ハウルとスリザリン生なら楽しみであるはずの魔法薬学の授業なのに憂鬱であった。
先日ハウルはスネイプに恥をかかせ、さらにそれが瞬く間に学校中の噂になったのだ。あのスリザリン贔屓のスネイプにスリザリンの新入生が挑発して丸め込んだと...
そしてその生徒がハリーに少し劣って有名なハウルがやったのだ。
スリザリン以外の三寮の上級生からお褒めの言葉を頂いたり、お菓子をもらったりしたのは良かった。
だがスネイプの評定は覚悟したほうがいいだろう。テストや実技で満点を取ろうとも生活態度というものがある。そこは形として残らないため教師の一存で全て決まり、その
つまり魔法薬学の評定において、最高点は不可能と考えるべきだった
「大丈夫よ、ハウル。寮監は悪い人間じゃないわ...たぶん。」
ダフネがハウルを懸命に慰めるが効果はあまりなかった。それに相反する様にレイナは静かであった。どうせハウルなら実技と筆記のテストで満点を取るはずだから最低でも十段階評価の八はとれるだろうと踏んでいた。
***
〜魔法薬学の教室〜
教室に入ってきたスネイプは見たところ前回とは変わった様子はなかった。そして時間になると出席をとり、説明を開始した。
「本日はヘビの牙を砕き、干しイラクサを蒸したものに角ナメクジと山嵐の針を煮込む作業をしてもらう。」
シーンとした地下室でスネイプの声のみが響き渡り、ハウルは無言で彼の説明に耳を傾けていた。
「グレンスト!何ができる?」
前回指名したハリーとは違い、いきなりハウルを指名する。彼は少し驚きつつもスラスラと答えた。
「おできを治す薬です。コツは大鍋を火から降ろして山嵐の針を加えること。失敗すると逆におできが増える。」
「見事だ。スリザリンに十点。」
スネイプは少し満足そうにニヤリと笑い点数を与えた。ハウルとしては嫌われたと思っていたのに彼に気に入られたようだ。
この日から魔法薬学の授業前にハウルに質問して十点を与えるという謎のルーティンができ、スリザリンの聖杯競争への絶対的なリードを広げさせた。
「良かったわね、ハウル。」
二人一組に分けられ、ハウルの前の席でレイナと組んでいたダフネが微笑みながら後ろを振り返った。
スネイプはスリザリンの私語にはとても甘いが、周囲に迷惑の関わらぬ様に気を使ったのか小声であった。
「あぁ、助かった。色々とありがとな。」
魅力的な笑みを浮かべるハウルに両の頬をピンク色にさせたダフネはすぐに前を向いて、頭をうつむかせ赤い煙を発していた。
ハウルはその事を不審に思いつつもドラコとの共有の鍋へ目線を向けた。
「なぁハウル。角ナメクジは鍋から取り出した方がいいか?」
魔法薬学に不得手なのかドラコがハウルにタイミングを尋ねた。彼はナメクジを一瞥すると首をふった。
「いや、もう少しだ。うっすら黄色味がついたら完璧だ。」
「君と一緒にいると、安心するよ。これからも僕の成績を引っ張ってくれたまえ。」
ドラコはとうに心を許していたのかニヤニヤしながら冗談を言った。するとハウルもニヤリと笑って口を開く。
「調子こいてないか?ドラコ。別に魔法史のレポート見せなくてもいいんだぞ。」
ハウルも冗談で返すと、ドラコは顔が一瞬で強張った。彼は魔法史が死ぬ程苦手であり、授業中は常に潰れているためレポートが捗らないのだ。
「そっ、それだけは...。ハウル様これからもご贔屓を...。」
ドラコが慌て出ながら弁明をした。ハウルが冗談など言うとは思えず、本気だと勘違いしたのだ。
「ふふっ、ドラコ。ナメクジの引き揚げどきだ。」
笑みを浮かべたハウルは薄っすら黄色になったナメクジを引き揚げた。そして皿に移すと、後ろから声が聞こえた。
「見事だ。グレンスト、マルフォイ。スリザリンに五点だ。皆も参考にするように。」
スネイプがやってきて、うっすら黄色味がかかったナメクジを皆に見せる。その視線の一つがこちらを睨んでおり、それはロンだった
そして干しイラクサとヘビの牙、角ナメクジを煮込んでいると、隣からカタカタした音に反応して隣を見た瞬間に爆発音がした。
通路を挟んで隣にいたネビルと黄土色の髪をした少年が煮込んでいた大鍋が弾け、中のの液体が飛び散った。
「“
ハウルは不審な音を耳にした瞬間から杖を手をかけていたのだ。そして爆発を目にして素早く呪文を唱えて“不完全なおでき薬”のほとんどを水で覆い二次災害を防くことに成功した。
「バカ者!」
スネイプがネビルを怒鳴りつけた。スリザリンの生徒たちは劣等生のネビルを蔑みの視線をぶつけながら嘲笑う。
「おおかた、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針をいれたな。グレンストの好意を無下しただけに飽きたらず、尻拭いまでさせるとは...グリフィンドールを十点減点。ハウルの機転の素晴らしさを称えスリザリンに十点追加。」
肘におできができ、ベソをかくネビルを見て苦々しくグリフィンドールの生徒に医務室へ連れて行くことを命じた。
スネイプのスリザリン贔屓は止まらなかったが、グリフィンドールへの蔑視が少しだけなくなったため、彼はは自分の心情をスネイプは考慮してくれたと思い感謝した。