東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

書き終わったあああああぁぁぁ!!
合計文字数1万超え!
今までで1番長いです!

クリスマス終了まで後わずかですね......

初めの時系列としては紅霧異変後、春雪異変前となっていますが、サブタイトル通り過去話が出てきます。
こちらは前回のハロウィンと違い、本編と同じ世界です

それではクリスマス番外編!
今回はside変更が多々ありますのでそのへんが大丈夫な方はゆっくりしていってね!


過去話 番外編1『フラン様とクリスマス』

[紅魔館 門前]

 

 

 12月の曇り空なある日、紅魔館の門の前には普段からいる門番の他に、白黒の魔法使い、魔理沙がいた

 魔理沙は誰かを待っているようで、その暇つぶしにと門番と話していた

 

美「それにしても、最近妹様の機嫌が少し悪かったので、昨日魔理沙さんが妹様を誘ってくれたのは私達としてもありがたかったです」

 

魔「ん?フランの機嫌が悪いって何かあったのか?」

 

美「ほら、あれですよ。榛奈ちゃんが―――」

 

魔「あ~、なるほど。それで最近、フランが変だったんだな」

 

美「はい。榛奈ちゃんも愛されましたね~。お嬢様がヤキモチ焼いてましたよ」

 

魔「あのレミリアがか?ってアイツも姉だからな。それもそうか」

 

美「えぇ。お二人共、仲がいいですからね」

 

魔「...そうだな」

 

美「おや?魔理沙さんもヤキモチですか?」

 

魔「モチは焼いてないぜ」

 

 そこへ、誰かが門を開き出てきた

 

フ「お待たせ、魔理沙」

 

 魔理沙が待っていたのはフランだった

 

魔「お、来たか」

 

美「あらら、この話はまた今度ですね」

 

魔「また今度じゃないぜ......」

 

フ「2人で何の話をしていたの?」

 

魔「なんでもないのぜ」

 

フ「?」

 

 すると2人は、美鈴が微笑ましい表情で見ていることに気がついた

 

フ「どうしたの?美鈴。そんな微笑ましそうな顔して」

 

美「おや、顔に出てましたか?」

 

魔「あぁ。なんというか孫を見るおばあちゃんの目だったぜ」

 

美「そんなにですか」

 

 すると美鈴は頷きながらフランの方を見て、いや、フランの首元と手を見てこう言った

 

美「そのマフラーと手袋。本当に気に入られたんだなと思いまして」

 

 そう、フランは紅色で端に白色の模様がついたマフラーと、同じような手袋をしていた

 それを見た魔理沙はフランに質問した

 

魔「ん?フランのそれらって何かあるのか?」

 

フ「まぁ、ね...... 私にとってこの2つは宝物なんだよ」

 

 フランはそう言いながら愛おしそうにマフラーと手袋を見た

 

魔「へぇ。綺麗に出来てるな。誰かからのプレゼントだったりするのか?」

 

フ「うん」

 

魔「ふむ、それってレミリアはー、裁縫出来なさそうだな。じゃあ咲夜か?咲夜ならそれくらい作れそうだぜ」

 

美「えぇ。お嬢様はともかく、咲夜さんならそれくらい作れますよ」

 

フ「これらを作った本人は咲夜に教えてもらったって言ってたからね」

 

魔「ん?じゃあ咲夜は違うのか。ってえ!?咲夜以外のやつが作ったのか!?」

 

 そのマフラーと手袋は素人目でもハッキリと分かるくらい丁寧に編み込まれていた

 職人以外が作ったというのなら、これらを編んだ人物は相当な腕前ということが分かる

 だからこそ、魔理沙は驚いたのだった

 

フ「うん。去年のクリスマスプレゼントにね」

 

魔「ん?くりすます?くりすますってあれか?外の世界で冬にやるイベントか?」

 

美「はい。12月25日にやる、西洋の方から発祥したイベントですよ」

 

 魔理沙はクリスマスを知らないようなので美鈴は説明した

 ちなみに本来ならキリスト教が信仰しているイエス・キリストの誕生を祝う日なのだが、現代ではパーティーやってケーキ食ってプレゼントを貰う日はいいとして、イチャつく日になっているのはどうなのか......

