そんなわけで今回のあらすじ
「アインハルトさん、一緒にネトゲをやりましょう!」
わかる人にはわかる。
今期の、とある何かに影響されたヴィヴィオが、アインハルトさんを誘ってオンラインRPGに挑戦する。
「名前は〝もりもりちゃん〟か〝林〟にしましょう!」
「わたしのことは〝リリィさん〟と呼んでもらっても構いませんから!!」
果たしてヴィヴィオは、某アニメのようなネト充になれるのか!?
「アインハルトさん、一緒にネトゲをやりましょう!」
ある日のナカジマジムの練習終わり。
わたしが唐突に提案すると、覇王流の継承者さんは困惑した表情で、その愛らしい虹彩異色をこちらに向けた。
「ネト……ゲ? つまり、ネト・ゲを殺りましょうというお誘いでしょうか?」
「いえ、ネト・ゲって個人名じゃありませんし、仮に人だったとしても殺っちゃダメですから」
ネトゲがネットワークゲームの略称で、インターネットに接続して遊ぶオンラインゲームのことだと説明する。
「この前、地球に行った時に買ってきたんです。はい――ナーヴギア」
「…………えー」
「ちょ、何なんですか今の間は!?」
「そんな強電磁パルスが発生して装着者の脳が破壊されそうなヘッドギアもデスゲームも嫌ですよぉぉ!?」
「SAO(スーパー・アインハルト・オンライン)」
「アインハルトの頭文字は〝E〟ですよ!?」
「大丈夫大丈夫。フェイトママもヴィクターさんもリオも、みんな平気でしたから」
「みんな電気の変換資質があるじゃないですかぁぁ!?」
わたしは「冗談ですよ」と笑いながら、アミュスフィア――円冠状のゴーグル型VRマシン――を手渡した。こっちなら安全である。
とはいえ、
「ん~、アインハルトさんのことだから、ゲームでも正直に自分の素性を話しちゃうかもですね~」
「何か悪いのでしょうか?」
「はぁ~、アインハルトさんはもう有名人なんですから、そんなことしたら人だかりができて、わたしたちと遊べないじゃないですか」
「な、なるほど……それは困りました」
「そこで、万が一尋ねられた時のために、架空の設定を考えてみました。
三十路で独身のアインハルトさんは、格闘生活に疲れ引退。現実世界では、無職でコンビニに行くのも躊躇する引きこもりニートであり、日々、メイクもせずジャージ姿で過ごして……過ごして……。
あ~、今も――青ジャージだし――似たようなもんか~」
「何ですかその誤解を招きそうな発言はぁぁ!? ヴィヴィオさんだっておそろいのジャージですよねぇぇ!」
「はい、おそろいですっ!」
可愛く微笑んでみせると、覇王さんが大地に膝をついた。
「そうそう。キャラの性別は自由ですから、嫁が男性キャラでもノープロブレムですよ!」
「はあ……」
「それと、名前は〝もりもりちゃん〟か〝林〟にしましょう!」
「しませんよ!?」
アインハルト充のススメである。
「わたしのことは〝リリィさん〟と呼んでもらっても構いませんから!!」
「構いますよっ!?」
「それにしても〝リリィ〟というと、生命体型リアクトプラグの方を思い出しますね。ちなみに中の人はアスナさんと一緒だったんですよ? アミタさんと一人二役ですね~」
「えっと、どちら様でしょうか?」
「ほら~、今から2年後くらいに出会う予定の『Force』のヒロインで、リリィ・シュトロゼックさんのことですよ」
「全力全開で未来の話をしないでくださぁぁ――いっ!?」
「ゲーム版の話ですけど、わたしたち去年、時間遡行した際に会ったじゃないですか」
「いや、確かに会いましたけど……記憶封鎖の意味がないですよね!?」
「まあ、ぶっちゃけ、時間軸で考えると、トーマとはもう会ったことあるはずなんですよね~。『ViVid』で会わなかっただけで。一度くらい登場すればよかったのに……学院祭に来るとか」
「そこはほら、大人の事情というものがあったんですよ、たぶん……」
「ですね~。それじゃアインハルトさん、またあとで『SAG』の中でお会いしましょう!」
『SAG』――正式名称は『サガ・オンライン』。どこかで聞いたような名前である。
人間・エスパー・獣人・モンスター・サイボーグ・ロボットから種族を選び、塔の頂上を目指したり、秘宝を集めたり、過去と現在と未来を行ったり来たり……やっぱりどこかで聞いたことのある、一部で大人気のVRMMOなのだ。
●
というわけで、早速ですがみなさんこんばんは、高町ヴィヴィオです。
夕食を終えたわたしは、自分の部屋でベッドに仰向けになってリンクスタート。
初心者の街――てっぺんにチェーンソーで倒せる神様のいる塔前の広場に来ています。
アインハルトさんとの待ち合わせの時間まであと10分。
だけどその前に……。
「リオ、コロナ、お待たせ!」
「ヴィヴィオおっそ~い!」
「早くこっちに隠れて!」
腕を引っ張られて、わたしのアバターが広場に隣接した建物に引きずりこまれた。
珍しく遅刻せずに早くやって来たリオが、ガミガミ言う。
「ヴィヴィオは普段とよく似た、エスパー・女性の金髪キャラなんだから、アインハルトさんにバレやすいんだよ……って、よくよく考えるとヴィヴィオって金髪キャラ多いよね。宮子とかマミさんとか松嶋みちるとか……」
「いや、今更言われても」
「あっ! ヴィヴィオ、リオ、あれじゃない?」
3人で建物の陰から様子をうかがう。
キョロキョロと、初心者っぽい動きと装備の緑髪キャラが、噴水の前で立ち止まった。ベンチにも座らずジッと静止している。
「人間・男性キャラで、名前はハイディ――」
「みんな忘れがちだけど、アインハルトさんの本名だよね」
「そろそろ出て行く?」
「リオ、もうちょっと待って」
最初は平然としていたもの、無敵の覇王様は次第に落ち着かない様子でそわそわ体を揺らし始めた。
――来たァァ!
