アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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少し早いですが、9月18日は〝敬老の日〟ということで、あの人が再登場!
様々な(迷惑な)プレゼントを手に、高町ヴィヴィオが、いま、会いに行きます!!



プレシアの日

 9月の第3月曜日は〝敬老の日〟である。

 ちなみに今年は9月の18日(あくまで地球の日付でですが)。

 そんなわけで、わたしはMy祖母に会うため、再び、例のあの場所を訪れたのだけど……。

 

 

 ――ガチャ、ガチャ、ガチャ!!

 

 

 わたしは必死こいてドアノブを回す。

 さらに、アインハルトさんばりのちょっと強めのノック。

 

 

 ――ドン、ドン、ズゴゴォォンッ!!

 

 

「プレシアお婆ち~ゃん、敬老の日をお祝いに来たよ~」

「そんな年寄り扱いで祝われたくなんてないわよっ!? ――それ以前にあなた、どうやってここに来たのよ!?」

「その件は置いといて」

 

 プレシアお婆ちゃんが中々玄関のドアを開けてくれません。

 

「だいたいあなた、わざわざ私のところに来なくても他に祖父母がいっぱいいるでしょ。高町なのはの両親や、フェイトの新しい母親のところとか――」

「あ~、桃子さんはちょっとお婆ちゃん扱いを嫌がるんで……」

「私だってそうよっ!?」

「士郎さんは喜ぶんですけどね~」

「聞いてないっ!?」

「あと、リンディさんのとこは――ほら、お婆ちゃんも会ったことあるでしょ、クロノ提督のお子さんがいるんで……」

「さり気なく完全お婆ちゃん呼びされてるっ!?」

「そんなわけで、敬老の日にお爺ちゃんお婆ちゃんに喜ばれるプレゼント第1位(ヴィヴィオ調べ)――孫が会いに来てくれる――を実践してみましたぁぁっ!!」

「そんなこと実践しなくていいわよっ!」

 

 わたしが体重をかけてドアを押しこむと、プレシアお婆ちゃんも負けじと押し返す。

 一進一退の攻防。

 

「……くっ、これが噂の〝孫ブルー〟というやつかしら」

「スーパーサイヤ人ブルー?」

「どこのド●ゴンボールよぉぉっ!?」

 

 

     ●

 

 

 そんなわけで、ようやく家の中に入れてもらえることになりました。

 椅子に腰かけると、プレシアさんがテーブルに突っ伏した。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……そ、そういえば高町なのはも相当しつこくフェイトにつきまとっていたわね……あの子が折れるわけだわ……」

 

 フェイトママが押しに弱いのも、結局のところプレシアさん譲りなのだろう。

 アリシアさんは結構強そうなのに……。

 

「まあまあ、ただ会いに来ただけじゃなく、ちゃんとプレゼントも持ってきましたから」

「ま、まあ、そういうことなら受け取らないこともないけど……」

「そういえばアリシアさんは?」

「みんな出かけてるのよ。アリシアならすぐに戻ると思うけど」

 

 わたしは早速、鞄から透明な袋でラッピングされたお菓子を取り出す。

 

「わたしの学校の先輩が作ってくれた鉄アレイ型クッキーですよ~」

「……鉄アレイ型という点が酷く気になるんだけど……いただくはっ!?」

 

 

 ――ガッキィィン!

