アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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アインハルトさんが、なのはの実家『喫茶翠屋』で中等科の職場体験!!
1日店長はなのは、当然ヴィヴィオもくっついてくるわけで……??



ご注文はアインハルトさんですか?

「――押忍っ!」

「ヴィヴィオ、今日は張り切ってるね~」

「うん! そりゃ、なんたって職場体験だからね――――アインハルトさんのぉぉ!!」

「自分じゃないんだ~」

 

 というわけで、高町ヴィヴィオ、本日はなのはママと一緒に、アインハルトさんの職場体験を――面白おかしくじゃなかった――全力全開でサポートするため、ママの実家――海鳴市の喫茶店『翠屋』にやって来ました!

 おっ、開店前だというのに、早速入り口に人影が、

 

 

 ――カランコロン!

 

 

「へい、らっしゃいっ!!」

 

 

「……お店間違いました~」

「いやいや、アインハルトさ~ん、合ってますから~」

 

 ちょっと気合いが入りすぎてから回っただけですよ~。

 

 

     ●

 

 

「――さて、アインハルトちゃんも制服に着替えたところで、喫茶『翠屋』オープンと行きますか!」

「おーっ!」

「あの~」

「はい、アインハルトちゃん、何かな? 接客の基本はさっき教えた通りだけど」

「いえ、そういうことではなく、ヴィヴィオさんのお母様のお母様――つまり、普段の翠屋の方々はどちらに?」

「あ~、あんまり人数がいてもしょうがないんで、今日は1日お休みをプレゼントしてみました~。

 閉めの時間には来るって」

「ママ、親孝行だね!」

「うん」

「……ですが、私たち3人で大丈夫なのでしょうか? いえ、もちろんなのはさんとヴィヴィオさんは慣れてらっしゃるかもしれませんが、私は初心者なので……」

「大丈夫ですよ、アインハルトさん!」

「ちゃんとあとからお手伝いが2人来るしね。それに、いくら人気店といっても、平日だからそこまで混まない――って、お姉ちゃんも言ってたから」

「はぁ、なのはさんのお姉様、ですか……」

「美由希おばさん――って言うんですよ~」

「ヴィヴィオ、それ、お姉ちゃんの前で絶対言っちゃダメだからね?」

「あ、やっぱり?」

 

 ちなみに〝桃子お婆ちゃん〟も禁句だ。

 

「年齢と言えば、ヴィヴィオさんも、今日はちょっぴり大人モードなんですね。本来の姿と、いつもの大人モードの間くらいでしょうか?」

「あー、はい。アインハルトさんは正式な職場体験ですけど、初等科のわたしが平日の昼間から学校をサボって働いてたら、流石にマズいかな~って」

「なるほど」

「それで、少しだけ大人モード……いえ、お姉さんモードですね~。

 気分的には、なのはママが〝リゼさん〟で、わたしが〝ココアさん〟で、アインハルトさんが〝チノちゃん〟でしょうか」

「って、どうして私が一番ちっちゃいんですかぁぁ――っ!?」

「いや~、性格的なキャスティングといいましょうか……」

「……まあ、私も事前にフーカから色々と教わってきましたが」

「中の人的に完璧だ!」

 

 いのりんパワーである。

 

「まあまあ、2人とも、落ち着いて考えてみて。ほら、ラビットハウスの看板娘はチノちゃんでしょ?」

「あ~、うん」

「私は常々考えてたんだよ。

 喫茶『翠屋』の看板娘には、グリーンの髪をもつアインハルトちゃんこそ相応しいんじゃないかって!」

「確かに、翠屋で働くために生まれてきたよーな!」

「ここは覇王がいるような戦場じゃありませんからぁぁ!?」

「まあまあ、あ、チノちゃんで思い出した。アインハルトちゃん、コレを頭に乗せてもらえるかな?」

「……こっ、これは」

「……ユーノ司書長?」

「確かにフェレットだけど、普通のフェレットだよ。ほら、鳴いて」

 

『き、キュウ~』

 

「うんうん、よろしい。今どきは喫茶店にも可愛らしいマスコットがいないとね。ちなみにうちは昔からフェレットだから」

「へ~」

 

 と、返事をしつつ、何となく怪しいと、アインハルトさんの頭にドッキングしたフェレットの頬を、人差し指で――むぎゅ~。

 

 

『イタい、イタいっ!』

 

 

「やっぱり本物のユーノ司書長だぁ~~~~っ!」

「え、司書長!?」

「あちゃ~、もうバレたかぁ~」

「どうしてまた?」

「ううっ……今日は、ようやく論文が書き終わって、久しぶりに発掘に行くはずだったのに……今朝、急になのはから手伝って欲しいって連絡があって……」

「あ~、お疲れ様デース!

