遊戯王GX-転生 それは素晴らしい第二の人生ー    作:大禍時悪

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十一話・師匠登場! ついでに万丈目の降格デュエル

王真side

 

 あの電話の翌日、俺はいつものように不法侵入してくる雪乃や有、時々宮田さんと、委員長こと原さん達と共に、茶菓子や茶葉を持ち寄ってのお茶会の様なことをやっていた。今回の参加者は雪乃と有だけ。

 

「~~♪」

 

「あら、王真が鼻歌なんて珍しい。何か良いことでもあったの?」

 

「や、近々師匠が、デュエルアカデミアに来るらしい。久しぶりに会えるとなると嬉しくてな」

 

「へぇ~、そのシショーってどんな人なんですか?」

 

「どんな人か……俺が持つ全てのスキルを師匠から教えてもらった、と言っても過言じゃないくらいのハイスペック超人だな、とある一部分を除いて」

 

「とある?」

 

「一部分ですか?」

 

 それは……と話そうとしたら、外から邪魔……もとい十代の声が聞こえた。

 

「王真ー! なんか学園に迷子がいるらしいぞー! 面白そうだから見に行こうぜ!」

 

 ……なんか若干引っ掛かる言葉が聞こえた、もしかしたら師匠かもしれない、部屋から出て十代を探すと丁度真下くらいに居た。

 

「十代! その迷子とやらはどんなのだ!?」

 

「真っ赤な髪で噴水みたいな頭してる子供だ!」

 

「十代そいつのとこに行くなら、俺も連れていけ恐らく俺の知り合いだ……っと」

 

 普通に階段から飛び降りて十代の元の走っていく、ついでに有達が俺の部屋から出て降りてきた。

 

「どこに行くの? 迷子が何かって聞こえたけど?」

 

「たぶん師匠だ、最後にあって以来、髪型と身長が変わってないのなら……だけどな」

 

 十代と一緒に学園に向かうと、教室の近くに人だかりができていて、本当に噴水みたいな髪型をした女の子の声が聞こえる。

 

「だから私はI2社からペガサス会長の使者で鮫島校長先生に会いに来たんです、どこにいるか教えて下さい!」

 

「師匠、こんなところで何をしてんですか」

 

 女の子に話しかける。因みにI2社とはインダストリアル・イリュージョン社であるため念のため。

 

「あっ! 王真君、久しぶり。もーこの子達に何か言ってあげてよ。私がいくらペガサス会長からのお使いだって言っても信じてくれないんだよ~」

 

「あぁ……うんそれより、あれからI2社に就職したんだ、連絡してくれたら何かお祝い物を送ったのに」

 

「いえいえ、大事な教え子に連絡せずに会ったら話して驚かせる、それが私の楽しみなんですから」

 

「そう言えばそうだったね、忘れてたよハハハハ」

 

 二人して笑いあう、それにイライラしてるブルー男子が喧嘩を吹っ掛けてきた。

 

「お前ら、グルなんじゃないのか! こんな子供が――」

 

「おい、師匠がいくらチンマイからと言って――痛い! 師匠ふくらはぎ蹴らないで、爪先踏まないで謝るからさ。でも仕方無いじゃんホントにチンマ……痛い痛い痛い、グリグリすんの止めて謝るからさ」

 

 とある一部分以外は、と言ったのはこの事だ。ちんまい、とにかくちんまい。数字で表すならば大体123センチくらいだ、それ以外はほぼパーフェクトなんだけどね。

 

「とにかくこの人は正真正銘、俺の師匠だ」

 

「信じられるか! それならデュエ――」

 

「私、今日デッキ持ってきてないよお仕事の為にこっちにきたから」

 

「なら俺の不戦勝だ!」

 

 うわー態度が悪いな、本当に子供が嘘ついてるとしても、もう少し言い方ってのがないか? てか嘘か本当かをデュエルで決めるってのも、もういつもの光景だよな。

 

「王真君、デッキを貸してください。ちょっとあれをボコボコにしてきます」

 

 あぁ目がマジで据わってる、殺る気満々だよ。でもどうしよう今持ってるのはこれ(・・)だけだし……俺の事情を()()()()から問題ないけど、このデッキ作ったばかりであまり調整もしてなければバランスも……はぁ、仕方ない。

 

「どうぞ。エクストラデッキは渡しておきますから、好きに使ってください」

 

「ありがとう王真君。先に中身の確認をするから……」

 

「ならその間にデュエルフィールドに移動するぞ、ここじゃあ狭すぎる」

 

 ブルー男子はニヤニヤとしながら、デュエルフィールドに向かって行った、見せ物にでもする気だろうか? そんなことしたら恥をかくのは彼の方なのになぁ。

 

「王真君、相変わらずね。ちゃんとしたデッキ作らないと負けちゃうよ? このデッキも確かに面白いけどもう少し制圧力がないと」

 

 そんなこんなで、師匠からのありがたいガチデッキ構築のすすめを聞き流し、カードの細かい効果を教えてデュエルフィールドに向かった。師匠はフィールドに俺は観客席の十代達の元へたどり着く。

 

「あの子大丈夫なんスかね?」

 

「大丈夫だろ、王真の師匠で王真のデッキなんだろ? 面白いデュエルが見れそうだぜ」

 

「ん、師匠の本来のデッキなら、ヨユーでボッコボコなんだが……いかんせん俺の作ったばかりの試験デッキだからな、ある程度なら普通に戦えるとは思うが……始まるな」

 

