アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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「リインさんに恋人ができた!?」
八神はやてに相談されたヴィヴィオは、アインハルトさんと一緒に、リインフォースの後をつけることになって……!?

先週、調子に乗り過ぎたので、今週は反省。
いつもと違う視点からお送りします。
真面目に(?)! おとなしく(?)! 恋愛(?)物語を書きたいと思います。
ええ、たぶん……そうなるといいなあ……(本文、書く前に、コレ、書いてます)。
タイトルがすでに不穏なんですが……緊急クエストにしか見えないよ!?

ちなみに最初『Zwei(ツヴァイ)』とタイトルをつけようとして、日本ファルコムさんのARPGを思い出しました。あのゲーム、1作目の2人が大好きだったので、またあの2人を主人公にした、コミカルなノリのRPGを作って欲しいです。

『ViVid Strike!』8話の感想。
ヴィヴィオおめでとー、さすが主人公! って、あー、主人公リンネだっけ……とかいったらフーカ好きに殺される。
まあ、来週からはフーカとリンネがメインになるんだろうなー、ということで。うん、リンネには悪いけど、今日のところはヴィヴィオが勝ってうれしかったです。



リインフォースⅡを尾行せよ!

 ――が、それを知ったのは、実は最初からだったりする。

 

 

「はい? リインさんに恋人ができた……ですか??」

 

 高町ヴィヴィオがママの親友――八神はやてに呼び出されたのは、休日をひかえたある日の放課後。

 通信ではダメ。直接会って話したい、というのだから、よっぽどのことなんだろうなあ……と思っていたら、

 

「そうや。最近リインの様子がおかしくてなぁ、一人、自室にこもっては、誰かと楽しそうに話しとるんや。――コレって由々しき事態やろ?」

 

 これが噂のゲンドウポーズか~、とヴィヴィオは思ったが口にはしない。

 

「別にいいことだと思いますよ。ステキなことじゃないですか。で、お相手は――」

 

 

「――シャラァァップゥゥ!!」

 

 

「ひぃぃ!?」

「いやいや、私だって頭っから否定しているわけじゃないんやで? ただ、こう、なんや、モヤモヤ~っとした……そう、リインが心配というか、悪い男に騙されとらんやろか、とか、末っ子に追いつかれて追い抜かれて、ぶっちぎられたぁぁ!? とか……」

 

 はやての脳内メーカーが心配だ!

 

「で、でもはやてさん、それって相手の人が男性とは限りませんよね? たとえば……そう、ナンバーズのみんなとか、単純に友達とおしゃべりしてただけかもしれませんし」

「フッ……この八神はやて、そこも抜かりなしや!」

 

 パンパン手を叩く。

 

「ルーテシア! おるか!」

「はっ、ここに!」

 

 どこからともなく紫髪の少女が姿を現した。

 

「って、ルールー!? 何してるの!?」

「……え~っと、アルバイト……的な? 嘱託魔導師として」

「るー子、例の通信記録をここに」

 

 音声だけが流れ始める。

 

 

『――そう、そうなんですよ~。

 エアコンが壊れたから図書館に行こうって話をしたら、はやてちゃんが何と答えたと思います?

 喫茶翠屋の方が、エアコンよりも涼しいでって。

 あははは~。

 元祖高町家には、私の魔法――氷結の息吹(アーテム・デス・アイセス)でも敵わんなぁって。

 あははは~。

 ……はあ、リインも、もっとあなたに会えるといいんですが……どうしたら会えますかね……。

 直接会ってみたいです。

 ふふ、そのときリインもがんばって、あーんなことや、こーんなことまでしちゃいますよー。

 あ、もちろん大きくなってですけど。

 あ、意外とちっちゃいままとか、マニアックなのもアリかもしれませんね~』

 

 

「――どや?」

「……いや、どやと言われましても」

 

 ヴィヴィオは困惑の表情を浮かべた。

 

「まさか、まさか、うちのリインが、こんなに大人になっとるとは……私だって、私だって、まだ……まだなのにぃぃ――っ!?」

「あー、八神指令~? あーんなことや、こーんなことってのはわかりませんが、これだけじゃまだ恋愛とはわからないというか……一応いっとくと、ダメ、盗聴!」

「いや、これは私がやったんじゃないで?」

「責任をルールーに押しつけた!?」

「いつもシャーリーじゃ悪いと思ってな」

「とばっちり!?」

「民間協力者で、自称、八神指令の隠し刀」

「『NanohaWiki』のもろパクリ!?」

 

