①ジーク&ヴィクター――ベルカミッショネルズ
②ヴィヴィオ&アインハルト――セイクリッドカイザーズ
③フーカ&リンネ――1060万パワーズ
④ハリー&エルス――凸凹コンビ
⑤シャンテ&聖王教会系上位ランカー――チーム・カテドラル
⑥ルーテシア&クロ――魔女っ娘コンビ
⑦リオ&コロナ――リオコロ・オールスターズ
⑧ミウラ&ミカヤ――チーム抜刀斎
勝ち残るのは果たしてどのチームだ!?
――パンパンッ!
空砲ではない。魔法の花火が青空に大輪の花を咲かせる。
『DSAAドリームタッグトーナメント』本戦。
試合会場のトーナメントマウンテンに、8チーム16名の選手たち。そして、連休ということもあり、いつも以上の観客が集まっている。歓声もひとしおだ。
そんな中、
「はぁ、はぁ、間に合った~」
「ええ、ホント、ギリギリでしたね」
地球から戻ったわたしとアインハルトさんは、息を切らせながら会場入りした。
「ここで、全管理世界から集められた選りすぐりの強豪タッグ8チームが、トーナメントマウンテン山頂に眠る幻のタッグトロフィーを目指して、死闘を展開するわけですね!」
「あれ? そんな大会でしたっけ??」
「まあまあアインハルトさん、気にしたら負けですよ~。勝てばいんです、勝てば!」
すると、
「よっ! お前ら久しぶりだな、元気してたか?」
わたしとアインハルトさんに声をかけてきたのは、
「ノーヴェ!」
「会長」
「まったく……お前らだけ中々合宿先から戻ってこないから、もう間に合わないかと思ったぜ」
「はは、ゴメンね~、ノーヴェ」
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
「それにしても、2人ともちょっと見ない間に大きく……なってねーな」
「ちょ、ノーヴェ!?」
「ノーヴェさんっ!?」
「ま、その調子なら大丈夫か」
と笑って、ナカジマジムの会長は話を続ける。
「んで、合宿先での修行はどうだった?」
「いや~、もう色々ありすぎて……」
特に、はやてさんのSAN値とか……。
「はい。色んな意味で貴重な体験でした」
「わふ~」
「その口癖は気になるが、まあいい。2人とも思い切りやってこい!」
「「はいっ!!」」
わたしとアインハルトさんは、巨大迷路を抜けてリングへ向かう。
こうして対戦相手を決定するのだ。
けれど、
「まさか、1回戦の相手が陛下……じゃなくて、ヴィヴィオっちとはね!」
待ち受けていたのは傍若無人。阿澄佳奈ボイスのちっちゃなシスター。
「シャンテ!」
「対戦相手はチーム・カテドラルですか」
聖王教会系の上位ランカーとタッグを組んだバランスのいいチームだ。
「いくら陛下……じゃなかったヴィヴィオっちが相手でも、今日は手加減しないよ」
うん、もう陛下でいいし、
「手加減しないのはいいんだけど、シャンテ大丈夫? わたしと全力で戦って、あとでディードとオットーからお仕置きされない?」
「うっ……た、たぶん平気かと……いやいやいや、そんなことであたしの精神は揺るがない!」
う~ん、本当に平気かなぁ~。
メチャクチャ揺らいでいるように見えるんだけど……。
――カーン!
そんな感じで始まった第1試合。
シャンテの重奏――分身の術は確かに驚異だ。けれど、わたしの神眼ならセオリー通り見極めることができる。
さらに、アインハルトさんはといえばティオの能力で回復可能。
双剣のシャンテと再生するアインハルトさんの戦いは、なんとなくアーチャーVSバーサーカーを思い出す。
「やっちゃえ、バーサーカーっ!」
「アインハルトですよぉぉっ!?」
などと叫びつつも、きっちりシャンテチームを撃破。わたしとアインハルトさんは2回戦へ駒を進める。
●
第2試合は、ミウラさん&ミカヤさんが、番長――ハリーさんとエルスさんの凸凹コンビと激突。
エルスさんの鎖――バインドをミカヤさんが断ち切り、もう1本。ミウラさんの抜剣がエルスさん本人を薙ぐ。
番長がひとりで粘るも、2本の剣の前には為す術がない。マットに沈む。
●
第3試合は、リオとコロナが、フーカさん&リンネさんの1060万パワーズと激突。
ちなみに、リンネさんが人間強度1000万パワーで、フーカさんが60万パワーだそうです。
ある意味、同門対決とも言えるこの一戦。
格闘競技のルールだったら明らかに1060万パワーズに軍配が上がったのだろうけれど、タッグトーナメントはインターミドルと同じ総合魔法戦競技ルール。
コロナが巧みな魔法で重戦車のごときリンネさんを足止めしている間に、リオがフーカさんを撃破。
あとは、2人がかりでリンネさんを封殺してみせた。
●