 いつの間にか師匠とブルー男子――十代達に聞いたら高田と言う人物らしい――が既にデュエルディスクを構えて始めようとしていた。

 

「「デュエル!!」」

 

「私の先攻ドロー、H・Cスパルタスを攻撃表示で召喚、リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

 H・Cスパルタス 攻/1600

 

 楕円形の盾と一本の槍を持ち、兜にはモヒカンみたいな毛の飾りがついた、かなり古い鎧を付けた戦士が現れる。

 

師匠 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターン、デュエルが子供のお遊びじゃないって事を思い知らせてやるぜ。ドロージェネシック・ワーウルフを攻撃表示で召喚」

 

 筋骨隆々で腕が四本あり、白い体毛に覆われた獣人が姿を表して雄叫びをあげる。

 

ジェネシック・ワーウルフ 攻/2000

 

 高田と言う人物はブルー女子曰く、性格が破綻してる位酷いらしい。傲慢で、他人を見下して、リアルファイト上等で、ブルー女子に手当たり次第声をかけている人物らしい……どこかで見たことがあると思ったら、宮田さんにナンパ紛いの事をやってたやつじゃないか! あの時にHEROでオーバーキルしてやったのに未だ懲りてないのか。

 

「ジェネシック・ワーウルフでスパルタスを攻撃! ワイルドナックル」

 

「フフフ……手札のH・Cソード・シールドの効果発動! フィールドにヒロイックと名のついたモンスターが存在する場合、手札のこのカードを墓地に送ることで、このターン私が受ける戦闘ダメージは0になり、ヒロイックと名のついたモンスターは戦闘では破壊されないの。残念ね」

 

「リバースカードを一枚セット、更に凡骨の意地を発動しターンエンドだ」

 

 

高田 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠2

 

「私のターンドロー、ゴブリンドバーグを召喚ゴブリンドバーグの効果にチェーンしコピーナイトを発動、コピーナイトはレベル4以下のモンスターを召喚したときに発動、召喚したモンスターと同名モンスターとして扱い攻守共に0、同じレベルで特殊召喚されるトラップモンスターだよ。

更にゴブリンドバーグの効果でH・Cエクストラ・ソードを攻撃表示で特殊召喚」

 

 飛行機乗ったゴブリンが現れ、その後方から同じ三機の飛行機が、コンテナを運んで来て隣に落下させる。そのコンテナを切り開き長短二本の剣をもった剣士が堂々と登場し、そのとなりに銀色の西洋甲冑が現れる。がその甲冑はピクリとも動かない。

 

「行っくよー! レベル4ゴブリンドバーグ、コピーナイト、H・Cエクストラ・ソードをオーバーレイ! 三体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚お願い! H-Cクサナギ!」

 

 日本風の茶色の鎧に片手に刀……と思ったらビームソードだった。鎧は古風なのに武器は現代風な、武将の様なモンスターが現れ、ジェネシックワーウルフにビームソードの切っ先を向ける。

 

「そいつが噂のエクシーズモンスターか、チッ攻撃力は2500俺のワーウルフより上じゃねえか(なーんてな俺の伏せたカードは、聖なるバリア-ミラーフォース-これで確実に迎撃できる!)」

 

「H・Cエクストラ・ソードのモンスター効果発動! このカードをエクシーズ素材にしたエクシーズモンスターがエクシーズ召喚に成功したとき、そのモンスターの攻撃力は1000ポイントアップ!」

 

H-Cクサナギ 攻/2500→3500

 

「……あの伏せカードがトラップなら、高田のライフは残り400か。次のターンで巻き返すか一矢報いて終わるかのどちらかだな」

 

「おや? 残り400とは、どう計算しても残り900にしかならないのですが?」

 

「H-Cクサナギには一ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、トラップの発動を無効にして破壊、その後攻撃力を500ポイントあげる効果がある。だけど魔法か何かでワンプッシュしたら、このターンで彼の敗け……って鮫島校長! いつの間に。なんでこんな所にいるんですか?」

 

「お昼前くらいには、ペガサス会長のお使いが来ると連絡を受けたのですが、待てど暮らせど一行に来ない。もしかしたら学園の中で迷ってるのではないか? と思いまして、探していたら、何やらデュエルフィールドが騒がしいではありませんか、見に来てみたら、どうやらしらない子がデュエルしていました、あの子のデッキもエクシーズ召喚を使うようなので、王真君の所に来たら解説をしてくれるのではないか? と思いたったのです」

 

「さいですか。ところでペガサス会長からは、なんと言う名前の人が来る予定なんですか? ついでに、あのデッキ師匠のデッキじゃないですよ、俺の試作品デッキです、エクシーズも一通り渡してあります」

 

 師匠に目を向けると、向こうもこちらを見てニコリと笑い、声を出さずに口だけを動かした、言葉に表すとおそらくこう言ったのだろう。殺っ・ちゃ・う・よ、と……うん相変わらずだね師匠も。

 

「えぇ、実はそのお使いの方の名前である場所には、何かの暗号のように漢数字が六文字羅列されているのですよ。一二三一一六と」

 

「……やっぱりそう思いますよね、実はそれ暗号じゃなくて師匠の名前なんですよ」

 

 俺の周りに居た人間全てがポカンとした顔で、こちらを見てきたので一言、デュエルを見ろと言っておいた。

 

「バトル! H-Cクサナギでジェネシック・ワーウルフを攻撃、英雄の太刀!」

 

