それも、テスタロッサ家(プレシア)の飼い猫だという。
さらに、ヴィヴィオが『わたしの世界にリニスさんはいない』と証明した、そのリニス――と、アリシア――が、2世を迎えに来るという……。
ヴィヴィオたちの目の前に現れた、プレシアの使い魔(?)リニスの正体とは!!?
こんにちは、みなさん、高町ヴィヴィオです。
あれから1週間。まあ、こちらの世界では15分程度なんですが……緊急事態です。かなり大変なことになっています。
「私窓際の席ねっ!」
「にゃー」
「ほらアリシア騒がないでください」
「だってファミレスなんて久しぶりなんだもん!」
「にゃぁ~」
というわけで、わたし、アインハルトさん、リオ、コロナの4人は、アリシアさん、リニスさん、リニス2世――2人と1匹と、近所のファミレスに来ています。
ちなみに席順は、
ヴィヴィオ アインハルト リオ
┌────────────────┐
窓│ │
└────────────────┘
アリシア リニス コロナ
(2世は膝の上)
こんな感じです。
「それであの~、リニスさん」
「はい?」
「失礼ですが、本物なんでしょうか?」
「ええと、本物というと?」
「実は、リニスさんが恋しくて、病んだプレシアお婆ちゃんが変身しているとか」
アリシアさんが「ぷっ」と吹いている。
リニスさんも苦笑いを浮かべ、
「あ~、それはないですね」
「えっと、じゃあ、幻術魔法とか……」
「いえ、そういうのでもないです」
「だったら、こう、『Reflection』の特典映像で出てきたアインスさんみたいに、頭に天使の輪が乗ってる的な存在とか……」
「ちゃんと生きてますよ」
「いやいやいや、大変失礼ですが――」
わたしは溜めて溜めて、
「リニスさんが生きてるはずないじゃないですかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
ファミレスのお客さんが「ナニゴト!?」と一斉にこちらを振り返った。
「そんなに全力全開で叫ばれましても……」
「そっか、こっちじゃリニスいないんだ~」
ドリンクバーでリオと一緒に混ぜ合わせた謎ジュースを、アリシアさんが「マズっ」と言いつつ楽しそうに飲んでいる。
「まあ、本来アリシアさんとプレシアさんもいないはずなんですけどね」
「別に生きてたなら生きてたでいいんじゃない? そんなにこだわらなくても――」
とはリオ。
「そうは言うけど、例えばドラ●ンボールでドラゴン●ールも集めずに復活したらどう思う?」
「……それは、うん、マズいかな~」
フリーザ様でも出来ない芸当だ。
「だったらヴィヴィオ、前回のアレを話したら?」
コロナがリニスさんから預かった2世を膝に乗せながら言う。
「あ~、うん。もしリニスさんが生きているとしたら、
①プレシアさん以外に新しいマスターを見つけた。
②マスター以外から魔力を手に入れる方法を見つけた。
このどちらかだろうって話したんですけど……」
「①はムリだね~。リニスが一目惚れしちゃうようなカッコイイ男性マスターがいれば話は別だけど」
「アリシアぁぁ!?」
「ま、いたら2世が欲しい――なんてママに言わなかっただろうしね~」
オリキャラはなしと考えた場合、唯一可能性があるとすれば、リニスさんを養える魔力量といい、当時すでに2人の猫の使い魔を従えていたグレアム元提督くらい。
それはそれで違和感がないのだけど。
「私のマスターはプレシアだけですよ。それと②も却下ですね。例え死ぬとわかっていても人様に迷惑をかけてはいけません。アリシアもいいですね? その点プレシアときたら……」
「ね、リニス真面目でしょ?」
性格的に、他者から魔力を奪うことも不可能。だとすれば、
「リニスさんもフェイトさんのように、プロジェクトFで生み出された複製体なのではないでしょうか?」
「アインハルトさんにしてはまともな答えですが……」
「!?」
「言う通りかも……いえ、それしかありませんね!」
「ブゥ~、それもハズレですよ」
リニスさんがわたしとアインハルトさんを見て楽しそうに笑っている。
「え~」
「私は正真正銘、かつてフェイトとアルフに魔法を教えていたリニス本人なんですよ」
うー。
「それってもう、完全にIFで、『無印』や『The MOVIE 1st』で最初からリニスさんが死んでいない並行世界なんじゃ……」