 

 

 

~少女説明中~

 

 

 

魔「つまり、24日のクリスマス イブと25日のクリスマス、2日間行われて、主に宴会をする日だが、メインは深夜に勝手に家の中に入ってくる白髭で紅白の服を着た「サンタクロース」という爺が勝手にプレゼントを置いていく行事ってことなのか?」

 

美「え、えぇまぁ。そう聞くとサンタさんが凄く怪しく見えてきましたけど......」

 

 合ってはいるんだが......

 そう聞くとサンタクロースは警察に捕まってもいいんじゃないのか......

 幻想郷には警察はいないが

 

魔「じゃあ、それらはサンタクロースがくれたのか?」

 

フ「ううん。違うよ」

 

 魔理沙はサンタがくれたのかと思い、言ったが、フランは首を横に振りながら違うと言った

 

魔「じゃあ誰なんだ?そのマフラーと手袋をあげたやつ」

 

 するとフランは不思議と少しだけ顔を赤らめながら言った

 

フ「...榛奈だよ」

 

魔「え!?それ榛奈が作ったのか!?」

 

 驚くのも無理ない、のかもしれない

 魔理沙にとって榛奈という人物は妹だからだ

 

魔「あ~、なんとなく分かったぜ。それらが何故フランにとって宝物なのか」

 

美「分かりますよね」

 

 それは何故なのか。魔理沙と美鈴には、いや、ここ数ヶ月のフランを見ていれば大抵の人は分かるのだろう

 だが、その話は別で

 

魔「にしても榛奈のやつ、よくこんなの作れたな。凄い出来だぜ」

 

フ「本人曰く、マフラーは毛糸で作る防寒具の中で1番簡単な編み物だから、丁寧にやれば大抵の人は同じように出来るって。手袋は少し難しくなるみたいだけど」

 

魔「この出来は簡単にはできないと思うぜ」

 

フ「まぁ榛奈だから」

 

美「榛奈ちゃんですからね」

 

魔「ははっ...... 我ながら妹が怖いぜ......」

 

 

 

美「にしてもあの頃の榛奈ちゃんは忙しそうでしたね」

 

フ「うん。私の勘違いでパーティーやったりして」

 

魔「いやいや、何があったんだぜ?」

 

フ「それはね―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

《一年前》

榛奈side

 

[大図書館]

 

 

 季節は秋から冬になり始めた11月

 その日の朝は、朝食を作って食べて図書館で読む本を選ぶまでは普段通りだった

 その本を手に取るまでは

 

榛「クリスマス特集?」

 

 どうやらそれは、外の世界から流れてきた女性向けの雑誌のようで、クリスマスのことについて書かれていた

 少しだけ気になった私はその雑誌を手に取り、近くにあった椅子に腰掛け、読んでみることにした

 

 

 

~少女読書中~

 

 

 

 内容としてはクリスマスのデートについてだったり、ケーキについてだったり。外の世界を知っている人でないと意味の分からない内容で、少しだけ懐かしく感じた

 但し、記憶に残っている時代より少し古いようだが

 

榛「そういえば来月はクリスマスなんだよな......」

 

 クリスマス......

 紅魔館の皆はクリスマスパーティーとかするのかな。咲夜がケーキや料理を作ったり、誰かが何か芸をやったり、プレゼントを交換したり......

 でもレミリア様は吸血鬼だからキリストの祭りなんてやらないって言うのかな。いや、案外そんなの気にしないでやったりしてそうだな

 今度咲夜さんか美鈴、コア辺りに訊いてみようかな。レミリア様の親友である師匠でもいいのか?

 レミリア様本人に訊いてその話を出すなー的な感じで変なことになったら嫌だしな

 フラン様は...... あれ?2人は姉妹なはずなのに妹の方が訊きやすいぞ?

 あ、でも今年まで地下に閉じ込もってたから知らないのかもしれない

 うん。やっぱどっちも訊きずらいや

 とりあえず今度、師匠や紅魔の従者辺りに訊いてみるか

 

 そして、本をめくっていると、一つの特集が私の目についた

 それは手作りのクリスマスプレゼント特集

 本には手作りのキーホルダーや毛糸で作られた物などが載っていた

 

榛「プレゼントか......」

 

 そういえばフラン様と出会ってから1度も、何かプレゼントしたことなかったな

 出会ってまだ半年だけど

 これを期にプレゼントしてみようかな

 でも、プレゼントって何をあげればいいんだ?