「かかったな! トラップ発動、聖なるバリア-ミラーフォース-! お前の攻撃表示モンスターは全て破壊だ」

 

「残念でした、H-Cクサナギの効果発動! 一ターンに一度トラップが発動したときオーバーレイユニットを一つ使い、その発動を無効にし破壊する! その後攻撃力を500ポイントアップすることができる」

 

H-Cクサナギ 攻/3500→4000

 

 伏せてあったカードが開いた瞬間、クサナギが刀を振るいそのトラップを真っ二つに切り裂く、するとクサナギの纏うオーラが更に勢いを増し、上段からの袈裟斬りでワーウルフを両断した。

 

「んなっ! グァァァァァァ!」

 

高田 ライフ4000→2000

 

「更にスパルタスでダイレクトアタック!」

 

「グッ! クソッ! 調子にノリやがって」

 

高田 ライフ2000→400

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンド」

 

師匠ライフ 4000

手札1

モンスター2

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー! 凡骨の意地の効果発動! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターの場合、そのカードを相手に見せる事でもう一度ドローできる! 俺の引いたカードはサファイア・ドラゴン、よってもう一枚ドロー、ブラッドヴォルス、ドローメカ・ハンター、ドローモリンフェン、ドローカクタス、ドローレオ・ウィザード、ドロー……チッこれで打ち止めかサファイア・ドラゴンを攻撃表示で召喚! バトルだ! サファイアドラゴンでH・Cスパルタスを攻撃」

 

 最後の最後で自害とは、残念だね効果を知らないだけなんだがね。

 

「それでおねーさんに勝とうと思うなんて、20年早いよ? スパルタスは攻撃宣言時、このカード以外のヒロイックモンスターを選択して発動、選択したモンスターの元々の攻撃力を追加するの、クサナギの元々の攻撃力は2500だから……」

 

スパルタス 攻/1600→4100

 

「攻撃力4100だと!」

 

「結束と誇りを持つ英雄の力は神をも越えるの、覚えておきなさい、迎撃しなさいスパルタス! ストレートスピア!」

 

 サファイアドラゴンの攻撃を盾でかわし、脇をすり抜けると同時に渾身の一撃を叩き込みサファイア・ドラゴンを粉砕。その爆風の余波で高田がぶっ飛んでいきデュエル終了のブザーが鳴る。てかまたぶっ飛んでんのな、前もエアーマンの攻撃できりもみ回転しながらぶっ飛んでいたよな。

 

「ウソダァァァァァァァ!!」

 

高田 ライフ400→-2200

 

「ニャッハハハ、ブイニャのだ」

 

 そして俺達は校長について、デュエルフィールドに行き師匠の元につく。

 

「素晴らしいデュエルでした、ところでなぜデュエルをしているのですか?」

 

「そうです、ここの子達が私の言う事を信じてくれなかったのですよ!」

 

「おやおや、スミマセン前もって連絡しておけばよかったのですが……えっと」

 

「フフフ……スミマセンマイクあります?」

 

「え? えぇ、少しお待ちください」

 

 鮫島校長がマイクをもって線も引っ張ってきて、師匠に手渡す。

 

「では、問題です。答えれたらおねーさんがご褒美あげますよ。私の名前はなんでしょう漢字は全て漢数字で名字は一二三、名前は一一六、さぁ読み方はなんでしょう!」

 

 そして数分間、沈黙が支配し俺も無理だろうなと普通に諦め、無言で師匠にマイクを渡せとジェスチャーをする。す明らかに不貞腐れながら師匠はマイクをこちらに渡す。

 

「つう訳で答えは、ひとふさ、ひいろ。ぶっちゃければ名字の数字と身長の数字が同……痛い! 脇腹に膝蹴りはマジで痛いって!」

 

「なんで王くんは、蹴られたり殴られたりするのに人をおちょくろうとするんでしょう?」

 

「王真のさがなんじゃない? 誰でもからかったりおちょくったりしてるから」

 

「さて、報復も終わったところで、鮫島校長。早速ですけどもテレビ電話の使える場所ってあったりします?」

 

「それなら校長室に使えますよ、行きましょうか」

 

「あ、王真君を連れてってもいい? この子にも、色々と話をしたいしね」

 

「えぇ、いいですよ」

 

 師匠が俺を連れて行こうとする、そしてペガサス会長からのお使い……海馬がなんかチクったか、まぁペガサス会長なら話しても問題ないか、海馬も含めあの人らなら秘密を守り通してくれそうだ、校長にも聞かれるが是非もなし……か、そんな事を考えていたら、いつの間にか校長室についていた。

 

「と、言うわけでそちら様の学校で、シンクロ召喚、エクシーズ召喚なる召喚方法を使っていたとの事で、ペガサス会長が大変興味を持ったそうです、それでその中心となる人物にお話を伺いたいとの事で」

 

「それでその中心となる人物が……」

 

「です、我が不肖の弟子でもある王真君です。ですので、ペガサス会長との電話に彼を呼んだのです……あっ繋がった」

 

『やっと繋がりましたね、ご苦労様デースヒイロガール。いつも時間にきっちりしているあなたが遅れるのは珍しいので、心配していたのデース』

 

「スミマセン、ちょっと色々とありまして。この子が学園にいるシンクロ召喚、エクシーズ召喚を使う決闘者、黄衣王真君です」

 

