アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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季節は9月。
新学期も始まった夏休み明け。
あの優等生の高町ヴィヴィオが、なんと1つだけ終わっていない宿題があるという。
久しぶりのナカジマジムで書き綴る、チームナカジマ全員参加のハートフルバトルダイアリー!!



激闘! ストラトス四天王

 夏休みが終わってすぐのこと。

 わたしは「う~ん、う~ん」唸りながら、ジムの床に寝そべっていた。

 

「どうされたんです、ヴィヴィさん?」

「あ、フーカさん! 実はですねぇ、夏休みの宿題が一つだけ終わっていなくて……」

「珍しいですね。ヴィヴィさんなら、すぐに終わらせるかと。それで、どがーな宿題ですか?」

「夏休みの日記です」

「絵日記ですか?」

「違いますよぉぉ! 普通の日記ですっ!」

 

 初等科でも、低学年は絵日記、高学年はノーマルな日記になる。

 もちろん、日記に絵をつけて悪いわけではないけれど、毎日描くのは大変なのだ。

 

「あたしのはイラスト入りだけどねっ!」

「リオのはパラパラ漫画でしょぉぉ!? しかも、ちびリオがゴライアスの首をザクッと飛ばすやつぅぅ!!」

「ひどい!?」

 

 聞いていたコロナが涙目でしゃがみこんだ。

 

「でも、ヴィヴィオさんが宿題を終わらせていない――というのは、確かに珍しいですよね?」

 

 ミウラさんが蹴りを止めて話しに加わってくる。

 

「はい。夏休み中って、午前中はジムでトレーニング、午後はみんなで遊ぶか、家で宿題――と、毎日学校に通ってる並のスケジュールだったので、何だか日記がつまらないなぁ~と思いまして」

「そんな日記にサービス精神出さなくても……」

「そうだよ、ヴィヴィオちゃん」

「ユミナさん!」

「アインハルトさんの初等科の頃の日記なんて『コピペか!?』って職員室で騒がれたくらいなんだから」

「規則正しすぎるっ!?」

 

 っていうか見てみたい……。

 

「いーなー、ユミナさん読んだことあるんだぁ~」

「そこは回収する委員長の特権で」

「勝手に見たら犯罪ですよねっ!?」

「まあまあ、アインハルトさんの日記が目の前に置かれてたら……陛下だって見ますよね?」

「……はい」

 

 途端に笑顔になると、2人でパーンとハイタッチ。

 

「2人とも、ハルさんがいのーて本当によかったです……。こがぁなん聞かせらりゃぁせん」

「まあまあ、フーちゃん。私だってチャンピオンの日記があったら、ちょっと読んでみたいもん」

「リンネまで……」

「仕方ないなぁ~」

 

 と、リオがわたしの日記を取り上げる。

 

「このあたしが……ヴィヴィオの友達……いやいや、大親友にして、次元世界ルーフェン出身で春光拳の師範レイ・タンドラの孫娘、リオ・ウェズリーがぁぁ~」

「最近出番が少なかったからって何度も言い直さなくていいから!」

「日記のネタを提供してあげよう――」

 

 

     ●

 

 

○月×日 晴れ

 

 

 夏休みということもあり、

 

『実家に帰らせていただきます』

 

 と、夫婦ゲンカみたいな台詞を言い放った中等科のアインハルト・ストラトス先輩に誘われて、わたしは覇王家の本家にお邪魔しました――。

 

 

     ●

 

 

「ちょー、ナニコレェェ!? どーすんのこれぇぇ!

