アインハルトさんはちっちゃくないよ!   作:立花フミ

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「ひねくれたままのプレシアお婆ちゃん、遊びに来たよ~!」

というわけで、今回は、リリカルなのはにおける様々な肉体強化を、ヴィヴィオの祖母にお願いして解説してもらいます。

果たして、魔力量Eクラスのアリシア・テスタロッサでも、Sランクのフェイトより強くなることができるのか!?



なぜなにプレシアお婆ちゃん

 みなさんこんにちは、高町ヴィヴィオです。

 

 今日やってきたのは、とある並行世界の1つ。今風に例えれば、世界線の1つ、とでもいったところでしょうか。

 

 どうして行き来できるのか? など、詳しい事情や経緯は、これまでの話を読んでもらうとして、つまるところ、無印や劇場版1作目のリリカルなのはで、ラスト、虚数空間にのまれたプレシア・テスタロッサが、無事にアルハザードに着いた――そんな世界。

 

 だものだから、プレシアお婆ちゃんの性格は、アリシアさんが元気なころ、あるいは『A's』でフェイトママの夢に登場したような、優しい大人の女性――ではありません。

 

 かといって、『INNOCENT』のように、娘を溺愛しすぎている――わけでもありません。

 

 そう、あのムチでピシピシ叩いていたプレシア・テスタロッサの延長線上――

 

 

「ひねくれたままのプレシアお婆ちゃん、遊びに来たよ~……って、あれ?」

 

 

 いつもなら、すかさずツッコミが帰ってくるはずなのだけど……。

 

 何度か遊びに来ているので、勝手知ったる他人の家といった感じで、ズカズカ奥へ進んで行くと……、

 

 

「な、なんじゃこりゃああああああああああああああああああああ!?」

 

 

 リビングルーム――というか、居間の中央で、プレシアお婆ちゃん、アリシアさん(フェイトママが中学生くらいの容姿)、リニスさんの三人が、こたつを囲んでいた。

 

 色々とツッコミどころが多いのだけど……、

 

「え~、もう6月の後半だよ~」

 

 流石にコレはない。

 

 プレシアお婆ちゃんが、顔だけわたしに向ける。

 

「そっちはそうでも、こっちはまだまだ寒いのよ」

 

「まーまー、ヴィヴィオも入りなよー」

 

「あ、中に2世がいるので、気をつけてくださいね」

 

「しっかり者のリニスさんまでぇぇ~~っ!?」

 

「元が、猫の使い魔だしね」

 

「すみません、ヴィヴィオさん。私も早く片づけないといけない――とは思っているんですが、本能にはあらがえず……」

 

「あ~」

 

「でもね、ヴィヴィオ。これは、元はと言えば、あなたの母親が悪いのよ?」

 

「なのはママのせい?」

 

「もう1人の方よ」

 

「フェイトママっ!? それこそ有り得ないんじゃ……」

 

 あの品行方正なフェイトママより、まだ全力全開ななのはママのせい――と言われた方がしっくりくる。

 

「ほら、こたつのメーカー名をご覧なさい」

 

「メーカー名? ……って、これ日本製!? どういうこと?」

 

「あなたも無印や劇場版を見たなら覚えているでしょ? フェイトが、

 

『あの……母さんに……お土産を……』

 

 ってケーキを買ってくるシーン」

 

「あ~、はいはい、ありました。そのあとムチでピシピシ叩いて……ひどい!」

 

「そうね。今はその話は置いといて、フェイトがお土産に買ってきたのが、本当にケーキだけだったと思う?」

 

「ま、まさか……そのこたつ……」

 

「ええ、あなたが考えた通りよ。もちろん、ケーキとは別の日だったけれど……。

 

『あ、あの、地球でいいものを見つけて……。まだ春先で寒いだろうから、母さんに……』

 

 って」

 

「あ~」

 

 フェイトママなら買いそうだ!

 

「ただ、当時の私は……。

 

『なによ、これ!? 暖かくて外に出たくなくなるわ……。

 

 研究が……大事な研究が進まない!