 やっぱりクリスマスにあげるからクリスマス風の物で、できれば食べ物とかじゃない残る物が良くて、私が作れて、フラン様が気に入ってくれる物

 日傘か?

 いやフラン様外には出られないし。それに作れないし

 なら新しいぬいぐるみ?

 作ることは出来そうだけど...... でもそれは能力を使いこなしてからあげたいし

 この雑誌の中にヒントとか載ってないかな

 

 私はそう考えながら本を見ていると、マフラーについて載っているページにマフラーの作り方が次のページに載っていると書いてあった

 なんとなく気になった私はそのページをめくると、マフラーの作り方が書かれていた

 

榛「マフラーか...... アリかもしれない......!」

 

 マフラーならクリスマス風に出来て、壊れない限り残る物で、作り方はここに載っていて、もしくは咲夜さんに訊けば大丈夫で、柄によってはフラン様が気に入ってくださる物!

 

榛「あ、でも......」

 

 マフラーは外に出かける時にする物

 外に出れないのに渡していいのか?

 だからといって、他に思いつく物って手袋で、同じような物だし......

 この際、マフラーと手袋をまとめて作ってやろうか

 ん?結構ありか?

 うん。ありだな

 

榛「よし決めた!」

 

 どっちも作ってフラン様にプレゼントしよう!

 フラン様は外には出られないけど、でもそれは今だけ。能力さえ使いこなせるようになったら行けるんだから!

 フラン様が外に行けるようになったら、冬なら妖精達も誘って一緒に雪遊びをして、それでその時マフラーと手袋、どっちも必要だろうから!

 

榛「よーし!頑張る!」

 

 私がそう意気込んでいると......

 

小「どうかしたんですか?榛奈さん」

 

榛「ぅえ!?コア!?」

 

 え?見られてた?見られてたのか!?

 

榛「えっと...... いつから......?」

 

小「大体 「よし!決めた!」の辺りですね」

 

榛「~~~っ///」

 

 見られてた~~!!

 1人で意気込んでて、ある意味見られたくなかったところを見られた!!

 この恥ずかしさを例えるなら部屋で1人で歌を熱唱していたら何も知らない親に聴かれたくらいだよ!人によっては大丈夫かもだけど!

 

榛「ぅぅ...... 穴があったら入りたい......」

 

小「えっと...... だ、大丈夫ですよ?誰にも言いませんから」

 

 私は恥ずかしさから若干涙目にしながらコアを見て言った

 

榛「......ほんと?」

 

小「ふぇ!?え、ええ。本当です」

 

榛「......ならいい。私、これから寄るとこあるから。行ってくる」

 

小「は、はい。分かりました」

 

 恥ずかしさで早くコアの前から去りたかった私はそう言い、逃げるように小走りで図書館を出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小(まさか榛奈さんにあんな可愛い表情が出来るとは...... たまに涙目にさせるのもありですかね」

 

パ「そんなことしたら、妹様が怒るわよ」

 

小「ぅえ!?パチュリー様!?いつから聴いていらして!?」

 

パ「「たまに涙目に~」の辺りからよ。まったく...... 仕事サボってるんじゃないわよ」

 

小「すいません......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

[紅魔館 廊下]

 

 

榛「さて、気持ちを切り替えて、裁縫、というより主婦スキルを習うなら咲夜さんが1番だな」

 

 掃除洗濯料理おもてなし、メイドに必要な基礎はいつも教えてもらってるからな

 レミリア様達の服が破けたりしたら咲夜さんが直してるみたいだし。紅魔館の何処かが壊れた時も、咲夜さんを中心に直してたようだし

 

榛「咲夜さん、万能だなぁ」

 

 なんというか。人に対する評価じゃないかもだけど、そう思ってしまうんだよな

 一家に1人は欲しい!