 いや、まあ、アリといえばアリなんだけどぉぉ!!?」

 

 

「「「アリなんだっ!!?」」」

 

 

 リオが言う。

 

「続きなんだけど、フーカさん、夏休みに覇王流一門の集まりとかありましたよね?」

「そがーなことは特になかったかと……」

「ありましたよねっ!?」

「ううっ……わかりました……」

 

 リオの無茶振りを受け、フーカさんがわたしの日記の続きを書く。

 

 

     ●

 

 

 わたしがハルさん……じゃなかった覇王家の本家に到着すると、アインハルトさんのお兄さんが2人、お姉さんが2人、出迎えてくれました。

 

 

『我ら、ストラトス四天王っっ!!』

 

 

     ●

 

 

「なんかスゴイの来たァァ――っ!?」

 

 いくらわたしでも想定外の展開。

 

「マズかったんじゃろーか?」

「いえいえ、これもアリといえばアリなんですが……」

 

 

「「「やっぱりアリなんだっっ!!?」」」

 

 

 すると、リンネさんがポンと手を叩いた。

 

「あ、この展開……昔、院の本で読んだアレだよね?」

 

 わたしの日記がフーカさんの手からリンネさんの手にバトンタッチされる。

 

 

     ●

 

 

『アインハルトの身柄は預かった。再びアインハルトと会いたければ、五重の塔の各階で待ちける我ら四天王を倒し、最上階に囚われたアインハルトを救ってみせよ!』

 

 

     ●

 

 

「それどこのバトルマンガぁぁ!?」

 

 奴は四天王でも最弱――とか言って戦いが続くのだろうか。

 

「バトルシーンだけで日記が1か月埋まりそうなんだけど……」

 

 リオが軽い調子で言う。

 

「大丈夫、大丈夫、バ●タードなんて2人の敵と10年以上戦ってたから――」

「うん、わたしもアレは長すぎたと思うけどねぇぇ――っ!」

 

 方舟編まではあんなにテンポよかったのにぃぃ!

 すると、

 

 

 ――パンパン!

 

 

 と、手を叩く音。

 ユミナさんだ。

 

「みんな格闘選手だから戦いたいって気持ちはわかるけど、解決方法は一つじゃないんだよ?」

 

 わたしの日記はリンネさんからユミナさんへ。

 

 

     ●

 

 

 わたしはアインハルトさんを救うため、魔法で空を飛び、直接、五重の塔の最上階を目指しました――。

 

 

     ●

 

 

「まさかのスルー来たァァ!!」

 

 たった2行で解決しちゃったんですけどぉぉ!?

 ていうか、今度は短すぎるっ!

 

「ミウラさん、どうにかしてください!」

「ええっ、ぼ、ボクですかぁぁ!?

 ま、まあ、ボクもこういう展開は嫌いじゃないですし……」

 

 何だか、妙にやる気なのが逆に心配である……。

 

 

     ●

 

 

 最上階には、椅子に座った格好でロープに縛られたアインハルトさんがいました。

 

『大丈夫でしたか、アインハルトさん。助けに来ましたよ!』

 

 ところが、わたしがロープを解いた途端、今度は、アインハルトさんが襲いかかってきたのです。

 

『ヴィヴィオさん、残念でしたね。実は、私こそが四天王最後の刺客!』

 

 

     ●

 

 

「ちょっと待ったァァ! 1人多い、1人。もう四天王じゃないですよね!?」

「気にしたら負けですよ!」

 

 そういえばミウラさんの文系の成績って……。

 あの八神一家がバックについて赤点ギリギリだったという……。

 それはそれで難しいと思うんだけどなぁ……。

 

「安心してください。こんなこともあろうかと、私が伏線を張っておきましたから!」

「ええっ!?」

 

 リンネさんが書いた行を読み返すと、

 

 

『五重の塔の各階で待ちける我ら四天王を倒し――』

 

 

「ホントだ、五重の塔の各階ってことは、5人必要だぁぁ!?」

 

「「「流石リンネさんっ!」」」

 

 さすりんである。

 とはいえ、

 

「このあとどうしたら……」

「大丈夫だよ、ヴィヴィオ」

「コロナ……」

「ヴィヴィオとは、1年のころから大の仲良しだった私がどうにかしてみせるから――」

 

