アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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リオのことです。
タイトルはアレですが、実はハートフルな物語になっていたり、なっていなかったり。
書き終わってから考えると、実は、結構、心温まるいいお話だったんじゃないかな、と思います……たぶん。

『ViVid Strike!』5話を見ました。見たのはいいんですが、流石にキャラが多すぎて、原作読んでないとキツイような……。ていうか、あそこまでいっぱい出すなら、なのはやフェイトやはやてだって、出せばいいのに……ていうか、ちょっとでいいから出して欲しいです。



あたしだけ胸が小さいのは納得いかない

 休み時間のこと、リオがわたしとコロナに向かって言い放った。

 

「大人モードで、あたしだけ胸が小さいのは納得いかないんだけど!」

「と、言われても……あれって、デバイスが所有者の遺伝子から、将来をシミュレートして変化させてる姿なんだよ?」

「え、マジで!?」

「冗談、冗談。変身魔法だもん、事前に調整しておくこともできるみたいだけど、基本はイメージなんじゃないかな。そこのところは、ゴーレム創成と一緒だと思うんだけど、どうでしょうか、コロナせんせー?」

「ん~、そうだね、魔力のコントロールも大事だけど、イメージが固まっていないと、ゴーレムも上手に作れないかな」

「なるほど、イメージかぁ……」

 

 リオが栗みたいな瞳で、わたしをジッと見つめてくる。

 

「うん、納得した」

「あ、あれ……? やけにあっさり納得したね」

「だって、ヴィヴィオんちって、なのはさんとフェイトさんがいるじゃん」

 

 コロナが「あー」と声を発した。

 

「二人ともスタイルいいしね」

「そう。あのおっぱいを間近に見て育ったヴィヴィオは、頭の中で自然と『大人モード=なのフェイ=おっぱい』ってイメージしてるんだよ!」

「な、なんだってー ……って、いやいや、勝手にママたちとおっぱいをイコールで結ばないで! ……って、あれ、なんか通信がきたんだけど?」

 

 

『諦めるんや』

 

 

「は、はやてさん!? 一体どこから……」

「ま、まあ、ヴィヴィオ。リオの言うことも一理あると思うよ?」

「う……」

 

 否定する要素がどこにも見当たらない。

 

「ってことは、あたしもしばらくヴィヴィオの家で寝泊まりすれば、おっぱいが大きな大人モードをマスターできるってことか!」

 

 

「「……う~ん」」

 

 

「え、なんで? そういうことじゃないの?」

「だって……ねぇ?」

「リオのおっぱいが大きい姿がイメージできないというか……」

「ひどいっ!? 親友だと思ってたのに!」

「いや、親友関係ないから……」

 

 コロナが少しだけ真剣な顔つきになった。

 

「たぶんだけど、リオはおっぱいが小さい方がいいと思う」

「ど、どうして?」

「だって、大人モードと同じくらいの年齢になったとき、実際はおっぱいが小さいままだったら、困るのはリオなんだよ!?」

「リアルなら大きく育つよ! こうボイーンと!」

 

 

「がんばれ!」

「がんばれっ!」

 

 

「がんばるよ、もうぉぉ!」

 

 リオが猿みたいに「ウキーッ」と唸った。

 

「でもリオ、現実問題として、いまさら大人モードで胸を大きくしたら、試合のとき感覚がズレて困らない?」

「あ……うー、どうなんだろ?」

「そうだよね。わたしはゴーレム主体だからいいけど、ヴィヴィオやリオは近接格闘がメインでしょ。体のわずかな変化が、技のキレに影響するんじゃない?」

「う、う~ん、でもおっぱいぐらい……」

「あ、そういえば『巴マミの平凡な日常』ってマンガの豆知識に『巨乳の人がいきなり走ると、その大きさと重さのせいで大ダメージを食らうよ!』って書いてあったよ」

「もげるのっ!?」

「ヴィヴィオ、いきなり別のマンガをぶっこんできたけど大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫、そんなことより、いきなり胸を大きくしても戦闘に影響がでないかどうか、アインハルトさんに相談するってのはどうかな?」