 フェイト、どうしてこんな物を……。

 そんなヒマがあったら、言われたことをちゃんとおやりなさい!』

 ピシピシ――と」

 

「え、そんな理由で!?」

 

「ママ、さいてー」

 

「プレシア、最低です」

 

「くっ……そんなわけで、忌まわしい記憶と共に、私はこたつに帰ってきたのよ」

 

「そんな、アクシズとソロモンを合体させたみたいな台詞を言われても……」

 

「まあまあ、ヴィヴィオも、早くこたつに入りなよー」

 

 どうしよう、この空間……。

 

 早くなんとかしないと……。

 

「ヴィヴィオさん、みかんとアイスもありますよ」

 

「…………くっ。ま、まあ、郷に入れば郷に従えともいうしね、少しくらいなら……」

 

「飲み物は?」

 

「……コーラで」

 

 そんなわけで、本日は、梅雨入りしたこの時期にこたつに入りながら、みかんとアイスを食べるという、一周半くらい回った贅沢をしつつ、お送りします。

 

 

       ●

 

 

「――それで、今日はどんな要件で来たのよ? あなたが来ると、だいたい面倒くさいことに巻きこまれるのよね」

 

「あははー、今日は大丈夫だって。

 実はね、前回、覇王イングヴァルトが〝肉体強化〟をしてた――って、調べたんだけど、そもそも、リリカルなのはにおける〝肉体強化〟って、どんな種類があるのかな~って。その辺り、お婆ちゃんなら詳しいでしょ?」

 

「肉体強化ねぇ……それなら、スカリエッティに聞いた方が早いんじゃないかしら? あなたにレリックを移植したのも、あの男でしょ?」

 

「それはそうなんだけど……ほら、軌道拘置所にいるから、そう簡単には会えないし……というか、『INNOCENT』のスカさんならいいんだけど、こっちには『StrikerS』のスカリエッティだし……『StrikerS サウンドステージX』での言動を考えると、気分が良い日は話してくれそうな気がしないでもないんだけど……」

 

「まあ、あなたにとって唯一の天敵みたいなものだものね」

 

「なので、そこはほら、スカリエッティに匹敵する天才で、何歳になっても若くてお綺麗な、大魔導師様に聞いた方がいいかなって」

 

「…………コホン。そうね、まあ、そういうことなら」

 

「プレシア、乗せられてますよー」

 

「意外とチョロいよね、うちのママ」

 

「うっさいわね。たまには解説するのも悪くはないでしょう」

 

「まあ、ママらしいけどねー。でも、その肉体強化とやらをすれば、魔力量Eクラスの私でも、Sランクのフェイトと勝負して勝てるようになるってこと?」

 

「う、う~ん……どうなんだろう?」

 

「姉より優れた妹なぞ存在しねえ! みたいな日がついに来るの!?」

 

「あー、どうでしょうね、プレシア?」

 

「そうね。その辺りも含めて説明してみましょうか。

 ただ、一口に肉体強化といっても範囲が広すぎるから、とりあえず『無印』から、ヴィヴィオが主役の『ViVid』までに登場した技術に絞って説明するわよ?」

 

「はい。それでお願いします」

 

「ついに私の時代が~」

 

「来るといいのだけど……。まずは――リニス、そっちのみかん取って」

 

「はい、どうぞ」

 

「いい、ヴィヴィオ、アリシア。こっちの①から始まる数字の小さいみかんほど、現在の肉体に負担の少ない強化方法だと思いなさい。

 

 

①デバイス

 

②強化魔法

 

③融合

 

④ナノマシン

 

⑤人造魔導師

 

⑥戦闘機人

 

 

 後半のみかんほど、外科的な手術が必要になるわけね」

 

 

     ①

 

 

「デバイスも、肉体強化なの?」

 

「そうね。単に端末や、魔導端末なんて呼ぶことが多いのだけれど……。古くは、ゲームなんかでよく登場する魔力の宿った杖だったのよ。それの現代版がデバイスね。

 RPGで考えてご覧なさい。ステータスをアップさせる――という意味では、肉体強化になるでしょ?」

 

「でも、昔と違って、演算補助や記憶装置としての意味合いが大きいから、肉体強化とは違う気がするんだけど……」

 

