東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

今回もそれなりに早目に投稿できました!
これはアイディアが浮かびまくったんですよね

さて、今回は魔理沙side→榛奈sideとなってます
オリキャラも登場しますよ

それでは今回もゆっくりしていってね!


第15話『妹と不審者と勘違い』

魔理沙side

 

[紅魔館 図書館]

 

 

魔「ふぅ......」

 

 私は今、紅魔館の大図書館に来ている

 そして、パチュリーから勧められた魔導書を一通り見終わったところだ

 にしても......

 

魔「これ、読めるのが少ないな......」

 

 そう独り言を言ってしまうくらい、その魔導書を全て読むのに必要な知識を私は持ち合わせていなかった

 魔導書は基本、何の知識も持たない者が見るとその者の視界では文字が歪んで見える。そのような者が読める魔導書は入門や初心者用などしかない。 魔導書を読むにはその魔導書を読むのに必要な知識を身につけなければならないからだ

 そして私が今手にしている魔導書を全て読むには相当な知識が必要になってくる

 ただ、最初の方は読める部分があり、そこに書かれていたのが魔法の基礎だったこと、そしてタイトルに書かれていた『The Grimoire of H.G. vol.1』の文字から察するに、これは著者が自身の魔法を記録した物なのだろう。つまり上級者は勿論、初心者もそれなりに読める本なのだ。これを書いた人物は一体どんなやつなのか気になるが、もう死んでる確率が高いだろうな。何せ自身が著書した魔導書を自分から手放す魔法使いなんてそうそういない。いるとすればその魔法使いが弟子を取っていて、その弟子に向けた本か、自身が死んだから自然に手放された時か、物好きな魔法使いがこの図書館に贈ったかぐらいだろう

 ま、とにかく会えないってことだな

 よし、暇だし、もう1度読み返してみるか

 

 そう思い、再び本を開こうとしていると――

 

バタンッ!

 

フ「魔理沙!榛奈が起きたよ!」

 

ガタッ!

 

魔「なっ!?本当か!」

 

 扉が勢いよく開いたと思えば、この館の主の妹であるフランが、私の大切な妹である榛奈が起きたことを知らせてくれた

 その言葉に私は思わず勢いよく椅子から立ち上がる

 

フ「うん!だから早く行こ、魔理沙!」

 

魔「お、おう!分かったぜ!」

 

 私はそう言うと、隣の椅子に乗せていた愛用の魔女帽子と、机に掛けて置いた箒を手に取り、先に行ってしまったフランの後を追った

 

 

 

 

 

~少女移動中~

 

 

 

 

 

[紅魔館 榛奈の自室前]

 

 

フ「さて、着いたね。魔理沙」

 

魔「あぁ。そうだな」

 

 私達の目的の部屋である、榛奈の自室

 昨日、榛奈が倒れた時、この部屋に運んだ

 その後は、レミリアに言われるがままに帰ったが、心配で今日も来たんだよな......

 昨日はそこまで話してなかったからまだ会いずらいし、いつ起きるか分からないから大図書館で待ってたんだが、結構早く起きたな

 くそっ、なんだか緊張してきた

 

フ「魔理沙...... もしかして緊張してる?」

 

魔「えっ?あ~、いや、まぁ...な...... なんで分かったんだ?」

 

 まさかフランに見抜かれるとは......

 緊張が表に出てたか?

 

フ「ふふっ。なんだか魔理沙、緊張した榛奈と同じような感じだったもの。感覚で分かったんだよ」

 

魔「なんだそれ」

 

 榛奈と同じか

 何の辺がそうなんだろうな

 

フ「でも、何時までも扉の前に立ってるわけにもいかないから、中に入ろ?」

 

 そうだな

 何時までも扉の前にいるわけにはいかない

 逃げちゃダメだ

 特に、妹のことではな......!

 

魔「......あぁ。行くか」

 

 フランは私の言葉を聞くと、取っ手に手をかけ、開けようとして――固まった

 

魔「?おいどうsフ「しっ」......?」

 

 私が問いかけようとすると、フランはジェスチャーで静かにと言い、扉の奥に耳を傾けた

 

魔「(どうしたんだ?)」

 

フ「(誰かの話し声が聞こえる)」

 

 小声で訊いてみると、話し声が聞こえるようだ

 

魔「(榛奈や咲夜じゃないのか?)」

 

フ「(1人は榛奈だけど、もう1人は違う。男の人の声だよ)」

 

魔「(は?)」

 

 男の人の声?

 榛奈は男の人が苦手なはずだ

 実際、人里にいる時は、年下や親父はともかく、年上や同級生でさえ苦手としていた

 だから、男の人が話しかけてきたら、榛奈はいつも逃げるか、私の後ろに隠れてた

 その榛奈が男の人と話してるだって?

