東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

今年最後の投稿です

今回、霊夢が我が儘っぽく見えてしまいそうですが、我が儘ではないんですよ?

今回はside変更はないです

それでは今回もゆっくりしていってね!


第13話『魔力尽きれば倒れもする』

榛奈side

 

[廊下]

 

 

フ「うん、その方がいいね」

 

 魔理沙姉の提案に私とフラン様は賛成した

 確かに一緒に行けば咲夜さんがレミリア様のところに行くということを達成出来るし、私達も咲夜さんの近くにいることで無茶しないか見ることが出来る

 それに、どうせ道が同じなら一緒に行ったほうがいいだろうから

 

咲「しかし......」

 

 それでも咲夜さんは1人で行こうとする

 そんな咲夜さんに私はだんだんと苛立ってきていたわけで......

 

榛「あ~もう!しかしも何も無いです!はい!私の後ろに乗る!魔理沙姉!咲夜さんを抱えて乗せて!フラン様も手伝ってください!」

 

魔「あ、あぁ... 分かったんだぜ......」

フ「う、うん...分かった......」

 

 私は箒に跨り、後ろに人1人乗せれるぐらいのスペースを空け、乗りやすいよう高さを低くした

 その間に魔理沙姉とフラン様は咲夜さんを抱え、というより立つのを支え、私の後ろに乗せた

 その瞬間、背中と箒に確かな重みがかかり、咲夜さんが倒れてきたということ、それほど疲れているということが分かった

 そして、そんなに疲れているのに1人で行こうとしていた咲夜さんにまた少しイラついたが、背中に咲夜さんの温もりが伝わり、気持ちが落ち着いてきた

 ついでに何とは言わないが、柔らかい感触が伝わってきて、少しだけ心臓が跳ねたのは秘密だ

 

榛「あ、飛行中に落ちたら駄目なので腰に手をまわしてくださいね」

 

咲「...えぇ」

 

 咲夜さんはそういうと腰に手をまわした

 なんというか、ふとこの時頭に浮かんだ文がある

 

『咲夜さんが 仲間に 加わった!』

 

 いや元々仲間だけどね?

 

フ「それじゃあ、早く行こうか!」

 

榛「はい!」

 

魔「いざ!異変の犯人の元へだぜ!」

 

榛「いやそれ私達も含まれるんだけどね?」

 

 

 

 

 

~少女達移動中~

 

 

 

 

 

榛「あ、見えてきた」

 

 咲夜さんが旅の......ではなく道中の仲間に加わり、暫く飛んでいると、図書館とは違う大きな扉が見えてきた

 これが大広間へ繋がる扉だ

 近づいてみると、中から誰かの話し声が聞こえる

 おそらく、片方はレミリア様、もう片方は霊夢だろう

 もう既に戦い終わってそうだな。ここまで結構長かったし

 

魔「ん?ここか?」

 

フ「うん。そうだよ」

 

咲「......中に誰かいるようね。おそらく片方はお嬢様で、もう片方はあの巫女ね」

 

魔「そうか...... よし、入るか」

 

 そういい、魔理沙姉は箒から降りて、扉に手をかけると......

 

バタンっ!

魔「霧雨 魔理沙!参上だぜ!」

 

榛「ちょっ!?そんな勢いよくドア開けたら壊れ......ないか」

 

咲「そこまで壊れやすくないわよ」

 

フ「稀に吸血鬼の力を耐えきれるくらいの丈夫さだもんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 まさか勢いよく開けるとは思わなかった

 いや、“魔理沙”の元々の性格を考えれば予想つくだろうけど

 ついでに壊れないか心配したが、流石紅魔館の扉

 フラン様が言うに吸血鬼の力に耐えきれるってどれだけだよ、丈夫すぎるよ。素材何?

 

レ「あら、フランに榛奈に咲夜。3人とも来たのね」

 

霊「魔理沙、そっちはもう見終わったの?」

 

 そして中には咲夜さんが予想したとおり、レミリア様と紅白で袖が肩から離れていることが特徴的な服を着た巫女『博麗 霊夢』がいた

 

魔「あぁ、既に終わらせたぜ。反対側は宝の山だったぜ」

 

榛「......」

 

 なんというか......

 魔理沙姉は宝って言うが“魔理沙”みたいに「死ぬまで借りてくぜ☆」なんて言って盗んでいかないことを願おう

 もし盗みそうだったら止め......れるか?

 うん。自信ないから盗まないことを祈ろう

 後霊夢?そんなに目を輝かせないで。宝の山といっても君にとってはただの紙束だよ?