 でも、まあ、司書長がフォローしてくれるなら、いくらアインハルトさんの接客でも安心ですね~」

「むむっ、そんなこと言って、私だって接客業の一つや二つ、ちゃんと出来ますよ!」

「ほほ~っ、見せてもらおうか、アインハルトさんのコミュニケーションの能力とやらを!」

 

 

 ――カランコロン!

 

 

「いらっしゃいませー」

 

 ドアベルが鳴り、入ってきたのは金髪に青いリボンのツインテール。

 

「アリシア・テスタロッサです」

 

 って、子供モードのフェイトママ来たァァ――――っっ!!?

 

「ちょ、ママ……仕込み?」

「うん、ほら、いきなり本物のお客様をお迎えしてもマズいでしょ?」

「うーん、まあ、それはそうなんだけど……」

 

 いくらアインハルトさんでもこれはちょっとなぁ~、

 

 

「アリシアさん、こちらがメニューになります」

 

 

「ふつーに接客してるぅぅ――っ!?」

「流石はアインハルトちゃんだね……あの姿を見ても、フェイトちゃんだとまったく気づかないなんて」

「ま、まあ、まだ想定内かな……」

 

 わたしが胸をなで下ろしていると、

 

 

 ――カランコロン!

 

 

 カラカラ――と、自分の手で車いすをこいで入ってきたショートヘアの少女。

 

「子供モードのはやてさん来たァァ――っ!!」

「車いすだけど、えーかな?」

「はい、もちろんです。病院の帰りでしょうか? さあ、こちらの席にどうぞ」

「……ヴィヴィオ、アレはどういうことだと思う?」

「……う~ん、たぶん、アインハルトさんは車いすしか認識してないんじゃないかな?」

「あ~、はやてちゃんを見て、見分けてるわけじゃないんだ」

「うん、たぶん……」

 

 注文を聞いたアインハルトさんが、ドヤ顔で戻ってくる。

 

「どうです? 私だってちゃんと接客できてるでしょう?」

「え、ええ……」

 

 そうなんですけど、そうなんですけど……色々と間違ってますよォォォ――ッ!?

 

 

 ――カランコロン!

 

 

 今度は大人の2人組。

 

「なのはー、子供モードでやらせてくれるって言うから手伝いに来たわよー」

「今日は1日よろしくお願いします」

「アリサさんとすずかさんがふつーに来たァァ――ッ!! お久しぶりでーすっ!」

「いらっしゃ~い、2人とも」

「ああ、シャマル先生にディードさんですか。いつもお世話になっております」

「素で間違えてるぅぅ――っ!」

 

 というか、もはや髪型やカチューシャでしか見分けてない!?

 

 

 ――カランコロン!

 

 

 八重歯とおさげ、ちっこいのが2人。

 

「ヴィヴィオ~、あたしたちもアインハルトさんの勇姿を見に来たよ~」

「アインハルトさん、応援に来ました!」

「リオ、コロナ!」

「――ああ、マヤさんにメグさんでしたか。お久しぶりです」

「もはや、リリカルなのはのキャラですらない!」

「ちっがぁぁ――――うっ! 1か月ぶりだからってあたしの名前を忘れないでよ~っ!!」

「もぉ~、アインハルトさ~んっ!」

「???」

 

 アインハルトさんが助けを求めるようにこちらを見ている。

 

「ま、まあ、わたしも時々間違えそうになりますけどね~」

「「ヴィヴィオまで~っ!!?」」

 

 

 ――カランコロン!

 

 

 そして、トリを務めるのはこの人。

 いつもより大人びた、浅いオレンジ色のつんつんしたショートヘアの少女……。

 

 

「はい、ミウラさん、ダウトォォォォ――――っ!!」

 

 

「ちょ、何でですか、ヴィヴィオさぁぁ~~ん!!?」

「いやだって、わたしのミウラさんがこんなにおっきいわけがない!」

「いやいや、ヴィヴィオさんだってしっかり大人モード使ってるじゃないですか! 背も高いし、胸もおっきいし!」

「いやいやいや、わたしの場合はアインハルトさんの職場体験に合わせて、2年後の姿ですよ?

