アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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謎の楽屋空間。

ウサギヴィヴィオ(クリスのきぐるみ)・質問役
アリシアおねえさん(ちっちゃい)・進行役
プレシア・テスタロッサ(白衣)・解説役

で、「3・2・1 どっか~ん! なぜなに、なのは~!」みたいなことをやろうと企画したヴィヴィオは、早速アリシアと一緒にプレシアお婆ちゃんの元へ。
あとは、ゲストのフェイトが来るのを待つばかり……のはずだったのだけれど??



テスタロッサ家族会議

 壁も天井もない。何だかわけがわからない空間に、ちゃぶ台と座布団が4枚。

 そこへ、金の閃光ママがやってくる。

 

「はぁ……フェイト、本当に来たのね、あなた」

「か、母さん……っ? な、ナニコレ、ちょう気まずいんだけど、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ一体どうなって……って、倒れたヴィヴィオがビリビリ痺れてるぅぅ~~~~っっ!!?」

「ご、ごめんなさい、フェイトママ……アリシアさんと一緒に、プレシアお婆ちゃんを誘って〝なぜなにナデシコ〟風に解説しようと試みたんだけど……だが断るみたいな感じでサンダーレイジを食らって……」

「って、うわぁぁ~~~~あっちでアリシアもビリビリしてるぅぅ~~っっ!!?」

「フェイト……お姉ちゃんもう疲れたよ……ゴールしてもいいよね……」

「うわぁぁ~~~こっちはこっちで色々台詞が混ざってるゥゥ~~っ!!?」

「はぁ……いつまでもこんな楽屋空間にいられないわ。フェイト、さっさと説明して終わるわよ」

「え、母さんと2人きりで?」

「そうよ」

「……は、はわわわわ、あ、アリシア、ヴィヴィオ……早く起きてぇぇ――――っっ!!?」

 

 そんなわけで本日は緊急企画として『お盆だよフェイトママ 前編 後編』と『宝探しなのっ!』のちょっとした解説をしてみようかなと思います。

 

 

     ●

 

 

 ちゃぶ台を挟んで、何とも気まずそうなフェイトママと、不機嫌そうなプレシアお婆ちゃんが対面している。

 

「えっと、たぶん読んでいる人はみんな不思議に感じたと思うんだけど、どうして虚数空間に消えた母さんとアリシアが生きてるのかなって」

「フェイト、あなたそんなこともわからないで管理局の執務官をやっているの? まったく、これだからあなたは……」

「母さん……」

「アリシアなら……アリシアなら……」

 

 プレシアお婆ちゃんは眉間にシワを寄せると、何ともコメントし難い表情で顔を引きつらせた。

 

「『そんなのわからなくても生きてけるもんっ!』とか言い出しそうね……」

「あ~、はは……」

 

 

     ●

 

 

 わたしはそんな母娘2人の様子を横目にコロコロ転がると、アリシアさんの足裏を突っついた。

 どうにか念話を送る。

 

『あ、アリシアさ~ん、言われてますよ~』

 

『くぅ~~~っ! 魔力量Eクラスをなめんなぁ~~っっ!!』

 

『あ~』

 

 そんなノリだった。

 

 

     ●

 

 

 プレシアお婆ちゃんはコホンと咳をすると仕切り直す。

 

「まあいいわ。あなたたちにもわかるように説明すると、今の私の状況は『無印』や『The MOVIE 1st』のあと。

 崩壊した〝時の庭園〟と共に次元震に巻きこまれ――最後の賭けに勝ったんでしょうね――ジュエルシードに願った通り、アルハザードに辿り着き、無事アリシアを蘇らせることができた――といったところね」

「……」

「聞いているのかしら、フェイト?」

「あ、ゴメンナサイ母さん……その、昔は、生きているなら必ずもう一度私に会いに来てくれるはずって、心のどこかで信じていて……だけど、それもなくて……だから、母さんはあのまま亡くなったんだと……そう、思って……」

「別にいいわ。結局のところ帰りたくても帰れなかったのだから――」

 

 

     ●

 

 

『ミッドに帰ったらタイーホだから?』

 

『それもあるけど、アルハザードの魔法技術にヒャッハーして――』

 

 

     ●

 

 

「そこうるさい。技術的に帰れないだけよ。それに私は、フェイト、あなたの世界の私やアリシアが生きている――とは一言も言っていないわよ」

「へ?」

 

 フェイトママが目を丸くする。

 

「そうね、あなたが住んでいた地球の日本で例えるなら、源義経や豊臣秀頼は死なずに生き延びたという説が――」

 

 

     ●

 

 

