マクゴナガルに名簿を手にして名前を呼び自分の目の前に並ばせていく。そしてGの順番になり、ハーマイオニーが呼ばれた後にハウルが呼ばれて彼女の隣についた。
「ハーマイオニー。さっきぶり。」
「あら、ハウルじゃない。今から組分けよね?帽子をかぶるだけじゃなくて、やっぱり呪文とかの試験とかあるのかしら?」
ハーマイオニーは周りの怖がる様子を見て、ながらハウルに質問した。噂ではトロールと取っ組み合いをするだの、呪文のテストなどをするという噂が新入生の間で流れていた。
「帽子を被るだけで済むぞ。第一わざわざホールの中でテストなどする意味なんかないだろ?」
ハウルの答えにハーマイオニーは安心したのか、再びコンパートメントの中での続きを始めた。完全に打ち解けたのか談笑を交わしながら待つ
二人の前にいる一人の金髪の可愛らしい女の子が頬を赤らめさせながらハウルの様子をジッと見つめていた事に気づかなかった。
やがて全員の名前が呼び終え終わるとマクゴナガルはホールの扉を開け、新入生の方を向いて口を開いた。
「さぁ行きますよ。間も無く組分け儀式が始まります。」
ハウルらが中に入るととそこは物語に出てくるような幻想的で煌びやかな世界が広がっていた。
何千というろうそくが宙に浮かび、四つの長いテーブルを照らしている。テーブルに上級生たちが着席し、新入生を見つめていた。広場の上座には講師達が並んでおり、笑みを浮かべている者もいるが中には冷たい目で見据えている者もいる。
「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。“ホグワーツの歴史”に書いてあったわ。」
(“惑わしの呪文”。これほどまでに高度なレベルは流石だ。想像以上に教諭達から学ぶべきことが多いということか。)
ハウルは父親から基礎的な魔法から闇の魔術、治癒魔法に至るまでの大半の事を教わり習得している。彼は既にホグワーツで魔法を学ばずとも魔法使いとして生きていけるだけの実力は十分にある。そのためホグワーツから学ぶ事は何一つない可能性も考えていた。だがその考えは天井一つで覆された事に彼は満足そうな表情を浮かべていた。
マクゴナゴガルはステージの前に立ち、ハウルが先ほど言っていたボロボロな帽子を椅子に置いた。
すると帽子の口が開き歌い出すと、その歌にホールにいる全員が耳を傾けた。
歌が終わると前に立つマクゴナゴガル先生が口を開いて指示を出した。
「ABCの順番で呼びます。名前を呼ばれたら椅子に座り、組分けを受けてください。」
長い羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出て、先頭にいる生徒の名前を読み上げた。
「アボット・ハンナ!」
そう呼ばれた女の子はステージの中心に置かれた椅子に腰掛け、マクゴナガルに帽子をかぶせられた。
「ハッフルパフ!」
組み分け帽子が叫ぶと、ハッフルパフの寮生が立ち上がり拍手が湧いた。そのままマクゴナゴガルに優しく背中を押され、空けてあるハッフルパフの長机に向かい座った。
新入生達が組み分けの儀式のシステムを理解すると、マクゴナガルが次の人の名前を呼んだ。
そのまま組分けが進みハーマイオニーの番になる。彼女は次が自分だと緊張している様子だったが、ハウルは声をかけなかった。
「グレンジャー・ハーマイオニー!」
彼女が呼ばれると小走りする様にステージにあがり、椅子に座ると帽子をかぶらされた
「グリフィンドール!」
ほんの少し時間が経ち、帽子が叫んだ。その声にハーマイオニーは希望通りだったため嬉しそうな顔をしながらグリフィンドールの机に向かった。
「グレンスト・ハウル!」
マクゴナガルが少し浮ついた表情を浮かべつつも淡々とハウルの名が呼んだ。
その一言にホールに居合わせた大半の生徒達が騒めき始めた。あのガリム・グレンストの息子であると皆が理解したからである。
「ねぇ、グレンストってあの?」
「イギリス最高の闇祓いのガリムの子供だ。パパが言ってた。」
「確かガリムの奥さんはレイブンクローの末裔だ。レイブンクローが貰う。」
「ねぇ、あの子カッコ良くない?」
そのような会話が全ての寮でなされるが、ハウルは全く気にせず無表情でステージへ歩いて行った。
だがその容姿を皆が完全に確認すると絶句した。底知れぬ美しさと計り知れぬ高貴さを目の当たりにしたからである。教師陣は稀に見る圧力を感じ魔力の高さを理解し、四つの寮監の教師はぜひ己の寮へ迎え入れたいと感じた。
だがその真ん中に座する好々爺を装う老獪な校長、アルバス・ダンブルドアのみが彼から底知れぬ『何か』を感じた。
かつての教え子である“トム・マーヴォロ・リドル”と似ていながらも異なる『何か』を...
ハウルがステージに上がる頃には完全にその場は静まり返り、ただ彼を入れる寮の発表を待ち遠しそうに待った。
やがてハウルは後ろを振り返り、椅子へ座ると足を組み、肘を立てて顎を支えた。
その様子に誰しもが彼にカリスマ性と似通ったモノを感じた。そしてダンブルドアがこの世における誰よりも早く、彼のカリスマ性の本質を理解した。
『人を惹きつける才能』である。
事実、ハウルはこの事を意識せず自然とやっている。それなのに生徒達だけでなく教師までも彼の組み分けを待ちわびている。容姿などの賜物ではない、彼特有のオーラと魔力がそうさせているのだとダンブルドアは結論づけ、その考えは正しかった。
そしてそう遠くない未来に彼自身もその事を理解し、己の野望の為に最大限にそれを利用する事となる。そしてその才能と実力を駆使し、『何か』を為す事となる。
マクゴナガルが息を呑み、ハウルに組み分け帽子をゆっくりと被せると同時に目を瞑ると頭の中に声が聞こえてきた。
ハウルは即座にこれが“開心術”とテレパシーを応用した魔法をかけてあると理解した。
(ふむふむ、あのマリア・レイブンクローの息子か?血筋だけレイブンクローだが、父親の血筋の影響を深く受けておる。
勇気もあるが、自分では敵わないと理解すると素直に退く...。
賢いが勉強の意欲は無い。持つ前に全てを理解してしまうか...。
優しいが人に自分の本心を決して曝け出す事はない...。
目的のために手段も問わないが狡猾になる前に全てを完遂してしまうが完璧主義者...。)
組み分け帽子はハウルの性格を見透かし、分析するがどの寮も当てはまりつつも的外れな結果な事に微妙な反応をした。
(ふ~む難しい。ここまで難しいのは生徒は数えるほどしかおらん。ふむふむ、自分を高めたいという意欲は誰よりも強い。そのための努力はするし、危険も顧みないが、人を深く傷つけてまでは望まない。同族意識は弱く、人の意見に流されない考え方。どうしたものか?)
比較的スリザリンに近いと判断した組み分け帽子は更なる分析を開始したが、それも違うと判断した。
(君はどの寮に行きたい?)
(結論、俺はどこの寮でも適性があるのか?)
(あぁ。選んでくれたら、助かる。)
組み分け帽子は数分考え込むが、迷いかねてハウル自身に希望を聞いた。もはや彼自身では確かな判断が下せなかった様だ。
ハウルはゆっくりと目を開き、組み分け帽子へ頭の中で語った。
(俺は己の器を確かめたい。俺の力と知識がこの世界を変えられるに至るかどうかの...。 )
(そうか...ならば偉大な魔法使いになるための最善の環境が最善だ。その寮は...)
「スリザリンッ!!!!」