アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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ママたちからもらったポチ袋を手に、高町ヴィヴィオは悩んでいた。
「う~ん、お年玉何に使おうかな~。こういう時は、みんなに使い道を聞くのが一番だよね――」
そんなわけで各家を回ったヴィヴィオが最後に訪れたのは、幼馴染のゴーレムマイスター、コロナ・ティミルの家だったのだけど……??



お年玉とコロナとBD2号機

「う~ん、お年玉何に使おうかなあ~」

 

 ママたちからもらったポチ袋を手に、わたしは悩んでいた。

 というのも――これほど贅沢な悩みもないのだけど――だいたい欲しい物は持っているからだ。物もそれ以外も。

 もちろん物欲がないというわけではないけれど、趣味とも言えるストライクアーツや無限書庫に関連することは、洋服代や文房具代と一緒で、ママたちがお金を出してくれる。特に衣装はママたちが競って買ってくるので申し訳ないほど。変身魔法もあるのに~。

 そのため、お年玉で購入するほど高価な買い物が思い浮かばないのだ。

 貯金しておいてもいいけど、

 

「こういう時は、みんなに使い道を聞くのが一番だよね――」

 

 というわけで、わたしは早速先輩や友人宅へと足を運ぶのだった。

 

 

 

   CASE1 ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルトの場合

 

「はあ、お年玉ですか? 特にもらっていませんが……」

 

 おおぅ……。まあ、日本と関係ないベルカ出身の覇王直系だし、そういうこともあるのだろう。とはいえ、

 

「1年に1回くらい、いっぱいお小遣いが欲しいなあ~、とか思わないんですか?」

「いえ、うちの場合、欲しい物があれば実家に申請すればすぐに届くので……」

「へ?」

「あ、もちろん友人など、お金で買えない物もあるので、何でもとはいきませんが……この前もユミナさんが調理に使いたいと言った家電を実家に頼んだところ、翌日には『Am●zon』から届きました」

 

 まさかのミッドまでお急ぎ便……『Am●zon』スゴォォ――じゃなくて、

 

「もしかして、そこのトレーニング機材も?」

「はい。なんでしたらヴィヴィオさんの分も送ってもらえるよう手配しましょうか? 一番いいマシンにしておきますので」

 

 ひぃぃ~っ!?

 そんな高い物、お年玉じゃ買えないよ!?

 車買えちゃうよ!?

 

「くっ、流石はリアル覇王家直系……実はアインハルトさんの実家はお城か何かですかっ!?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 何その「どうして知ってるんですか?」みたいな表情は? まったく否定されないんですけど……。

 

「これは1度、本気でアインハルトさんの実家に乗りこむしか……」

 

 リオコロを引き連れて。

 すると、急にアインハルトさんが挙動不審。しどろもどろになった。

 

「そ、そ、それはつまり私の両親に挨拶したいということですか、いえ、それは、まだ、いえ、大変ありがたい申し出と言いますか、いや、しかし、そうですね、しばしお待ちを……色々と実家と確認を取らねばならないことがありましてぇぇ!?」

 

 ん、んん~?

 何やら勘違いされてるっぽいのだけど、いつかは訪れてみたい場所――高町ヴィヴィオ脳内ランキング第1位なので、まあ別にいいだろう。乗り越えねばならない壁である。

 とはいえ、お年玉の使い道には役立たなそうなので、次行こう、次……。

 

 

 

   CASE2 ミウラ・リナルディの場合

 

「ミウラさんお年玉は~」

「もらってませんよ?」

 

 ここもか!?

 

「ボクの場合は、家のお手伝いをしてお小遣いをもらう――といったタイプでしたので」

「な、なるほど……」

 

 小さい頃から苦労して、でもそれが足腰を鍛えることになり現在の抜剣に繋がっているのだから、一体何が役立つかわからないものだ。

 ミウラさんが言う。

 

「それに最近は大きな大会だとファイトマネーが出るじゃないですか。なので、むしろそのお金を両親に使ってもらえたらなって――」

 

 うわ、眩しいぃぃ――っ!!