『みな……みな……みなもと……しずか、ああ、しずかちゃんっ!』

 

『うん、アリシアさん惜しいっ!』

 

 

     ●

 

 

「惜しくない。ダメね、そこに転がっている2人にもわかるように説明すると、逆シャアで――」

「逆シャア……母さんが逆シャア……」

「最後、アムロとシャアは生死不明となっているでしょ」

「う、うん……」

「他にも、最近〝復活〟とか言っているようだけど、ルルーシュも最後は生死不明だったでしょ」

「コードギアスぅ~」

「どちらの作品も、生きているのか死んでいるのかハッキリしない。決定的な証拠がないから議論になる。

 逆に考えると、生きていようが死んでいようが構わない。

 それくらいの差でしかない。

 よく例えとして使われるシュレディンガーの猫もそうね。

 つまり、私とアリシアも、次元断層に落下したまま死んだ世界と、アルハザードに辿り着いた世界が存在している――それだけのことよ」

「それってただのIFなんじゃ……?」

「そうね。でも考えてもみなさい。『GOD』のサウンドステージで、未来に存在する惑星エルトリアに『The MOVIE 2nd A's』のあなたたちが訪れたことがあったでしょ」

「……うん」

「あの事件は、小規模な次元震とレヴィとか言うあなたのパチもんが――」

「パチもん……」

「遺跡で拾ってきた古代文明の遺物が原因だったわけだけど――」

 

 フェイトママがポンと手を叩いた。

 

「あっ、つまり次元震は、時間すら越えて平行世界をつなげることがあると?」

「……ええ、そういうことよ」

 

 すると、プレシアお婆ちゃんはハッとした表情でフェイトママを見やった。

 

「あの、母さん?」

「……なんでもないわ」

 

 

     ●

 

 

『あらやだ、この子ちゃんと私の言ってること理解しているわ――みたいな?』

 

『そもそも、私が生き返った時点でフェイトを突き放す理由も消失したしね~』

 

『冷静に考えれば、フェイトママほど理想の娘もいないですしねぇ~』

 

『悔しいけど優秀だし、私じゃちょっとママの話についてけないとこがあるし……』

 

『デレましたか?』

 

『デレましたね』

 

 

     ●

 

 

「まだよ」

「あ~、はは……あ、そうだ。母さんとアリシアが生存している平行世界がある――というのは理解したけど、どうして私たちの世界とつながったのかな?」

「……おそらくはあのサブ駆動炉ね。本来の所有者である私やメイン駆動炉との同期を求めた結果――古代遺跡でレヴィの拾った遺物に相当するアイテムになったのでしょうね。

 ただし、小規模でも次元震を発生させるくらいのエネルギーが必要だったと考えると、きっかけ……鍵となったのはその子でしょうね」

「ヴィヴィオ?」

「ええ。その子、スカリエッティがプロジェクトFの技術で生み出した聖王の複製体なのでしょ?」

「……うん。私やエリオと同じ」

 

 正確には、人造魔導師計画の技術も使われているらしい。

 

「そう、同じ、なのよ。あなた地球で『ジュラ●ックパーク』って映画を見たことあるかしら?」

「ああ~、うん……」

 

 またか。

 

「あの作品では、恐竜の遺伝子の欠損部位をカエルなど別の生物で補っていたけれど、フェイト、あなたは古代ベルカ時代に生きた聖王の遺伝子が、まったくの欠損もなしに手に入ったと本当に思う?」

「それは……」

「それとね、フェイト。スカリエッティは、人造魔導師計画や戦闘機人計画へ自分の研究をシフトさせたから、プロジェクトFは未完成だったのよ。

 つまり、ヴィヴィオの誕生には、私が完成させたプロジェクトFの研究成果がフィードバックされていたはず。

 さて、カエルは誰だったでしょう――というお話なのだけれど」

「それは……」

 

 もし、ゆりかごの聖王のように、個人が莫大な魔力を保有しているわけではなく、媒体からのエネルギー供給を受けることでそれを自身の魔力として運用できる、魔導師ランク〝条件付きSS〟というレアな遺伝子情報が残っていたとしたら。

 

「……母さん」

「もちろん使われていないかもしれない。一方で、使われていないことも証明できないのよ」

 

 

     ●

 

 

『ナニソレっ!? テスタロッサ三姉妹爆誕ってことぉぉ――っ!!?』

 

『フェイトママが王様で、わたしがシュテルで、アリシアさんがレヴィみたいな……』

 

『いやいやいや、レヴィはヴィヴィオに譲るよ?』

 

『いやいやいやいや、レヴィはアリシアさんが~』

 

 