『初めまして、王真ボーイ。話はいくつか海馬ボーイから聞きました、シンクロ召喚とエクシーズ召喚。これらの方法の基本構想は私の中にもありました、しかしまだ実用化の目処もたっておらず、カードとして販売もしていないカードを所持している……あなたは何者なのですか?』

 

「それこそ、海馬社長からなにも聞いていないのですか?」

 

質問に質問で返すなと怒られそうだったけど、一応聞いておく。

 

『一度聞いてみたのですが、本人に聴け! と怒鳴られてしまったのデース』

 

 HAHAHA、とペガサス会長が軽快で、コミカルに笑う。相変わらずキャラクターが読めない。

 

「……そうですか、あの人のオカルト嫌いも相当ですからね、信じたくないのも無理はありません。自分でも荒唐無稽で常識はずれだと思いますし……」

 

           少年説明中

 

『確かに、海馬ボーイが毛嫌いするのもわかりマース、別の世界もさることながら、別の世界で一度亡くなり、こちらの世界に蘇るとは……到底信じられまセーン』

 

「仕方ありませんよ、これを信じてくれと言う方が無理な話です。ですがあの人にも言ったように、変なパズルに古代エジプトのファラオの魂が封印されてたり、カードゲームで世界がやばかったり、俺とお前を超融合したり、バイクに乗ってデュエルを始めたり、果てにはバイクと合☆体してたら、生き返って来たなんて可愛いものですよ」

 

『他の方がインパクトがありすぎデース、それに今あなたが話したことが現実に起こるのですか?』

 

「はい、未来が変われば起きませんが、変わらなければ確実に起きます」

 

『そうですか……王真ボーイ、いきなりですみませんが、聞きたいことがありマース』

 

急に、ペガサス会長の声が低く、そして重たくなった。

 

「なんでしょう? 私の答えられる事ならば、お答えします」

 

『先程も言ったように、シンクロ召喚もエクシーズ召喚も私の中にアイデアとして浮かんでました。ですが急に、しかも同時に二つの召喚方法を出してしまったら、どちらか片方は栄え、片方は衰退の一途をたどる……そうならないためにも、どちらか片方を選択した方が良いと思うのデース。未来から来たと言っても過言ではないあなたに聞きマース、どちらを公式としてだしたらいいのでしょう?』

 

 なるほど、ここが5D'Sに向かうかZEXALに向かうかの分岐点になるわけか……ここでシンクロをおせば5D'Sに、エクシーズをおせばZEXALにか。

 

 しかしシンクロをおしたら秘密結社イリアステルの高性能お爺ちゃんことホセとみんなのしたっぱプラシドに殺☆害という名の修正をくらうかもしれない。どちらかを選択する、シンクロかそれともエクシーズか、個人的な話であればシンクロよりはエクシーズだが、個人の好き嫌いで未来を変えたとなれば後味がかなり悪いし、シンクロに一方的な怨み(例えば六武とかインフェルとかラヴァルとかクイックダンディなど)があってもそれを蔑ろにして貶めていい理由にはならない、なら選ぶべき選択はこれしかない。

 

 それと今の時点で新たに分かった事だが、この世界はアニメそのものの世界ではなく、アニメの流れを基調とした、()()()()()()()()()()()()()()()だって事だ。

 

「どちらがいいか、なんて私にはわかりません。確かにどちらも使っている身としては、メリットもデメリットもわかっています、ですが世界の根底を覆しかねない選択を、齢16歳の人間には荷が重たすぎます。なので、私からはノーコメントとします」

 

 人はこの回答を逃げと捉えるだろうが、俺という下らない存在が世界の未来を自由にして良い訳はない。それに二つのうち一つを選べと言われたら、両方を選ぶ為に努力をするかどちらも選ばないという解答も存在するわけで……。

 

『HAHAHA、あなたは面白い人デース。スミマセン、おかしな事を聞いてしまって』

 

「いえ、いいですよ。よくある事ですからなんなら、チューナー、シンクロ、エクシーズのカードを師匠に数枚わたしておきましょうか?」

 

 俺がそう言った瞬間、ペガサス会長が子供の様に笑顔を作り、キラキラした目で声をあげた。

 

『ワァオ! それは本当ですか!? 是非ともお願いしマース。それと、ヒイロガールは次の定期便で帰ってきてくだサーイ、それまでの期間は私から有給をさしあげマース、いつも頑張ってくれているヒイロガールへのご褒美デース』

 

「ホントに!? ありがと~ペガサス会長~」

 

『それでは、私はそろそろ仕事に戻りマース』

 

 その言葉を最後に、プツンとテレビ電話の回線と映像が途切れた、鮫島校長にもこの事は他言無用にしてもらわなきゃね、因みに師匠はこの事を知っている、意識が目覚めた一週間の間に師匠が来ていろいろとボロを出してしまった結果、話してしまったのだ。

 

「校長、この事は誰にも言わないでくれませんか?」

 

「勿論ですとも、生徒の秘密を口外する様なことはいたしません。それに、あなたは転生者である前に、わが校の大事な生徒です。それくらいの秘密なら私の胸の奥にしまっておきます。十代君達はこの事を知っているのですか?」

 

「いえ、知らないでしょう。……こんなのだって知られたら、今の楽しい日常が送れなくなるかもしれない……」

 

 そんなことをボソリと呟くと、聞こえていたのか校長が話題を変えてくれる。

 

「それよりも、ヒイロさんの泊まる場所をどうしましょうか? ブルーの女子寮に空き部屋があるといいのですが……」

 

 師匠は平手を前に突き出して、校長の言葉を止めた。

 