これぞ、THE・アインハルトさんだ。
いつもはイタズラ好きな、炎と電気の変換資質をもつ元気っ娘が言う。
「いい加減、かわいそうだよ~」
「も……もう少し……」
「私、このシーンに見覚えがあるんだけど」
『ViVid LIFE』1巻で確認してね。
むふーっ、といった感じで困り顔のアインハルトさんを堪能したわたしは、救いの女神のごとく颯爽と彼女の前に姿を現した。
そして一言。
「こんばんは、林さん!」
「ハイディですよ!? 〝は〟しか合ってないじゃないですか!」
「もりもりちゃんってばも~」
「いやいやいや、そんな『ネト充のススメ』みたいに呼ばれても困るんですけど!?」
慌ててリオコロが割って入った。
「すみません、アインハルトさん」
「ヴィヴィオがどうしてもやりたいっていうものだから」
しばらく2人を凝視すると、覇王さんはポンと手を叩いた。
「リオさんとコロナさんですか」
「よくわかりましたね!? コロナのロボットはいいとして、リオなんて一つ目の黄色いスライムなのに……」
先生と一緒。
「いえ、どこからどう見てもリオさんにしか……」
「……」
「……」
「あ~、まあ、確かにこの丸みを帯びたボディとか何だかよくわからないところはリオっぽいかも」
「全然似てないよ!?」
アインハルトさんの認識能力は、邪悪な呪いでもかけられたようにおかしいので、深く考えたら負けである。
「ちなみに、わたしもちゃんとヴィヴィオに見えてるんですか?」
「……残念ながら別人ですね。ゲームのキャラクターだと思います」
「ヴィヴィオが一番似てるのに~」
「じゃ、どうしてヴィヴィオのことがすぐにわかったんですか?」
そうリオコロが言うと、
「それはもちろん――」
「「相方ですから!」」
「「あ~」」
ロボコロナが、アインハルトさんに基本動作をレクチャーしている。教えるのはコロナの方が上手いのだ。
「ねぇ、リオ。アインハルトさんの中の人ボイスで、人間、男性で、名前も〝は〟から始まるし、見事に『ネト充のススメ』みたいになったよね~」
「う~ん、でも1つ大きな問題が……」
「えぇぇ!? 何かおかしなところあるかな」
「ほら、アインハルトさんじゃなくて、ヴィヴィオの方。相方になるヴィヴィオの場合、リアルも女の子だよね?」
うっ、確かに、『ネト充のススメ』は、お互いリアルとネトゲで性別が逆転しているところが面白い恋愛ストーリーなのに……。
こ、こうなったら、
「……リオ、『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』」
「今日のお題そっちぃぃ!?」
今期の放映中のアニメ『ネト充のススメ』なんですが、原作を知らなかったので「まあ初回くらい」なノリで見たら大変面白く毎週楽しみ……というか、見ていて壁を叩きたくなったのは久しぶりの作品です。
他のネトゲ系小説やアニメとは別ベクトルの作品ですが、現実世界ではまず起きない、でもあったらいいな、みたいなことろがいいんでしょうね。
人によっては肌に合いませんが、気にいる人は絶対に気にいる――そんな優しい物語だと思います。
そんなわけで、最近ネタものばかりだったので来週は普通にしようかと。
原作終わっちゃったので、もう勇姿を見る機会も少ないであろうあの人を相棒に。
ある日、八神家に呼び出されヴィヴィオとミウラは、八神はやてからとんでもないことを切り出される。
「ザフィーラが記憶喪失~~~~っっ!!?」
しかも、自分を完全に犬だと思っているらしい。
さらに、タイミングが悪いことに、はやてたちはこれから出張なので、その間のザフィーラの世話を任せたいという。
二泊三日のザフィーラお世話生活。
ヴィヴィオとミウラは無事乗り切ることができるのだろうか??
そんなわけで、
次回『ザッフィーは記憶喪失』
で、リリカルマジカルがんばります!