     ●

 

 

「――だとしても、今回の事件はちょっとご都合主義だと思うけど」

「そうね、その件に関しては私も否定する気はないわ。けどね、フェイト、覚えておきなさい。あなたが高町なのはに出会った奇跡を思えば、他の全ての出来事はたいした偶然ではないのよ。この出会いさえもね」

「母さん……」

 

 フェイトママが1枚の紙切れを懐から取り出す。

 

「こんな『お母さんとお姉ちゃんが何でも言うことを聞く券』なんていらなかったね」

 

『宝探しなのっ!』で手に入れた重要アイテムだ。

 

 

「……サンダースフィア」

 

 

 紙切れに向かって紫色の魔力球が飛んでいく。

 

「うわわ! ディフェンサー! ディフェンサー! 母さん何するの!?」

「その券は若気の至り。この場で始末させてもらうわ」

「いくら母さんでも、試験中とはいえ第5世代デバイスのバルディッシュと私のコンビには勝てないから!」

「フッフッフ、言うわねフェイト。死者を蘇らせることさえ可能なアルハザードの技術で病気が完治。防御面の不安がなくなったこの私に勝てるとでも――」

 

 互いに睨み合い、

 

 

「「サンダーレイジっ!」」

 

 

 無詠唱の雷撃魔法が互いを拘束し、頭上から雷が襲いかかる。

 

 

     ●

 

 

「「はぁ~」」

 

 どっこいせと起こした無敵のちゃぶ台シールドを背に、わたしとアリシアさんは溜め息を吐いた。

 

「せっかくいい雰囲気になってたのに、母娘対決だなんて~」

「そういうヴィヴィオも、最近『ViVid』で自分のママと戦ってなかったっけ?」

「……母親というのは娘にとって、いつか乗り越えなければならない壁なんだよ、うん」

「まあ、そういうことにしとこっか? 

 じゃ、最後に『宝探しなのっ!』のオマケ情報~」

「オマケ情報?」

「そう。実はラストで宝箱に入っていた写真にはモデルがありました。

 まずは『リニス 水着』で画像検索してみてくれるかな?」

「はい」

「そうすると2段目くらいかな~。青空の下砂浜に、左からリニス、私、フェイト(子供時代)、アルフ(子犬)、んで後ろにママが並んで写ってるイラストがあるでしょ」

「はいはいありました。横に長いタイプで写真みたいなイラストですよね?」

「そうそう、それ。それのリニス(人型)を消して、アルフをリニス(山猫)と入れ替えるとあら不思議――私が夢見た未来。

 もし私が魔導炉事故で死ななかったら、きっとそんな世界もあったんだろうなって」

「アリシアさん……」

 

 

 ――ズドォォォォォンンっ!!

 

 

 背中越しにちゃぶ台の震えが伝わってくる。

 

「うわ……」

「そろそろ決着ついたかな~」

 

 見ると、フェイトママが、戦技披露会でシグナムさんと戦ったあとのなのはママみたいに目を回していた。

 プレシアお婆ちゃんも黒髪がワカメみたいになっている。

 

「フェイトママ生きてる~?」

「はぅ~、病気に侵されていない母さんがこんなに強かったなんて~」

「ほらママ、いい歳なんだから無理しないのー」

「はぁ、はぁ、フェイト……〝母親〟に勝とうだなんて100年早いのよっ!」

 

 母親、ね……。

 

 わたしとアリシアさんは目を合わすと小さく吹き出して、このヘンテコな楽屋空間に感謝を捧げるのだった。

 

 

 

 




『無印』や『The MOVIE 1st』で、もしアリシアが生き返っても、プレシアが元の性格に戻ることはなかったと思っています。
一度あそこまでやさぐれた……というか、ひねくれてしまうと、中々元には戻れないかな~と(笑)。
プライドも高そうだし、特にフェイトに対しては面と向かって和解はできないかと。
とはいえ、根っこの部分は優しさを取り戻し、いわゆる〝ツンデレ〟的な、めんどくさい性格になるのではと思っています。
あと、意外に押しに弱そう(笑)。
子供から頼まれると、口では「嫌」と言いつつ、最後には「OK」してしまうという……って、ああ、昔からそういう性格でしたっけ(笑)。

そんなわけで、いよいよ季節は9月。
新学期も始まった夏休み明け。
あの優等生の高町ヴィヴィオが、なんと1つだけ終わっていない宿題があるという。
久しぶりのナカジマジムで書き綴る、チームナカジマ全員参加のハートフルバトルダイアリー!!

次回『激闘! ストラトス四天王』

で、リリカルマジカルがんばります!
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