 ルーテシアが「仲いいな~」と2人を眺めている。

 

「――と、まあ、そんなわけで、ヴィヴィオにはリインの尾行をお願いしたいんよ」

「……どうしてそうなった!?」

「実はな、一昨日リインが急に、

『今度の休日は、一人でお出かけしてくるですっ!』

 って言い出してな」

「はあ……」

「これは怪しい――と、るー子に調べさせたら、通信記録はあったんやけど、

①相手の音声がない。

②通信先が特定できない。

 ということになってな」

「なるほど」

「そこで、後をつけてみよか――という話になったんやけど……ほら、私じゃすぐ見つかっちゃうやろ? 体格とか、気配とか、魔力とか、特にリイン相手やしなぁ~」

「運動能力も低いしねぇ~」

「あ~」

「ルーテシアぁぁ!? ――って、まあ、ホントのことなんやけど。そこで、私の知っている中で、一番根気があり、口が固く、小柄で、スピードがあり、いざというときに対処できる人材――といったら、ヴィヴィオしかおらん! ということになってな」

「私がやるって言ったんだけどね」

「るー子は目立ちがりやだからなぁ~、尾行には向かんやろ。現在尾行中! とかSNSにアップするタイプやし」

「あ~」

「そんなことしませんって!」

「昔は、寡黙でミステリアスな女の子やったのに……どうしてこうなった!?」

「やーめーてー」

「それってブーメランですよね?」

「しれっとえぐられた!?」

 

 ルーテシアとはやてがorzのポーズをとったところで、

 

「ま、まあ、そんなわけで、深く静かに沈黙せよってな。

 なのはちゃんやフェイトちゃんじゃ、立ってるだけで目立つしなー。

 フェレットはオチが見えるし、

 シグナムは仕事やし、

 ヴィータは向いてないし、

 ザフィーラは犬やし、

 まあ、何だかんだで、やっぱりヴィヴィオが適任かな……と」

「アルフ、アルフー」

「それに、万が一リインに見つかったときもヴィヴィオなら陛下スマイルで乗り切れるしな!」

「陛下スマイルって……」

「ちなみに、見つかっても管理局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する――や!

 もちろん、ただとは言わんで――」

 

     ●

 

「――それで、どうして私もご一緒に?」

 

 翌日の朝。

 ヴィヴィオに召喚されたのは緑髪の先輩少女だった。

 ティオが「にゃー」と鳴く。

 

「いや~、流石に一人だと不安で。物静かなアインハルトさんなら、尾行にも向いてるかな~って思いまして(体もちっちゃいから、とは言わないよ!?)」

「はあ……」

「最初は、リオとコロナに頼もうかと思ったんですけど……リオじゃ黙っていられないというか、オチが見えるといいますか……」

「ああ……」

「コロナの場合は……結局、もれなくリオがついてきそうで……」

「ああ~」

「こうなると、迷惑かもと思ったんですが、アインハルトさんしかいないなーと思いまして、すみません」

「い、いえ、迷惑だなんて思ってませんから……むしろ、頼りにしていただいて光栄といいますか……」

「ありがとうございます! それに、報酬はクリスとティオの拡張パックだそうで」

「まあ!?」

「特にティオは八神家お手製ですから、相性もバッチリですし、アインハルトさんも興味あるかな~と。

 デバイスが強くなれば、わたしたちも強くなれますし……それに……」

「それに?」

「少しでも機能が上がって、クリスたちの負担が減るのは、いいことかな~って思いまして」

「そうですね。そういうことでしたら、喜んでおつき合いさせていただきます」

「はい! それとあともう一つ。ほら、なんかこれって、わたしとアインハルトさんがデートしてるみたいじゃないですか」

 

 

 ――ブハッ!

