膝枕でもする?」

「うちでサウザーごっこするなよ……」

 

 わたしはよろよろミウラさんを見やった。

 

「ゴメンねミウラさん……わたし負けちゃったよ……」

「いいえ、いいんです。ヴィヴィオさんはボクのために必死に戦ってくれたんですから……」

「ええ話やな~」

「そうか?」

 

 すると「フッフッフ」となのはママが笑いだした。

 ゴゴゴと天地魔闘の構えを取る。

 

「これで終わりだと思った? ミウラちゃん、ヴィヴィオ」

 

「ま、まだ何かあるんですかぁぁ!?」

 

「なのはママもうやめて! ミウラさんのライフは胸と一緒で永遠にゼロだよぅぅ!」

 

「ええええええええ!?」

 

 

 長くなっちゃったんで次回に続く!

 

 

 




次回は節分ネタだったのに……。
その次はバレンタイン……。

あれ?

いつ続きをやればいいんだろう……??

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