「あら、そんなことないわよ。

 

『フフ、モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを教えてやる』

 

 とでも言えばわかるかしら?」

 

「あー、素人同然だったアムロでも、ガンダムに乗れば赤い彗星と互角に戦える。なのはママとレイジングハートも、そんな感じだったもんね」

 

「つまり、フェイトとバルディッシュは、シャアとシャアザクみたいなもの?」

 

「いえ、そこはシャアとシャア専用ゲルググくらいにしてもらえると……。バルディッシュ頑張って作ったんですよー」

 

「まあ、Zガンダム以降ならともかく、初代ガンダムとザクの機体性能の差は――」

 

「ママ~、話がそれてる、それてる。ガンダムじゃないよー」

 

「……コホン。まあ、そんなわけで、単純に高性能なデバイスがあれば強くなれる――というのは、確かなのよ」

 

 

     ②

 

 

「次は②――強化魔法ね。

 補助魔法による肉体強化から、バリアジャケットなんかの防御魔法。それに、あなたにも馴染み深い大人モードも、これに含まれるわね」

 

「うん。単純に大人の姿に変身するだけでも、筋力がアップして、リーチも伸びるしね。ストライクアーツをするなら結構重要なんだよ?」

 

「つまり、私も変身魔法を使って大人の姿になればフェイトぐらい――」

 

 

「「「……」」」

 

 

「え、何で、どうしてみんな可哀想な子を見る目で私を見るのぉぉ!?」

 

「……コホン。とりあえず、ここまでが比較的安全な肉体強化といったところかしら」

 

「ちょっと! 私だってちっちゃくないよっ!?」

 

 

     ③

 

 

「えーと、まあ、そんなわけで③番目の融合(ユニゾン)なんだけど……ほら、アリシア、機嫌直して」

 

「今度、私とプレシアで、最強の、アリシア専用のデバイスを作りますから」

 

「……じゃ、太陽炉積んで」

 

「えー」

 

「GNドライヴ搭載型かどうかは置いといて、ミッドで、フェイトとバルディッシュが実験中の第五世代型をすっ飛ばして、第六世代型を目指す――というのはアリかもしれないわね」

 

「なるほど。それはちょっと挑戦しがいがありますね」

 

「それなんてイオリア・シュヘンベルグ?」

 

「――と、まあ、ダブルオーの話は置いといて、ユニゾンなんだけど……。これ、あなたが前回調べた覇王イングヴァルトにも関係してくる技術なのよ」

 

「え、クラウス陛下ユニゾンしてたのっ!?」

 

「まあ、してはいないでしょうね。

 戦っているとき、外見がまったく変化していなかったもの。

 その辺りの事情は、あなたのお友達の方が詳しいでしょうから説明は省くけれど、そもそもユニゾンは、ベルカ独自の技術で、

 

『一個の人間を究極まで強化する、という思想に基づいた兵器開発もベルカでは積極的に行われ、その中で開発された技術成果の一つである』

 

 ということなの。

 詳しく知りたければ『A'sビジュアルファンブック』や『A's魔法辞典』。それに『2ndA'sパンフレット』を見るといいわ」

 

「一個の人間を究極まで強化する、かあ……」

 

「ええ、デバイス強化による、1つの到達点ね」

 

「こ、これはスゴいかも!」

 

「まあ、待ちなさいアリシア。ステイ、ステイ。

 確かにユニゾンは、術者の魔法行使能力を飛躍的に上昇させることができるわ。でもね、その分、欠点の多い技術でもあったの」

 

「欠点?」

 

「そう。融合適性を持つ術者の少なさと、頻発した〝融合事故〟よ。

 

『デバイスが術者の体を乗っ取り、自律行動をとってしまう』

 

『魔法行使時などに使用者が肉体的な不具合を発生させる』

 

 などね。他にも多くの不具合があったみたいよ」

 

「でもママ、それくらいで強くなれるなら、一度試してみたいかも」

 

「それは止めておきなさい」

 

「どうして?」

 