 但し、忠誠心はレミリア様とフラン様にしかありません

 なんてね

 

榛「それで、肝心の咲夜さんはどこにいるn咲「呼んだかしら」だああぁぁ!?」

 

 私が独り言を話していると、突然咲夜さんが現れた

 何を言ってるのか分からないと思うけど、文字通り突然現れたんだ!

 見えない所にいたわけじゃない!

 見間違えのない真正面に現れたんだ!

 まぁ咲夜さんの能力だと思うけど…...

 

咲「何変な声出してるのよ」

 

榛「咲夜さんがいきなり現れるからです!」

 

 まさか出てくるなんて思わなかったよ......

 そういえば前に咲夜さんから、メイド長になるとレミリア様やパチュリー様が呼んだ時、聞こえない場所でも聞こえるって...... それか!?

 

咲「榛奈に呼ばれた気がしたのよ。それで、何か用があるのかしら?」

 

 やっぱりそれかーー!!

 まぁ、それは1度置いといて、要件を言おう

 

榛「咲夜さん!私にマフラーと手袋の編み方を教えてください!!」

 

 そのついでの必殺土下座!......はしないけど。腰を90度に曲げてお願いする

 

咲「......いきなりどうしたのよ。欲しいなら作るわよ?」

 

榛「いえ、そうではなくて―――」

 

 私はどうして編み方を教えて欲しいのかを咲夜さんに説明した

 というか言ったら作ってくれるのか。ありがてぇ

 

 

 

~少女説明中~

 

 

 

咲「なるほど、妹様へのプレゼントということで教えて欲しいのね」

 

榛「はい。そういうことです」

 

 すると咲夜さんは少し悩みながら言った

 

咲「さすがに私もメイドの仕事があるから昼間は無理で、お嬢様がお眠りになられた後なら大丈夫だけど、それでもいいかしら」

 

榛「はい!教えてもらう立場なんですから文句無いです!むしろ睡眠時間を取らせてしまってすみません」

 

咲「謝らないでちょうだい。睡眠時間なんて、私の能力でどうとでもなるのだから」

 

榛「じゃあ、ありがとうございます!!」

 

咲「ふふっ。それで、榛奈は何色のマフラーを作りたいの?」

 

榛「えっと......」

 

 色か......

 特に決めてなかったんだよな......

 クリスマスっぽくてフラン様に似合う色......

 

榛「紅と白......」

 

 紅はスカーレットの名から

 白はフラン様の純粋な心から

 そしてこの2つの色はクリスマスの色......!

 

榛「紅色と白色でお願いします!」

 

咲「2色...... 少し難しくなるわよ?模様を付けるなら尚更」

 

榛「それでもです!それに難しい方が出来た時の達成感や、喜んでもらえた時の嬉しさが倍増するじゃないですか!」

 

 そう言うと、咲夜さんは少し微笑みながら言った

 

咲「そう。榛奈がそう言うなら2色の編み方を教えるわ。それじゃ、今日は毛糸を用意するから。明日から始めましょうか」

 

榛「はい!よろしくお願いします!」

 

咲「えぇ。よろしくされたわ」

 

 そう言って咲夜さんは笑顔で去っていった

 

榛「......」

 

 咲夜さんの笑顔...... 惚れたぜ☆

 

榛「...なんてね」

 

 さぁ!プレゼント作りは明日から!

 それまで私もお仕事だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから私は昼間は図書館で本を読んだり、フラン様の相手をしたり、メイド達の仕事を手伝ったりした

 そして次の日―――

 

咲「それじゃあ、さっそく始めましょうか」

 

榛「はい!よろしくお願いします、咲夜さん」

 

咲「えぇ。じゃあまずは毛糸を―――」

 

榛「ふむふむ......」

 

 

 そうして、マフラーと手袋は着実に出来上がっていったのだった

 

 

 

 

 

______________________

フランside

 

[大図書館]

 

 

 最近、榛奈の様子が変だ

 昼間ボーッとすることがあったり、なんか1人でいるときはニヤついてたり

 一緒に寝よって言ったら今までは大丈夫だったのに最近はダメって......

 不思議になった私は何かあったのか直接訊いてみたんだけど

 

榛「なんでもありませんよ♪」

 

 と、音符が付くような感じで言って......

