ドラゴンクエスト ~受け継がれし勇者の魂~   作:永遠の二番煎じ

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旅路

 

バルサーク村からブライアンが北東の家に出発した後、マギーは村長の家に招かれる。

「村長、どうされました?」

「まあ、座りなさい。」

マギーは用意された向かい合う二つの椅子のうち片方の木の椅子に座る、そして向かいに村長が座る。

「マギー王女、あなたは父バルセル国王を探したいのじゃろ?」

いつもにこにこしているマギーの顔がけわしくなる。

「はい、父が城跡に出向きすぐにあの黒い稲妻を見ました。」

「気持ちは分かる、だがバルセル国王の務めは勇者の影武者と魔王封印を存続することじゃ。」

「知っております・・・ただ受け入れられなくて。」

村長は眉毛を八の字にして。

「そうか・・・じゃが父の使命を受け継がねばならない。」

村長は杖を渡してきた、杖先は四本の獣の指が赤い水晶を握っている。

「これはまどうしの杖じゃ。受け取るがよい。」

「しかし私は戦いの経験がございません。」

マギーは拒む。

「それでもやるしかないんじゃ、さあ。」

マギーは村長からまどうしの杖を受け取る。

 

村を出て周辺を歩き、魔物と初めてエンカウントする。

「ぷるぷる。」

突然現れたスライムにマギーは尻もちをつく。

それでも勇気をふりしぼって杖で何回も攻撃する。

スライムは力尽きた。

「やった。」

初めて倒した自分に強さを感じる、今迄兵士が守ってくれるのが当たり前であったので自分には力がないと思っていた。

マギーは父の為に強くなるためにどんどんエンカウントし経験値を積む。

ある時、戦闘中に小さな炎が右手が放てるようになる。

小さな炎によってスライムは燃え尽きた。

 

驚喜して村長に尋ねに行く。

「ほお。」

「これです。」

マギーは小さな炎を見せる。

「これはメラじゃな。マギー王女はやはりバルセル国王と同じく魔法使いが向いている。」

「メラ?」

「もっと経験値を積むのじゃな。」

それから二か月経験値を積む。

 

「メラ。」

スライムを燃やす。

戦闘に慣れた矢先、ももんじゃが急に襲いかかる。

「きゃ・・・」

尻もちをつく。

ももんじゃが飛びかかって来た時、ももんじゃの後ろから何者かが攻撃し助ける。

マギーは目を見開く。

ベビーパンサーに乗った傷だらけのブライアンであった。

ブライアンはそのまま意識を失いベビーパンサーの背中から落ちる。

 

目を開けるとそこは村長の家であった。

「どうやら目が覚めたようじゃな。」

「村長・・・」

起き上がるとマギーも村長の家にいて家事手伝いをしていた。

 

バルサーク村周辺で意識を失い、マギーに連れてこられたようだ。

充分回復した後、村長にマギーと共に正座させられ話を聞く。

「どうやら勇者を受け継いだようだな。」

「ど、どうして。」

勇者を受け継いだことを知っていることに驚いたが村長にはオーラが見えるのだろう。

 

「修羅の大陸は父から聞いたか?」

「いえ。」

村長はかつて父が修羅の大陸で修行したことを話す、その大陸にはこの世界で最も強い魔物や戦士たちが集まるらしい。

「俺にそこに行けと?」

「そうじゃ、でなければ魔王復活を望む者には勝てないじゃろう。」

少し沈黙して考え、

「分かりました、その大陸に行き力を付けてまいります。」

その言葉に触発されマギーも沈黙を破る。

「私もブライアンさんにお供したいです。」

最初兵士に連れ去られそうになった少女とは同じ人物に見えないくらい覚悟が顔に出ている。

村長もマギーらしからぬ突飛押しな発言に驚くが、

「そうじゃな、ブライアンは魔王復活阻止。マギーはその後の監視のために力をつけるべきかもしれんのう。」

こうして修羅の大陸を目指してマギーと共に冒険が始まる。

 

村長いわく最初に目指すは南の砂漠の大陸だ。

翌朝ブライアンとマギーはベビーパンサーに乗ると、村長が、

「バルサーク港や船着き場はもう船がないかもしれんぞ?」

「あ、そうか。」

頭を掻いて考えるブライアン。

「大丈夫です、私は秘密の舟を知っていますから。」

 

「そうか、まあなければ作ればよい。」

随分楽天的な村長。

「分かったよ村長。必ず強くなって帰ってくるから。」

と言ってベビーパンサーの尻を叩く、ベビーパンサーは東へ走り出す。

 

昼頃バルサーク村から一気に東へ山脈を越えて魔王の城跡に着く。

城跡は禍々しい黒いオーラを放っているが、光のバリアによって外と中を遮断しているようだ。

「行きましょう。」

「そうだな・・・」

南のバルサーク港へ行くがやはり船は全て大陸を出払っていた。

「どうやらここには何もないみたいだな。」

そこに一隻の船が港に入る。

 

