昨年、アインハルトさんが初等科のリレーを爆走(ViVid LIFE2巻より)した結果、合同開催になった体育祭。
目玉競技として、ゴーレムによる親子参加の騎馬戦が行われることに。
ヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルト、ユミナ、そして、なのは。それぞれが創成するゴーレムとは!?
「え、今年の騎馬戦は親子競技なのっ!?」
高町家のキッチンで、なのはママが目を丸くしてコチラを向いた。
「ほらママ、手が止まってるよ~」
「あ~、ゴメンゴメン……」
慌てて夕食のシチューの入った鍋を、シリコンのヘラでかき回し始める。
「ほら、運動会――今年から体育祭なんだけど、初等科・中等科で合同になったでしょ? 学院祭みたいに」
「あ~、去年アインハルトちゃんが初等科のリレーで爆走したのが原因だったっけ? しかもアンカーで優勝しちゃったやつ。うちにもフェイトちゃんが撮ってたのあるよね」
「……うん」
アインハルトさんの黒歴史にまた新たな一ページが刻まれたわけだが、お陰で今年は一緒に体育祭を楽しめるというもの。
「まあ、チームは別々なんだけどね」
「あはは、残念」
「クラスも縦割りになったから、今年はわたしとリオコロも別チーム」
「へぇ~、珍しいね」
「うん。でね、リオとアインハルトさんが一緒のチームなんだけど……」
「何だか微妙な組み合わせだね~」
「うん、わたしたちみんなそう思った。まあそんなわけで初等科と中等科合同なんだけど、フィジカル面はともかく魔法競技の場合、初等科でも大人顔負けの子っているでしょ?」
「コロナちゃんとか?」
「うん、そう――」
昔のママたちなんて、もっと大人顔負けだったろう。
「だから、いっそのことゴーレムを使った騎馬戦をやって、それを自由参加の親子競技――目玉の1つ――にしようかって」
「なるほど~」
ゴーレム同士の戦いならケガ人も出ないし、普段運動をしない父兄のみなさんも筋肉痛にならない。
それに、
「ド派手な勝負だから、一般で観に来た人も楽しめるでしょ?」
「そっか~、ちょっと面白そう。――で、ゴーレムといえばコロナちゃんなわけだけど、やっぱりゴライアス?」
「どうかな? 一応、わたしとリオの予想だと〝マスターガンダム&風雲再起〟じゃないかって」
「あ~、そっち系か~。それにはちょっとふつーのゴーレムじゃ敵わないねぇ~」
「……うん、コロナ張り切ってたし。まあ、大穴で〝ガンダムキマリス・トルーパー〟って説もあるけど」
どっちみち勝てそうにない。
「あはは、リオちゃんはどうするって? また〝ちびリオ〟?」
「本人としては、もっと格好いいゴーレムがいいって言ってるけど」
「へぇ~、例えば?」
「〝ガオケンタウロス〟か、〝ウルケンタウロス〟」
「あ~、戦隊ロボかぁ~、でも、そっか、騎馬戦だと思えばむしろアリか~、貴重な人馬タイプのロボだしね」
「うん。やたらと気合入れてたから、今年はついにちびリオ以外のゴーレムで参戦かなって」
リオが、ちびリオ以外のゴーレムを創成する姿というのはイメージできないけど。
「それはそれで逆に寂しいね~。アインハルトちゃんはどうするの?」
「まだ考え中みたい。ただ『私もみなさんのように地球の作品を参考にしてみますね』って宣言してたから……うん、ちょっと楽しみかも」
覇王に関係するロボか、それともまったく別のゴーレムか……。
「ん~、例えばリューナイトとか?」
「あ~、あるかも。騎馬戦って言ってるけど、別に騎馬にこだわらなくていいしね」
「そうなの?」
「うん。騎馬型のゴーレム限定にすると、ゴーレム創成のハードルが高くなっちゃうでしょ?」
「そっか」
「だから中等科は人型で、初等科はスライムとか単純な動物タイプが多いんじゃないかな?」
学院サイドとしては、おそらくねんどろいどみたいなカワイイちびキャラたちがぶつかり合うイメージなのだろうけど……コロナもいるしなぁ~。
抑止力は必要であろう。
「ちなみにヴィヴィオはもう決めたの?」
「わたしもまだ考え中。わたしでも作れそうなゴーレムで、そこそこかっこよくて戦力になりそうなのって中々思いつかなくて……」
「武者ゼータとか?」
「あ~、それいいかも! 何か本拠地守ってそうだし、ケンタウロス形態もあるし……でも、あんな難しいの、コロナかプレシアお婆ちゃんしか創成できないって~」
わたしにはまだまだレベルが高すぎる。
「う~ん、そっか~」
「変形とか合体はなしで」
「黒のアーチャーは?」
「いきなりロボ以外きたねー。でも、そっか、言われてみるとアリかも……」
ただ、できれば、わたしとしてはロボにこだわりたいのだけど。
「そんなことよりママはどうするの?」
「え、私が出ること決定なの?」
「うん。きっと盛り上がると思うよ!」
なのはママは「う~ん」と考えて、
「最近のなら、『ナイツ&マジック』のツェンドリンブルとか……」
