「よしヴィヴィオ、ダンジョンに遊びに行こう! もちろんユーリも一緒にね!」
大人組が話している間暇だったヴィヴィオは、レヴィ、ユーリと共に惑星エルトリアに眠る古代遺跡に潜ることに……。
3人を待ち受けるモノとは果たして!?
1
今日は2018年公開予定の映画『魔法少女リリカルなのは Detonation』の件で、なのはママと一緒に惑星エルトリアを訪れています。
ママは王様やシュテル、アミタさんやキリエさんと一緒に大人のお話。一方わたしはといえば……。
「よしヴィヴィオ、ダンジョンに遊びに行こう! もちろんユーリも一緒にね!」
そんなわけで、本日はわたし――高町ヴィヴィオと、レヴィ、ユーリの3人で、惑星エルトリアに点在する遺跡の中でも最大級、未だにレヴィが探索を続けているという〝謎のダンジョン〟からお送りしたいと思います。
2
「ココが噂の古代遺跡かぁ~」
砂漠や死触の大地を越えた先にあるそのダンジョンは、2階、3階と上がるのではなく地面の下に潜っていくタイプだった。
天然洞窟ではなく完全に人の手によって造られた地下迷宮。石畳や石壁などファンタジーチックな建築様式かと思えば、途中から繋ぎ目のない金属のような光沢を放つ材質に変わる。
「この混ざり具合……ちょっと〝時の庭園〟に似てるかも……」
そんな風に思っていると、小柄なユーリがビクビクしながらレヴィのマントを引っ張った。
「あう~、通信が上手く繋がらないし、本当にこんな下まで潜って平気なんでしょうか?」
「そんなに深いの?」
レヴィの案内で階数の表示されないエレベーターに乗ったのでわからないのだ。水色髪の少女があっけらかんと答える。
「えっとね~、ほんの地下149階くらいかな?」
「深っ!?」
某トルネコさんのダンジョンより深い。
アバン先生の潜った破邪の洞窟やスペクトラルタワーの10000階に比べればまだまだだけど、十分気が遠くなるような深さだ。
レヴィが言う。
「ほら、前に別次元のなのはとフェイトがこっちに来たことがあったでしょ? あの時、原因になった機械を見つけたのがこの遺跡なんだよね。確か、地下125階くらいの機械神殿っぽいとこで見つけたんだったかな?」
『魔法少女リリカルなのはGOD サウンドステージM「エルトリアの空の下から」』であった出来事だけど、そっか……アレと同じ古代遺跡なのだとしたら、この深さも納得である。
ひょっとすると、まだまだ未知のアイテムが見つかるかもしれない。そう考えると、わたしはかなりワクワクしてきた。ミッドに帰ったらユーノ司書長にも教えてあげなければならない。
「そういえば、さっきからユーリって妙に警戒してるけど、普段はレヴィと一緒にダンジョンに入らないの?」
「はい。以前は一緒に入ることもあったんですが……その、レヴィが速すぎて置いてかれることが多くて……」
「あ~」
1人でビュンビュン先に行っちゃうんだろうな~。「まってくださ~い」と追いかける涙目ユーリの姿が思い浮かぶ。紫天の盟主は苦笑した。
「なので、最近はもっぱらレヴィが遺跡から持ち帰った未知の機械の解析することが多いですね」
「ボルタック商店で鑑定するような感じか~」
「ボル……?」
某有名3Dダンジョン探索型RPG『ウィザードリィ』において〝ボッタクリ商店〟や〝ボッタクル商店〟などと揶揄されることも多いけれど、実際はやっぱりお世話になることが多いお店だ。
前を行くレヴィが振り返る。
「大丈夫だって! 今日はちゃんと僕がユーリを守るからねっ。王様から言われてるし。ちっちゃい子を守るのは戦士の役目なのだ~っ!」
「ううっ、私も早く大きくなりたいです……」
「ユーリが大きくなりたいといえば、なのはGODの公式ビジュアルブックの座談会で都築先生とイラストレーターのしのざき先生が、
『あとはしのざきさんへの指定で「胸があるようには描かないでください」、「ゼロです」と(笑)』
『他の原画さんに色指定とかお願いすると、やはり影をつけてくるのでそれを削ったりしてました(笑)』
――ってのがあったよーな」
「なんですとー、酷いですぅぅ!」
「アハハ、僕はそーいうのよくわかんないけどさ、胸なんて邪魔だし、ない方が速く動けていいんじゃないの?」
「そうだなあ~、じゃレヴィは戦闘には意味ないけど角がついたかっこいい紫天ロボと、角がついてない紫天ロボだったらどっちがいい?」
「そりゃもちろん角がついてる方が……あ、そーいうことか~。よし、僕も大きくなったらフェイトみたいに胸がドーンとなるぞ~」
「ううっ、レヴィはフェイトさんが元になってるから希望が持てますけど、私なんて……」
「中の人つながりで『W●RKING!!』の種島ぽぷらや『のん●んびより』のこまちゃんみたいな感じとか?」
成長してもちっちゃいよ~。ちなみに前者は身長140センチくらい、後者はなんと身長130センチくらいである。
なんてこったい。
「いやぁぁ~~、早く大きくなりたいですぅぅ~~っ!」
あはは――と笑いながら、わたしが目の前の扉のドアノブに手を伸ばすと、急にレヴィが大声で怒鳴った。
「ヴィヴィオ、ちょっと待ったぁぁ!」
「え、何っ!?」
「そのノブ触っちゃダメだよ!」
「どういうこと?」
ネバネバして手にくっつくとか、そいうイタズラみたいなトラップだろうか?
