アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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今年はナカジマジムでも節分です。
「鬼は~外! 福は~内っ!」
「そーだ、アインハルトさんも一豆どうですか?」
「……わかりました」
〝で●六〟のお面を被った鬼役のリオに向かい、アインハルトの放った豆が空気を切り裂き、指弾のごとく襲いかかる!!



炸裂! 覇王流 飛砕弾

 今年はナカジマジムでも節分です。

 

 

「「「鬼は~外! 福は~内っ!」」」

 

 

 買ってきた豆(で●六)についていた鬼の面(守備力1)を装備したリオに向かって、わたしやコロナやミウラさんユミナさんたち――みんなで豆を投げつける。

 

「リオー、豆痛くない?」

「大丈夫、大丈夫。バリアジャケット装着してるからね。番長のパンチに比べれば豆くらい問題ないよ!」

 

 なるほど。

 

「豆くらいでバリアジャケットが破壊されてたら、なのはさんなんて100回は死んでるよね?」

「……うん」

 

 確かに。

 

「そーだ、アインハルトさんも一豆どうですか? 今年一年元気に過ごせますよーにって意味をこめた厄払いなので」

「厄払い、ですか……わかりました」

 

 アインハルトさんは中指を親指で押さえてしならせると、豆を一粒人差し指と薬指とつまんだ。そしてオーバースローでもアンダースローでもなく、リオに向かって豆を弾いた。

 

 

「覇王流――翔穹操弾(しょうきゅうそうだん)!」

 

 

 ――スパーン!

 

 

 とかいう豆らしからぬ空気を切り裂く音と同時に、リオの額――鬼の面が真っ二つに割れた。仰け反るように倒れこむ。

 

 

「リオオオオオオオオオオオオ!?」

 

 

 へんじがない。ただの しかばね のようだ。

 

 

「覇王流、翔穹操弾って……それ、〝男塾〟の技ですよねぇぇ――っ!?」

 

 

 民明書房刊『知られざる秘拳』に書かれていた胡散臭い技だ。ていうか実在しないけどね!

 ひょっとして――わたしは気を失っているリオの襟首をつかんでブンブン前後に揺らした。

 

「リオぉぉ! アインハルトさんに男塾全巻貸したでしょ! アインハルトさん、リトバスの恭介なみにすぐ漫画の影響受けるんだからぁぁ!」

「えー」

 

 すると、

 

「あ、ゴメン、ヴィヴィオ。貸したの私だった」

「コロナぁぁ!?」

「まあ、まあ、ヴィヴィオさん。翔穹操弾は冗談としても、指弾のように小石やコインを飛ばす技は覇王流にも存在するんですよ?」

「え、ホントに?」

「はい。旋衝破と同じ遠距離攻撃対策ですね。受け止めることが出来ない攻撃も存在しますから」

「なるほど……」

「そうだ、せっかくなのでみなさんも覚えてみませんか? 魔法使用禁止の場所や試合でも使えますし、意外と便利ですよ」

 

 た、確かに……と、ジムがざわつく。

 

「せっかくだし、ちょっとやってみようか?」

 

 というわけで、今日の練習はストップ。みんなで指弾の修行をしたのだけど……。

 

「ムリ、ムリ、ムリ――」

 

 とはリオ。コロナも、

 

「私もダメ。ヴィヴィオはよく習得できたね」

「お見事です! 流石はヴィヴィオさん!」

「あはは……アインハルトさんみたいな威力は出ないですけどね~」

 

 まだまだ試合では使えないレベル。

 とはいえ、こういった新技をマスターすると早速使ってみたくなるのは世の常で……お、ちょうどいいところに実験台が歩いてきた。

 

「ノーヴェ~」

「ん、どうしたヴィヴィオ?」

 

 

「覇王流――飛砕弾っ!」

 

 

 問答無用でわたしの指から〝で●六〟の豆が放たれる。自分で言うのも何だが、見事なコントロールで狙った箇所――ノーヴェの額――に豆が吸いこまれていく。

 

 

「ふぎゃぁぁ!?」

 

 

 悲鳴を上げてノーヴェがうずくまった。

 

「あれ~? そんなに威力はないはずなんだけど……」

 

 ダンボールも貫通できない。

 

「お前っ、豆がおでこに当たれば十分痛いだろーがぁぁ――っ!?」

 

 ズンズン赤鬼がやってくる。

 走って逃げるわたし。

 

 

「コラァァ、待てェェ、ヴィヴィオ――っ!」

 

 

「きゃぁぁ――っ! 鬼は~外っ! 福は~内ぃぃ!!」

 

 

       ●

 

 

 夜。今年の豆まきは一味違うよ――というわけで帰ってきたフェイトママを驚かせようと指弾の準備をする。

 とはいえ、豆でも当たれば痛いということが十分わかったので、フェイトママの顔の横を猛スピードで通過させてびっくりさせる程度にしておこうと思う。

 事情を説明してあるなのはママが隣で苦笑している。

 

 

「ただいまー」

 

 

 来たァァ!

 

 

「お帰りフェイトママ! 鬼は外! 福は内! 覇王流――飛砕弾っ!!」

 

 

 昼間よりも練度を増した豆が、玄関の夜気を切り裂きフェイトママの隣を通過する…………かに見えた瞬間、その手に剣の形に変化したバルディッシュが握られていた。

 

 

「ふんっ――」

 

 

 そして、勢いよく腰を回転させながらバルディッシュを振り抜いた。

 

 

 ――カーン!

 

 

 打ち返された!?

 

〝で●六〟豆がわたしの額にピッチャーライナー。

 

 

「へぐっ!?」

 

 

「ヴィヴィオ!?」

 

 

「つい癖で打ち返しちゃった!?」

 

 

 どんな癖……?

 

 

「……ガクッ」

 

 

 みなさん、指弾は危ないので人に向けないようにしましょうね~。

 

 

 

 




フェイトさんなら打ち返せそうな気がしました。
ホームラン以外も打てる……はず?

そんなわけで来週です。

「聖王教会は退屈……もとい、私も少し、はやてのバレンタインに興味がありましたし……」
騎士カリムからシスターセインを1日レンタルしたヴィヴィオは、なのは、フェイト、はやてといった管理局組のバレンタインを、ディープダイバーを使ってのぞき……じゃなかった見学しに向かうのだけど??

次回『チョコっとディープダイバー』

で、リリカルマジカルがんばります!

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