 

 いい人すぎるので、次行こう、次……。

 

 

 

   CASE3 リオ・ウェズリーの場合

 

「よし、スルーしよう!」

 

 と言った瞬間、家から飛び出してくる黒いアホ毛の影……というかリオ。

 

「前もあったよね、こういうこと!?」

「えーっ、じゃあ聞くけど、リオはお年玉何に使ったの? どーせゲームとか漫画とかラノベとか円盤でしょ?」

「…………うん。それがゲームには違いないんだけど……課金を少々」

「あ~っ……まあ、しょうがないよね。課金も大事だし。サービス中止にならないためにも、せめて自分が一番遊ぶゲームにくらいお布施するのは、正しい行為だと思うよ。リオ、グッジョブ!」

「え、まさかの褒められた!?」

「ただし、わたしはしないけどね!」

「ちょ、えぇぇ~、ヴィヴィオも課金しなよぉぉ――っ!?」

 

 とはいえ、わたしもよくやるゲームくらいは貢献しようかなと。なくなって欲しくないし……。

 

 なくなってから後悔しても遅いのせんと。

 

 

 

   CASE4 コロナ・ティミルの場合。

 

 ついにやってきましたコロナ城……じゃなくて、普通にコロナの家なんだけど。

 

「何このコロナの部屋っ!? プラモ狂四郎に登場するボクサーでモデラーの富田さんの部屋みたいになってるよ!?」

「ヴィヴィオ、それ誰もわからないから。むしろわかったら相当だよ?」

 

 具体的に言うと、作っていないプラモの箱が大量に積み重なっていて、仕上げたプラモは大切に保管するか飾ってある部屋である。

 ついでに言うと、富田さんはボクシングをやっているので鉄アレイなどのトレーニング用具が置いてあるところも、コロナ部屋に共通している。

 ちなみに『プラモ狂四郎』とは、最近流行った『ガンダムビルドファイターズ』の元ネタともいうべき古い漫画であり、作ったガンプラを、自分で操縦しているかのようにシミュレーションマシンで戦わせる――という作品だ。

 さらに言うなら『プラモ狂四郎』では、ガンプラ以外にスケールモデル――実在の戦車プラモとマゼラアタックなどを戦わせたり、ダンバインやエルガイム、ボトムズなどのプラモデルも参戦する。いわば、スパロボ的な要素も先駆けて存在している。

 とどめに現在ではすっかり当たり前となった武者ガンダム。ジオングにドムの足をつける――パーフェクトジオングなどを広めたのもこの漫画。

〝魔改造〟――なんて単語も『プラモ狂四郎』発である。

 最近では、Gジェネやガンダム vs.シリーズで初めて知った人も多いだろう。

 古い漫画だからと敬遠せず、機会があれば一度読んでみる価値のある作品。それが『プラモ狂四郎』なのだ……けど、

 

「うわ~、ちょっと遊びに来なかった間に、まさかこんな〝おいでよコロナの森〟みたいな空間になっていようとは……って、机の上のは作りかけ?」

「うん。お年玉で買ったガンプラだよ。発売したのはクリスマス前だったんだけど、『HGUC 1/144 BD(ブルーディスティニー)2号機』」

「へー」

 

 またマニアックな……。

 

「――って、聞いてよヴィヴィオ、イフリート改はプレミアムバンダイ限定なんだよ!? これじゃEXAM機体4体そろわないよ!? 普通に売ってくれればいいのに! 私にAm●zonで高く買えと!?」

「いや、わたしに言われても……」

「コホン。まあ、それは置いといて、BD2号機って、ガンダムMk-IIのティターンズカラーみたいにもっと黒いイメージがあったんだけど、ほら見て――」

「あー、どっちかというと青みの濃い紺色だね」

「うん。なので、私のバリアジャケットみたいに紫みの濃いグレイに変えて、ついでにニムバス機の象徴ともいうべき肩のオレンジをピンクにすることで――はい、BD2号機コロナ専用機だよ!!」

「えー」

 

 確かにそれっぽいカラーリングになったのがなんとも言えない。ピンクのクリアパーツで出来たビームサーベルとも上手い具合にマッチしている。というか、そもそもこのパッケージのイラストがそれっぽい。

 背景の白いBD3号機がグリーンの魔力光……じゃなかったオーラを発しているところも、どこか〝コロナVSアインハルトさん戦〟を彷彿とさせる。

 興味がある方は『1/144 ブルーディスティニー2号機 パッケージ』で画像検索してみてください。新しい方ですよ。

 

「ちなみになんだけど、ヴィヴィオが作る時は頭部に注意してね」

「頭? どういうこと?」

「パーツが細かいから。一番小さいのは私でも手で持つのが大変なくらいで。大人の指だとたぶんピンセットが必要なんじゃないかな」

「えー」

「それからデカール……シールね。小さいのは1ミリ×1ミリくらいのサイズのもあるから、これはもう大人から子供までピンセットが必須だと思う。むしろなしで貼れる達人がいたら会ってみたいくらいだよ」

