ハリーポッターと導く者 〜改訂版〜   作:ニルドアーニ四世

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コンパートメント 1

キングクロス駅と9と4分の3番目からホグワーツ魔法養成学校へ向かう列車の中で二人の新入生が歩き回っていた。

 

「もういいよ。ハーマイオニー?トレバーは僕一人で探すから。」

 

目の前の女の子と知り合ったばかりなのか名前を自信なさげにしか言えなかった丸顔の男の子は泣きべそをかいていた。

 

なぜなら自分のペットのヒキガエルがいなくなったからである。更にこの失態が恐ろしい祖母に伝われば大目玉を喰らうに違いない。

 

「もうここまで来たら最後まで付き合うわよ。」

 

なんとなく威張った話し方をする女の子だ。栗色のフワフワした髪に前歯が少し出ているが、比較的容姿は整っている。このハーマイオニーという少女は少年のヒキガエルがいなくなった事を知り、探すのを手伝っていた。

 

一つ一つコンパートメントを周って、トレバーを見た人がいないか探していた。次のコンパートメントを見ると中にいた金色の髪をした少年に見惚れた。

 

どこも席は埋まっていたのに少年は一人で座り、どこかはかなげな顔をし、吸い込まれるような魅惑的な瞳で窓の外を眺めていた。

 

「ハーマイオニー?」

 

ハーマイオニーが目の前の少年に見惚れていると、いつまでもコンパートメントを開けない事に疑問に思った丸顔の少年が声をかける。その声で現実に戻り、コンパートメントのドアに手をかけた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

1分前

 

 

 

〜ハウルside〜

 

 

 

 

(可笑しい...。なぜ他のコンパートメントは満員なのに、俺のいる所だけ誰も来ないんだ?まさか...避けられているのか⁉ ダイアゴン横丁で父上と別れてからも女性達の態度はまるで変わらなかった。つまり可笑しいのは父上じゃなくて俺ということ...。ヤバい。孤立するかも、いやもしかしたらもうすでに嫌わ...『ガチャッ』...うおっ⁉ 」

 

今まであまり人と触れ合って来なかったため、自分が周りからどう思われているのか分からない少年はずっとその事を考えていた。思いつくのはネガティブな事ばかり、自然と悲しげな顔になっていた。コンパートメントのドアの外でその顔に見惚れていた女の子の存在を知らずに...。

 

そんな時に突然ドアが開いたのだ。突然動いたせいか、細長く赤い『何か』が襟から出て来てドアを開けたハーマイオニーを警戒し、口を大きく開けてシャーと威嚇した。 ハーマイオニーと丸顔の子供が怯えている様子を見て口を開いた。

 

《やめろ、アリア。俺が驚いただけだ。》

 

ハウルは小さな赤い蛇を制止させた。蛇の名前はアリア、屋敷の側の山の中で1匹でいた所をハウルが見つけペットにしたのだ。彼女曰く鷲に捕らえられたため、抵抗し噛み付いたら落とされてきたという...

 

ハウルには記憶力だけでなく、それ以上特異な能力を有していた。それは“パーセルマウス”、即ち蛇と会話ができる能力であり殆どは先天性のモノである。

 

アリアは振り返り、ハウルの顔を見ると欠伸をしながら口を開いた。

 

《そうなの?あなたの服の中で寝てたから、敵かと思ったわよ。後始末よろしく。》

 

アリアはそのままスルスルとハウルの襟へ戻ると、再び眠り始めた。その様子をビクビクしながら見ていた二人へ声をかけた。

 

「すまないな。驚いたろう?アリアはいい奴なんだが、寝起きだったから驚いたのだろう。君達も新入生か?」

 

二人は恐怖からか目の前で蛇と会話するという非現実的な出来事を流し、質問に答えた。

 

「えっ...えぇ、私もネビルもそうよ。ネビルのカエルが居なくなっちゃったの。あなた知らない?」

 

ハーマイオニーは今までコンパートメントでやって来た質問をハウルにも同様に行うが、ハウルはカエルなど見ていなかった。ハウルはゆっくり席から立ちあがるとネビルの顔を見た。

 

「そうだったのか、どんなカエルだ?大きさや色を教えてくれ。あと名前もな。」

 

「えっと...手のひらに乗るサイズで茶色をしてる。トレバーっていうんだ。」

 

