THE COCKPIT 隻眼パイロットのその後   作:放火後ティータイム

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レポート:妖精専用航空機の調査報告
調査期間:1956年8月10日~1958年1月12日

・妖精の使用する航空機は15cm~20cm程度一番大きくて40cm程度である。
・艦戦、艦爆、艦攻、水上機など様々な機種が確認されている。
・航空機の性能や兵器の威力は通常の航空機と大きな差はなく、
機体の小型化による軽量化により、速度面では通常の機体より
遥かに上回ることが確認されている。

~中略~

・人による搭乗実験を行った結果、人でも操縦が可能なことが判明した。
・搭乗した場合、妖精と同じサイズへと縮む。
・無理な筋肉の縮小などにより元に戻った際に酷い激痛に襲われる。
・10人で実験を行った結果、全員の命に別状はないことが判明したが、
全員が2~3日は動くことすらままならなかった。
・戦力増加の為の手段とするにはあまり向かないと思われる。
----以上----


第五話 「初陣」

工厰では整備兵や整備妖精、そして工作艦明石と兵装実験軽巡夕張が

増援として出撃する航空隊や艦娘達に補給を行っていた。

 

「明石!!明石はいるかー!!」

 

「え!?提督!?」

 

いきなり提督が走って入ってきた。

本来なら執務室で指示を出している筈の提督が指示をせず工厰に来るのは

初めてのことで少し驚いていた。

執務室から工厰まで結構距離があり、普段は事務作業専門兼五十路の提督は

息を切らしながら用件を伝えた。

 

「航空機の…ゼエ……予備を出してくれ…ゼエ…できれば零戦の52型が…ゼエ…いい……」

 

「え…?あ!はい!!夕張ー!!52型の予備を確認してー!!」

 

明石は確認を夕張に任せると提督に質問した。

 

「一応あるとは思いますけど何に使うんですか?あと一応提督50代なんですから

無理しないでくださいよ。」

 

「わ…悪い……」

 

「予備の52型ありましたー!!」

 

夕張が確認を終えて戻ってきた。

どうやら予備の零戦はあったようだ。

 

「悪いが直ぐに整備してくれ。すぐに彼が出る。」

 

カツ……カツ……カツ……

航空機、艦娘全員の出撃を終え、避難を始めて少しながら

静まり返った工厰内に足音が聞こえた。

 

「「え!?」」

 

そして工厰に入ってきた人物に明石と夕張は声をあげた。

その男の頭と右目には包帯が巻かれていた。

飛行服に隠れているが恐らく体中の至るところに怪我をしているのではないか

と感じさせた。

現に男の歩き方はおかしく、足の割には歩幅が短く、こちらに来るのに

とても時間がかかっていた。

正直どうみても様々な負荷がかかる空中を飛行できるような状態じゃなかった。

 

「こ…この人が乗っていくんですか!?無理に決まってます!!」

 

「そ…そうですよ!!それに彼は妖精じゃないですよね!?負荷に耐えきれません!!」

 

明石と夕張が必死に説得しようとする。

しかしそれくらいで諦めるような男じゃない。

 

「心配してくださりありがとうございます。ですが行かねばならないのです。

行かせてください。お願いします。」

 

男は深々と頭を下げた。

それはもうほぼ水平に……

怪我をした部分が痛み、「グッ!」と声をだした。

 

「私からも頼む。この通りだ」

 

提督も男と同じように頭を深く下げる。

 

「て…提督!!……わかりました。どうなっても知りませんよ?」

 

明石が観念したように許可をだし、夕張をつれて飛び出した。

 

「私達も行こう!」

 

「了解しました」

 

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「ここに立ってください。」

 

土方は夕張の指示に従っていた。

ちなみに提督と明石は遠くから眺めている。

 

「提督、彼は一体何者なんですか?怪我をしているのになぜ避難のせずに

出撃を……?」

 

明石が問う。

 

「土方君はは先日の墜落騒ぎの時に零戦に乗ってたパイロットでね、

戦力不足に悩んでた私に声をかけてくれたんだ。」

 

「し…しかしあの怪我では直ぐにやられてしまうのでは?」

 

提督はあえて混乱を避けるため異世界人間だということを伏せた。

 

「今は信じよう。彼はベテランだ。そう簡単にはやられないさ。」

 

 

 

 

 

 

「わかった。ありがとう。」

 

滑走路に用意された零戦に向かいながら乗り方を説明

されていた土方は夕張に礼をいった。

そしていざ搭乗しようとしたその時だった。

 

「あ…あの!!」

 

土方は夕張から声をかけられた。

 

「お名前は?」

 

「土方だ」

 

「土方さん!必ず帰ってきてくださいね!」

 

「!?あ…ああ分かった。約束しよう。」

 

「破ったら許しませんからね!」

 

「………ありがとう。」

 

国の為に死ぬのが当たり前だったあの時代には決してかけられることのない言葉に

土方は嬉しさを覚えた。

 

体はみるみる小さくなっていきコクピットに乗り込む。

なれた手つきでエンジンをかけ

 

「出ます!!」

 

そう言うと敬礼をし、大空へ飛び立った。

 

 

 




夕張をヒロイン風にした。後悔はしていない。
女の子が「必ず戻ってきてください。約束ですよ?」って言って
主人公が「わかった。必ず戻るよ。」っていう死亡フラグっぽい
ことやりたかったんです!!夕張可愛いからいいじゃん。(真顔)

土方さんのクールなイメージをへし折ってしまいすいませんでした。

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