8年に渡る長期連載、お疲れ様でした!!
表紙に〝大団円〟――と書かれたコンプエース12月号片手に、わたしはナカジマジムのドアをジェットステップでくぐった。
「みんな大変だよぉぉ! 『月刊コンプエース』で連載してた『魔法少女リリカルなのはViVid』が終わっちゃったんだけどぉぉ――っ!!?」
リオコロが顔を見合わせる。
「ついに来るべきモノが来たというか……」
「私の中の人も、ありがとうvividとか、本屋行かなきゃとか、ツイートしてたよ」
「ボクとヴィヴィオさんの再戦はどうするんですかぁぁ!?」
ミウラさんのストレッチをグイグイ手伝っていたユミナさんが言う。
「『ViVid Strike!』でも、ヴィヴィオちゃんと戦う前に負けてたしね~」
「ぐはぁぁ!」
「私もまだジークさんと再戦していないのですが……今度こそ勝ちたかったです!」
「アインハルトさんはまだいいですよっ! わたしなんて『ViVid』本編で、一度もジークさんと戦ってないんですよぉぉ!?」
ついでに言っておくと、雷帝ヴィクターさんとはナカジマジムのメンバー誰一人として戦っていない。なんてこったい。
というわけで、
『緊急ヴィヴィッド会議 なのはViVidはどこへゆくべきか』
リオが言う。
「何この秘書子さんが直筆で書いてそうなタイトルは……?」
「気分的にそんなだったの!
――というわけで、ずっと黙ってたノーヴェ、何か意見を出して!」
デスクワークが嫌で逃げ出してきた我らがコーチ様に話を振ると、
「いや~、あたしはもう、ジムの会長だしさ」
なんかもう頭をかいて照れている。
「くぅぅ~~っ! この牙を抜かれた狼めぇぇ! ゲーセンで台パンしてたころは、あんなにギラギラしてたのにぃぃ――っ!!」
「してねぇぇよっ!?」
仕方ない。
ここは主人公のわたしが、率先して意見を出すしかないだろう。
「例えばなんだけど、こんなのはどうかな?
高町ヴィヴィオが進級して半年後。
日々、ストライクアーツの訓練を続けていた彼女のもとに『所属不明の魔導師が急速接近中』との警告が響く。
――押忍っ、相手にとって不足なし!
不穏なものを感じながらも、謎の魔導師を迎え撃つヴィヴィオ。
それが、後に『闇の書っぽい事件』と呼ばれる、ある冬の悲しくも優しい出来事の幕開けだった」
「……ヴィヴィオ、それって『魔法少女リリカルなのはA's』だよね?」
「だからねコロナ、こういうことなんだよ。
『ViVid Strike!』をなかったことにして、『ViVid』の続編――『魔法少女リリカルなのはViVid A's』を始めるんだよぉぉ!!」
「「どうしてなかったことにするんですかぁぁ――っ!!?」」
「あ、フーカさんリンネさん、いたんですか?」
「「いましたよっ!?」」
フーカさんがポニテを揺らしながら言う。
「『ViVid』の話をされているようなので、わしとリンネは黙っとったんですが……」
「いやほら『ViVid Strike!』は『INNOCENT』みたいな感じで並行世界の1つということにしちゃったりなんかして……」
「やめてー、私とフーちゃんの熱いバトルが~」
「さっきのストーリーは『ViVid Strike!』の後でええじゃないですかぁぁ!」
「あ、クリアカード編みたいな?」
つまり、わたしがアインハルトさんとおそろいの中等科の制服を着るということで、
「……それはアリかもですね~。問題は、わたしにあのグリーンっぽい制服が似合うかどうかですが、一応『Force』で着てるしなぁ~、でもカラーじゃなかったし……いや待てよ、アインハルトさんと制服交換したことあったよーな?」
みんな、藤真拓哉先生画集『ViVidgirls』で確認しようっ!
「さり気なく宣伝してみたところで、リオ、他に何か人気が出そうな展開とかない?」
面白ネタならリオに限る。
「ん~、人気が出るかどうかはわからないけど、驚きの展開が欲しいならこんなのどう?