 つまり、ちょうど本来のミウラさんと同い年の姿ですね~」

「ボクと同い年……?」

「はい。一緒に身体測定を受けたり、体育の時間に二人一組で体操したりしましょうねっ!」

「ううっ、うえええええぇぇぇ~~~~~ん! ヴィヴィオさんのバカぁぁ~~~~~っ!!」

 

 カランコロン――と、ミウラさんが店外へ飛び出して行く。

 

「ミウラちゃん!?」

 

 

「今日も勝ちっ!!!」

 

 

「……ヴィヴィオ、我が娘ながら鬼ね」

「……なのはの教育が~」

「甘やかしたのはフェイトちゃんだよね!?」

「あう」

 

 

     ●

 

 

「――ありがとうございました! またのご来店をお待ちしてま~すっ!」

 

 ふうっ――と、息吐く暇もない。

 ひっきりなしにお客が来店するのだ。

 

「ねぇ、ママ。だんだん混んできたね~。アインハルトさんは、まだ大丈夫ですか?」

「はい、なんとかぁ~」

 

 あ~、そろそろヤバそうだ。

 すると「だじぇ~」と声がする。

 

「ここで、もしも中学で髪を切らなかったらバージョンの――アリサ・バニングスが大爆誕するわよぉぉ!」

「午後からって話だったけど……大変そうだし、もう入るね」

「ありがと、アリサちゃん、すずかちゃん、よろしくね!」

 

 昔から何度も翠屋を手伝っていたという2人組。

 これで『安心無敵!』のはずだったのだけど、

 

「ヴィヴィオさん、さらに混んできたような……」

「ママ~、平日だからそんなに混まないって言ってたのにぃ~」

「ごめ~ん、ヴィヴィオ、アインハルトちゃん!」

 

 そこで手を挙げたのは、アリシアさんの格好をしたフェイトママ。

 

「私も手伝うよ、なのは、ヴィヴィオ!」

「フェイトママ~」

 

 続けてカラカラ車いすを引く音がする。

 

「これは、いよいよ私の出番のようやな」

「はやてさんが立ったぁぁ――っ!」

 

 さらに、リオコロ。

 

「ヴィヴィオ、あたしも手伝うよ!」

「学院祭の魔法喫茶しかしたことないけど、がんばるね!」

 

 最後は、戻ってきた抜剣少女も、

 

「ぼ、ボクも何か手伝いますね!」

「ホントですか!? 買い出し頼んでも」

「任せてください!」

 

 いつも実家のレストランを手伝っているため手際がいい。

 これで勝つる!

 とはいえ、

 

「どうしてこんなにお客さんが多いのぉぉ~~っ!!?」

「すみません! 流石なのはさんの実家、翠屋も十分戦場でしたぁぁ――っ!!」

「ううっ……まさか、うちがここまで繁盛してるなんて~、お姉ちゃんどうなってるのぉぉ~、聞いてないよぉぉ!?」

 

 すると、お客さんと会話をしていたアリサさんが、

 

「――理由がわかったわよ、あんたたち!」

 

 以心伝心。すずかさんが言葉を継ぐ。

 

「喫茶翠屋に、凄く可愛い女の子の店員がいっぱいいる――って、噂が広まってるみたい!」

「それって、つまり……」

 

 

 忙しい → 誰かが手伝う → 可愛いウェイトレスが増える → さらにお客さんが集まる → エンドレスエイト

 

 

「いいことなんだけど、いいことなんだけど……」

 

「うううう~~~~~~~~~~っ、覇王、断空けぇぇ~~~~」

 

「それダメぇぇぇぇ~~~~っ!!」

 

 

 この日、喫茶翠屋は、開店以来、最高の売上を計上したという……。

 

 

 




おまけ

 ――ぷしゅぅ~。

「し、死ぬかと思った……」

 全員が力尽きた閉店後、閉めの手伝いに来たなのはママのお姉さん――美由希おば……美由希さんが、日報を見ながらプルプル手を震わせた。

「そんなに若くて可愛い子がいいのかぁぁ~~~~っ!!?」

「「「あ~」」」

 まだまだお若いですよ~、美由希おば……お姉さん。

     ●

翠屋ということで、士郎さんや桃子さんの出番を期待していた方、ごめんなさい。
最初は普通に出そうかと思っていたのですが、ここのところ出番のなかった『ViVid』キャラを優先してしまいました。
まあ、高町本家に関しては来週公式であるわけで――そう、7月22日、映画第三弾公開です!!
とかなんとか言いつつ、コチラは来週も平常運転。

お花見以来、久しぶりに、あのヴィヴィオとユミナさんのコンビが帰ってきた!
映画の余韻をブチ壊す、
『アインハルトさんクイズ王決定戦!』
で、リリカルマジカルがんばります!
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