 何気にコロナも自分アピールしているなぁ~。

 

 

     ●

 

 

 死闘の末、どうにかアインハルトさんを倒すと、

 

『実は私はあなたのお母さん――』

 

 

     ●

 

 

「いやいやいや、流石にそれは……」

「あれ? ダメ? じゃあ――」

 

 コロナは消しゴムで文字を消すと、改めて書き始める。

 

 

     ●

 

 

 死闘の末、どうにかアインハルトさんを倒すと、

 

『実は私は(そっくりに見えるけど)アインハルトのお母さん――』

 

 

     ●

 

 

「ナイスパスいただきましたぁぁ――っ!」

 

 

「「「あ~、そっちはいいんだぁ~」」」

 

 

 わたしは意気揚々と日記に最後の一文をつけ加える。

 

 

     ●

 

 

 事態を知り、急ぎ駆けつけた本物のアインハルトさんと、娘そっくりなアインハルトさんママ。

 

 

     ●

 

 

「――わたしは両手にアインハルトさんで満足しました。おしまい」

「よかったね、ヴィヴィオ……」

「どうして泣いてるのコロナ!?」

「まあ、ヴィヴィオさんらしいというか」

「うん、うん、確かに」

「ヴィヴィさんらしい結末じゃのぅ」

「あ~、そーいうのでいいんだぁ~」

 

 すると、

 

 

「みなさん、今日はお早いですね――」

 

 

 満を持して、アインハルトさんがジムに登場する。

 わたしたちは試合直後のように駆け寄ると、

 

「アインハルトさん、お疲れ様でしたー」

「お疲れ様です、アインハルトさん」

「お疲れ様でーす!」

「お疲れ様でした!」

「お疲れ!」

「えっとハルさん、みなさん悪気があったわけじゃぁのぅて」

「チャンピオンも大変ですね」

 

 

「え、ちょ、一体何があったんですかぁぁぁぁ~~~~っ!!?」

 

 

「よかったら参考にしてくださいね、みんなの合作です!」

 

 わたしが日記帳を手渡すと、アインハルトさんはページをパラパラめくりしばらく読んだあと、

 

 

「……アリですね」

 

 

「「「「「「「アリなんだっ!!?」」」」」」」

 

 

「……私の日記にも書いておきましょう」

 

 

「「「「「「「書くんだっ!!?」」」」」」」

 

 

「あ、でも、アインハルトさん、中等科って日記の宿題ないんじゃ」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

 




最近『ViVid』チームの出番がなかったので、久しぶりに書いてみました。
本当は8月中に夏祭りネタとかやりたかったんですが、結局やらずじまいだったのでこんなことに……。

ところで、アインハルトさんちの家庭事情なんですが、実際のところどうなっているのでしょう?
誰かご存じですか??
『ViVid』においてはヴィヴィオと並んでもう1人の主人公――『無印』で言えばフェイト級――にもかかわらず、いまいち……というよりほとんど語られることのない私生活。
シャワーシーンしか思い出せません(笑)。
ひょっとしたら他にもあったのかもしれませんが、ちっとも思い出せない……。
公式でなければ適当にでっち上げて(笑)、アインハルトさんの実家ネタとかやってみたいです。

さてそんなわけで、映画公開からはや1か月。
正直、細かい内容を忘れてちょっと不安……というか、かなりうろ覚えの部分も多いのですが、いよいよ劇場アニメ第3弾『魔法少女リリカルなのはReflection』について触れてみたいと思います。
形式としては、ヴィヴィオとゲストが色んなキャラと随時通信をつなげてツッコミを入れたり考察してみたりする――感じでやってみようかと。
ネタバレ必至ですが、映画を観た人も観ていない人も、あとで円盤を見るのが楽しみになればいいなと思っています。
というわけで、

次回『そろそろいいよね? Reflection』

で、リリカルマジカルがんばります!
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