試合日程:第1試合&準決勝――5/3
決勝――5/6
試合形式:2on2――4人同時対戦
1か月前のことだ。
いつものナカジマジムの練習終わり、次の大会について説明するノーヴェに、わたしは聞き返した。
「DSAA主催の、タッグチームでのトーナメント試合?」
「ああ。正式名称は『DSAAドリームタッグトーナメント』。ゴールデンウィーク後半に開催される、ストライクアーツの人気イベントだな」
ミッドチルダにゴールデンウィークがあるかどうかはさておき、
「2on2の4人同時対戦形式に、総合ルールって……あ~、こういう変則試合、前もあったような……」
大人モード禁止大会のときだ。
リオが「ムムム」と唸る。
「タッグトーナメントって言うと、〝宇宙超人タッグトーナメント〟みたいだよね~」
「いやいや、そんなキン肉マンみたいなこと言われても、せめて鉄拳にしとこーよ」
ちなみに、家庭用ゲームのキン肉マンも鉄拳もリリカルなのはも、全て発売元はバンダイナムコゲームスだったりするので、新作お待ちしてまーす。
「4月中旬に行われる予選会を突破した8チームが、トーナメントマウンテンという場所で試合をする――ってルールだな」
うわ。
「トーナメントマウンテンって……」
ますますキン肉マン――夢の超人タッグ編である。天辺にトロフィーでも突き刺さっているのだろうか?
リオいわく、
「この大会、マッスルドッキングしたチームの優勝だね!」
「いやいや、そんな無理だってグレート」
「いやいや、確かにこのメンバーの中で唯一の黒髪だけど、そんなキン肉マングレートみたいに呼ばれても、あたしヴィヴィオとはタッグを組まないから」
え?
「まさか、悪魔超人にわたしとリオの友情パワーが奪われていたなんてぇぇ!?」
「うん、コロナと出場するだけだけどね」
隣のコロナも苦笑するしかない。
「初代グレートでもいいけど?」
「それ不幸なことがあって2回戦から別人だよねっ!?」
――と、まあ、キン肉マンネタも終わったところで、
「アインハルトさん、わたしとタッグを組みましょうね!」
ところが、
「……どうでしょう。ヴィヴィオさんなら実力的に、ミウラさんと組んだ方がよいのでは?」
なーっ!?
「あ、アインハルトさん……?」
声が冷たい。何か怒っていらっしゃるような……。
「私はフーカと師弟コンビで――」
「あー、すみませんハルさん。わしはリンネと出るんで」
「……」
空気が固まったよっ!?
すると、おさげの少女が手を挙げる。
「あの会長、パートナーはジムが違っていても構わないんですか?」
「おう、流石はコロナ、いい質問だな。フーカには――一緒のマンションに住んでるから――昨日話したんだが、出場選手枠は、インターミドルより広い10歳~23歳。U15やU19の枠にとらわれることのない……そうだな、一種のお祭り試合みたいなものだから、相手のジムや選手がオッケーなら問題ない」
「それはリンネさん喜びそうですよね~」
一緒に練習することはあっても、仲間として戦う――なんてことは、これまで一度もなかったからだ。
「ということは、わたしとアインハルトさんで1チーム――」
「はい。もう全てヴィヴィオさんにおまかせしまーす……」
なんかもう投げやりな声がした。
「あと、リオコロで1チーム」
「リオコロ言うなぁぁ!」
「あはは」
「残るミウラさんは……ミウラさんは……」
ナカジマジムには、もう上位ランカーと戦えるほどの選手はいない。
「ユミナさん出ちゃいます?」
いきなり話を振ってみる。
マネージャーでもあるアインハルトさんの同級生は目を丸くして驚いた。
「へ? ちょ、そんな無茶言わないでよぉぉ――っ!?」
「ほら、アタッカー兼タンクとヒーラーみたいな感じで」
「あ、なるほど~って、リングの上じゃ真っ先に狙われちゃうじゃん!」
「チッ」
「ちっ――って、だからヴィヴィオちゃんシャンテさんからドS陛下だなんて!」
「言われてないよっ!?」
もし言ってたら、シャンテには最近クロからこっそり教えてもらっている魔女の呪いでさらにちっちゃくな~れの刑である。
ん?