「そうですね、私の口から説明してもいいんですが、せっかくなのでプレシア本人から直接聞いた方がいいかと。
プレシア、プレシア、聞いているんですよね。映像もつなげますよ?」
あ、聞いてたんだ~、と口にする間もなく映像通信のウインドウに映ったプレシアさんとリオが顔を見合わせた。
微妙な空気が流れる。
『アリシア気をつけなさい! そんなところに魔物の親玉が!』
「魔物ぉぉ!?」
あ~、おそらく敬老の日のちびリオのせいだろう。
突然、リオの頭上に現れた黒い雷雲から紫の光がほとばしる。
「アババババッ!?」
――ぷしゅ~。
「りっ、リオォォ――っ!?」
茶色く焦げたリオが、漫画みたいに口から煙を吐いた。
「ま、まさか……ライデインっ!?」
『エビルデインよ』
「2人とも違うよね!? 無印や映画でママが使った次元跳躍魔法――サンダーレイジO.D.Jでしょ。というか、ママ、今の子ヴィヴィオの友達だって!」
『……』
「本当ですよ、プレシア」
『……昔の人は言いました。ハイマットフルバーストもたまには外れる、と』
「何その弘法も筆の誤りみたいな言い訳ぇぇ!?」
「プレシア!」
「まあまあ、リオならすぐにコンティニューしますから」
コロナとアインハルトさんも「うんうん」頷いている。
「そんなことよりプレシアお婆ちゃん、どうしてリニスさんが生きてるってこと、教えてくれなかったのぉぉ!」
きっと、フェイトママとアルフは涙を流して喜んだことだろう。
なのはママが嫉妬するくらい。
すると、プレシアお婆ちゃんの口から飛び出したのは意外な一言だった。
『……それはむしろ私が聞きたいくらいよ。あなたたちはどうしてリニスが死んだなんて思ったのかしら?』
「それは、リニスさんについて書かれた色んな媒体で、プレシアお婆ちゃんとの使い魔契約が切れて消滅したって」
『GOD』にいたっては、闇の欠片とはいえリニスさん本人の口から『私はちゃんと、役目を終えてから消えましたし』という台詞まであった。
これで信じないわけがない。
『それで、あなたは直接その目でリニスが消える瞬間を見たのかしら?』
「そ、それは……」
不可能だ。
リニスさんの死は、リリカルなのは本編が始まるよりも前の出来事なのだから。
『そう、誰も見ていないのよ?
もちろん、あなたの言う通り、本当にリニスが亡くなった世界もあったのでしょう。
でもね、冷静に考えてごらんなさい。
そもそも、私がリニスを使い魔として蘇らせる以前、どうしてアリシアと一緒に遺体をポッドで保存していたのか――その理由を』
「それは……アリシアさんが生き返った時、飼い猫のリニスさんがいないとアリシアさんが悲しむからで……」
隣のアインハルトさんがわたしの両肩をつかんで揺らす。
「そうですよヴィヴィオさん! 娘☆命のプレシアさんが、アリシアさんの気持ちを無視してまでリニスさんの消滅を図るでしょうか?」
「それは……」
確かにおかしいのだけど、
「そこまで追い詰められて、心を病んでいたとしたら……」
『……そうね。おそらく、アリシアを生き返らせるためにリニスを消す――この矛盾に気づくかどうかが、今の私たちの日々にたどり着く〝鍵〟だったのよ』
すると、たまたまファミレスの窓ガラス越しに、外を歩いているユミナさんと目が合った。
ジムのバイトリーダーでもあるユミナさんは忙しいのだ。
ユミナさんはアリシアさんを見て慌てたように一礼すると、わたしたちに手を振って去っていった。
プレシアさんが話を続ける。
『前々から考えてはいたのよ。
無事にアルハザードにたどり着いた私たちと、たどり着けなかった私たちの違いは一体何だったのか?
運だけだったのか?
それとも他に――とね』
「それがリニスさんってことですか?」
『ええ。
アリシアのことを想い、リニスを殺してはいけない――そのことに気づけたかどうか。
この、ほんのわずかな正気の差が、後に大きな差につながる。
ジュエルシードを使いアルハザードへの門を開こうとした時に、主人の命を守るため全力でサポートする使い魔がいたとしたら』
「そんなの、完全にただの〝IFルート〟じゃないですか!?」
『あらヴィヴィオ、本当にそう思う?』
「それって……?」
『あなたも無印や映画を観たのでしょ?