「いいですよ、わざわざ部屋をとってもらわなくても。私は王真君の部屋に泊まらせて頂きますので」

 

 校長がいいのですか? と言いたげな目でチラリとこちらに目を向けてきた、答えは決まってるけどね。

 

「わかったよ、二人部屋を一人で使ってるんだし、それくらいはいいけど、着替えとかはどうするの?」

 

「王真君に借りる。これで解決です、さぁ行きましょう、鮫島校長今日はありがとうございました、失礼します」

 

 校長室を後にしてレッド寮に向かう、その途中で十代、翔、隼人くんの三人がこちらに歩いてきた。

 

「あ、王真君。校長室で何を話してたの?」

 

「こっちに来てからの生活や、あったことなんかの世間話をしつつ、師匠にお目玉食らってただけさ」

 

「そんなことよりデュエルしようぜ一一六さん!」

 

 でた! 十代のデュエル病だ、いつもの通常運転だからそう気にしてないけどね。それに十代はしょっちゅう俺のとこにデュエルしに来やがる、最近こいつとのデュエルの勝率が六割くらいに減ってきた。毎回ピンチ時に強欲な泡男→強欲な壷→天使の施しとかいう積み込みレベルの事を平然とやってのける、ヴェーラー、カカシ、フェーダーを握ってなければ即死だったと言わんばかりにな。

 

「ごめんね、えっと十代君だっけ? 今日はちょっと疲れちゃったからさ、また今度にしてくれるかな? 次の定期便が来るまではこっちに居る予定だし、王真君の部屋に泊まらせてもらうからさ」

 

「わかった約束だぜ!」

 

 十代は購買の方へと走っていった、相変わらずテンション高いな。

 

「昔の王真君を見てるみたいだね、懐かしい」

 

「王真君ってアニキみたいだったんスか?」

 

「や、あんなのでは無かったと思うが……」

 

 むしろ、あれほどのテンションとやる気に満ちた俺が全く想像つかない、というか想像したら予想外にウザい。それからは嬉し恥ずかしのハプニング等もなく、普通に有給を満喫して師匠は帰っていった。十代とのデュエルはというと、俺の使ってないカードから次元剣闘獣を作り出し十代を何度も負かしていた、俺も何度かやったが十代は10戦4勝6敗、俺は10戦7勝2敗1分けだ。

 

 最初の方は融合することすら許してもらえず、万一出てきてもすぐに除去されボロッボロに負けていたが、後半に師匠のやり方を、本能的に理解したのとチートドローでこの結果だ。反面俺は、8000ルールでやっていたからガンガン警告や宣告が飛んできたが、なんとか勝った。ホントに旧ガチデッキでも相手にしたくない。

 

 

 

 

 時は進んでとある日の事、オシリスレッドとラーイエローが体育の授業で野球の試合をしていた。俺は補欠、もちろん自分から志願したが。前世でも運動能力がそう高くなかったから球技全般が大の苦手だった、こちらに来て運動能力がある程度向上しても、てんでダメだった、なので俺を入れるより別の人を入れた方がいいと言って少し呆けながら試合を見ていた。

 

 そしてゲームの終盤、オシリスレッドの若干のリードで最終回の攻撃、1アウト1、2塁の十代の打席に遅れてきた三沢が登場し、何やら十代と喋っている様子そして次の打順の翔がこちらに走ってきてヘルメットを差し出してきた。

 

「なんだこれは?」

 

「何ってヘルメットだけど」

 

「そうじゃあない。何で俺にヘルメットを渡そうとしているのかを聞いているんだ」

 

「なんか三沢くんがアニキと王真君と勝負したいらしいス」

 

「なんでそこで俺を指名するんだよ三沢め、俺に怨みでもあるのか……まぁいい俺を指名した事を後悔させてやる」

 

 十代が三振したのを確認して、ヘルメットを被り意気揚々とバッターボックスへ向かうそして……。

 

 見事三振して帰ってきました、だからいったじゃん無理だって。

 

 終わりは原作通り十代が変な意地を張って、2アウト満塁にして三沢を出しホームランを打たれて負けとなった。もちろんクロノス教諭の顔面に、三沢のホームランボールが正真正銘のダイレクトアタックしていたのは言うまでもない。

 

 その後十代が負けたため、三沢から罰ゲームを受けることとなった、十代だけじゃかわいそうだから俺と翔も一緒だ。三沢に連れられ彼の部屋に案内され、部屋の中で大袈裟に手を広げ三沢が叫ぶ。

 

「お前たちには、この星々のビッグバンを頼みたいんだ!」

 

「「ビッグバン?」」

 

「そう、ビッグバン」

 

 三沢は刷毛と白いペンキを十代たちに見せる、二人とも理解したようだ。しかし風が吹けば桶屋が儲かる格率式とはいかがなものか? 今時桶屋なんかあるのだろうか? と思ってしまった、アボカドロの分子式? しらんそんなこと俺の管轄外だよ。最初に家具一式を外に放ってから作業スタートだが、一つ三沢に聞く。

 

「すまん三沢、机の中に俺のデッキを入れてもいいか? 無いとは思うがペンキで汚れないようにな」

 

「あぁもちろん構わない、さぁ始めるぞ!」

 