ハウルは質問を質問で返した事にハーマイオニーは怪訝な表情を浮かべてハウルを見た。カエルの特徴を知ったハウルはローブから最近、オリバンダーの店で買った杖を取り出して呟いた。

 

「“アクシオ(来い)”ネビルのカエル」

 

呪文を唱えるがすぐには何も起こらない様子にハーマイオニーは失敗したのではないかと考えるが、まもなくハウルの手にふてぶてとした茶色で手のひらに乗るサイズのカエルが収ったのを見て考えを改めた。

 

「トレバー‼ 」

 

ネビルはいなくなりずっと探していた自身のペットが見つかり嬉しそうに声をあげた。ハウルは軽い笑みを浮かべてトレバーを彼に返してあげた。『どこに行ってたんだよ』とつぶやいて喜ぶネビルを他所にハーマイオニーはハウルに質問をした。

 

「ねぇ、それ魔法よね。私は教科書を全部暗記したけど、そんな呪文乗ってなかったわよ。」

 

ハーマイオニーは先程ハウルの『君達も新入生か?』という言葉から同級生であると断定し、同じ教科書を買ったはずなのに彼は自分の知識にない魔法を使用したことに疑問を覚えたのだ。ハーマイオニーの自慢をサラッと流したハウルは彼女の質問に答えようとした。なぜならハウルもまた既に全ての教科書を暗記しているからである。

 

「あぁ俺は幼い頃から父上から稽古をつけてもらっていてな。その時に覚えた。少し遅れたが、ハウル・グレンストだ。よろしく」

 

ハウルはハーマイオニーの質問に答えつつ、自己紹介をした後に手を差し伸べた。ハーマイオニーは彼の握手に応じつつも追随の手を緩めなかった。

 

「ハーマイオニー・グレンジャーよ。そうだったの?でも魔法省は魔法学校に通っていない未成年とマグル前では魔法は使ってはいけないと本に書いてあったわ。それににおいがついているから、貴方逮捕されるわ。」

 

においとは魔法省がつけた物で未成年(17才以下) は魔法を使用しているかは全て記録されている。もし違法に使用したらバレるのは時間の問題であり、バレたら退学の可能性は限りなく高い。

 

「俺の父上はそこそこ名のある闇祓いでな。逆恨みされる危険もあるし、後継者にするという条件で特別ににおいを消してもらっている。まぁその分少し危険な魔法も幾つか覚えているがな。」

 

ハウルは淡々と質問に答えるとハーマイオニーは納得した様な顔をした。そしてネビルが闇祓いというキーワードにビクッと反応したのをハウルは見逃さなかった。彼が闇祓いに対して何らかの思い入れがあるのかとほんの少しだけ興味を持ったため声をかけた。

 

「そういえばネビルの苗字聞いてなかったな。」

 

「うん、ロングボトムっていうんだ。」

 

ハウルはさりげなく探りを入れ、彼のファミリーネームを聞き出した。魔法界には一族としての繋がりが強く、有名どころであればそこの家柄は知られている。

 

ハウルはグレンスト家の家風同様、純血でありながらもマグルに敵対心など持ち合わせていないが、有名な一族の子であれば扱いを間違えるわけにはいかないからである。

 

 

(ロングボトム...闇祓いの夫妻のいた家柄だな。“死喰い人”に拷問されて精神が崩壊したとか...。まぁ触れはせぬがな。)

 

 

ハウルは闇祓いに関する書籍やニュースを欠かさず読んでいる。そうすればこの様な場において有益にものを運べる場合がある。また彼にとって暗記など実に容易いことであるため、都合が良かった。

 

「そうか...よろしく。良かったら俺の話相手になってくれないか?ずっと一人で退屈だったんだ。」

 

「いいわよ。頭も良さそうだし、貴方とは良い友人に慣れそうだわ。」

 

ハーマイオニーは幼い頃から聡明で自己主張の強い子供であり、同世代の子供染みた空気は肌にあわず避けられやすい傾向にあった。だが自分より大人びて淡々と質問に正確に答える様子から頭がよく自分とウマが合う気がしたのだ。

 

ハーマイオニーはすぐにハウルのいる正面の座席に座ったが、自分も招かれているのか悩むネビルは入ろうか入らまいか葛藤している。その様子を見てクスッと笑ったハウルは口を開いた。

 

「ネビルも入れよ。」

 

ハウルの声にネビルは嬉しそうな顔をすると中に入った。

 

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