アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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『ViVid Strike!』の4話が重い話だったので、少し明るいのを書いてみようかな、と。

今回も主人公はヴィヴィオです。
内容はタイトル通りなんで、取り立てて書くこともないのですが、とりあえず、はやてさんに幸あれ! あとヴィータにも。あ、こそっとヴィータも出ます。

ところで、本文を書き終わってから、思ったんですが、これだけ多くの人が、10年以上も『なのはのSS』を書いているんだから、ネタが被ってる作品あるだろうな~、と。もしあったらすみません。



はやてさんと変身魔法と子供モード

 ことの発端は、こんなだったそうです。

 

 

 今朝、なのはママとフェイトママが本部のドアを開けると、執務机に座ったショートカットの女性が、口もとを隠すように顔の前で手を組んでいた。

 

 

「久しぶりやな」

 

 

「はやてちゃん、碇指令ごっこはやめよーよ。いくらBSで再放送してるからって……」

「一度やってみたかったんや~」

 

 フェイトママが苦笑しながら尋ねた。

 

「それで、わざわざ私となのはを呼び出したということは、何か事件でもあったの?」

「んん、それなんやけど、ほら、先日なのはちゃんとヴィヴィオが、アインハルトの件で変身魔法の話をしてたやろ?」

「うん、してたね」

「変身魔法といえば、昔、ユーノ君はフェレットになってたし……」

「あ~、懐かしいね~。淫獣疑惑とか」

「ヴィヴィオは大人モードになれる。っちゅーことは、子供モードってのもできるんやないかなーと思ってな」

「あ~、なるほど~」

「なんで、3人でやってみませんかー、というお誘いなんやけど」

 

 フェイトママは「いやいやいや」と抵抗したものの、なのはママの「面白そうだね!」という一言に押し切られてしまった。

 フェイトママは、いつも毅然としてカッコイイけど、なのはママの押しにはめっぽう弱いのだ。

 

「ところではやてちゃん。どうして私とヴィヴィオの会話の内容を知ってるのかな? もしかしてうちに盗聴器とかしかけてないよねぇ?? シャーリーじゃあるまいし……」

「さ、さ~て、たまにはヴィータとパトロールにでも……」

「どうして横向くのかな、はやてちゃ~ん???」

 

 

 そんな2人のやり取りを、フェイトママは生温かい目で見守っていたそうです。

 

     ●

 

 そんなわけで、夕方、いつものようにわたしがトレーニングから帰ると、キッチンで小さなツインテールがピョコピョコ動いていた。

 

 

「――って、なのはママぁぁっ!?」

 

 

「あはは、ヴィヴィオ驚いた?」

 

 なのはママは「なのはママさんだよ~」と、鍋つかみをはめた両手を上げて、クルクル回っている。

 

「ど、どうしたの、アポトキシン4869でも飲まされたの!?」

「そんなの飲まされたら、仕返しに車ごと焼き払っちゃうけどね」

 

 そうだった。なのはママは9歳になっても戦闘力が落ちないんだった。

 逃げてー、黒い人!

 

「と、まあ冗談はさておき――」

 

 

 こうして、なのはママは冒頭の出来事を語ってくれた。

 

 

「それで子供の姿なんだぁ……」

「そうそう」

「わたしだったら、断然、大人モードの方がいいけどな~」

 

 なのはママやフェイトママのように、スタイル抜群になってモテモテになるのだ。

 

「ヴィヴィオも大人になればわかるよ……」

 

 なのはママの目からリアルな涙がこぼれ落ちた。

 すると、

 

 

『なのは、ヴィヴィオ、ただいまぁ~』

 

 

「あっ、フェイトちゃんおかえりなさーい」

 

 9歳の体でパタパタ駆けていくママの背中は、ちょっと愛らしい。

 ところが、

 

 

「ちょ……フェイトちゃん、その荷物どうしたの!?」

 

 