 知識が欲しいなら十分宝の山だけど......

 

霊「そう。......後で貰っていくわね」

 

榛「貰っていくな!」

 

 考えてたことが的中してしまい、思わず声が出てしまったし、でかくなってしまった

 幸い、周りはそこまで気にしてないみたいでよかった

 ...後ろに乗っていた1人を除いて

 

咲「......榛奈も怒鳴る事があるのね」

 

 咲夜さんが何か言ってるが、あえて反応しない

 ......一応言っておくけど、怒鳴るというより突っ込んでるだけのつもりだけどね

 

 そして、箒に乗っているものは降りて、飛んでいるものは床に足をついた

 

レ「それで咲夜、何故貴女は榛奈の後ろに乗ってるのか、説明してもらえるかしら」

 

咲「......はい」

 

 あ、若干落ち込んでる

 まぁレミリア様の命令をこなすことが出来なかったからね......

 レミリア様は気にしないと思うけど

 

 

 

~Pッ...メイド長説明中~

 

 

 

 咲夜さんは自分が霊夢と戦い、負けたこと。気がつくと私達がいたこと。無理してレミリア様のところへ向かおうとする自分を止め、箒の後ろに乗せ、ここまで連れてきてもらったことを説明した

 

レ「なるほどね。......咲夜がそんな風になるほどってどれだけやったのよ」

 

霊「別に普通よ。ただ、容赦しなかっただけ」

 

 いや容赦しなかっただけで咲夜さんが気絶するわけないだろ

 ただ単に貴女の力が強かっただけだよな?

 ......色々突っ込めるぜ......

 

レ「とりあえず咲夜は分かったわ。それで、何故3人はそこの白黒と来たのかしら」

 

榛「それは私から」

 

 私は図書館にいると、いきなり白黒(魔理沙姉)が来たこと。コアが倒され、師匠も喘息で戦えなくなってしまったこと。途中でフラン様が来たこと。師匠の代わりに私が戦い、引き分けになったことなど、咲夜さんに会うまでの出来事を話した

 ただ、私が魔理沙姉の妹だということ。魔理沙姉が発作中の師匠にマスパを撃ったことは言わなかった

 なんとなく、その方がいい気がしたから

 

レ「そう。なら、この異変は紅魔館の敗北なわけね」

 

咲「っお嬢様!私はまだ戦えます!」

 

レ「咲夜」

 

咲「っ......!」

 

 咲夜さんがそういうと、レミリア様から多大な妖力が溢れ出た

 その妖力の前にフラン様や巫女を除いたその場にいた全員が息を飲んだ

 

レ「貴女は1度、この巫女に負けた。榛奈は引き分けだったみたいだけど」

 

榛「いえ、先程は引き分けと言いましたが、あの戦いは私の負けです。この白黒に手加減をしてもらった結果、引き分けでしたから」

 

 そう。負けだ

 魔理沙姉は意識的なのか無意識なのか、手加減をしているのが分かった

 それは弾幕を受ける立場にいたから分かったのか、はたまた姉妹だからなのかは分からないが分かった

 手加減をしている相手に引き分け、それは私にとって負けを意味する

 

魔「おい榛奈......」

 

榛「......」

 

 するとレミリア様から溢れ出ていた妖力が無くなった

 それと同時にレミリア様のため息が聞こえ、私と咲夜さんは思わず身構えた

 

レ「なら私達は()()、この紅白と白黒に負けたってことね」

 

咲「......え?」

 

榛「全員?」

 

フ「ってことはお姉様も?」

 

レ「えぇ。私もこの紅白に負けたわ。本気だったのにね」

 

霊「異変を解決するのが巫女よ。負けるわけないじゃない」

 

魔「私は手加減したつもりはなかったぜ」

 

榛「なら無意識......ってどっちにしても私の負けだから」

 

 何故か諦めない魔理沙姉

 私が負けだと思ってるのだから諦めてほしいよ......

 

霊「それで、あの霧。どうするのよ」

 

レ「だからそう急がなくてもいいじゃない」

 

霊「もし晴れるのが明日だったら報酬が減るかもしれないのよ」

 

フ「なんの話なの?」

 

霊「あの趣味の悪い霧のことよ。早く晴らしてほしいの」

 

魔「ん?霧を出すのを止めれば消えるんじゃないのか?」

 

 魔理沙の疑問も最もだけど

 

榛「残念ながら、既に出ている霧は自然に消えるのを待つしかないよ」

 

霊「だからそれをなんとかして欲しいのよ」

 

 そんな無茶苦茶な

 気長に待ってれば大丈夫なのに......