「古代ベルカにも、アリシアと同じように考えた人が多くいたはずよ。なのに、まったく普及しなかったところを見ると……これは〝合体事故〟ね!」

 

「が、合体事故!?」

 

「女神転生やペルソナ的な!?」

 

「ええ。

 

『術者 × 融合騎(ユニゾンデバイス)』

 

 が、失敗して、外道スライム的な何かが誕生して〝コンゴトモヨロシク〟したとしたら……しかも、元に戻れない」

 

「ひぃぃ!? リスクが高すぎるよ!」

 

「とはいえ、成功すれば、外科的な手術を行うことなく強くなれるし、ユニゾンを解除すれば、簡単に元の姿に戻れることを思えば、便利よね」

 

「……ということは、いつかはやてさんも融合事故を起こして、スライムみたいになる日がぁぁ!?」

 

「八神はやての場合、余程のことがない限り、そんな日は来ないでしょうね。あの子のユニゾンは、少し事情が異なるのよ」

 

「えー」

 

「ヴィヴィオさん、ちょっと期待していませんでしたか?」

 

「いやいや、別に関西弁をしゃべる〝八神スライム司令〟とか、ちょっと面白そうだなあー、とか思ってませんよー?」

 

「『嘘だ!』と、ティアナさんの中の人に言ってもらいたい……」

 

「まず、夜天の書の管制融合騎――初代リインフォースなんだけど、

 

『夜天の書のマスターとして登録された人物の生体パターンや魔力資質といった情報を詳細に解析し、数ヶ月~数年をかけて管制融合騎が自身の融合機能を自動的に調整するシステムが搭載されており、融合事故の発生率は極めて低く抑えられている』

 

 次に、リインフォースⅡね。

 

『はやてのリンカーコアを分け与える形で彼女の基礎コアは生みだされており~』

 

 もっと詳しく知りたければ『2ndA'sパンフレット』を読むことね。

 こうすることで、融合適性や相性の問題を完全にクリアーしているのよ」

 

「それって、つまり――私も、自分のリンカーコアを分け与えて融合騎を作っちゃえば、融合事故の起きないユニゾンができるってことだよねっ!」

 

「なるほど、わたしも作ってみたいかも!」

 

「ただ、アリシアの場合は、基本となる魔力量が低いですから、完成した融合騎を含めても、おそらく――

 

『アリシア × 融合騎(ピクシー) = ポルターガイスト』

 

 くらいになるかと」

 

「ナニソレ!? 弱っ!」

 

「しかもポルターガイストって、普段のアリシアさんとほとんど変わらないよ!」

 

「それもひどっ!」

 

「まあ、アリシア専用の、強力な融合騎を作る方法がないわけでもないのだけどね」

 

「え、本当、ママ!?」

 

「さっすが、お婆ちゃん!」

 

「さすプレですね」

 

「アリシアの場合、たとえ本人の魔力量が低かったとしても、クローンであるフェイトのリンカーコアを分けてもらい、融合騎のコアにすればいいのよ」

 

「そっか! 単にクローンってだけじゃなく、二人とも仲良しだし、融合適性や相性も問題なし、これは上手く行きそう!」

 

「待ったァァ! それって、フェイトを倒すのにフェイトの力を借りるってことじゃん!

 魔竜王ガーヴを倒すのに、ガーヴ・フレア使うようなもんだよね!?」

 

「例えが微妙だけど、わからなくもない自分がイヤー」

 

「二人とも、あのアムロだって、シャアからもたらされたサイコ・フレームの技術でνガンダムを完成させて、シャアに勝利したんですよ」

 

「「な、なるほど!」」

 

「あー、それで納得するのね……」

 

 

     ④

 

 

「④番目は〝ナノマシン〟ね」

 

「あれ? お婆ちゃん、リリカルなのはにナノマシンなんて登場したっけ?」

 

「劇場版3作目の『Reflection』の後半で、高町なのはが、アミタからナノマシンの供給を受けたでしょ」

 

「そうでした! あー、何気に映画の――並行世界のなのはママは肉体強化をしてたんだ……わたしに先駆けて。なのはママだけ超パワーアップ。『StrikerS』どうするの!? わたしはもちろんだけど、ノーヴェたちまで素手でボコられる未来しか見えないよ!?」