 

フ「なんでもないわけないよ!絶対何かあるんだよ!だって何も無いのにニヤつくわけないでしょ!ボーッとしてるのも変だし!てことで何か知らない?!」

 

パ「...なんで私を頼るのかしら......」

 

 気になった私はパチェのところに訊きに来ていた

 

フ「そりゃ榛奈の師匠だから」

 

パ「それなら貴女はその榛奈の主なはずだけど」

 

 確かに私は榛奈の主だけど......

 知ってたら訊きに来てないよ!

 

フ「ぅぅ...... とにかく!何か知らない?」

 

 するとパチェは考える仕草をして言った

 

パ「そういえばこの前、榛奈と小悪魔が何か話してたわね」

 

フ「何かって?」

 

パ「さぁ?本人に直接訊いてみましょ。小悪魔ー!」

 

小「はーい!お呼びですか?」

 

 パチェがこあを呼ぶとこあは急いで飛んできた

 

パ「この前、榛奈と何か話してたわよね。何の話をしていたのかしら」

 

小「この前ですか?えっと...... 一応言わない約束なんですが......」

 

フ「なら何か榛奈に変なところはなかった?」

 

小「確か...... 外の世界から流れてきた本を読んでいましたね」

 

 もしかしてその本が原因?

 

フ「ねぇ!その本って?!」

 

小「え、えっと...... 今持ってきますね」

 

 そう言いこあは本棚の奥に行き、1冊の薄い本を持ってきた

 

小「確かこれだったはずです」

 

フ「これ何?」

 

 それは写真や文字がいっぱい書いてある本だった

 

パ「それは外の世界の雑誌ね」

 

フ「雑誌?」

 

パ「娯楽系の情報を伝える本よ」

 

フ「へぇ」

 

 表紙にはその雑誌の名前なのか上の方に大きく書いてある文字があって、次に大きい文は「クリスマス特集」と書いてあった

 

フ「クリスマスって?」

 

パ「キリストの祭りよ。まぁ今じゃただパーティーやってるだけだけどね」

 

フ「へぇ」

 

 ページを捲ってみるとパーティーに使うのか彩られた料理やケーキの写真が載っていた

 

フ「もしかして、榛奈はパーティーをやりたかったのかな。うん!お姉様にパーティーやらないか相談してくる!」

 

 そう言い私は急いで図書館を出た

 

 

 

 

小「行っちゃいましたね」

 

パ「そうね」

 

小「......おや?次のページって......」

 

パ「クリスマスプレゼントの情報ね」

 

小「あ、もしかして榛奈さんは......」

 

パ「多分、こっちが本命なんでしょうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

《12月24日》

 

榛奈side

 

[紅魔館 大広間]

 

レ「さぁ!今宵はクリスマス イブ!キリストが生まれた日とかなんとかみたいだけどそんなの気にしないで2日間騒ぎなさい!皆グラスは持ったわね!それでは乾杯!」

 

 「「「「「「乾杯!」」」」」」

 

 レミリア様の挨拶から始まったクリスマスパーティー

 なんでもイブの夜とクリスマスの夜、2日間やるそうで、料理担当のメイド達は忙しそうだ

 え?私はって?

 フラン様と一緒に料理を食べて楽しく喋っていますよ

 ちなみに咲夜さんもレミリア様のお傍にいます

 時折時を止めてキッチンの方に行ってるみたいですけどね

 

フ「榛奈!これ美味しいね!」

 

榛「はい。そうですね......っとフラン様、そのままじっとしていてください」

 

フ「?」

 

 私はフラン様の口元に付いていた汚れを常備しているハンカチで拭いた

 ......別に指で拭いてそれを食べるっていうお茶目もありだとは思ったんだよ?

 たださすがに従者としてダメかなって思って

 

フ「ん...... ありがと、榛奈」

 

榛「当然のことです」

 

 あ、ちなみにフラン様へのプレゼントは既に完成、包装もして四次元エプロンの中に入ってます

 

美「榛奈ちゃん、妹様。お2人とも楽しんでますか?」

 

 そこへ、酒気を帯びた、といっても酔ってなさそうな美鈴が来た

 

榛「美鈴、そろそろちゃん付けやめてください」

 

 だからといって、さん付けも嫌だけど

 

美「まだまだ私にとって榛奈ちゃんは子供ですから。しょうがないしょうがない」

 

榛「私だってもう13歳なのに......」

 

 そりゃ長いこと生きる妖怪にとってまだまだ赤ん坊当然かもしれないけど......