 あ、いや。原作じゃこの霧って人体に悪影響及ぼしてるんだっけ

 なら早めに晴らしたいって気持ちも分かるな......

 

レ「......パチェのところに行くしかないのかしらね」

 

 確かに師匠ならそれくらい出来そうだな

 

榛「しかし、師匠は今日の戦いで疲れてるでしょうから」

 

フ「なら榛奈はなんとか出来ないの?」

 

榛「......え?」

 

 え?私?

 

レ「そうね。パチェの弟子なんだから何か出来ないかしら」

 

榛「......へ?」

 

 レミリア様まで?

 

フ「榛奈、何かできない?」

 

 フラン様やレミリア様に見つめられ、更に咲夜さんに魔理沙姉に霊夢までこっちを見始めた

 いやあの、こっちを見つめられてもこまるんですが

 

榛「......一応、出来なくはないですけど......」

 

霊「ならなんとかしてちょうだい」

 

 いや霊夢?出来なくはないけどさ。あまり使いたくないんだよ

 何せ結構な大技だから、後で疲れる

 

榛「自然に待ってh霊「いやよ」ですよねー」

 

 やるしかないわけか

 

魔「何か問題があるのか?」

 

榛「いや、まぁ、特には......」

 

霊「ならやりなさい。貴女達がこの異変をやったんだから」

 

榛「あはは...... 分かったよ。でも外に行かなきゃ出来ないよ?」

 

霊「ならさっさと行きましょ」

 

 そういい、霊夢は扉の方に歩き始める

 それにならって私達も外に向かった

 

 

 

 

 

~少女移動中~

 

 

 

 

 

[紅魔館 門番前]

 

 

榛「わーあかーい」

 

魔「いや知ってるだろ」

 

榛「今日はまだ外に出てなかったの」

 

 霧が出始めた頃は図書館で師匠の魔法陣の手伝いをしてたから

 ちなみに壁にめり込んで気絶していた美鈴はそのままです

 

咲「何か手伝えることはないかしら」

 

榛「特にありませんよ。この魔法陣は私か師匠しか書けませんし、それ以外はコマンド(呪文)を言うだけですから」

 

 咲夜さんのお気持、心に染みます......

 

 私は箒の先を地面に当て、箒にインク代わりの魔力を流しながら、筆で描くように魔法陣を描いた

 そして、書き終わるとその真ん中に立ち、諦め気味に言った

 

榛「......本当にやらなきゃ駄目?」

 

霊「他に今すぐやれる方法があるならいいわ」

 

榛「わかってるよ。やるよ。やればいいんだろ。どうなったって知らないからな」

 

 主に私の魔力的なことで

 

 私は目を閉じ、少しずつ魔法陣に魔力を注ぎつつ、頭の中で魔力を魔法へと変換させる

 少しずつ......少しずつ......

 そして、魔力が十分に溜まったところでコマンド(呪文)を口にした

 

 

榛「...数多なる精霊よ......闇を消し去る聖なる力よ...... 我が生み出しし風と共に、魔の霧を晴らせ!『 浄化の風(プリフィケーション ウィンド)』!」

 

 

 コマンド(呪文)を口にした瞬間、風がピタリと止まったと思えば次の瞬間、暴風が吹き始め、瞬く間に霧が晴れていった

 幸いなことに今は日が沈み終わった夜

 フラン様方吸血鬼の弱点である太陽は沈んでいる

 このまま霧を晴らしても大丈夫そうだ

 

 

 

 

 

 しばらくして、風が止み、魔法陣が自動で消えた

 霧を晴らい終えたということだろう

 少しずつ目を開けると普段は霧に包まれている湖は霧が無くなり、月光の仄かな光が辺りを明るく照らして、幻想的な光景を創り出していた

 頬に感じるのは先程の暴風が無かったようなそよ風

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅霧異変が終わった瞬間である

 

榛「でき...た...ぁ......」

 

 そう感じた瞬間、私の身体から力が抜けた

 

魔「榛奈!?」

霊「ちょ!?」

フ「榛奈!?」

咲「榛奈!」

レ「榛奈!」

 

 皆がわたしを呼ぶ声を聞きながら、私は意識を手放した

 あぁ、やっぱり幻想郷は綺麗だなぁ......




後書き~

最後に倒れてしまった榛奈さん。さてさてどうなることやら

次回、来年投稿です

それでは来年もゆっくりしていってね!

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