 玄関から、なのはママの悲鳴が聞こえてきた。

 どうしたのだろう、と思っていたら、リビングに入ってきたフェイトママが、両手で抱えきれないほどの紙袋や箱などを運んできた。しかも、子供モードの姿で。よほど疲れたのか、なのはママとおそろいのリボンがしおれている。

 

「フェイトちゃん大丈夫?」

「うん。ちょっと荷物が多かっただけだから……」

 

 こ、これは……。

 

「あ~、フェイトママ、子供モードを解除すればよかったんじゃ……」

 

 

「「あ」」

 

 

 フェイトママがカーペットの上で、両手両膝をつけたorzのポーズをとった。

 

「そ、それで、フェイトちゃん、この大量の荷物は何なのかな~?」

 

 慌ててフォローに入ったなのはママが、わたしのお尻をポコンと叩く。

 

「そ、そうだよね! フェイトママ、こっちの紙袋は~、あ、お手紙でいっぱいだよ。何が書いてあるのか知りたいな~」

「……」

 

 ようやく幽鬼のようにフラリと立ち上がったフェイトママは、人生に疲れた顔をしてつぶやいた。

 

「子供モードになったら、いきなりたくさんの手紙やプレゼントをもらっちゃって……」

「え、これ全部、フェイトママが、今日一日でもらったラブレターとプレゼントの山なの!?」

 

 フェイトママが力なく頷いた。

 ついでにメールも大量らしく、バルディッシュもお疲れモード。

 

「そういえば、小、中学のころも、こんなだったよーな気がするけど……」

 

 まさか、子供モードになった途端、大人社会でも同じ現象が起きるとは……。

 わたしは、なのはママと目を合わせた。

 

「うん、時空管理局は、一度潰れた方がいいんじゃないかな?」

 

 などと話していると、映像通信が入った。

 

 

『こにゃにゃちわ~、高町家の諸君』

 

 

「は、はやてさん!?」

 

 画面上で、ショートカットの少女が片手を上げた。

 

「ヴィヴィオも元気そうで何よりや。で、なのはちゃんとフェイトちゃん、今日一日子供モードで過ごしてどうやった?」

「私はいつもと変わらなかったけどね~、フェイトちゃんが――」

 

 と、なのはママはフェイトママの戦利品を指差した。

 

「うわ~、相変わらずやね。私もなのはちゃんと一緒で平常運転やった……って、どうしたんやヴィヴィオ、私の顔をジッと見て。ん~、私の子供時代の姿は珍しいか? それとも、やっぱ変なんか?」

「えと、そうじゃなくて……いつもとあまり変わってないな~って。髪型も一緒だし」

「ぐほっ!」

 

 画面からはやてさんの姿が消えた……と、思ったが、また下からせり上がってきた。

 

「プラス思考、プラス思考、そうや、今と昔の姿が変わらないっちゅーことは、私は普段から若く見えるってことやな!」

「あ、そうじゃなくて、昔から近所のおばちゃんっぽかったんだな~って」

 

 

「ぐぼォォォォ!」

 

 

 今度こそ、はやてさんの姿が画面の下に沈んでいく。

 

「おい大丈夫かはやて!」

 

 すると、画面上に赤い髪の少女が映り、はやてさんを抱きかかえた。

 

「あ、ヴィータさん!」

「って、何だヴィヴィオと通信してたのか……って今はそれどころじゃない」

 

 ヴィータさんが「はやてー、はやてー」と何度も叫んでいる姿を見て、わたしは思わず問いかけた。

 

「ヴィータさんも子供モードですか?」

 

 

「……(なのは)」

「……(フェイト)」

「……(はやて)」

 

 

「ちっげーよ、いつも通りだよっ!」

 

 

 ――プツン!

 

 

「あ、通信切れちゃった……」

「ヴィヴィオ……流石は高町家の血を受け継いだ娘だよね」

「うん。血は引いてないけどね、確かになのはの娘だとは思う」

「あれ? フェイトちゃんの娘でもあるんだよ?」

「あう」

 

 こうして、高町家の夜は今日も静かにふけていくのでした。

 

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