アリシアが入っているポッドは登場したけれど、もう1つ、かつてリニスが入っていた同型のポッドが1度も映らなかったのよ』
「それは別の部屋にあったからで……あ」
『そう。あなたも気づいたようね。
1度は消滅させようとした相手を、大事なアリシアと同じ部屋に置きはしない。
さらに、身体の負担を減らすため、アリシアが起きるまで、ポッドで眠らせていたとしたら?』
「そ、それは……」
『そうそうヴィヴィオ、あなた、時の庭園の崩壊シーンで、一瞬でいいから別のポッドを見た覚えはない?』
「そ、そんなこと……」
『本当にない?』
「……わ、わかりません」
そこまで細かく見たことはない。
『そういうことよ。
表立っては何も変わらない。
全て、あなたたちの知っている歴史通り。
だけど本当は、私がリニスとの使い魔契約を続けていた。
1人立ち去り、消える寸前だったリニスを回収して。
フェイトにもアルフにも話すことなく、ひっそりとポッドで眠らせていた。
どれだけ狂気に陥ろうと、アリシアのことを思えば、ね……。
それだけのこと』
そっか。
たったそれだけでよかったのだ。
みんなが幸せになるには……。
『まあ、全てが丸く収まったあと、リニスから、私も子供が欲しいんですけど――と言われた時には、さしもの私も焦ったのだけど』
「その件は言わないでください」
「私もそういうのはちょっとお断りというか……」
「アリシアぁぁ!?」
『アルハザードの技術なら、同性でも可能なのかしら……とかね』
「違いますからねぇぇ!?」
「やっぱりイケメンが良かった?」
「それも違いますからぁぁ!」
「にゃぁ~」
真面目なリニスさんを、プレシアさんとアリシアさんがからかい、2世はいつものことかと眠りにつく。
アインハルトさんが顔をほころばせた。
「幸せそうな家族ですね」
「はいっ!」
まるで、聖夜を彩るイルミネーションのように光り輝く世界。
「うちに帰ったらなんて報告しよう」
リニスさんのこと。
フェイトママが驚いて腰を抜かさなければいいけど……。
こうしてわたしはみんなと別れ帰路についた。
そして、高町家の玄関を開けた瞬間、
――ズゴゴオオオオオオオン!
「はぷぅ~~~」
正面からの爆風で、わたしはゴロゴロ後方に吹き飛ばされた。
「な、ナニゴトっ!? 家の中で何が起こってるのぉぉ――っ!!?」
身の危険を感じたわたしはバリアジャケットをまといリビングに突入する。
すると、
「フェイトちゃん、お仕事サボってヴィヴィオたちとファミレスでお茶してたってユミナちゃんから連絡があったよぉぉ、しかも子供モードでぇぇ! フェイトちゃんばっかずっこぉぉ――いっ!!」
「そんなことしてないからぁぁ! むしろニセモノの隣にいた胸の大きい美人さんってのが、なのはの変装なんじゃぁぁ!?」
「正直に言わない子は……少し頭を冷やそうか……スターライト……」
「ああ、もぉぉ、プラズマ――」
我が家だけ最終戦争(ハルマゲドン)でした~。
たぶん、ユーノ司書長直伝の結界で高町家は壊れないけど、みなさん、生きていたらまた来週お会いしましょう。
というわけで、屁理屈をこねくり回してどうにかやってみました。
かなりヤムチャだな~、とは思ったのですが。
まったく異なる並行世界はなし、あくまでリリカルなのは本来のストーリーそのままで生きている可能性を模索した結果、これが限界かな~と。
「いつも私は……気づくのが遅すぎる……」
「いいえ、まだです! まだチャンスはありますよ、プレシア!!」
そんな感じです。
見落としや、明らかにおかしい点があるかもしれませんが、そこは力不足ということですみません。
というわけで、リニス生存ルートまではよかったけれど、高町家のなのはVSフェイトは延々と続き、
「こうなったらフェイトちゃん、久しぶりに全力全開で決着をつけるしかないようだねっ!」
果たして、なのはが選んだ勝負内容とは!!?
次回『高町家で初代桃鉄やってみた』
で、リリカルマジカルがんばります!