 

「そういえば、加速したキリエに、なのはとフェイト殴られてたねぇ……ワンパンマンみたいなことに……」

 

「そこは一応、伏線っぽいのもあるから、大丈夫でしょう」

 

「伏線?」

 

「アミタの使う〝アクセラレイター〟や、キリエの〝システムオルタ〟は、どちらも『体内のナノマシンを大きく消耗する』と説明にあるわ」

 

「なのはさんのことだから、『Detonation』でも全力全開。ラストは、ナノマシンを使い切っての大勝利! といったところでしょうね。相当ボロボロでしょうけど」

 

「うわ~、墜落事故コース一直線だ!」

 

「とはいえ、事件後も、少しはナノマシンが残っている――とするのかもしれないわね」

 

「というと?」

 

「本来は空を飛ぶどころか、歩くことすら困難なほどの大怪我だったって話でしょ?」

 

「うん」

 

「そんな大怪我から回復したのも、苦手だった運動が『StrikerS』から急に得意になっていたのも、全て、わずかに身体に残っていたナノマシンのお陰だった――とすれば、安易な奇跡に頼らなくても、まるっと説明がつくわ」

 

「じゃ、ゆりかご戦での後遺症が『Force』で皆無に見えるのも?」

 

「ナノマシンの影響ね」

 

「慣性コントロールしなくても、でかいカノンを片手持ちできるのも?」

 

「ナノマシンのお陰」

 

「いつまで経っても若いのもっ!?」

 

「ナノマシン」

 

「え~」

 

「なんてこったい、ビバ! ナノマシン万能説!」

 

「∀ガンダムだって、ナノマシンを使ってるでしょ?」

 

「月光蝶である!」

 

「……はっ! これを私の体にも入れてもらえれば」

 

「肉体的には強くなると思うけど、魔力量はアップしないわよ」

 

「ううっ……」

 

「ヴィヴィオさんみたいに、毎朝10キロ走れば、自然と強くなれますよ」

 

「そんな走れるかぁぁ!?」

 

 

     ⑤

 

 

「さて、ようやく⑤番目まで来たわね。古代ベルカの肉体強化における1つの完成形――人造魔導師」

 

「うぉぉ、なんかスゴそうなの来た~」

 

「『StrikerS魔法辞典』には、

 

『人間に対して、主に外科的な処置・調整によって、強力な魔力や魔法行使能力を持たせる技術』

 

 と、書いてあるのだけど……」

 

「これって、スカリエッティがわたしにやったやつだよね?」

 

「そうね。ただし、あなたに対して行われたのは、人造魔導師研究の中でも、スカリエッティが〝レリックウェポン〟と呼んでいたものよ。

 同じく『StrikerS魔法辞典』には、

 

『古代ベルカの聖王血統のみ許された、ロストロギア移植による人体強化。体内に埋没移植されたエネルギー結晶体の力を取り出す他、外部エネルギーとの連結も可能とする』

 

 と、あるわね。

 あなたの――『ViVid』の11巻にもあるでしょ、

 

『産まれると同時に、聖王核と呼ばれる魔力補助コアを埋め込まれる』

 

 と。あれのことよ」

 

「レリックかあ……」

 

「ねぇママ。レリックウェポンって、聖王家の血を引くヴィヴィオ以外でもいけるの?」

 

「ええ。レリックウェポンは、

 

『古代ベルカで行われていた研究をスカリエッティが解析・復活させ、独自の改良を加えて完成させた(ルーテシア・ゼストの両名は、このレリックウェポンの実験体でもある)』

 

 さらに、スカリエッティが目指していた人造魔導師は、

 

『ある程度成熟した人間(魔導師/非魔導師を問わず)に対して、後天的に能力を与えることが目的となる』

 

 という話だから、アリシアでも可能ね」

 

「お~、キタコレ!」

 

「でも、ルールーとゼストさんは、想定された程の実力が出なくて失敗したって聞いたけど?」

 

「技術が不完全だったのよ。上手く適合できなかったのね。そのためにも、適合率の高い聖王のサンプル――ヴィヴィオが必要だったのでしょう」

 