「そうだね、もうあたしたちだけじゃ答えでないし……」

 

 世の中には、3人寄っても、文殊の知恵が出ないこともあるのだ。

 

     ●

 

「はい? 大人モードで胸を大きくしたい……ですか」

 

 昼休みになり、一緒にお弁当を食べながら尋ねたのだけど、流石はアインハルトさん。おっぱいネタだというのに顔色一つ変えない。

 

「影響が出ない――ということはありませんが、私としては、むしろ小さいままがいいと思いますよ」

「きょ、巨乳の人はみんなそう言うんだぁぁ!」

「わあ~、リオ、逃げちゃだめ!」

 

 とっさに、リオの首にスリーパーホールドを決める。

 

「んがっ、ギブ、ギブ、ギブ!」

 

 しかし、アインハルトさんは冷静だ。

 

「リオさんの実家は、春光拳の道場をしていましたよね?」

「う……うん、けほけほ……」

「それなら、聞いたことがあると思いますが、胸が大きい――ということは、格闘技の世界においてあまりいいことではありません」

「それって、大きいと動きの邪魔になるから?」

「はい、それもありますが、一番の問題点は、胸が女性にとって急所であるということです。競技によっては、胸部への攻撃を禁止しているところもありますね」

 

 昔はベルカ以外のことに興味がなかったのに、最近のアインハルトさんは色んなことを学んでいる。

 わたしとしてはちょっと寂しい気もするけど、これはたぶん素敵なことなのだろう。

 

「マジかぁ~」

 

 リオが「あたしのおっぱいがー」と泣き叫んでいる。

 

「もしリオさんが、真に春光拳を極めたいと思っているなら、大きな胸は必要ありません。小さな胸でいいでしょう」

 

 すると、コロナが「はい、アインハルト先生!」と手を挙げた。

 

「格闘技としては確かに必要ありませんが、ショー的な要素の一つととらえた場合、やはり大きな胸は必要なんじゃないでしょうか?」

 

 ボインボイン。

 

「あ~、確かに、そういうのはあるかもしれませんね」

 

 揺れは大事なのだ。

 

「そういえば、色仕掛けってのもあるよね」

「うっ……」

「そうだよ! おっぱいガードとか、おっぱいミサイルとか」

 

 

「「「それはない」」」

 

 

「で、でも、コロナのゴーレムおっぱいミサイルついてるじゃん!」

「ゴライアスについてるのは、ロケットパンチだよ!」

「う……だったら、せめて胸んとこにブレストファイヤーぐらいつけてよ!」

「そ、それはまだ実装してないけど……」

 

 コロナ、つける予定はあるんだ~。

 マジンゴー。

 すると、

 

「リオさん――」

「あ、はい!」

 

 アインハルトさんが優しく微笑んだ。

 

「リオさんは、2年生まで実家のルーフェンで学んでいたとお聞きしました。だから、大人モードに変身したときは、無意識に春光拳の総師範でもある、おじいさまをイメージしているのではないでしょうか?」

 

 わたしの、なのはママへの想いと同じ。

 

「最も憧れている人に近づきたい――という想いですね!」

「はい。相手は男性である総師範ですから、自然と胸も小さくなる」

 

 リオがお弁当を食べる手を止めた。

 

「そっか……おっぱいが小さいことにも意味があったんだ……」

「よかったね、リオ……」

 

 なぜかコロナまで涙を流している。

 

「はい。レイ総師範を真似ていると考えれば、むしろ、格闘家としては正しい大人モードだと思います。同じ強さを求める者として、私も見習いたいですね」

 

 リオが立ち上がって、アインハルトさんの両手を握りしめた。

 

「ありがとう、アインハルトさん! あたしもう胸が小さいことなんて気にしないよ。よーし、これからもちっぱい大人モードでがんばるぞ――っ!」

「はい。その意気です!」

 

 

 そう言ってニコニコ見守ったアインハルトさんの大人モード(武装形態)は、今もおっぱいが大きいままです。

 

 

 

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