 三沢の部屋のペンキ塗り――三沢曰くビッグバン――は概ね順調に進んで行ったが、十代がバランスを崩しかけて足元のペンキを、翔の頭の上に盛大にぶちまけたところで、第一次ペンキ戦争が勃発したがつつがなく? ビッグバンは終了した。その後ペンキを落とすために俺以外はみなシャワーを浴びていた、何で俺がペンキまみれじゃないのか聞かれたが、ペンキがかからないように避難しながら作業してたんだよと言っておいた。

 

 罰ゲームとはいえ手伝ってくれた礼と言うことで、少し早いがラーイエローで晩飯をもらった。

 

「当たり前だが美味いな、オシリスレッドの数倍は美味い、バリエーションもある……席だけでもラーイエローに置いておいてもよかったかもしれん……」

 

「ハハハ、遠慮せずに食ってくれ俺の奢りだ」

 

 それを聞くや否や、十代が大量に食い物を頼む……遠慮するなと言われたがもう少し遠慮しろ色んな意味で、そんな時十代が三沢に聞いた。

 

「そう言えばあの時クロノス先生と何を話してたんだ?」

 

「あぁ、明日寮の入れ換えテストをやるらしい」

 

「それじゃあ三沢くん、ブルーに上がるんスね!」

 

「あ……あぁ」

 

ほんの一瞬だが三沢の表情が暗くなった。

 

「どうした三沢? 浮かない顔をしているぞ?」

 

「そう見えるか?」

 

「気のせいだったかな、なんにせよお前がブルーに上がりたければ上がればいいさ、俺はお前が何を目標にしているかを知らないからな」

 

「フッ……そうだな……俺には俺の目標がある、達成すべき事がある」

 

「そんなことよりお前今晩どうするんだ? 部屋がペンキ塗り立てじゃ寝れないだろ?」

 

「なに、他の奴の部屋にでも泊めてもらうさ」

 

「それなら俺の部屋に来ないか? もちろんお前が嫌じゃなければだが」

 

「ありがたい限りだよ」

 

 レッド寮に向かう途中で俺は思い出した。

 

「デッキ忘れた……すまんとってくる」

 

王真sideout

 

万丈目side

 

 俺は何故こんなところにいる、エリートたる俺がラーイエローなんかに……だが俺にはもう後がない、ここで負ければ俺は役立たずの……落ちこぼれの烙印を押されてしまう……それを避ける為には……。

 

「……っ! デッキが二つ!? どっちが本物だ!」

 

 俺が片方のデッキを掴もうとした時、邪魔が入った。

 

「おや、君は誰だ?」

 

「貴様こそ誰だっ!?」

 

「むっ……この声は万丈目少年ではないか、こんなところで何をしている? これから住む寮の下見かい?」

 

「なんだと!? 王真、貴様この俺が奴に負けるとでも思ってるのか!」

 

 怒鳴った俺に王真は穏やかで諭すような口調で言った。

 

「師匠が言っていた、自分に自信を持っている時こそ油断をするな、ってね覚えておくといい。そろそろ俺のデッキを回収したいんだが?」

 

 片方は王真のデッキだったのか……クソッ! だがもう片方は奴のデッキに違いない。

 

「そうそう万丈目少年、ついでだから言っておくけど、そこにあるもう一つのデッキは三沢の調整用のデッキだよ、取っていってもなんの利点にもならないし、むしろ自分の未来を潰すよ?」

 

 調整用の……デッキ……だとまさか……この俺がそんな……クッ! こんな事が知られたら……こうなったら!

 

「王真! デュエルだ! 俺が勝ったらこの事は見なかったことにしてもらう!」

 

「いいよ、元より口外なんかするきは毛頭ないし。そうだな、誰もいない浜辺に移動しようか? 君としては見られてない方がいいだろう? 後怒鳴らない方がいいよ、誰かが聞いてるかも」

 

万丈目sideout

 

王真side

 

 少し遠めの浜辺に移動してお互いにデュエルディスクを構えた。

 

「いくぜ万丈目少年」

 

「万丈目さんだ!」

 

「「デュエル!!」」

 

「俺の先攻、ドロー……」

 

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・コントローラー

ジェネクス・コントローラー

貪欲な壷

 

 ……なぁにこれぇ! 今までで一番酷い事故かもしれない、デッキの回転為にコントローラーを二枚しかいれてないのが原因なの? それにしても酷い。だがやることもないとにかく凌ごう。

 

「俺はモンスターをセットしターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! 地獄戦士を召喚バトルだ! 地獄戦士でセットモンスターを攻撃! ヘルアタック!」

 

 地獄戦士 攻/1200

 

「セットモンスターはジェネクス・コントローラーだ」

 

ジェネクス・コントローラー 守/1200

 

 ラジコンのリモコンのみたいな頭をした小人が、筋骨隆々の剣士に斬りかかられるが、予想外に固かったのか地獄戦士の剣が弾かれた。

 

「ぐっカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、手札からジェネクス・ウンディーネを召喚、レベル3のジェネクス・ウンディーネにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング! シンクロ召喚、現れよハイドロ・ジェネクス!」

 

 機械の翼と、背中に水のような何かが入ったタンクを背負た女性型のモンスターが現れた。

 

ハイドロ・ジェネクス 攻/2300

 

「バトル! ハイドロ・ジェネクスで地獄戦士を攻撃! ハイドロプレッシャーショット!」

 

 槍を叩きつけるように地獄戦士に投げつけ、丁度みぞおち辺りを貫き地獄戦士が爆発する、しかし地獄戦士が爆発した後、持っていた剣が真上に飛んでいった。

 