「それに――失敗したといっても、ルーテシアさんはSランクでしたしね」

 

「そうだった! ルールーって今でも十分強いけど、あれで魔力封鎖受けてるんだった!」

 

「おそらく、正式に管理局に入局すれば、魔力封鎖も解除されるでしょうから、なのはさんやフェイトに匹敵するオーバーSランク魔導師――次世代エースとして活躍できるでしょうね」

 

「どちらかというと、はやてさんの後継者って感じだけど……」

 

「強っ! っていうか、うらやましー」

 

「そうねぇ……例によってガンダムで例えるなら、百式みたいなものかしら。可変型モビルスーツとしては失敗したけれど、作ってみたら機体性能は高かった――というやつね」

 

「つまり、ヴィヴィオがいてくれる今の私なら、百式どころか完成形――目指せデルタプラスってとこ!? 変形しちゃうよ!」

 

「そこで、さらに上のモビルスーツの名前を出さないところが、アリシアさんらしいというか、なんというか……」

 

「ちなみに、あなたのお友達のイクス――マリアージュコア生成能力を持つあの子は、レリックウェポンとは別タイプの人造魔導師、ということになるわね」

 

 

     ⑥

 

 

「⑥番目――ラストは〝戦闘機人〟よ」

 

「これはわたしも知ってまーす。ノーヴェから色々と聞いてるよ」

 

「そう。だったらシンプルに、『StrikerSサウンドステージX 魔法・用語辞典』を参考にしましょうか。

 

『人間の体と機械を融合させた兵器。

 古くより構想されてきたシステムであるが、ジェイル・スカリエッティによる〝機械の適合性のため、誕生の時点で人体の方を作り替える〟という解を得て完成した。

 鋼の骨格と人工筋肉を持ち、遺伝子調整やリンカーコアに干渉するプログラムユニットの埋め込みにより、高い戦闘力を誇る。

 スバルやギンガ、ナンバーズらは皆、この〝戦闘機人〟として生まれている』

 

 といったところね」

 

「おー、何だかドクター・ゲロの作った人造人間みたい」

 

「ちなみに『StrikerS魔法辞典』によると、

 

『人造魔導師とは異なるアプローチながら、天賦の才や地道な訓練に頼る魔導師に頼らず、その誕生に人為的な力を介在させることによって確実に安定した数を揃えることができる武力という点で、思想と到達点は同一線上にある』

 

 と、あるから、これも肉体強化の1つの完成形なのでしょうね」

 

「つまり、私の前には〝デルタプラス〟か〝18号〟、2つの道が開かれていると?」

 

「スカリエッティの戦闘機人は、誕生の時点での改造が必要だから、選ぶとしたら――〝デルタプラス〟の方ね」

 

「なんだかもうわかりづらいよ!?」

 

「しょうがないわね。大ヒント。

 戦闘機人の真の完成形は、完全に1から造られた人工生命体よ。だから、アリシアじゃ無理なの」

 

「はい?」

 

「〝機械の適合性のため、誕生の時点で人体の方を作り替える〟――って、スカリエッティは考えたみたいだけど、最初から、機械の人体を持った人工生命体を生み出せたとしたら……」

 

「と、トラン●フォーマー?」

 

「違うわよ!? あなたもよく知ってるでしょ。PSP版のアミタやキリエ」

 

「あ、ああ~、ギアーズ!」

 

「『魔法戦記リリカルなのはForce』後半で登場する人型機械ラプターは、その第一歩かもしれないわね」

 

 

     ?

 

 

「ところでプレシア。その『Force』の肉体強化について、説明しなくていいんですか?」

 

「リニスさん、何をっ!?」

 

「この際『未来がー』などと言うのも今更なので、含めておくべきだと思うのですが?」

 

「まあ、リニスが生きてる時点でねー」

 

「アリシアさんもだよ?」

 

「ヴィヴィオ。あなたもナノマシンのとき、サラッと『Force』に触れてたわよね」

 

「あれ~」

 

「まあいいわ。ともかく、エクリプスドライバーとリアクターの関係……あー、トーマとリリィの関係といった方がわかりやすいかしら。

 アレって、技術的には③番目の〝融合〟とほぼ同じものなのよ」

 

「そうなの?」

 

「ええ。さっき、合体事故でスライムが~、とか言ってたけど、ほら、『Force』2巻で説明のあった〝自己対滅〟って覚えてる?