「そっか、まだクロが――」
「お嬢と出るって言ってたぞ?」
ルールーとだなんて、一癖も二癖もあるチームになりそうだ。
「ってことは、ミウラさんは……」
ぼっち。
「いいんです、いいんですよもう、ボクなんてぇぇ――っ!」
「もう、ミウラさん。いつもの冗談ですよ、冗談」
「ううっ……やっぱりドSです」
失敬な。愛ですよ、愛。
「実はですね~、わたしにいい考えがありまして」
「ヴィヴィオ~、それ、失敗フラグなんじゃない?」
「リオ、コンボイ司令官じゃないから大丈夫だって」
むしろ、人事面に関しては成功フラグだと言われている。
「わたし、前から一度見てみたかったんですよね~。いちファンとして、ミカヤさんとミウラさんの抜刀・抜剣コンビ!」
ナカジマジムにざわめきが走る。
「そ、それはわしも見てみたいですっ!」
「ええ、ドキドキしますね」
手強いライバル――という以前に、観戦したいという欲求が上回る。
「てか、それ最強っぽくない? あたしとコロナ負けちゃうじゃん!」
「わたしだって負けるのは悔しいけど、お祭り試合なんでしょ? こーいう方が盛り上がるし、みんな喜んでくれるんじゃないのかな~って思うんだけど」
何より自分が見たい。そして、戦ってみたいのだ。
「これだから高町家は……」
「いやいや、そんなサイヤ人みたいに言われても……」
ミウラさんに視線を向けると、それこそ孫悟空みたいにワクワクしていた。
「わ、わ、それ、いいんでしょうか? ボクもやってみたい……ミカヤさんがよろしければ、ぜひお願いしたいですっ!」
「そうだな。あたしも面白いと思うし、いいんじゃないか? じゃ、早速ミカヤちゃんに連絡を――」
「その必要はないよ」
「「「「「ミカヤさんっ!?」」」」」
現れたのは、ナカジマジムの顧問取締役であり、天瞳流抜刀居合の師範として現役選手でもある――ミカヤ・シェベルさんだった。
いつものように刀を持ってのご登場である。
「抜刀・抜剣コンビ――いいね、むしろコチラからお願いしたいくらいだよ」
「ありがとうございます!」
「いやいや、これで私にも勝ち目が出てきたわけだ。なにせ今大会には、百戦錬磨の最強タッグが出場するからね」
「最強タッグ?」
「ああ、ジークとヴィクターのコンビだよ」
「うわ……」
「それは流石に……」
勝ち目がない。
現在のU19――格闘競技と総合魔法戦競技それぞれのチャンピオンがタッグを組んだということだ。
しかも、仲良しの幼なじみであり、チームワークにも疑う余地はない。
「でも、見てみたいし、戦ってみたいよぉぉ――っ!」
まさに夢のタッグである。
「――おっと、忘れていた。私はこのことを伝えに寄ったんだっけ。ナカジマちゃん、例の件、ジルとヴィクターが話をまとめてくれたよ。フロンティアジムの方もオッケーだそうだ」
「そいつはありがたい!」
「例の件?」
「ああ。タッグ戦の練習はこれから全員でやるとして、最終的にはチーム同士ライバルになるわけだ。
そこで、ゴールデンウィークの前半、試合前、最後の特訓として、それぞれのタッグにあった合宿先を考えている」
「じゃ、フーカさんはリンネさんと一緒にフロンティアジムで?」
「そういうこった。いつもと違う環境ってのも勉強になるだろ。フーカ、ジルの特訓はあたしよりずっと厳しいぞぉ~?」
「うっ……お、押忍っ!」
ジルコーチの練習は鬼も裸足で逃げ出すくらいと聞いているので、
――チーン。
「合掌」
「ヴィヴィさぁぁ~ん!?」
「もちろん、ヴィヴィオとアインハルトの合宿先も、とっておきの場所を考えてあるからな」
ん?
「――って、さっきタッグを決めたばっかなのに?」
「あ~、今朝この大会のことをアインハルトに話したら、
『わかりました。ヴィヴィオさんとのタッグなら出場しましょう』
なんて言ってな。まあ、お前が断るはずもないと思って勝手に話を進めたんだが……」
あれ?
さっきはわたしではなく、フーカさんと組むような話をしていたのに……。
アインハルトさんがプルプル震えだす。
「か、会長っ!?」
なるほど。
「もう~、アインハルトさんてばツンデレなんですから~。もしかして、わたしが最初にリオを誘ったからすねて――」
「ヴィヴィオ、ホントのことだからってあんまいじめるなって」
「ちょ~、ヴィヴィオさぁぁん! ノーヴェさぁぁん!」
真っ赤っかなアインハルトさんの反撃をヒラヒラ避けながら、わたしは『DSAAドリームタッグトーナメント』に想いを馳せる。
こうして、無事に予選会を突破したわたしとアインハルトさんの2人は、ゴールデンウィークの始め、合宿で地球のイギリスへ赴くことになり、とある双子の使い魔と再会することになるのだけど……。
その時の様子はまたいつか、『ゴーストハンター・ヴィヴィオ』でお話ししたいと思います。
そんなわけで、次回はいよいよ本戦。
『DSAAドリームタッグトーナメント 第2戦』で――リリカルマジカル、がんばりますっっ!!
本戦出場の全8チームリスト
①ジーク&ヴィクター――ベルカミッショネルズ
②ヴィヴィオ&アインハルト――セイクリッドカイザーズ
③フーカ&リンネ――1060万パワーズ
④ハリー&エルス――凸凹コンビ
⑤シャンテ&聖王教会系上位ランカー――チーム・カテドラル
⑥ルーテシア&クロ――魔女っ娘コンビ
⑦リオ&コロナ――リオコロ・オールスターズ
⑧ミウラ&ミカヤ――チーム抜刀斎
初戦の組み合わせはいかに!?