 

 

 キョロキョロ。

 

「ヴィヴィオさん、どうかしましたか?」

「い、いえ、どこかでコロナが見てるよーな気がしまして……あー、気のせいですよね」

 

 

 正解。

 魔法を使い、スナイパーのごとく狙い撃てそうな位置から眺めていたのはこの2人。

 

「ちょ、コロナ、見つかっちゃうよ!?」

「わ、私もうお腹いっぱいで……」

「いつからそんな『ViVid LIFE』みたいなキャラになったの!?」

「せ、先週から……ぐはっ!」

「ちょ、そんなことじゃ八神指令から頼まれた2人の護衛ができないじゃん!」

 

 

 こうして、ヴィヴィオとアインハルト――ベルカの聖王と覇王はそろってリインフォースの後をつけたのだけど……。

 アインハルトが、壁にピッタリ背中をつける。

 

「リインさん、誰かと待ち合わせをしているみたいですね……」

「そうですね……(キャー、アインハルトさん、尾行姿もカッコイイ!)」

 

 2人はそっとカフェのテラス席の様子をうかがった。

 

「この位置からだと、死角になって相手の姿が見えませんね……どうしますか?」

「あ、はい。そうですね……ここは、変装して接近しましょう!」

「変装……ですか?」

「クリス、お願いっ!

 

 

 ――セイクリッド・ハート、セット・アップ!

 

 

 はい、『Fate/Zero』のセイバーみたいな感じで」

「黒いスーツ姿っ!? てか、フェイトゼロって何ですか!? ――っていうか、私まで変わってるんですけど!? しかも、髪を下ろした大人モードに……あの、私の方が女の子っぽい格好って、ヴィヴィオさんと逆なんじゃ……」

「いいんですよ。いつもと逆だからこそ、変装になるんです!」

「た、確かに……」

 

 ヴィヴィオはサングラスをかけると、片膝をついて、アインハルトの手を取った。

 

「それでは、アインハルトお嬢様、参りましょうか?」

 

 

 ――ブホォォ!

 

 

 遠くでコロナが鼻血を噴き上げた。

 

「さ、行きますよ、アインハルトさん!」

「はい――」

 

 相手の姿が見える位置まで移動する。

 

 

 あと10メートル……。

 

 

 あと5メートル……。

 

 

 あと3メートル……。

 

 

 あと1メートル……。

 

 

 って、

 

 

「「ガリュぅぅ――――っっ!!?」」

 

 

 ルーテシアの人型召喚獣だった。

 2人の叫びにリインが振り返る。

 

「あれ? ヴィヴィオにアインハルトじゃないですか、こんなところで奇遇ですね」

「……」

 

 当然、ガリューはしゃべらないわけで、

 

「えっと、どういうこと……?」

 

     ●

 

「つまり、私のためにガリューから格闘技術を習っていたと……?」

 

 八神家に帰ったヴィヴィオは、リインフォースと一緒に事情を説明した。

 

「はい、どうもそうみたいで……」

「昨今、ストライクアーツを始めとした格闘技がブームじゃないですか。

 そうなると、接近戦を挑んでくる犯罪者も増えるかもしれません。リンネ選手みたいに、タフネスな人もいるでしょうしね。

 そのときのために――はやてちゃんは忙しいですから――リインがこっそり学習しておこうかなー、と思ったんですよ」

「そんなんザフィーラから習えば……」

「それじゃ秘密にならないですよー。ザフィーラにも内緒だからいいんじゃないですか」

「う、う~ん……」

「何にせよ、これで一安心ですね。リインさんの話し相手に音声がない理由も、通信先がハッキリしなかったのも、召喚前のガリューさんの次元だったからってことで」

 

 常にルーテシアの実家にいるわけではないのだ。

 

「うう……っ……そんな、そんな弱いオチでええんか!? ガリューオチって……」

「もうはやてさん、この話はこれでおしまいです。あんまりしつこいと、お婆……桃子さんに連絡して、翠屋をネタにした司令ジョークのこと、バラしますよ?」

「なーっ!? そんなん、まだなのはちゃんの『少し頭冷やそうか』の方が100倍マシやないかぁぁ――っ!?」

 

     ●

 

「――と、まあ、そんなことがあったんですよ。

 聞いてますか?

 ええ、まあ、最初から盗聴されてるのはわかってましたしね。

 人格型ユニゾンデバイスをなめてもらっては困ります。

 ルーテシアにも負けないんですから!

 ……でも、恋、ですか。

 はわ~、いいですね、リインもしてみたいです。でも……まずは、はやてちゃんが先ですかね~。

 あなたはどう思いますか?」

 

 

 こうして私は、今日も、どこか遠くの――声も届かない――次元世界に住む、モニター越しの〝あなた〟に話しかけるのだ。

 

 

「それでは、おやすみなさいです」

 

 

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