 それでも中1と同じ年齢だよ!

 咲夜さんと5歳離れてるかないかくらいだよ!

 

美「それより榛奈ちゃんは食べないんですか?」

 

榛「いや食べてますよ」

 

 私のお皿にはそれなりに料理が盛ってあるし、食べてもいる

 なのになんでそんなこと訊くんだろう

 

美「いえいえ、もっと食べなきゃダメですよ。育ち盛りなんですから。ほら」

 

 そう言いながら美鈴は私のお皿に料理を盛っていった

 

榛「いやいやいや、自分で取れますから......!」

 

美「遠慮しないで、ほれほれ♪」

 

 そう言う美鈴の顔はよく見ると赤くなっていて

 

榛「え?もしかして酔ってる!?」

 

美「妹様も持って来てくださ~い」

 

フ「うん!いっぱい持ってくるね!」

 

榛「いやいや持ってこなくていいですから!ちょっ!待ってください~!」

 

美「ほらほら~......ギャっ!?」

 

 そうやっているといきなり美鈴の頭にナイフが刺さった

 

咲「騒ぐのはいいですが、困らせるのは駄目ですよ」

 

美「いてて......」

 

フ「はーい」

 

榛「た、助かりました......」

 

咲「まったく......」

 

 すると咲夜さんが近付いてきて小声で言った

 

咲「(あれ、大丈夫なの?)」

 

 一応耳の良い妖怪対策なのだろう

 聞こえてもよく分からない言葉で咲夜は訊いてきた

 

榛「(大丈夫です。問題ありません)」

 

咲「(ならいいわ)」

 

 咲夜さんはそう言うとレミリア様の傍に戻った

 

フ「どうかしたの?」

 

榛「いえ、なんでもありません」

 

 なんか少しだけ緊張してきたな

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後もパーティーは盛り上がったが、2日間あるということで今日は早く終わった

 私はフラン様の寝る準備をして、フラン様とおやすみの挨拶をした後、部屋に戻った

 

 

[榛奈の自室]

 

 

 あの後、紅魔館が寝静まるまで時間潰しに本を読んでいた

 

榛「さて、静かになってきたし、着替えるか」

 

 私はクローゼットの中から紅白で暖かそうな服を取り出した

 全体的には赤色で、白いフワフワしたのが付いていて、下は普段履かないようなミニスカート。先端に白色ボンボンが付いたニット帽もかぶった

 ついでに白い袋にプレゼントを入れて持った

 

 えぇ。サンタガールです

 暖かいですよ?

 

榛「これ、いつの間に調達したんだろうな......」

 

 いつの間にか咲夜さんが持ってきてたんだよな

 それで今回の計画を思いついて......

 

榛「さて、ソリもトナカイもいないけどプレゼントはあるし、行くか」

 

 いざ!フラン様のお部屋へ!

 

 

[紅魔館 地下室]

 

 

 はい、地下室にやってきましたよ

 ちなみにフラン様はまだ能力の制御が曖昧なので地下室が自室です

 能力を使いこなしたら上のレミリア様の隣の部屋になるらしいです

 

榛「(寝てるよな?)」

 

 私は寝てるのか確認する為に扉の奥の方に耳をすました

 

榛「......」

 

 ごめん。わかんないや

 地下室の扉は他の扉と違って厚いからな

 しょうがない。入って確認するか......

 音をたてないように、慎重に―――

 

フ「...榛奈......?」

 

榛「ぅにゃ......!?フラン様!?起きていらしたんですか?」

 

 なんともまぁ、起きてました。といってもフラン様はベットに横になってたけど

 

フ「うん。眠れなくてね」

 

榛「そ、そうでしたか」

 

 しょうがない。出直すしかないのかな......