「それ、鋭い刃が高速回転して丸いノブに見えてるだけだから、手で握ると指がズタズタになっちゃうよ?」
「いやぁぁ――――っ!?」
古典的だけど、なんて凶悪なトラップ。
「う~、トラップか~、流石はダンジョン……あ、そういえばこの遺跡も入る度に形が変わったりするの?」
いわゆる自動生成ダンジョンというやつだ。
「うん、変わるよー。一部だけどね」
「へ~、やっぱり外に出るとレベルが1に戻されたり、巻物を読んで武器が+1されたりするの?」
不思議のダンジョン形式である。
するとレヴィが「やだな~、何言ってんのヴィヴィオ」と笑った。
「現実的に考えて、ダンジョンの外に出たくらいで経験したことがなくなったり、巻物を読んだくらいでバルニフィカス(レヴィのデバイス)がパワーアップするなんてあるわけないじゃん!」
「ぐはぁぁ!?」
レヴィから〝現実的〟なんて言葉を言われると無性に悔しいんですけど~。
「あ~、でも前に王様が何か言ってたよーな……何だっけユーリ?」
「えっと、ディアーチェが言うには『レヴィのダンジョンは、トルネコやシレンではなく、ポケモンに近いな』だったような」
「そうそう、そんな感じー。意味わかんないけど」
「ポケ……あ~、そういうことかっ!」
『ポ●モン不思議のダンジョン』はレベル持ち越しのため、ダンジョンを出てもレベルが1に戻ることはない。
また、キャラがポケモンなので武器を持たない。素手による攻撃か技オンリーである。そのため、新しい技は次々に覚えていくものの、巻物で+1という武器のパワーアップがない。
そういった意味では、入る度に成長を続け、モンスターハントにより新必殺技を編み出すレヴィの迷宮探索とよく似ているのかもしれない。
いつの間にか周囲が、チカチカ光るむき出しの機械のような壁面に変わっていた。
「わたしね、ずっとエルトリアの古代遺跡って古代ベルカと関係があると思ってたんだ……」
「え、そーなの?」
「うん。レヴィやユーリにこんな話をするのは今更なんだけど、古代ベルカ戦争の最後に〝多くのベルカの民が忽然と姿を消した〟――って言われてるんだよ。死んだんじゃなくて、消えたの。だから、ひょっとしたら、わたしたちの知らない凄いロストロギアで集団転移して、ここ――エルトリアにやってきたんじゃないかとかね」
「な、なんだってー」
「なーんてねっ! もし本当にそうなら、この遺跡を探索したレヴィやユーリ、王様やシュテルが気づかないはずないもんね」
「あはは、そりゃそーだよね~」
だけど――とわたしは壁に触れる。
「こうして本物の遺跡を探索してみて、レヴィの言う機械神殿も見たけど、古代ベルカとまったく似てないってわけじゃないかなって。ちょっと聖王のゆりかごと似た匂いもするし……」
そうですね――と答えてくれたのはシステムU-Dとも呼ばれたユーリだった。
「確かに、解析していても近い技術を使っているなと感じる部分はあります。私の知る技術の平行線場や延長線上というより、同一線上です。共通点は多いですね。なので、ひょっとすると古代エルトリア文明は、古代ベルカ同様にアルハザードからの技術流出があったのかもしれません。あるいはアルハザードそのものの遺跡という可能性もあると思いますよ? アルハザードの秘術には『時間と空間を遡り、過去さえ書き換えることができる魔法』もあったと言いますし」
レヴィが言う。
「そういえば、うちの時間遡行システムもグランツ博士が偶然発見したんだっけ?」
「はい。レヴィの拾ってきた機械とリンクしたということは、亡くなった博士もこの遺跡で発掘したのかもしれません。アミタやキリエに聞けばわかるかもしれませんが……」
