劣等生も異世界から来るそうですよ?   作:夜桜見物人

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今回はいつもより少しですが長くしてみました。
ほんとはもう少し長くしたいのですが・・・・


今年最後の投稿です。
皆さん良いお年を


いざ世界の果てへ

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「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れて来ましたよー!」

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が・・・」

 

「はいな、こちらの御四人様が・・・」

 

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「・・・・・え、あれ?もう二人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている殿方と、かなり無口で、意味不明な発言をしていた大人しめな殿方が」

 

「ああ十六夜君と達也君のこと?彼らなら十六夜君が、“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”と言って達也君を抱えて駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

あっちの方に。と指をさすのは上空4000mから見えた断崖絶壁。街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは、うさ耳を逆立てて二人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「“止めてくれるなよ”と言われたもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」

 

「「うん」」

 

ガクリ、と前のめりに倒れる。新たな人材に胸を躍らせていた数時間前の自分が妬ましい。

まさかこんな問題児ばかり摑まされるなんて嫌がらせにも程がある。

そんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫んだ。

 

「た、大変です!“世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?」

 

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で特に“世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」

 

「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・・斬新?」

 

「冗談を言っている場合じゃありません!」

 

ジンは事の重大さを訴えるが、二人は叱られても肩を竦めるだけである。

黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。

 

「はあ・・・・ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御二人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児達を捕まえに参ります。事のついでに・・・“箱庭の貴族”と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

 

悲しみから立ち直った黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。

 

「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」

 

黒ウサギは、淡い緋色の髪を戦慄かせ踏みしめた門柱に亀裂を入れる。全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、あっという間に三人の視界から消え去っていった。

 

「・・・箱庭のウサギは随分早く飛べるのね。素直に感心するわ」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが・・・・」

 

「黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくれるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。二人の名前は?」

 

「久遠 飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

「春日部 耀」

 

「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取ると、胸を躍らせるような笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。

その姿をここにはいない問題児が見ていたことに気づかないで・・・

 

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黒ウサギが十六夜達を追いかけ始めた頃

 

「ヤハハハ」

 

「くっ」

 

未だ達也は十六夜に捕まえられていた。いや動けなかった。

 

「ヤハハハ。なんで達也はこの速度に耐えられるんだよ!」

 

十六夜が速すぎて腕を解いた瞬間に身体が耐え切れず粉微塵になってしまうからだ。

元々達也も魔法によってどうにかしようと思ったのだが、十六夜から微弱とは言い難いレベルの“キャストジャミング”(魔法を発動しにくくする波動)のようなナニカが放出されていて、たとえ腕を解いたとしても達也の魔法強度では、確実に怪我をすると確信した。流石に此処で“再生”を使う訳にもいかないから、こうして大人しくしているのだ。

 

「俺はお前の身体能力の方が異常だと思うがな」

 

「ヤハハハ」

 

十六夜も驚いていた。

自分が七割もの力で走っているのにこの男は、気絶どころか自分と会話をして見せているのだ。

十六夜は達也の得体の知れない力に興味が惹かれてたまらなかった。

 

ふと達也が来た方を振り向いた。

 

「どうした?」

 

(黒ウサギが動き始めた。)

 

「いや、何でもない」

 

達也は黒ウサギがこっちに向かって来ている事実を隠した。

後に達也は十六夜にこの時のことを聞かれ、こう答えた。

 

無理矢理連れていかれたことについての、細やかな反抗だ。と。

 

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魔法科の原作を知っている人はわかると思いますが、最後の達也の能力については後々に説明を入れる予定です。

UA5000突破しました。
皆様のお陰です。これからもよろしくお願いします。
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