時間が巻き戻ったっぽいので今度は妹と仲良くしてみようと思う。   作:筆休め!

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前回のあらすじ!

・妹が生まれた。


兄は他人と話すのが上手い(妹談)

 逆行した事を自覚した俺はとりあえずだが自分の今後の方針を決める事にした。

 

 考えたのが未来を知った事で俺がSAO事件の発生を未然に阻止できるか、という事である……が、結論から言って事件を未然に防ぐのは困難極まりないだろうと思う。

 

 何故なら俺はSAOをデスゲーム化した張本人にしてナーヴギアを始めとしたVR技術の生みの親である茅場晶彦と関わりが薄いからだ。仕事と家柄のおかげで挨拶して顔を合わせた事はあったが、それだけ。とても親しかったとは言えないわけで。茅場に働きかけて説得するといった手段を取るのは難しいと言う他ない。

 

 かと言って茅場を亡き者にして阻止するというのもナシだ。彼はまだ何もしていないし、今時点でどこで何をしているのか知らない。ついでに俺は当たり前だが殺人などしたくない。

 

 それにSAOはゲームとして発表されなければ妹が旦那となる男と出会う事が出来ないだろう。

 

 俺には未来の明日奈の幸せを奪うなんで出来ない。かと言って起こるであろう大量殺人事件を何もせず見過ごす事も出来そうにない。どちらを選ぶかなんて無理だ。どうやら俺は自分で思っていた以上に小心者だったようだ。

 

 明日奈は変わった。仮想世界を通じて沢山の友人や恋人を得て強くなった。俺なんかと比べ物にならない程に。物語のメインヒロインに相応しい程に心も強くなった。

 

「俺がやれる事って言ったら……やっぱり茅場晶彦に近づく、とか?」

 

 茅場晶彦に語りかけてデスゲーム化を阻止した上でSAOを発表させる……これしかない。

 

 だが、どうすれば茅場に近づく事ができるのか。一番てっとり早いのは俺も将来茅場と同じ”アーガス”に就職する事。しかし、理系の知識に乏しい俺がアーガスに入った所で営業職しかないだろう。そうなれば茅場と関われる機会は少なくなる。

 

 一応、一流大学だったとは言え文系に重きを置いていた俺じゃとてもアーガスやレクトの技術職に就職になんて……待てよ。思い出せ、茅場晶彦の出身大学はどこだった?

 

「確か、東都工業大学だったか……?」

 

 日本でも有数の難関校。しかも理系の大学。前回の俺が勉強した知識では役に立たない。しかし、これしかない。

 

 幸いにも俺と茅場の年の差は確か二、三歳だったはずだ。上手くいけば大学時代でそれなりに茅場と親しくなれるかもしれない。同じゼミや部活に入るとかできれば不可能ではないだろう。

 

「お兄ちゃん?」

 

 声を聞いて考え事を中止する。座っていた椅子を回して振り返ればいつの間にか俺の部屋の入り口辺りに明日奈が立っていた。

 

「あのね。呼んだよ? ドア叩いたよ?」

 

「ああ、そっか。気づかなくてごめんな」

 

 考え事に没頭し過ぎて妹の声が聞こえていなかったようだ。無視されていたと思ったらしく彼女はあからさまに不機嫌そうだ。そんなに頬を膨らませなくても良いじゃないか、と思わず苦笑する。

 

 何とか不貞腐れているお姫様のご機嫌を取ろうと手招きする。ちょこちょこと可愛らしく駆け寄って来た明日奈を優しく抱き上げてやる。お、また少し重くなったかな。子供の成長は早いものだ。今の俺も子供ではあるのだが、そう思わざるを得ない。

 

 俺の膝の上に乗せてやると明日奈は何が嬉しいのか、ご機嫌になって足をパタパタと動かしている。

 

「それで、何か用があったんだろ?」

 

「うん。またお話聞かせて欲しいって思って」

 

「またか?」

 

 このように明日奈は度々俺にねだってくる。少し前から彼女との暇潰しの為に俺が知っていた物語を芝居の様に聞かせてやっていた。

 

 世界的に有名な神話であるとか、いつかやったゲームの話だとか。如何にも俺が考えたかのように話すものだから明日奈も最初は俺のオリジナルのストーリーだと思っていたらしい。文才のない俺だが話し方は中々様になっていると自覚している。幼稚園の先生になって読み聞かせでもしてやってる気分である。

 

 これが上手くいったらしく好奇心旺盛な年頃の明日奈は俺の話を大層お気に召した様でこのように俺の部屋に押しかけて来る事もしばしばなのだった。

 

「……だめ?」

 

「ダメじゃないさ」

 

 妹に見上げながらおねだりされて断れる兄がいるだろうか。いや、いないだろう。前回は疎遠だったからこそ今年で三歳になった明日奈が可愛くて仕方がない。

 

「今日は何のお話をしてくれるの?」

 

「そうだなぁ……」

 

 前回は丁度区切りよく話が終わったんだったよな。それなら何の話をしてやろうかと少しだけ考えてから、

 

「……じゃあ、今日はあれだな。剣と戦いでできた、鋼鉄の城の冒険でも話そうかな」

 

 いつか君の力になると信じて、俺は和人君から聞いたこの話を送ろうと思う。

 

 これはとっておきのお話なんだーーそう前置きしてから俺は語り出した。

 

 

 

 

 

 

 







短い…


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