その辺りの秘密も、別次元の話ではあるけど今年の映画『Detonation』でイリスさんの事情と一緒に明かされるのかもしれない。
すると急にユーリが声のトーンを変えた。外見とよく似た子供っぽい歓声を上げる。
「あっ、レヴィ、ヴィヴィオ見てください。宝箱ですよ!」
うれしそうに駆けていく。
「この遺跡、そんなものまで落ちてるんだ……」
「ちょっと待ってユーリ。うかつに開けると――」
「えっ――」
一歩遅かった。勢いよく開けた宝箱の内側から閃光が走った。思わず腕で目をかばう。少女の体が光に飲まれる。
「ユーリっ!?」
光が収まると、宝箱を残しユーリの姿が忽然と消えていた。
3
「空間……転移……?」
「トランスポーターだよ」
レヴィが危機感なく言った。
「それってテレポーターのこと? 『ウィザードリィ』とかに登場する〝強制的にどこか別の場所に飛ばされるトラップ〟だよね」
「そうそう。前に1度だけ食らったんだけど、まだ探索してない場所に飛ばされて、戻るのが大変だったんだから」
「ちょっと待ってレヴィ。『ウィザードリィ』だと酷い時は壁の中にテレポートさせられて、一発でパーティーが全滅したりするんだけど……」
「壁の中?」
「そうだよ! レヴィはこれまで無事だったかもしれないけど、地面の底とか石壁の中とか、普通入りこめないとこに強制転移されたら……」
例え、なのはママでも〝死ぬ〟!
『いしのなかにいる』で検索してもらえば、いかにヤバイ状況か理解してもらえるはずだ。
レヴィの顔が髪の毛みたいに青ざめていく。
「うわぁぁ~~~んっ!? ユーリ、ユーリがぁぁ――っ!!?」
「ちょっと待って、まだそうと決まったわけじゃないし、ダンジョンのどこか別の部屋に飛ばされただけかもしれないよ!」
「そ、そーだ、通信、通信――」
――ツー、ツー、ツー……。
「うえぇぇぇ~ん! ユーリぃ、ユーリぃぃ!?」
「そうだ! この階は通信が繋がらないとか言ってなかった?」
「そうだよ!」
兎に角ユーリを捜そう――と、わたしとユーリは地下149階を駆けずり回る。
「ユーリぃぃ!」
「ユーリどこぉぉ!?」
宝箱のフタをドッタンバッタン開けたり閉めたりしても当然入っていない。
長い回廊の途中で見つけたジュースの自動販売機を……って、
「どうして自販機あるのぉぉ!?」
と思ったけど、考えてみたら古代遺跡とはいえこんなに大きな施設なのだから、昔の人が自動販売機を設置していてもおかしくはない……よねえ?
「ユーリ~、いたら返事を~」
取り出し口に両手を突っこんだレヴィが、こまちゃんを捜すほたるんみたいに、ガチャガチャ動かしている。リインさんなら入るだろうけど、流石にユーリは入らないだろう。
こうしてユーリ捜索から1時間。わたしとレヴィはいつの間にか149階のボス部屋にたどり着いていた。
「広っ! ていうか天井が高いよ!?」
管理局の次元航行艦が停泊しているドックくらいはある。注意して進むと、
「いたぁぁ――っ! ユーリだぁぁ――っ!」
奥のキャットウォークの上にいるのは、確かにユーリ・エーヴェルヴァインその人だった。ところが今にも泣き出しそう表情で、腕をばってんの形にクロスしている。
「どういうこと?」
わたしとユーリが顔を見合わせると、突然轟くような声がした。床が光り出す。
「この魔方陣は!?」
ズモモモモ――って感じで腕を組んだ巨大生物が迫り上がって来る。全身が黄金に輝く2足歩行のドラゴン……というかほぼ怪獣。
ていうか、見たことあるよぉぉ!?