 

『肉体再生の機能が異常化し、人間としての原型を留めることが不可能になった状態。EC感染者の末路のひとつである』

 

 というやつなんだけど」

 

「あ~、研究施設のガラスポッドに入ってた肉塊……って、あのスライムネタ、冗談じゃなかったんだ!」

 

「3巻の、

 

『エンゲージまでは容易いのに、適合者がまるで作れん』

 

 って話も、ユニゾンの欠点と一緒よね」

 

「でもでも、驚異的な再生能力や、殺戮衝動とか、ユニゾンとはまったく別の……」

 

「その辺の説明も、しようと思えばできないこともないのだけれどね。長くなるから、とりあえず、〝リリカルなのは版・吸血鬼〟とでも思っておきなさい」

 

「なんて身も蓋もない説明! ていうか、すずかさんは?」

 

「あれはとらハ時代の設定でしょ。

 最古のエクリプスウィルス母体――〝原初の種〟が、俗にいう〝真祖〟や〝始祖〟みたいなモノだとすれば、だいたい理解できるでしょう?」

 

「あ~」

 

「だから、フッケバイン一家とか、確かに感染者は強いのだけど……」

 

「吸血鬼と同じで、欠点もあると?」

 

「ま、そんなところ。

『Force』5巻で、シグナムと褐色隻眼のサイファーが再戦したとき、サイファー自身が、

 

『合金のニードル! AECコート済みか――〝銀の銃弾〟のつもりか?』

 

 って言ってたでしょ」

 

「昔から、吸血鬼や狼男などは銀の弾丸に弱い――とされてきましたね」

 

「ええ。EC感染者である彼ら自身、自分たちが吸血鬼のような存在だと思っていた証拠よ」

 

「古城く~ん」

 

「吸血鬼が嫌なら、FF7のジェノバでもいいけど……」

 

「セフィロ~ス」

 

「万能の力なんて、そうそうあるものじゃないわ。だいたい、これもアルハザードやベルカ絡みでしょうし……。

 ひょっとすると――いえ、これは止めておきましょう」

 

「ああ、ついに私でもフェイトに勝てる手段が見つかったと思ったのに~」

 

「適合できる確率と、失敗時のリスクが高すぎるから、軽い気持ちで試すようなものではないわね」

 

「ダブルオーのツインドライヴみたい……」

 

「了解! トランザム!」

 

「アリシア、爆発オチですか?」

 

「……ゴメンナサイ」

 

「どちらかといえば、鉄血のオルフェンズの阿頼耶識システムに近いのだけれどね」

 

「もっとヤバイよっ!?」

 

 

       ●

 

 

 アリシアさんが、こたつの上に置かれた6つのみかんのうち、2つをカゴに戻した。

 

「戦闘機人とエクリプスウィルスはなし。

 強化魔法もみんなが使ってるので、私だけのパワーアップには含まれない。

 つまり、

 

 

①劇場版のアミタやキリエから、ナノマシンを供給してもらう。

 

②レリックを移植する。

 

③私専用の超高性能デバイスを作ってもらう。

 

④フェイトのリンカーコアから作った融合騎とユニゾンする。

 

 

 これで、私もフェイト以上の大魔導師になれるってこと?」

 

「「「……」」」

 

 わたしとプレシアお婆ちゃん、リニスさんの3人が顔を見合わせた。

 

 こたつの中から「にゃ~」と2世の声がする。

 

 

「「「返り討ちにあう未来しか見えないっ!」」」

 

 

「みんなひどっ!?」

 

「まあ、フェイトは私の教え子の中でも、最強の生徒でしたからね。それに――デルタプラスは、フェイトと似たカラーリングのバンシィに大破……」

 

「リニスぅ~」

 