 

 私もフランと同じように耳を傾けてみるが、声すら聞こえない

 防音はしっかりしているみたいだ

 

魔「(くそっ。全然聞こえないぜ)」

 

フ「(妖怪特有の耳のおかげだね)」

 

魔「(なんて言ってるんだ?)」

 

フ「(うーん。誰の声かは分かるけど何を話してるか分からない)」

 

魔「(そうか......)」

 

 榛奈が人里を出て既に4年ほど経ってるからな

 男の人と話せるようになったのかもしれん

 実際、最初は苦手だった香霖とも仲良くなってたし

 

フ「(でも変だよ)」

 

魔「(ん?何がだ?)」

 

フ「(紅魔館は私が知ってる限りじゃ、男の人を招いたことないの。それに、私達が幻想郷に来てから1度も男の人と仲良くなったこともないよ。榛奈からもそういう話を聞かないし)」

 

魔「(え?じゃあ、中にいるのは......)」

 

フ「(......分かんない。警戒しといて損は無いかも)」

 

 つまり、もしかしたら榛奈は襲われてるのかもしれないってことか!?

 いや、榛奈なら抵抗――いや駄目だ!榛奈は今魔力が無い状態。魔法が使えないじゃないか!

 くそっ!榛奈!今助けるぜ!

 

 私はそう思い、無我夢中で扉を開けた

 

フ「えっ!?ちょっと待って魔理沙!」

 

バタンッ!

 

魔「榛奈!大丈夫か!」

 

榛「え?あっ......」

 

男「ん?あっ......」

 

 部屋の中には、ベッドの上で無防備に横になっている榛奈と、そのベッドに腰掛け、榛奈にキスしそうなぐらい顔を近づけている、和服の青年が居た

 

 この...... クソが......!

 

フ「はるn魔「私の妹に何しようとしてるんだ!!このド変態が!!」

 

 普段の私なら到底出さないような低い声で怒鳴り、怒りのままにミニ八卦炉を構えて

 

榛「えっ!?ちょ!?魔理沙姉待って!」

 

男「お、おい待て!」

 

魔「問答無用だ!!【恋符】『マスタースパーク』!!」

 

 私はありったけの魔力をつぎ込み、マスタースパークを撃った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 それは、咲夜が部屋を出ていった後の話

 

榛奈side

 

[榛奈の自室]

 

 

男「よっ、久しぶりだな」

 

 紅茶も飲み終わり、ベッドに横になっていると、何も無いはずの空間に穴が空いたと思えば、中から1人の青年が出てきた

 

榛「......久しぶりだな。だが何も無いはずのところからいきなり現れるな、(りゅう)

 

男「そういうなよ。ま、名前を憶えてくれててありがとな。榛奈」

 

 青年の名前は『神月(かみづき)龍夜(りゅうや)

 呼びやすいため、私は龍と呼んでいる

 一応、古くからの仲だ

 

 彼の容姿としては、黒髪黒眼、髪は短く、全体としては整っており、100人中99.5人はカッコイイと言うほどのイケメン

 服は紺を基調とし、所々に白銀の線が入っている和服だ

 その服がより一層、彼を引き立てているのは、一目瞭然だろう

 

榛「まぁ、お前みたいなやつは憶えておいて損はないだろうしな。最後に会ったのはあの時か」

 

龍「損得問題かよ。ま、あれ以降、元気にやってるみたいじゃないか」

 

榛「今は魔力を無くしてこの有り様だけどな」

 

龍「それはそれでいいんだろ?」

 

 龍は私の寝ているベッドに腰を下ろしながら言った

 

榛「あぁ。魔力を使い果たしたのはアレだが、皆が私を心配してくれているってのは分かった。まぁ罪悪感はあるが」

 

龍「それもまた人生だ」

 

榛「ははっ。私にそれが当てはまるのか」

 

龍「あぁ、当てはまるさ。だってお前は“人”だからな」

 

榛「?なんか含んだような言い方だな」

 

龍「気にするな。今のお前には関係ないさ」

 

榛「?まぁいいか」

 

龍「それで、結局能力には気づけたのか?」

 

榛「は?【ありとあらゆるものを守る程度の能力】のことか?」

 

龍「え?いや、もう一つの方だが」

 

榛「...え?」

 

龍「...ん?」

 

 

 「「......」」

 

 

榛「ハァァァァ!?」

 

龍「えぇぇ!?知らなかったのか!?」

 

榛「いや知らないよ!なんだよもう一つって!そしたら私2つも能力持ってるじゃねーか!どんな能力だよ!!」

 

龍「おい色々崩壊してるぞ!」

 

榛「こんな時に気にしてられっかー!」

 

龍「キャラ崩壊がぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

榛「ハァ......ハァ......ふぅ......」

 

龍「で。落ち着いたか?」

 

榛「あぁ、すまん。取り乱して」

 

龍「まぁいいさ。それで、本当に心当たりないのか?」

 

榛「心当たりか......」

 

 そんなのあったような......なかったような......