「う、う~ん、そこまでして、どうしてコロナはガンプラを作るの?」

「そこにガンプラがあるから――という哲学的な話は置いといて、ヴィヴィオ、学校の授業でも習ったと思うけど、ゴーレム創成で一番大切なことはイメージなんだよ。特に立体のイメージ。これが上手く出来ないとリオの〝ちびリオ〟みたいなことになるの」

「あ~」

 

 異様に強いけど、ペラペラな平面である。

 

「ヴィヴィオが上手くクリスのゴーレムを作れたのは、ヴィヴィオが普段から立体のクリスの全身をよく見ているから」

「な、なるほど……」

 

 それでアインハルトさんが作ったゴーレムは、ちょっと微妙なことになっていたのか。

 

「そっか。ガンプラ作りはただのコロナの趣味かと思ってたけど、ゴーレムマイスターにとって必要な訓練だったんだね」

「…………一応、趣味と実益?」

「あ、やっぱり趣味ではあるんだ~」

「わ、私のことは置いといて、結局ヴィヴィオはお年玉何に使うか決めたの?」

「う~ん、それなんだけど……」

 

 これだけ見て回っても、ストライクアーツ以外に「これ!」というものが見つからないのだ。

 

「だったらさ、ヴィヴィオもガンプラを1体組み立てて、ガンプラバトルしない?」

「え、出来るの!? プラフスキー粒子とかどうしたの!?」

「魔力素で代用できるから。デバイス――クリスだって浮いてるでしょ?」

「そうだった! そっか、わたしがストライクアーツばっかりやってる間に、世の中そんなことになっていたなんて……」

「実際、クリス以外のゴーレム創成をする役にも立つし、学校の成績もこれまで以上にアップするかも……なんちゃって」

「う~ん、でも、意外とアリかも。せっかくだし1体くらい作ってみようかな」

「ホント、ヴィヴィオ!?」

「うん、出来たら持ってくるね――」

 

 そう言ってわたしはコロナの家を後にした。

 

 さて……とはいうものの、現在発売されている膨大な数のガンプラの中から、どれをチョイスするかという問題がありまして……。

 さらに、ガンプラバトルって『ガンプラの出来栄えがバトルでの性能に反映される』そうなので、ただキットを組んだだけじゃ弱くて、コロナも歯ごたえがないのでつまらないだろう。

 

「そうなると、ガンプラを作るのが上手そうで、なおかつゴーレム創成の技術を持っている人に教わるのが一番いいんだけど……」

 

 あ、1人いた。

 

 早速、彼の地に向かう。

 いたいた黒い長髪の大魔導師。

 

 

「ガンプラマイスターのプレシアお婆ちゃん! 一緒にガンプラ作ろう――っ!」

 

「誰がガンプラマイスターよ!?」

 

 

 そんなわけで後日。

 

『1/144 BD2号機 コロナ専用機』

 

     VS

 

『1/144 ガンダムAGE-1 フルグランサ プレシア・テスタロッサ専用機』

 

 で、ガンプラバトルをしたのだけど、結果はまたいつか別の機会にでも……。

 

 

 

 




去年の12月9日にガンプラ『HGUC 1/144 ブルーディスティニー2号機“EXAM”』が発売されました。
店頭で眺めていたらパッケージの影響なのか「これはコロナで書かないと」と思い購入。
小説を書く前に素組みしたのですが、足首とスラスターに貼る白いシール部分を白いパーツに変えてくれるだけで「これ、このままでいいんじゃ」と思えるほどの完成度でした。
ホント、年々、ガンプラ凄くなっていくなと……。可動域が増える度、パーツ数も増えて組み立てるのに時間もかかるんですけど(笑)。

そういえばプレシアさんなんですが、手先が器用なのでガンプラ以外も上手く作れそうな気がします。ただ、一度作り始めると細かい部分にこだわりすぎ、時間を忘れて熱中しそうなので、深夜起きてきたアリシアに「ママ、こりすぎ~」と言われて、ハッ――と振り向いた顔とか……うん、4コマ漫画になりそうなほど超平和そう(笑)。

あと『プラモ狂四郎』アニメ化しないかなと、こっそり願っています。

では来週――

今年はナカジマジムでも節分です。
「鬼は~外! 福は~内っ!」
「そーだ、アインハルトさんも一豆どうですか?」
「……わかりました」
〝で●六〟のお面を被った鬼役のリオに向かい、アインハルトの放った豆が空気を切り裂き、指弾のごとく襲いかかる!!

次回『炸裂! 覇王流 飛砕弾』

で、リリカルマジカルがんばります!
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