U15ナショナルチャンプの座を得たヴィヴィオは、全ての魔力を使い切り、ストライクアーツの世界から引退することを決めました。
普通の女の子になったヴィヴィオは、いつものように朝起きて、なのはさんと朝食を食べ、学校に行き、授業中に居眠りをして先生に怒られ、あたしたちと遊んだり――そんな、どこにでもあるような平穏な日常、普通の学校生活をおくります。
そして最後、学校からの帰り道、ヴィヴィオはオモチャ屋のトラックにはねられて死んでしまいます」
「ヤメテー、何そのミン●ーモモみたいなトラウマ最終回っ!?」
「救済はあると思うけど、当時リアルタイムで見てた人はどんな気持ちだったんだろうね?」
「知らないよっ!? 誰か教えて!
――コロナ、コロナは何かないの?」
1年からの大親友が「う~ん」と唸る。
「やっぱり基本は押さえておくべきだと思うんだよね。だから……
現代に復活した古代ベルカの、とある王国との戦いに勝利したヴィヴィオ。
つかの間の平和を満喫していると、新たな敵が攻めてきます。まだ傷が治らないヴィヴィオを心配して、私とリオが戦いに挑みますがあえなく敗北。
私たちを助けるためにヴィヴィオは再び戦場へ。しかし、ケガのせいで本調子が出せず、新たな敵に敗北寸前。
そんな、ボロボロになったヴィヴィオを救い出したのは、私より強い人に会いに参ります――と、修行の旅に出ていたアインハルトさんでした。
新たな敵との戦いをアインハルトさんに任せたヴィヴィオは、傷の治療を兼ねて地球に留学することに……。
次回から『魔法少女リリカルなのはViVid 覇王』始まりますっ!」
「何そのマジンガーZみたいな主役交代劇はぁぁ!?」
「大丈夫、大丈夫。知らない人も多いと思うけど、グレートマジンガーって後半、兜甲児がアメリカから帰国して、最終回では逆にボロボロになったグレートの代わりに、マジンガーZで獅子奮迅の活躍をみせるから。
ものすごいんだよ? 敵の空中要塞に乗りこむとスクランダーカッターで敵の幹部を真っ二つ。最後は自力で飛ぶことも出来なくなったグレートに肩を貸して、空中からのブレストファイヤー。これはスパロボの合体攻撃――ダブルバーニングファイヤーの元ネタだね」
「そんな豆知識いらないよっ!?」
ダメだ。
このままでは『魔法少女リリカルなのはZ』とかになっちゃいそうな勢いだ。
なのはママは昔『ギャラクシーエンジェルZ』とかやってた気はするけど……。
ここはナカジマジム一番の常識人にお任せするしか……。
「ユミナさ~ん、何かお願いしま~す!」
「え、私っ? ん~、そうだな~、やっぱり私を含めたViVidチームみんなに出番があるといいよね!」
「お~、流石ユミナさんっ!」
「だから、しっかりこれまでの学園モノの要素は残しつつ……
春。
今年も親友のリオコロと同じクラスになったヴィヴィオが、教室の窓からぼ~っと外の風景を眺めていると、
『ちょっとヴィヴィオ、ヴィヴィオってば!』
『え?』
『ずっと声をかけてたのにちっとも返事がないんだもん、驚いちゃった』
『リオ、コロナ……あ~、ゴメンゴメン。今日もアインハルトさんたちと一緒に帰ろうか?』
『……アインハルトさん? 誰それ??』
『いや、だからアインハルトさんだって』
『もうヴィヴィオ、夢で見てたんじゃない? 私たちアインハルトさんなんて知らないよ??』
『何を言って……去年1年みんなでがんばってきたじゃない。ユミナさんとミウラさんも加わって、5年生に進級した今年からはU15のチャンピオンを目指そうって……』
『5年生って……今日は、私たちが4年生に進級した始業式だよ?』
『えぇぇ!?』
慌てて学生証を確認すると、
『……4年生だ。そ、それじゃあ、アインハルトさんも、ViVidのみんなも、みんなわたしの空想だったの……?』
みたいな感じで」
「それ夢オチだよねっ!? 『ハイ●クール奇面組』的な! ていうか、ユミナさんもみんなも出れてないですよねぇぇ!?」
「『劇場版 魔法少女リリカルなのはViVid 前編 始まりの物語』お楽しみに!」
「それ、わたしの首が大変なことになりそうだからヤメテェェ!」
あー、と、かな恵ボイスが。
「そうだヴィヴィオさん! いっそのこと『高町さんちの今日のごはん』とかどうでしょう?」
「ダメぇぇ! ミウラさんそれダメぇぇ! 全力全開でパクリだよぉぉ!?