「グッ! だが地獄戦士が戦闘によって破壊されダメージを受けたとき、相手にも同じ数値分のダメージを与える 」

 

万丈目 ライフ4000→2900

 

宙を舞っていた剣が真上から落ちてきて腕にぶっ刺さった。

 

王真 ライフ4000→2900

 

「ふん、ハイドロ・ジェネクスが相手モンスターを破壊し墓地へ送ったとき、その攻撃力分ライフを回復する」

 

王真 ライフ2900→4100

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ4100

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! トラップ発動、リビングデッドの呼び声! 墓地の地獄戦士を復活させる! 更に地獄戦士を生け贄に地獄詩人ヘルポエマーを召喚、更にヘル・アライランスをヘルポエマーに装備! このカードはフィールドに装備モンスターと同名モンスターが存在するとき一体につき800ポイント増加する!」

 

ヘルポエマー 攻/2000→2800

 

 おや、一体しかいないヘルポエマーの攻撃力が上がったぞ? 確か装備モンスター以外の同名モンスターがいないと上がらなかったような……あっアニメ裁定か。

 

「バトル! 行けヘルポエマー! 地獄讃歌!」

 

 ヘルポエマーが明らかに言葉になっていないような名状しがたい歌を歌うとハイドロ・ジェネクスが急に苦しみだし背中のタンクが割れボロボロと朽ち果てていった。

 

王真 ライフ4100→3600

 

「ターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ2900

手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、モンスターをセットしターンエンドだ」

 

王真 ライフ3600

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「ふん、守るばかりじゃデュエルには勝てん俺のターンドロー! バトルだヘルポエマーでセットモンスターに攻撃!」

 

 ヘルポエマーはゾンビの様なうめき声をあげセットモンスターに攻撃するが、セットモンスターが表になった瞬間、真っ白な犬がヘルポエマーの喉笛を食いちぎって破壊する。

 

「グッなんだっ今の犬は!」

 

「ライトロードハンターライコウのリバース効果発動、相手フィールド上のカードを破壊しデッキトップを三枚墓地へ送る」

 

 墓地へ送られたのは海皇の重装兵、海皇の狙撃兵、サルベージの三枚だ。サルベージが落ちたのが軽く痛いな。

 

「カードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

万丈目 ライフ2900

手札3

モンスター無し

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、貪欲な壷を発動! 墓地のモンスター五体をデッキへ戻し二枚ドローする。墓地のジェネクス・ウンディーネ、コントローラー、ハイドロ・ジェネクス、重装兵、狙撃兵をデッキへ戻し二枚ドロー。更に闇の誘惑を発動、デッキからカードを二枚ドローしその後手札の闇属性モンスターをゲームから除外する、二枚ドローし手札のジェネクス・コントローラーを除外するぜ」

 

 よし、いい感じに手札が変わったこれなら行ける!

 

「ジャンク・シンクロンを召喚、このカードが召喚に成功したとき墓地のレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚できる! こいライコウ!」

 

 毎度お馴染み皆の便利なチューナーさんジャンク・シンクロン、真横に手を伸ばすとそこからさっきの白い犬が地面から現れた。

 

「レベル3闇属性のジャンク・シンクロンにレベル2獣族のライコウをチューニング! 漆黒の氷河よ、光を遮り闇へと誘う帳を下ろせ! シンクロ召喚、舞い降りろ! 氷結のフィッツジェラルド!」

 

 十字架のような体の両端と足が巨大な氷で覆われている、言葉で表すことの難しいなんとも不気味な悪魔が姿を現す。

 

氷結のフィッツジェラルド 攻/2500

 

「バトル! 氷結のフィッツジェラルドでダイレクトアタック! ブリザード・ストライク!」

 

 フィッツジェラルドの頭付近から垂れ下がった氷で出来た両腕? からふぶきと鋭い氷の塊をいくつも発射する、だがそれを甘んじて受けるほど万丈目少年も甘くはない、しかし。

 

「トラップ発……何故だ何故トラップが発動しない」

 

「氷結のフィッツジェラルドが攻撃するとき、ダメージステップ終了時まで魔法・罠は発動出来ない!」

 

「なにっ! グァァァァァァ!!」

 

万丈目 ライフ2900→400

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ3600

手札6

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! 死者蘇生を発動墓地の地獄戦士を特殊召喚、更に地獄戦士に二枚目のヘル・アライランスを装備し手札の全てと攻撃力2000となった地獄戦士を生け贄に炎獄魔人ヘル・バーナーを召喚! このカードは相手モンスター一体につき攻撃力が200ポイントアップする!」

 

 黒い頭に人間の上半身が生え後ろは蜘蛛の様な胴体が繋がりトゲトゲとした尻尾が生えた、まさに魔人と呼ぶに相応しい姿ともいえる悪魔が姿を現した。

 

炎獄魔人ヘル・バーナー 攻/3000

 

「バトル! いけヘル・バーナーでフィッツジェラルドを攻撃!」

 

王真 ライフ3600→3100

 

 ヘル・バーナーという名の通り口から炎の塊が打ち出されフィッツジェラルドに直撃し、燃やし尽くされる……だが。

 

「フィッツジェラルドの効果発動! このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られたとき自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札を一枚捨てる事で墓地のこのカードを守備表示で特殊召喚できる。再び氷塊となれフィッツジェラルド!」

 

 フィッツジェラルドの凍ってなかった部分が地面を割って復活しまたその両端と足に氷を纏う。

 

氷結のフィッツジェラルド 守/2500

 