 

龍「ほら、普通の魔法使いとの弾幕ごっこの最後の方、使ってたじゃないか」

 

榛「え?確か...... 霊力を魔力に変換させたこと?」

 

龍「あぁ。それもあるな」

 

榛「それじゃ、私のもう一つの能力は【霊力を魔力に変換させる程度の能力】?それなりに使えそうだな」

 

龍「いや違う。似てるが、もっといい能力だ」

 

榛「え?他には......」

 

龍「お前の周りにあった魔力の残骸を自分の魔力に変化させただろ」

 

榛「あぁ、そういえば。なら【ありとあらゆるものを魔力に変換させる程度の能力】か?」

 

龍「それも違う。近づいてきてるけどな」

 

榛「はぁ?じゃあなんだっていうんだよ」

 

龍「俺から教えるのはタブーだからな。答え合わせぐらいなら出来るが」

 

榛「つまり、自分で考えろってか。うーん......」

 

 能力......能力......

 龍の物言いだと、魔力に変換出来たのは能力のおかげで、変換系の能力だよな......

 変換...... 変換......

 うーん...... うーん......

 

龍「ん?お前顔赤くないか?」

 

榛「......え?」

 

龍「もしかして、知恵熱か」

 

 龍は笑いながらそう言った

 

榛「知恵熱って...... 赤ん坊じゃあるまい」

 

龍「ははっ、冗談だ。でもまぁ、顔が赤いのは本当だぞ?よく見れば気だるそうだし」

 

榛「そう言われれば、そうだな。さっきの衝撃で気づかなかったが、少し身体がだるい」

 

龍「ふむ。もしかして熱か?」

 

榛「いや、風邪を引くようなことしてないが......」

 

龍「体内にある魔力のほとんどを無理矢理、いやお前にとっては無意識だが、消費してたんだ。その前には霊力も消費してたし。その反動が、今になって来てるんじゃないか?」

 

榛「無意識だったのか」

 

龍「無意識の内に、どれくらい注げば霧が晴れるか分かってたんだろ」

 

榛「そうか」

 

 すると龍は、身体をこちらに向けてきた

 

龍「とりあえず、どれくらい熱があるかみるか」

 

榛「ん?体温計でもあるのか?」

 

龍「いいや、昔ながらによくあるだろ?額をあわせるやつ」

 

榛「別にそこまでやらなくても」

 

龍「いいじゃねーか、俺とお前の仲だし。それに、手で測るのもあるが、それだと分かりにくいだろ?てことで、大人しくな」

 

榛「はぁ。分かったよ」

 

 私はそう言い、身体から力を抜いた

 

龍「......襲っていいか?」

 

榛「SLB(スタ-ライトバスタ-)を御所望で?」

 

龍「冗談だ」

 

 そう言い、龍は段々と顔、というより額を近づけてきた

 あと数センチ、勢いよく当たらないようゆっくりやってると―――

 

バタン!

 

魔「榛奈!大丈夫か!」

 

榛「え?あっ......」

 

男「ん?あっ......」

 

 魔理沙姉が扉を壊しそうな勢いで開けてきた

 後ろにはフラン様もいる

 

 ......あれ?なんかフラン、固まってるな

 魔理沙姉なんて身体をワナワナと震わせて......

 

フ「はるn魔「私の妹に何しようとしてるんだ!!このド変態が!!」

 

 え!?なんでそうなった!?

 しかも魔理沙姉はミニ八卦炉をこっちの方に向けて構えて――

 ってその方向だと私も被害がぁ!

 

榛「えっ!?ちょ!?魔理沙姉待って!」

 

男「お、おい待て!」

 

魔「問答無用だ!!【恋符】『マスタースパーク』!!」

 

 スペカなはずなのに、とても非殺傷な風には感じないマスパがこちらに向かってきた

 私は思わず目をつぶるが、龍が空間に穴を空けてたのは見逃さなかった




後書き~

知恵熱って大人も発症するようですよ
正式名は別ですが
ストレスが原因だとか......
作者には今のところ縁の無い話ですね

そして、オリキャラ紹介
名前『神月(かみづき) 龍夜(りゅうや)
性別『男』
種族『??』
年齢『??』
能力『???』
交友関係『???』

今のところ、謎に包まれてる人物ですね
では次回もゆっくりしていってね!

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