 

 

「はが、はがっ、ただの本物のミニ鉄アレイじゃないっ!!?」

「いえいえ、一応食べれるらしいですよ? 一晩ミルクにつけとくとか……」

 

 少し目を逸らす。

 

「いやいやいや、おかしいでしょ!?」

「一応、作るとこ横で見てたんですけどね、使ってたの普通の食材でしたし……」

「あなたの先輩は錬金術師か何かなのかしら……?」

 

 覇王のアトリエです。

 

「まあ、今のは軽いジャブというか冗談で、わたしからは、はい、手作りの〝エコたわし〟です」

 

 洗剤不要。アクリル100%の毛糸で編んだたわしだ。もちろんウサギ柄である。

 

「……地味に現実的ね。いや、悪いわけじゃなくて何というか普通に使えてしまうというか……」

 

 高町ヴィヴィオは優等生です。

 

「あ~〝娘☆命うちわ〟なんてのもありますけど?」

「それは遠慮しておくわ……」

 

 ちょっぴり残念だったけれど、取り出そうとしたうちわを鞄にしまう。すると、別のプレゼントが目についた。

 

「おっと、一番大事なモノを忘れるところでした。孫といえばもう一組。昔フェイトママが保護した子供が2人いるんですが――」

「ああ、エリオとキャロと言ったかしら、会ったことはないのだけど……」

 

 知っているなら話は早い。

 

「その2人からもプレゼントを預かってますよ。メッセージカードとクッキーです」

「……クッキー!?」

 

 先程の大惨事を思い出しつつ、恐る恐る2人で口に運ぶ。

 

「もぐもぐ、さっきのクッキーのあとだと……」

「100倍美味しく感じるわね……ところでヴィヴィオ、あなたの鞄がゴソゴソ動いているのだけど?」

「へ?」

 

 

 ――のそ、のそ……。

 

 

 現れたのはのっぺりとしたアホ毛に二本足の黒っぽい生き物(?)。

 

「あ~~~~~っ、忘れてました。友達から預かった〝ちびリオ〟です。せっかくだからプレシアさんにプレゼントしたいとかで」

「……これを? 邪悪な気配がプンプンするのだけ――ぐふっ」

 

 

 ――ドスッ!

 

 

 アホ毛が伸びてプレシアお婆ちゃんを襲撃する。

 

「こ、こんなのいらないわよっ!?」

「ひょっとしたら相通ずるものがあるかも――と思ったんですが」

「ないわよっ!? 色だけでしょっ!。

 くっ……こうなったら、目には目を、ゴーレムにはゴーレムを――いでよ、メカリニスっっ!!」

 

 ズモモモモ~って感じの効果音を発しながら、テーブル上のアインハルトさんクッキーがウネウネしながら融合召喚。

 理由はさっぱりなのだけれど、金属色でロボっぽいねんどろいどサイズの〝リニスさんゴーレム〟が創成されていく。

 

「何かメカゴジラっぽいの来たァァ!?

 こんな魔法を用意してるなんて、よっぽど暇だったんじゃ……」

「うっさいわよっ!?

 メカリニス、そんな魔物ごとき一撃で倒してしまいなさい!」

「いや、魔物じゃないんですけど~」

 

 リオ~。

 

「――って、うわぁぁ、メカなのに昇竜拳っっ!? ヨガフレイムにサイコクラッシャーってナニコレっ!? リニスさんに何やらせてるのぉぉ!?」

「ふっ……やめてよね、本気で喧嘩したら、『ViVid』メンバーが『無印』メンバーにかなうはずないでしょ!」

「気持ちはわかるけど、どこかで聞いたことあるような台詞ぅぅ!」

「とどめよ! 光子力ビームっ!」

「いやぁぁ~、それもう魔法でも何でもない~」

「メカなんだから目からビームでしょ!」

「間違ってはいないけど何か違うゥゥ!」

 

 などとワイワイしていると、

 

 

「たっだいま~っ!!」

 

 

 フェイトママによく似た明るい声が玄関から聞こえてくる。

 

「あ~、アリシア、お帰りなさい――そーれロケット山猫パンチっ!」

「あ、アリシアさんおじゃましてーます――って、いやぁ~肉球が幸せになれる!」

「ヴィヴィオ来てたんだ……って、2人とも何してるのかな?」

「実は――って」

 

 見ると、上半身裸で下半身にパレオみたいなのを巻いたびしょ濡れのアリシアさんが、1メートルはありそうな巨大魚を両腕で抱えていた。

 

