子朧さんと奈落の新キャラのお話。
※独自設定やジャンプ本誌のネタバレを含むので、閲覧の際は注意して下さい。

1 / 1
銀魂第604訓のネタバレを含む上にその訓で新たに出てくるキャラの口調や性格を想像(妄想)しています。それでも構わないという方のみ下にお進み下さい。


暖かい

 餓鬼の部屋に行くと、餓鬼は机に突っ伏していた。俺は餓鬼に近付いて餓鬼の顔を覗き込む。餓鬼は両目を閉じていて、眠っているようだった。すうすうとした寝息が聞こえ、餓鬼を起こさないようにして、餓鬼から少し距離を取り、餓鬼の顔を見つめる。餓鬼の寝顔はあどけなく、やっぱり此奴は只の餓鬼なんだなと思っていると、不意に餓鬼の眉が寄せられ、餓鬼の顔が歪んだ。

 

「先生……」

 

 餓鬼の口から発せられた言葉に、餓鬼の瞼から溢れ落ちたものに、はっとする。

 

「先生……先生……」

 

 餓鬼は何度もその言葉を口にする。餓鬼の瞼からぼろぼろと透明の雫が溢れ落ちた。

 

「……ッ、」

 

 俺は餓鬼との距離を詰め、餓鬼の肩を掴んで揺すった。

 

「おい、起きろ小僧」

 

 餓鬼はゆっくりと顔を上げて、潤んだ目で俺を見る。

 

「柩さん……?」

 

 餓鬼が目を覚ましたことに内心で安堵して、「魘されていたぞ」と言うと、餓鬼は瞼から溢れ落ちているものに気付いたのか目を見開いた。

 

「俺……泣いていたんですか?」

 

「……ああ」

 

 餓鬼は右手で涙を拭って俯く。

 

「…………」

 

 俺と餓鬼の間に沈黙が流れる。

 そうしてどれ程押し黙っていただろうか、餓鬼が俯いたまま口を開いた。

 

「……柩さん、一つお願いしてもいいですか……?」

 

「構わねぇ。何だ?」

 

「……俺を……俺を抱き締めてくれませんか」

 

 思わぬ要求に目を見開くと、餓鬼は「すみません、こんなこと……」と溢して机に手をついた。立ち上がろうとした餓鬼の腕を掴み、俺はその腕を引いて餓鬼の体を引き寄せる。

 

「……馬鹿野郎」

 

 餓鬼の背中に腕を回すと、餓鬼はびくりと体を揺らした。

 

「餓鬼は餓鬼らしく甘えろ」

 

 その言葉に安堵したのか、餓鬼は体を預けてくる。餓鬼の小さな体を傷付けないように、力を緩めて餓鬼を抱きしめると、餓鬼が微かに笑う気配がした。

 

「……柩さんの体、暖かいですね」

 

「……そうか。お前の体もあったけぇな」

 

 餓鬼の体はじんわりと暖かい。これを子供体温と言うのだろうか。

 

(まさか俺が子供を抱き締める日が来るとは思わなかったな)

 

 恐面故に子供が近付かない自分のことを思い、傍にある体温に目を細める。

 

「……柩さんの腕の中……安心します」

 

 そう告げて、暫くしてすうすうとした寝息が聞こえたため、嗚呼、眠ったのかと思い、餓鬼の頭に手を移動させて、ゆっくりとその頭を撫ぜた。

 

「今度はいい夢を見られるといいな」

 

 呟いて、俺に弟が出来たらこんな感じなのかもしれねぇな、とらしくもないことを思う。

 腕の中の小さな命を抱き締めながら、俺はあったけぇなともう一度呟いた。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定