第4試合は、優勝の大本命――ジークさんとヴィクターさんのベルカミッショネルズVSルールー&クロの魔女っ娘コンビ……だったのだけど。
ベルカミッショネルズが、ルールーとクロの魔法を物ともせず一気呵成――全てを薙ぎ倒す圧倒的パワーを見せつけて押し切った。
……ように見えた。
「ジークさんたち、もうちょっと余裕を見せてもよかったのにね」
「おそらく、ルーテシアさんとクロの魔法を警戒していたのでしょう」
無限書庫での苦い思い出がそうさせたのかもしれない。
●
そして2回戦、第1試合――準決勝。
念願――とでも言うべきか、わたしとアインハルトさんのタッグVSミウラさんとミカヤさんのタッグ――『チーム抜刀斎』との戦いが実現する。
「なんというるろうに感……」
ミカヤさんが苦笑する。
「まあ、ヴィヴィオちゃんのチーム『セイクリッドカイザーズ』も、いい勝負だと思うけどね」
「あ~、それは~」
「はい。実に素晴らしいネーミングセンスだと思います!」
あ~。
「うちのアインハルトさんがいたく気に入っているので問題なしですっ!」
初代覇王の頃から、基本真面目だけどちょっとズレている――という点では、孫悟飯みたいな感性なのだろう。
グレートサイヤマンも緑を基調とした衣装だし……。
ミウラさんが、喜々としてわたしに向かって宣言する。
「ヴィヴィオさんとは、ウインターカップで戦えませんでしたから、すっごく楽しみでした! 今回はボクが勝たせてもらいますからね!」
「フッフッフ、それはどうでしょうか。例えミウラさんが『必中』の精神コマンドを使ったとしても、わたしの神眼はひらめいちゃってますからね、全て避けてみせますよ~」
わたしとアインハルトさんはリングの端まで下がる。
――3、2、1、カンッ!
ゴングが鳴って試合開始。
ミウラさんが開幕点火で突っこんで来るかと思ったのだけど……。
わたしと相対したのは、
「ミカヤさんっ!?」
「意外だったかい?」
「はい。正直意外でした」
「ミウラちゃんには悪いけど、私も一度君と公式戦で戦ってみたかったんだよ――」
言うが早いか、縦、横、斜め、突きと、それこそ九頭龍閃のごとく打ちこんでくる。
わたしはそんな晴嵐の刃をギリギリのタイミングで避けていく。昨年まではとても見切れなかった速度、そして角度の斬撃に反応して距離を取る。
しかし、わたしの得意なフリッカージャブも、こちらよりリーチの長いミカヤさんには通用しない。カウンターも同様だ。接近しなければ届かない。
そういった意味では、ただ単に『戦ってみたかった』――だけではないのだろう。ミウラさんではなく、ミカヤさんがわたしの相手をすることには、ちゃんとした意味があるのだ。
すると、わずかに動きに変化が生まれる。
いくら達人のミカヤさんでも、永遠に刀を振るうわけにはいかない。どこかのタイミングで連撃に隙が生じる。
――踏みこめる!
しかし、わたしは逆に大きく後ろに下がった。
「へえ、踏みこんでこなかったね?」
ミカヤさんは剣士だ。純粋な格闘タイプに比べれば、どうしても密着戦闘は後手に回る――と、誰もが思うだろう。しかし、あのミウラさんとタッグチームの訓練をしてきたのだ。当然、ミウラさん相手に対策を練ってきたはず。
うかつに間合いに入れば、逆にライフを刈り取られるのはわたしだ。
「逃げてばかりじゃ私には勝てないよ!」
おっしゃる通り。
だけど、これはタッグチームバトル。
わたしがミカヤさんを引きつけておけばおくほど、アインハルトさんがミウラさんと一対一で戦える。
ミウラさんには悪いけど……実力は圧倒的にアインハルトさんが上。ならば、このままアインハルトさんにミウラさんを下してもらい、その後、2人がかりでミカヤさんを仕留める――というのが上策だ。
わたしとアインハルトさんはアイコンタクトを交わし作戦を実行に移す――が、
「スイッチ!」
って、どこのSAOっ!?
ミウラさんとミカヤさんが位置を変える。
「まさか――」
「お待たせしました、ヴィヴィオさん!」
一瞬で近づくミウラさん。突然の交代に距離感がつかめない。
それに比べてチーム抜刀斎は、わたしとアインハルトさん。ほとんどリーチが変わらない2人。違和感なく試合を続行できる。
ミウラさんの振り上げた右足が、ハンマーのように振り下ろされる。飛び蹴りだ。さらに近接からのパンチ――そして再び蹴り。
連刃旋空刃によってわたしの体がサンドバッグのように吹っ飛んだ。
「ヴィヴィオさんっ!?」
「おっと、アインハルトちゃんにはもうしばらく私の相手をしてもらわないとね!」
さらに追い打ちをかけるミウラさん。追撃の手を緩めない。わたしは立ち上がることを諦めて転がる。その直後、ミウラさんの足裏がリングをえぐった――ところで、
――カァァン!