確かにコンプエースを読んでたら、新連載のカラーページと本編の間に、唐突にカラー広告が入ってたけどぉぉ!」
すると、
「ふう、ヴィヴィオさんもみなさんも落ち着いてください」
「アインハルトさん……」
漫画でU15のチャンピオンになったせいか、いつもより泰然自若な雰囲気だ。
「確かにコンプエースの『魔法少女リリカルなのはViVid』は完結しました。ですが、終わらない物語はありません――」
「バスタードやハンターハンターは? ファイブスターとか、ベルセルクとか……」
「リオ言っちゃダメぇぇ、小説アルスラーン戦記だって31年かかったけど、ついに完結するでしょぉぉ! はぁぁ~、一閃必中、セイクリッドブレイザー――ッ!!」
「ぎにゃぁぁぁぁ!!」
「みなさんも聞いてください。
『ViVid』のあとのストーリーは『ViVid Strike!』で知ることができますが、そこから先の未来――例えば『Force』の時代、中学生になったヴィヴィオさんが、私、リンネさんの後を継いでU15のチャンピオン。私はといえば、ついにジークさんとヴィクターさんを破り、U19のチャンピオンになる未来も有り得るわけです」
「うわ~、まさに夢ですね~。でも、その時はみんなで記念写真を撮りましょうね!」
「はい。今の私では、まだまだ力不足かもしれませんが、未来が決まっていないということは、自由に想像の翼を広げられる――ということではないでしょうか?」
「……つまり、ここから先は原作を気にせず、好きに設定を盛りまくっても問題ないと。そういえば、この小説も『ViVid Strike!』のあとくらいの設定でしたね?」
「ええ。そうですね、ヴィヴィオさんがよく使う地球の作品で例えるなら――『もうちっとだけ続くんじゃ』みたいなものでしょうか?」
「「「「「「「あ~」」」」」」」
ドラ●ンボールは、そのあと6年も続いたような……それどころか、現在でもアニメ・ゲーム・漫画と次々に新作が発表されている。
「『リリカルなのは』や『ViVid』も、ド●ゴンボールみたいになるといいですね~」
「はい」
とはいえ、あのアインハルトさんがキレイにまとめてしまったというのは……。
「アインハルトさん、熱でもあるんじゃ?」
「ありませんよぉぉっ!?」
そんなわけで、都築先生&藤真先生、『魔法少女リリカルなのはViVid』完結おめでとうございます。そして、8年間の長期連載お疲れ様でした!
素晴らしい作品をありがとうございました!!
正直な話、実際にコンプエースで確認するまでは「実は○○でした~」みたいな感じで続編があるかと思っていたんですが、『Reflection』だそうで。
それはそれでいいんですが、前から言ってるアインハルトさんの実家とか、古代ベルカ問題とか色々と未解決なまま終わったかなと。
もうちょっとだけ、その辺に触れてもらえると……と、思ってしまいます。
アインハルトさんを主人公にした外伝とかコミック1冊分くらいあれば……。
ないものねだりですね。
それにしても、なんだかこのまま並行世界や劇中劇扱いだった『劇場版』が主流になる――というのは、寂しい気持ちでいっぱいです。
『ViVid』が完結したことで、原作なのはルートの延長線上作品は、全て終了しちゃったんですよね……。
まあ、そんなことを言い出したら『とらいあんぐるハート』もそうだったわけで、しょうがないのか……。
そんなわけで、次回はひさしぶりに真面目な考察シリーズ。
ドラマCDで『40歳』と明記されているはずが、計算がおかしいという理由で、現在ではすっかり59歳が定説になっているプレシア・テスタロッサの年齢。
しかし、その計算は本当に合っていたのか??
劇場版の知識を得た今、改めて再検証するプレシアさんの真実とは!?
ヴィヴィオとフェイト、2人の対話形式でお送りしたいと思います。
次回『ヴィヴィオの自由研究 ~お婆ちゃんおいくつですか? ~』
で、リリカルマジカルがんばります!