 

フ「それで、榛奈はどうして来たの?」

 

榛「ぅえ!?えっと...... それは......」

 

フ「それにその格好......」

 

榛「えっと...... それは......」

 そうだったよ忘れてた!

 私今サンタガールの格好だよ!

 明らかにサンタさんですって格好だよ!

 

フ「その服、似合ってるね」

 

榛「え...?あ、ありがとうございます///」

 

 褒められると照れるな......///

 

フ「それで、どうして?」

 

榛「それは......」

 

 こうなったら腹をくくるしかない......!!

 

 私は担いでいた袋の中からリボンで飾られた箱を取り出した

 

榛「これをどうぞ」

 

フ「え?これって?」

 

榛「あ、開けてみてください」

 

 フラン様が丁寧にリボンを解き、蓋を開けると......

 

フ「ぅわぁ!これって!」

 

榛「メリークリスマス、フラン様。私からささやかですが、マフラーと手袋のクリスマスプレゼントです」

 

フ「凄い!可愛い!」

 

 フラン様はすぐに取り出して手袋をして、マフラーを首に巻いた

 

フ「暖かい......」

 

 その暖かいだからかフラン様は笑顔になってくださった

 その笑顔が、直接染み込むようで、心がふんわりと暖かくなった

 

 

 

 

 

 

フ「それで、どうしていきなりプレゼントを?しかも夜中に」

 

榛「クリスマスの日にプレゼントといえばサンタですよ」

 

フ「......サンタって?」

 

榛「あ、そこからでしたか。そうですね...... サンタというのはサンタクロースのことで、今私が着ているような、いやこれはアレンジされてますが、似たような配色の服を着た人で、トナカイが引くソリに乗っていて、クリスマス イブの夜中に子供たちにソリに乗ったプレゼントを配る人のことです」

 

フ「なんで夜中に?」

 

榛「サンタクロースは人に見つかったら駄目なんですよ。ですから人が寝静まった夜に配るんです」

 

フ「そうなんだ...... それじゃあ榛奈はサンタさんなの?」

 

榛「そうですね...... フラン様に見つかってしまいましたのでサンタはもう終わりですね」

 

フ「え!?いなくなっちゃうの!?」

 

榛「いえいえ、いなくなるわけじゃないですよ。それに私がプレゼントを渡す相手にはもう渡しましたから。また来年、やるかもしれませんね」

 

フ「なら榛奈。お願いごと、いい?」

 

 フラン様は上目遣い気味に言った

 

榛「はい。私に出来ることなら」

 

 そう言うと、フラン様はベッドに横になって

 

フ「私が寝るまでそばにいて。今日はなんだか眠れなくて......」

 

榛「...わかりました。フラン様がそう望むなら」

 

 私はそう言い、フラン様が横になっているベッドに腰掛けた

 

フ「......撫でて?」

 

榛「はい......」

 

 私はフラン様の頭を撫でた

 私にとって、とてつもなく嬉しく、愛おしい時間

 東方キャラとか推しキャラとか関係なく、愛おしいと思う人

 ......これが、“家族愛”なんだろうな......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、フラン様は寝息をたてながら眠った

 それを見届けた私は、惜しみながらもフラン様を撫でていた手を止め、離した

 そして起こさないよう、ベッドから立ち上がり、部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

《現在》

 

[紅魔館 門前]

 

 

魔「へぇ。そんなことがあったんだな」

 

フ「うん。パーティー楽しかったよ!」

 

美「あの時は...... あはは。少し調子に乗り過ぎましたね」

 

魔「羨ましいぜ」

 

フ「今年もやるみたいだから来る?」

 

魔「もちろん行くぜ!」

 

フ「それじゃ、榛奈がいない間、榛奈が羨ましがるくらいいっぱい楽しもう!今日のお出かけやクリスマスパーティーも!」

 

魔「おう!楽しみだぜ!」

 

フ「じゃ、美鈴。行ってきます」

 

美「はい。行ってらっしゃいませ」

 

 

 フランはそう言うと、魔理沙と共に空へ飛んでいったのだった




後書き~

今回の話、いかがだったでしょうか
クリスマスの夜にふさわしい物語になっていることを願います

後日談も書いていますので、そちらもどうぞ

それでは次回もゆっくりしていってね

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