「鬼はぁぁ~、外ぉぉ――っ!」
――ズドォォォンッ!
「福はぁぁ~、内ぃぃぃ――――っっ!!」
――チュドォォォンッ!
夜。
ミッドチルダ上空、約1万メートル。
バリアジャケットをまとうなのはママが砲撃(エクセリオンバスター)する度、桜色の光が花火のように闇を照らす。
ちなみに、フェイトママもバリアジャケット姿。わたしはといえば、フェイトママが抱えて飛びやすいよう、いつものサイズ。
ただし、クリスのお陰で高高度でも寒くない。
「鬼はぁぁ~~、外ぉぉ――っ!」
――ゴゴゴゴゴ!
「福はぁぁぁぁ~、内ぃぃぃ――――っっ!!」
――ズゴゴゴゴゴ……。
うわぁ……。
何だろう……この世の終わりのようだ……。
具体的に言うと……FF6のラスボス戦みたいな光景?
「えっと……ねぇフェイトママ。うちの豆まきって変わってるよね?」
わたしが知ってるのとだいぶ違う。
「そうね、ちょっと違うかも」
ちょっと!?
「一応、カートリッジに福豆を入れてるから――」
豆っ!?
「日本の豆まきとあまり変わらないはずなんだけど……」
「そっか、なのはママが撃つ度、豆が夜空に拡散してるんだね」
って、いやいやいや。
最早、どこから突っこんでいいのかわからない……。
だいたい豆が入ってレイジングハートは平気なのだろうか?
いや、ひょっとしてクリスにも同じ機能が……?
クリスを見ると、うさぎの頭をブンブン左右に振っている。
「前にね、私が鬼の格好をして、なのはが全力全開で豆まきをしたことがあったのよ」
「あ~、うん、言わなくてももうわかったから」
基本、豆まきは夜に行う。だから、調子にのってヒャッハーしすぎると、朝になって家の周りが大惨事――というやつである。
しかも、なのはママとフェイトママのバトルとなったら、ちょっとした模擬戦になったのかもしれない。
『いっけぇぇ! アクセルシューター(豆)。――シュートッ!』
福豆が軌道を変えてフェイトママを襲う。
『くっ、ラウンドシールド!』
みたいな感じで……。
「鬼はぁぁ~、外ぉぉぅ――っっ!!」
――無とは一体……うごごご!
「でもさ、これって鬼を追い返してる――っていうより鬼退治なんじゃ……。たぶん、鬼も消滅してるよ?」
「大丈夫。非殺傷設定だから!」
「え、鬼にも効果あるの!?」
「福はぁぁ~、内ぃぃ――っ!」
――ウボァー
「いやいやいや。いくら非殺傷設定でも、これ、福の神も撃ち落としてるよね!?」
だいたい『福は内』って、家の内側にまくんじゃなかったっけ……。
「まあ、なのはだから。基本一戦交えてからじゃないと……」
「福の神もそういう扱い!? 厳しいよ!」
「うっ、う~ん……」
「これじゃ入ってこないどころか、逃げ出しちゃうんじゃ……」
そうやって、フェイトママと一緒に苦笑していると、なのはママが「そんなことないよー」と声をかけてきた。
「大丈夫、大丈夫。だって、ちゃんと入ってきたじゃない。フェイトちゃんもヴィヴィオも――」
とどめとばかりに、スターライトブレイカーの光が夜空をかける。
「「あ~」」
わたしとフェイトママは顔を見合わせると、やっぱり苦笑するしかないのだった。
珍しくイイ話。
『バレンタインデー』に押されて、節分が地味なので、援護射撃!
まあ、謎の『恵方巻きデー』みたいな感じにパワーアップしているような気がしないでもないですが……。