グリーンのケンタウロス型のロボだ。
「そういえばママの王国もあったしね~」
「あはは、それに文庫版のイラストが『Force』やこの前の映画でデバイスのデザインなどをしていた黒銀先生だし」
「あ~、そういうつながりもあったんだ……」
そういった意味では、絵面的に違和感が少ないのかもしれない。
「でも、フェイトちゃんと一緒だと考えると、やっぱりパラメイルかな~」
「あ~、クロスアンジュ?」
「そうそう」
スパロボにも参戦したことだし、コロナのマスターガンダム&風雲再起と渡り合うには、それくらいの力がないとダメなのかもしれない。
思いだけでも、力だけでも……というやつである。
その後もなのはママは「他に何かないかな~」と悩みながらシチューをかき混ぜていた。
●
そして体育祭当日。
午後になり、ゴーレム騎馬戦に参加する生徒や父兄が、続々とグラウンドに集まっていた。
「あ、リオ~、こっちこっち~」
目の下にくまをつけたリオが、トボトボ歩いてくる。
「あれ? ガオケンタウロスかウルケンタウロスはどうしたの??」
「朝までがんばった、がんばったんだけど……あたしには無理だったよ~」
「あ~、やっぱり……」
代わりに創成したゴーレムというのが、
「え、ナニコレ? ちびリオじゃないっ!?」
色は、ちびリオと同じ単色であるものの土色で、どことなく人型のハニワっぽい。
「もしかして、はに丸王子?」
「せめて鎧武者を作ろうとしたんだけど……あたしにはこれが限界でした……」
「はにゃ~。でも、まあ、いつも何だかんだでちびリオしかできないリオにしては、かなりがんばったんじゃないかな~と」
「だよね? そうだよねっ!? 流石ヴィヴィオ心の友よぉぉ~~~~っ!」
「ふっふっふ、甘い、ハニワ幻人めっ!」
「そ、その声は……」
「コロナっ!? ――って、その背後のゴーレムはゴライアスでも、マスターガンダム&風雲再起でもない!?」
頭部は丸くグリーン、ボディは黄色、下半身は白い人馬型。
「そう、今年の私のゴーレムは〝鋼鉄ジーグ〟のケンタウロス形態にしてみましたぁぁ!」
「うわぁ~、そう来たかぁぁ……でも」
「「カッコイイ!」」
わたしとリオは思わず口を揃えて声を発してしまった。
「流石コロナ……やたらディテールも細かいし……何この完成度の高さ……」
「あたしもコロナみたいなの作りたかったぁぁ~」
ハニワ幻人……というよりハニワ兵士VS鋼鉄ジーグである。
「鋼鉄神の方にしようか悩んだんだけど、あっちは騎馬って感じじゃなかったから、初代の方にしたんだけど……」
「うん、これで正解だと思う」
まさに脱帽である。
「それでヴィヴィオは?」
「わたしのはコレ、人馬兵だよ」
人馬兵プロマキス。
『機甲界ガリアン』に登場するケンタウロス型のロボットだ。
「ちょ、どうしてヴィヴィオばっかりちゃんと出来てるのぉぉ!?」
「リオ、泣かない泣かない。ほら、人馬兵ってガンダムで例えるとザクみたいな立ち位置だし、戦隊ロボみたいな主役機に比べると、デザインがシンプルなんだよ」
カラーリングも、青と白でわたしのバリアジャケットに近い。
「あたしも量産機系にしとけばよかった~」
コロナは「ふっふっふ」と笑みを浮かべると、
「宿敵ちびリオがいない今となっては――」
「もはや天敵ってレベルだったしね~」
「言わないで! 私のジーグといい勝負ができるのはヴィヴィオだけだね! いくら幼なじみといえども手加減はしないから」
何だかチャンピオン――ジークさんみたいになってきた。
「いや~、流石にコロナのには敵わないと思うんだけど……」
スパロボなら気力上げに使われるだけである。
すると、わたしのよく知る澄んだボイスが聞こえてきた。
「みなさんお集まりのようですね」
「アインハルトさん!」
「アインハルトさん来ましたね!」
「同じチームでよかったです~」
はに丸だけじゃ……ねぇ~。
アインハルトさんはわたしやコロナのゴーレムを仰ぎ見ると、自信に満ちた表情で言い切った。
「騎馬戦に勝利するため、私もみなさんのように地球の作品を参考にしてゴーレムを創成してみました。御覧ください。コレが私のゴーレムです――」
「「「お~~~~おぉぉ……?」」」
現れたのは、先程見たばかりの土色もしくはペールオレンジっぽい単色で、馬の形をしたゴーレムだった。
「これって……」
「ひんべえ……?」
「日本の古代の騎馬をモチーフにしてみたのですが……」
「ええ、ひと目でわかります」
「アインハルトさん、あたしのはに丸と合体しましょう!」
ああ、もう、はに丸でいいんだ……。
というかもうコレ、おーいはに丸である。
そういえばドッキングというか、ひんべえに乗ったはに丸王子ってあまり見たことがなかった気がする……あ、でもOPアニメであったような……。
するとコロナが余裕の表情でハニワコンビに近づいていく。
「いくら合体しても私のジーグには敵わな――」
はに丸の剣が伸びてジーグの首へ。
――ザクッ!