「クソッ! ターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ900

手札0

モンスター1

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、速攻魔法サイクロン発動、セットカードを破壊しろ」

 

 発生した竜巻が万丈目のセットカードを捲り上げて破壊する。破壊されたのはミラフォか相変わらず添えるだけだな。

 

「更にアビス・ソルジャーを召喚! そして効果発動、一ターンに一度、手札の水属性モンスターを捨てることでフィールド上のカード一枚を手札に戻す! 手札のジェネクス・ウンディーネを捨て、ヘル・バーナーを手札へ!」

 

 手足が生え手に小さな銛を持った鯨の様なモンスターが現れ、ヘル・バーナーの足元に銛を投げ付けそこから大量の水が吹き出しヘル・バーナーが吹き飛んでいった。

 

「フィッツジェラルドを攻撃表示に変え、バトル! フィッツジェラルドでダイレクトアタック! ブリザード・ストライク」

 

「グァァァァァァ!」

 

万丈目 ライフ900→-1600

 

「楽しかったぜ! 万丈目少年」

 

 初期手札のせいで、戦々恐々としたのは内緒だがね。

 

「クソッ! クソッ! まただ何故勝てない! 俺は負けてはいけないのに!」

 

 orz←こんな感じで砂浜を殴り付ける万丈目少年、ちょっと声がかけづらいな。

 

「ん~君の事情は知らないんだがな? 勝つことが全てじゃないと思うのだよ」

 

「黙れ! 負けたことの無い貴様に何がわかる! 勝手な事を言うな!」

 

 おっと、不用意なことを言うもんじゃないね、余計怒らせてしまったよ。

 

「むっ、負けたことがない訳ではないぞ? こちらに来てからはほぼ負けてないだけで、昔は負けてばかりだよ。俺は勝ち負けにはあまりこだわってはいないからね、勿論勝てるよう努力はしているがね」

 

「知った事か! 俺には負けは許されない! 勝ち続けるしかないんだ!」

 

 そう怒鳴って走り去っていった、むぅ……有能な兄に囲まれたプレッシャーというものだな、彼の事情と似通った部分もわりとある。兄弟以外は同じかもしれない、あそこまで執拗に結果だけを求められたらなぁ……同情するよ……俺は真逆だがな。

 

「さて……戻るとするか……十代達を待たせるのも悪い」

 

 ……まだまだ調整が必要かな、さっきほどの事故は無いとは思うが、もう少し安定性がほしい、神様から聞いた最近の現実の環境についていく気は更々無いが。

 

 そんな感じで調整に頭を働かせている内にレッド寮に辿り着き自分の部屋をあけた、するとどうだろう、神様から送られてきた段ボールの中のファイルを三沢が見ていた。段ボールのことを完全に失念していた。

 

「おい、何してる。人のカードさばくるなよ三沢」

 

 少し怒った様な口調で言ってみた、神様ってすごいな、生前に無かったスキルを自動で持たせてくれたんだから。

 

「いや、すまない。見る前に聞こうと思ったのだがなかなか帰ってこなくてな……」

 

 軽くため息を吐き、動かした形跡のある段ボールを見ると大体4~6期辺りのようだ。

 

「はぁ……いいか? 今まで見たカードは全て忘れろ、もしくは俺が許可をするまで一切口外するな、頼む」

 

 元より命令する気はない、三沢も口の軽い方ではないと記憶している。

 

「分かった、約束しよう。人に知られたくない秘密の一つや二つ、あって当然だからな」

 

 すまんな三沢、その秘密もいずれ話すときが来るかもしれない。バレそうなところと言えば、デュエルマッスルのじいちゃん位だなうん。

 

「すまないね怒った様な声を出してしまって、上のベッドを使ってくれ……どうしたキョロキョロしてまだカードが見足りないのか?」

 

「いや、そうじゃない。かなりの種類のデッキを持っていると十代から聞いて、俺と似たものを感じてな」

 

「似たもの……なぁ……そうそうデッキと言えば、引き出しの中にこれが入れっぱなしだったぞ、ほらよ、お前さんのデッキ」

 

 ポケットから三沢のデッキを渡す、しかし少し迂闊過ぎないかい? この世界でカードを置いて行くって事はどうぞ盗んでくださいと言っている様なものではないか。勿論攻撃力が低かったら見向きもされないと思うけどね。だってこの世界は攻撃力のほぼ一点のみで値段が決まるらしい、あの紅い目の黒竜ですらこの世界じゃ数十万で取引されるらしい、もしネットオークションで爆走特急ロケット・アローを出したら、いくらまで入札されるか気になるところもある。今度出品してみるかな。

 

「ありがとう、俺としたことが……少々迂闊だったな」

 

「なに、次から気を付ければ良いだけさ」

 

 そうそうに会話を打ち切り寝ることにしたペンキ塗りで疲れたし、三沢は明日のテストがあるわけだし早く寝ることに越したことはない。

 

 翌日、万丈目は正々堂々と三沢とデュエルし僅差で敗北し、三沢はブルー行きを拒否しこのイベントは幕を閉じた。

 

続く……




にじファンにて掲載されていたのはここまでとなります。ここから今以上に更新が遅くなると思いますがそこんとこご了承ください。

ついでに言うと今回の高田君のデッキは、ライカンスロープを主軸にしたデッキなのですが、友人が作ったのを参考にしてなおかつ相手にしたときに、友人が大事故を起こした時のデュエルを模倣しました。だからなんだって話ですけど。
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