「まあまあ、2人とも。

 ここはひとつ、冷静かつ論理的に考えてみましょう。

 仮に、1つの肉体強化で、1つ魔導師ランクがアップするとします。

 また、本当は違うんですが〝魔力量クラス〟と〝魔導師ランク〟を同じものとして扱います。

 こうして考えた場合――。

『The MOVIE 1stパンフレット』のアリシアさんの説明に『魔力量Eクラス相当』とあるので、

 

 

①E → D

 

②D → C

 

③C → B

 

④B → A

 

 

 フェイトママはSランクなので……あ」

 

「……あ。

 ここまでやってフェイトに勝てないって、ママ、どーいうことぉぉ――っ!?」

 

「ヴィヴィオさん、今のアリシアの魔力量は……」

 

「本当のところ、どれくらい成長したかなんて、見た目じゃわからないですしね~」

 

「相変わらずですね。まったく、誰に似たんだか……」

 

「……コホン」

 

 プレシアお婆ちゃんが遠い目をした。

 

「私ね、最近思うのよ。

 

 プロジェクトFで、フェイトやヴィヴィオが生まれたわけだけど……。

 

 聖王女オリヴィエが、幼いころの負傷で、両腕や主要臓器を欠損していても、ヴィヴィオは、五体を損なうことなく誕生したわ。

 

 一方、フェイトはといえば、アリシアが受け継ぐことのなかった私の魔力資質を、損なうことなく受け継いでいたわ。

 

 つまり、フェイトがアリシアに似ていなかったのは、クローニングに失敗したわけではない。

 

 むしろ、正しく私の能力が遺伝した成功例が、あの子だったんじゃないかって……」

 

「……ん? ちょっと待ってお婆ちゃん」

 

「それって、もしかして、フェイトじゃなくて、私の方が失敗だったってことぉぉ!?」

 

「……」

 

 プレシアお婆ちゃんは、黙ってみかんを口に運んだ。

 

 

 

「う、う、うえええええええええええええええええええええええええええええええええん!

 ふぇ、フェイトに言いつけてやるんだからああああああああああああああああああああっっ!!」

 

 

 

 こたつから立ち上がると、アリシアさんが時の庭園を飛び出していく。

 

「あ~、ちょ、お婆ちゃん、アリシアさん泣いてたけどいいのっ!?」

 

 今晩の高町家は大荒れである。

 

 夕食1人分追加で――と、なのはママにメールを打たないと。

 

「まあ、それを失敗と思うかどうかは、人それぞれよね。私はそこが可愛いと思うのだけど……」

 

「プレシア。そういうことは、アリシアがいるところで言ってあげましょうよ」

 

「はあ、本当、お婆ちゃんってドSだよね」

 

「あら、私、あなたの祖母よ?」

 

「そーでした!」

 

 

 

 

 




こけし一家。そういえば姉の中の人は……。

ちなみに、③番目の融合については『Force魔導事典』にも載っています。
さりげなく、いつもの〝魔法辞典〟から〝魔導事典〟に変わっているところが……。
本来の意味からすれば事典の方が正しいとは思いますが、今更なので、辞典でまとめてもいいかと……。

と、同じようことを言われたのか『The MOVIE 1st』では、いつもの魔法辞典。
『The MOVIE 2nd A's』では……しまった、英語だ(笑)。
『Reflection』は用語解説しかなかったので、『Detonation』ではどうなってるのかなあ……と、本編とはまったく関係ない部分を注目してみたり。

『Force』……確か、単行本未収録分もあったと思ったので、完全描き下ろしで最後までやってくれればいいのに……と思うのですが……。
映画で『Force』の装備とか出まくっちゃったので、もう無理なのかなあ……。
映画、第5弾で『Force』の事件を完全リメイクとか……やってくれないかなあ……。
なのはたちが中学生の頃の事件――とかにしたら、変更点が多くてもアリだと思うのですが……。カノンやフォートレスもあるし。

それはそれとして、

藤真拓哉先生の『魔法少女リリカルなのは Reflection THE COMICS』

画集『ViVidmemorial』

6/25発売だそうです!!
超もうすぐだった(笑)。
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