第1ラウンドが終了。
ゴングに救われた。
インターバル。アインハルトさんが話しかけてくる。
「厄介ですね、あのスイッチは」
「はい。わたしみたいなテクニカルヒッターには相性悪すぎです」
「おや、諦めますか?」
「まさか」
「では、プラン・ロッテで。ヴィヴィオさん信頼してますよ」
やれやれ、双子の使い魔から聞いたときには一番反対していた作戦のくせに……。
「はい、まかせてください! その代わりアインハルトさんも外さないでくださいよ」
「ええ、もちろんです」
――カーンッ!
第2ラウンド開始の合図。
1ラウンドと違い、わたしとアインハルトさんは互いに離れてリングに立つ。
これだけ距離があれば、いくらミウラさんやミカヤさんでもうかつにスイッチはできまい。
代わろうとすれば、逆に追いかけて攻撃を仕掛けることも可能だろう。
しかし、
「これを待っていました!」
「どうやら読みが甘かったようだね、ヴィヴィオちゃん、アインハルトちゃん――」
駆け出した2人はアインハルトさんを完全無視。2人がかりでわたしにロケット点火。
ジークさんやヴィクターさんですら反応できない速度――それこそ弾丸のようなスピードでわたしとの距離を詰める。
そして、最高速から一転。抜剣と抜刀、引き抜かれたニ振りの剣が、同時にわたしを襲う。不敗の剣だ。
けれど、この感覚――リオのお爺ちゃん――レイ総師範と相対したときのことを思い出す。わたしの神眼が、蹴りと刃それぞれの軌跡をゆっくりと写し出す。あのときは偶然だったけれど、今のわたしはこの集中力を意識的に操ることができる。
だから、
――ギィィィィン!
最強の矛と盾。矛盾。反発する魔法力が激しく軋んだ音を鳴らした。驚きの声を上げたのはわたしではなく、チーム抜刀斎の2人。
「どうして!?」
「まさか!?」
わたしはミウラさんの脚を、ミカヤさんの晴嵐を、それぞれガッチリ受け止めていた。それも、両腕で絡め取り固定する。
「全力全開のセイクリッドディフェンダーなら、お二人の攻撃も防げますからっ!」
「でも、そんなことしたら反撃用の魔力が足りなくなるはずでは!?」
「忘れたんですか、ミウラさん? わたしたちもタッグチームなんですよ。お二人がわたしとアインハルトさんが離れることを待っていたように、わたしとアインハルトさんも、2人がわたしを狙う瞬間をずっと待っていたんです――」
2人がハッと気づいた時には、すでに、背後にアインハルトさんがいた。
「覇王! 断ッッ空~~ッ拳ッッ!!」
右拳、左拳、それぞれに力をこめて、手刀の形で振り下ろす。両腕から放たれる必殺の一撃が、同時に2人の首を狙う。
「くっ――」
必死に飛び退ろうとするミウラさん。しかしその脚はわたしにガッチリつかまれ動けない。
ミウラさんは腕をクロスして断空拳を受け止めようとするが、
「うわあああああ!」
勢いに乗った覇王の一撃は両腕を粉砕。ミウラさんのライフを一瞬で削り取った。
一方のミカヤさんは晴嵐を諦め、手を離して下がるも、
「ソニックシューターっ!」
わたしだってこれくらいの魔力は残っている。牽制の光弾に気を取られたミカヤさんはダッシュで接近したアインハルトさんの拳を避けることができず、くの字になってリングに沈む。
――カン、カン、カーン!
この瞬間、わたしとアインハルトさん――セイクリッドカイザーズの決勝進出が決定する。
「やりましたね、アインハルトさんっ!!」
「はい、ヴィヴィオさん、やりました!!」
2人でハイタッチ。
すると、
『わああああああああああああ!!』
ひと際大きな歓声が上がる……が、
「これ、わたしたちの試合じゃない!」
「もう一つの試合会場からです!」
リオコロVSジークさん、ヴィクターさんのベルカミッショネルズだ。
担架で運ばれていくミウラさんとミカヤさんを横目に、わたしとアインハルトさんは急いで別のリングへ向かう。
嫌な予感がする。
走る、走る。
そして、
「リオっ、コロナぁぁ――っ!!」
わたしたちが駆けつけたとき、その試合会場はボロボロだった。所々に巨大な陥没が発生しており、砕け散ったゴライアスの残骸が無残にも弁慶のごとく仁王立ちしている。
担架で運ばれていくコロナの姿。
「リオ、リオはどこ!?」
「ヴィヴィオさん、あちらです!」
ドラゴンボールみたいに、リングの壁に背中からめりこんでいた。
「リオっ!」
急いで駆け寄ると、パラパラと石の欠片と一緒にリオの体が落ちてきた。魔力も限界だったのだろう。落下と同時に大人モードが解除される。
「リオ、リオ、大丈夫っ!?」
わたしは親友の体を抱きかかえた。
リオが最後の力を振り絞って言い残す。
「ヴィヴィオ……よく聞いて……ベルカミッショネルズは――」
第3戦に続く!
ベルカミッショネルズVSセイクリッドカイザーズの頂上決戦は、5/6(土)の朝8時から開催されます。
お見逃しなく!