「どこの丸焼き姫ですかぁぁ!?」

「いや、そんな懐かしい名称で呼ばれても……」

 

 知らない方は『レ・ミィ ゾイド』で画像やら動画を検索してみてください。

 

「フェイトママと背中合わせでED歌ったり?」

「うん、私を自動的にチビっ子扱いするのはやめてくれるかな……」

「というか……」

 

 アリシアさん。

 

「えらく元気ですね」

「どういうこと?」

「『INNOCENT』のアリシアさんが元気なのはいいとして、元々の『無印』や『A's』あるいは『The MOVIE 1st』や『The MOVIE 2nd A's』のアリシアさんを知っていると、何かこう、どことなく危ういというか、はかないイメージがあって……」

 

 影がある少女――といった感じだった。

 プレシアさんが「そうなのよね」と溜め息を吐いた。

 

「私もつい忘れがちになるのだけど、事故や長い間ポッドで眠っていたイメージが強すぎて……」

「ママまでっ!?」

「偏ったイメージだとはわかってるんですけどね……」

 

 単純に魔力量の低いフェイトママ――だと考えればそりゃ元気だろう。運動神経もいいに違いない。

 あれ?

 だとすると、魔力使用に制限のある格闘大会なら……アリシアさん、実はかなりの好成績を収められるのでは??

 というか、若いころのプレシアさんなんて総合魔法戦競技をやらせたら、それこそワールドチャンピオンだって夢じゃない。

 あわわわわ……。

 ちびリオだけじゃない。

 何だかわたしも体がウズウズしてきた。

 

「それでヴィヴィオ、今日はどんな用事で来たの?」

「敬老の日よ、敬老の日。まったく、この私をお婆ちゃん扱いして……あとでフェイトに苦情を入れないと」

「アハハッ! まあまあ、確かに最近は〝孫ブルー〟なんて言葉もあるみたいだけど、あれって要は、孫のために体力や時間、お金を使いすぎて憂鬱になる――だから、適度な距離感を保ちましょうって話でしょ?

 でもさ、うちってどーせ家族以外に訪ねてくる人もいないし、基本的に暇だし、お金も使わないし、ママとしては孫に相手してもらえて、ちょうどよかったんじゃない?」

「……ま、まあ、そういう見方もあるわね……って、今度はこの子何を始めたのかしら?」

 

 わたしは「1・2・3・4――」と屈伸運動を行う。

 

「いや~、色々と理由を考えてみたんですが『GOD』のストーリーモードじゃプレシアお婆ちゃんと戦うチャンスがなかったじゃないですか~」

「色々と理由ってナニ!? まさか……」

「これから一戦やりましょうね、プレシアお婆ちゃんっ!」

「いやいやいや、やらないわよっ!?」

「アリシアさんも格闘競技ルールでどうです?」

「あ~」

 

 

「オッス、おらヴィヴィオ! ワクワクすっぞ――みたいな感じですねっ!!」

 

 

「ちょ、アリシア、うちのスーパーサイヤ人ブルーどーにかしてぇぇ!」

「うん、孫ブルーね」

 

 

 




孫(悟空)ブルー。

というわけで、気がついたらプレシアの性格がこんなことに……。
ベースは狂気に陥ったプレシアだったのに……まあ、吹っ切れたと思えばこんなものかという気もしないでもありませんが。
自分で書いておいてなんですが、プレシアさんが楽しそうでなによりです。

さーて来週のアインハルトさんはちっちゃくないよは(こう書くと、サザエさんっぽいです)。

敬老の日のあと。
久しぶりにアインハルトと2人きりで帰宅中のヴィヴィオは、塀の上で寝そべるリニスそっくりな山猫を発見して……???

次回『わたしの世界にリニスさんはいない 前編』

で、リリカルマジカルがんばります!
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