「ジーグぅぅぅ~~~~~~っっ!!?」
首がもげました。
あ~、何だかすごくいつも通りの光景を見た気がする。
「ま、まあ、ジーグは頭部パーツが本体だし……」
と、コロナを慰めていると、
「みんな相変わらずユカイなことになってるね~」
コロナちゃん大丈夫? と登場したのは、
「ユミナさん!」
「あはは、お疲れ様です! 指令……じゃなかった陛下!」
ユミナさんのあいさつの仕方に一抹の不安を覚えつつ、
「ユミナさんも参加するんですね」
「うん、一応ね。みんなみたいに変わったゴーレムじゃないけど」
「人型ですか?」
「そうそう。普通だよ、改でも改二でもない、ノーマルの吹雪」
「へ~」
艦これだった。
「私がやっつけちゃうんだから! みたいな?」
中の人的には本物である。
「そっか~、そういう路線もアリだったか~」
なのはママも中の人つながりで決めてたっけ。
「そういえば、なのはさんとフェイトさんはどんなゴーレムにしたの?」
格闘技ファンのユミナさんとしては、エース・オブ・エースのゴーレムも気になるところ。
「わたしも『当日のお楽しみだよ~』って教えてもらえなかったんですけど、たぶんフェイトママと一緒にクロスアンジュのロボで参戦じゃないかな~って」
すると、ユミナさんが急に真顔になって、
「そうですか、アンジュリーゼ様とご一緒に……」
「うん、たぶん、その中の人ネタ誰もわからないから。モモカ――筆頭侍女でしたっけ? あとフライパン仕込むのも禁止ぃ~」
「エンブリヲ、あたしもクロスアンジュの方がよかったかな?」
「やめてー、リオまで。別アニメの主要人物がだいたいそろっちゃうから! というかエンブリヲじゃないから! 発音似てるから騙されちゃったけどヴィヴィオだからねっ!?」
「私だけ何もない!?」
「コロナはストライカーユニットでもはいて、ユミナさんとコラボしてればいいでしょ!」
などとムダに中の人ネタで盛り上がっていると、金髪の女性が息を切らせながら駆け寄ってきた。
「ごめん、ヴィヴィオ~。なのはのこと止められなかったぁぁ~~~~っ!」
「フェイトママ!? どうしたの一体……って、空から何か来たァァ!」
グラウンドに地響きを起こして着地したのは、パールピンクのロボとブラックのロボの2体。
「な、何が起きて……」
「こ、これはガオガイガーの光竜と闇竜っ!?」
コロナが叫ぶ。
さらに2体が合体。
『あなたの相手は天竜神がするわ』
「しまったこの声……ガチなの来たァァ――――っ!!」
うわ~、みんなで力を合わせても、たぶん勝てないよ、コレ……。
よければ『スパロボ 光竜 闇竜』で動画検索して、音声を聞いてからもう一度読んでもらえると、この絶望感がわかっていただけるかと……。
最近ネタ系が少なかったので、全力全開でアレな話を書いてみました。
知名度は低いかもしれませんが、個人的にガリアンの人馬兵が好きだったりします。
ロボ好きや中世ヨーロッパ風のファンタジーが好きな方は、1話だけでもいいので見た方がいいかもしれません。
巨大ロボVS生身の人間の王国(魔法なし)なんて絶望感あふれる戦闘は、ちょっと他に類を見ないので……色々と参考になります。
古いアニメだからというだけで見ないのはもったいないかと……。
あ~、でも主役機もカッコイイので、特に空を飛ばないロボが好きな方なら、3話までは見た方がいいです。ホント、あらゆる要素が詰まった名作だと思います。
と、まあ、わからない方にはさっぱりわからない内容だったと思いますが、たまにはいいよね……と言いつつ、
夢を、夢を見ていました……。
なのは――ではなく、ヴィヴィオの見た夢のお話です。
以前の初代桃鉄や、黒のランサーの影響なのか、どう考えてもあの名作ゲーム『●魔城ドラキュラ』をモチーフにしたっぽい夢。
ええ、全ては夢の物語……。
そんな「セルフツッコミするしかない!」と思っていた夢の中に、ヴィヴィオと関係する、とある意外な人物が現れて……。
次回『覇王城アインハルトキュラ』
で、リリカルマジカルがんばります!