「ナニコレェェ!? もしかしてヴォルテール亜種ってことぉぉ!?」
色違いである。
体長15メートルって話だけど、実際はゴジラ(50メートル)とかサイコガンダム(40メートル)くらいはありそうな気がする。
「コイツを倒せば囚われのお姫様――ユーリを助け出せるってことだね!」
何だかクッパみたいになってきた。
言うが早いかレヴィがマントを翻し飛び立った。例え敵がどれほど強大だろうと、力を司る雷刃の襲撃者は引かない、折れない、退かない。アホの子というだけではない。 最短距離で接近しつつ、青く光る魔力の鎌で竜の首を薙いだ――が、大きすぎるせいか刃が通らず大したダメージにはならない。
「だったらぁぁ――」
多数の雷の魔力光から、剣のような雷撃を放つ。
「雷刃封殺――」
ところが、カッコよく言い終える前にヴォルテール亜種の口から灼熱の炎が放たれた。腕を組んで黄金に輝く姿はまるでアルデバラン。
「ふぎゃぁぁ~~っ!?」
髪とマントがぷすぷす燃えたレヴィが落下してくる。ギャグ漫画みたいに黒焦げだ。わたしはがっちり受け止めると後方に下がった。
「これは流石に勝てる気がしないよ~」
アインハルトさんでも「ぷろ~」とか言ってやられちゃうレベルだ。
わたしは仕方なくユーリを残すと、いったん通信可能な階層まで戻る。そこからなのはママに連絡すると、王様にシュテル、アミタさんにキリエさんも来てみんなで集団戦。どうにかヴォルテール亜種の討伐に成功した。
無事、紫天の盟主を救い出したのだった。
「うぇ~ん、怖かったです、ディアーチェ~っ!」
ユーリが王様に抱きつく。
「まったく人騒がせな……」
「まあ、一番焦っていたのは我が王ですが」
「余計なことを言うなシュテルっ!?」
フローリアン姉妹も「安心しました」「ホントよね~」と笑いながら、ちっちゃなユーリの頭をなでている。
「僕だってがんばったのにぃ~~っ!」
「そうですね、レヴィも頑張りました!」
「赤毛、あまりレヴィを甘やかすな」
ヴォルテール亜種に「少し頭を冷やそうか」と言い聞かせていたなのはママが戻ってくる。リナ・インバースみたいなことになってるな~。年々凄みが増しているのは気のせいか。
なのはママが言う。
「よく考えたらさ、私たちの中で一番強いのってユーリちゃんじゃなかったっけ?」
「「「「「「「あ」」」」」」」
かつては『なのはママ、フェイトママ、はやてさん、ヴォルケンリッター、ユーノ司書長、リーゼ姉妹、フローリアン姉妹、王様、シュテル、レヴィ、それにわたしとアインハルトさんに、トーマとリリィさん』――『A's』のナハトヴァール戦を遥かに凌ぐ大人数でようやく止められた〝リリカルなのは屈指の強キャラ〟である。
「別に弱くなったわけじゃないんだよね?」
永遠結晶エグザミアは健在で、ユーリの魔力は今も聖王のゆりかごと渡り合えるくらい強大のはず。
「ユーリ?」
「わ、わ……私も忘れてましたっ!?」
全員がそっと目を逸らした。
GODではやてのこんな台詞があります。
キュピーン!
「な……なんやこの重圧……魔力量の桁が違う!?」
「まるっきり、勝てる気がせーへん……」
ナハトヴァール戦でもこんなこと言わなかったのに、ユーリに対しては珍しく弱気なたぬ吉司令。子供時代のはやてとはいえ、彼女にここまで言わしめるユーリが全力を出すと……世界の2つや3つ壊せるほどらしいです。
どんなフリーザ様(笑)。
ちなみにヴォルテールがいまいちわからないという方は『ヴォルテール リリカルなのは』で動画を検索してもらうと、上の方にヴォルテールさん(と、キャロ)が活躍してる映像があるので……ええ、まあ、だいたいあんな感じかと。強いです。
そんなわけで来週。
事の発端は、ヴィヴィオが竹書房文庫から出版されている『インディ・ジョーンズ 炎の聖剣』を読んだことだった……。
とある機会にシグナムにその話をすると、
「そうか……ならば……よし、探しに行くか!」
誰とは言わないが、ミッドでも有名な考古学の専門家を仲間に加え、ヴィヴィオたち3名は地球のイギリスへ向かう!
果たして炎の聖剣は手に入るのか!?
次回『シグナムと炎の聖剣』
で、リリカルマジカルがんばります!