神鳥の剣を構え、マギーはまどうしの杖を構える。

船から波止場に船長らしき人物が下りてくる。

「君たち一体何があったんだ?」

荒れ果てた港を見てただ事でないことに気づく船長。

「見ての通りさ。」

「そうか・・・」

「あの何か用があったんですか?」

こんな時でもどこぞの知らないよそ者にマギーは丁寧に質問する。

 

「実は商人を偽った者にふしぎなタンバリンを取られたがこれじゃあ引き返すしかないか。」

「なあ、俺たちも乗せてくれないか?」

「ああ、いいぞ。少年、運がいいな。」

目でマギーに合図する、何も余計なことを言うなと。

それに反して、マギーの正義心が働く。

「私たちが取ってきましょう。」

「え?」

ブライアンは顔を背ける。

「盗賊から取り返せるのか?」

「いえ、私はバルサーク王の娘マギーでして・・・」

マギーは説明した。

 

夕日が沈むころ

「・・・なるほど。では頼んでもよいのですか?」

「はい。」

船長は手のひらを返した態度で、

「ちょうど私たちは砂漠の大陸のゴルビ地方から来た傭兵でございます。」

ブライアンとマギーは船に案内され船室で寝る。

 

翌朝、朝日が昇る前マギーを中心にゴルビ首長国に雇われた傭兵が索敵陣形を編成する。

ブライアンは船長に王女を護衛する兵士と言ってしまったために編成に組み込まれる。

 

バルサーク城まで一人の傭兵と会話する。

「俺はこの大陸しか知らないんだけど、海の向こうには何があるんだ?」

「海の向こうには夢がある。」

傭兵は楽しそうに世界の話をする。

 

「夢?俺を馬鹿にしてるのか?」

ブライアンは眉間にしわを寄せる。

「ははっ、そう怒るな若い衛兵殿。」

「そういえばまだ名前聞いてなかったな。俺はブライアン・ゴッドバード。」

「ゴッドバード?」

どこかで聞いたことあるが思い出せない。

「俺はドーチェ副傭兵長。昨日君たちが話した船長がチェスター傭兵長だ。」

「ってことは、あんたナンバー2か。」

「そういうことだな。だから敬意を払ってくれよ。」

話しているとバルサーク城下町にたどり着く。

 

野生の魔物は軍隊を見て襲って来なかった。

「よーし、ここからが難所だ。残された姫様を出来るだけ守れ。」

とドーチェは声を上げ、士気を高める。

 

城下町を歩いていると、突然矢の雨が降る。

盗賊に成り下がったバルサークの元兵士たちが立ちはだかる。

「まさか、最初に人間と戦うとは・・・」

ドーチェは不本意であったが攻撃命令を下す。

「こちらです。」

マギーは残りの傭兵たちを裏道に誘導して安全な場所に案内する。

 

だが、キメラやももんじゃなど大量に城を包囲するようにしてたむろしている。

胸ぐらをつかみ、

「ブライアン衛兵、ふしぎなタンバリンを頼むぞ。」

城門に向かって傭兵たちはドーチェを先頭に城までの道を開けるように魔物を掃う。

「今だ。」

マギーの手を取り、城内へ走り込む。

内門を閉める時、最後に傭兵たちが魔物に呑み込まれるのを見る。

荒らされた町や城を見てマギーは悲壮感が出る。

「・・・マギー、宝物庫を案内してくれ。」

「はい。」

悲しんでなどいられない。

 

宝物庫に案内され、マギーは合言葉を口にすると扉が開く。

「父が宝物庫を開ける時よく言っていました。」

宝箱がたくさんある中、硝子ケースに星形の楽器がある。

「あれです。」

硝子を割りふしぎのタンバリンを手に入れた。

宝箱から白い煙が噴き出る、そして魔物に変わる。

蓋は大きな口になり鋭い牙のような刃のようなものが襲いかかる。

神鳥の剣に宝箱の魔物が噛みつく。

「メラ。」

まどうしの杖を振り、呪文を唱え、小さい炎が魔物を包む。

魔物は熱がり、剣に噛みつくのをやめ離れる。

「今のうちに逃げよう。」

 

急いで北の城門から出てバルサーク港に戻る。

「他の仲間たちは?」

「分からない。」

船長は少し間を置いて、

「・・・そうか、ふしぎなタンバリンは手に入ったのか?」

ふしぎなタンバリンを渡すと、

「ありがとう、今日は休むが良い。」

傭兵たちの間で捜索活動をすべきかどうか会合が行われた。

船尾で2人で、

「俺たちの父親はまだ生きていると思うか?」

「はい、私はそう信じてこれから旅をしていきます。」

結果は多数決で決められ、捜索はしないことになったが数日バルサーク港で待つことに結論が至る。

翌日バルサーク城から帰還した傭兵たちが港に。

ドーチェは心地よい感じで、

「船長、これで全員いる。」

「分かった、出航しよう。」

南の砂漠の大陸に向けて船は帆をはる。

 


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