東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

すみませんでしたァァ!
そう、思えば前回投稿したのは何時だったか......
お久しぶりの方は絶対話を覚えてない人が多いでしょう。いや多いに決まってる。むしろ覚えててくれた人がいたならば私は感激し、感謝しまくるでしょう。ありがとうございますっっ!

というわけで少し前回のあらすじを

前回、変装して人里に入った榛奈さん。目的をこなすためフラン(とついでに魔理沙)を探すと、広場で二人を発見。声をかけようとした瞬間、泥棒騒ぎに遭ってしまいましたが、無事榛奈さんが事を収めました。しかしその拍子にフランに変装を見破られてしまいましたが、何とか他の人にバレることはありませんでした。榛奈さんはフランと「裏にあるうどん屋さん」で待ち合わせと言うと、その場を去りました。

今回は、榛奈さんがうどん屋さんに入る話です。
是非今回もゆっくりしていってね!


第35話『お久しぶりです、ばあちゃん』

[人里 裏道]

 

 

 ここは人里の表通りから隠れた裏道。ここは人通りが少なく、いたとしても怪しい人ばかり

 そんな怪しい人の中に今は私も含まれてるんだと思うと今すぐこの身に纏ってるフードを脱ぎ捨てたいところだが、そんなことをすれば折角ここまでバレずに来たのが水の泡になってしまうので我慢する

 それはともかく私は今、とある目的地、フラン様たちとの待ち合わせの場所として指定した場所に向かって歩いている。自分から約束を取り付けたからには待たせるわけにはいかないのだ。そうじゃなくても従者たるもの主人を待たせてはいけない。それは咲夜さんからみっちり教え込まれた。ただまあ咲夜さんの場合、能力があるからこそ主人を待たせることが少ないんだけどね

 ...と、段々と美味しそうな匂いが漂ってきたな。出汁の匂いだ。あぁこれを嗅ぐとお腹が......

 

 ぎゅるるぅぅ......

 

榛「......腹減った......」

 

 うん。仕方ないね。だってお日様はもう天高く登ってるはずだもん。雲に隠れちゃってるけど、そこまで雲は厚くないから大まかに場所がわかるし

 まあ腹が減ったところで私はフラン様たちが来るまで我慢するしかないんだが、そこは気合いで乗り切るのだ

 

 なんて心の中で思ってる間にとうちゃーく。人里の裏道の寂れたところにあり、尚且つ人の目に付きにくい場所。そんな場所にある一軒のうどん屋さん

 昔お母さんが生きてた頃、よくこのお店には、いやお店の店主であるお婆ちゃんにお世話になってたなぁ。よくお父さんと喧嘩した魔理沙姉を連れてここで落ち着かせてたっけ。それに裏道とはいえ家からさほど遠くはなかったから立ち寄りやすかったんだよな。私自身うどんが好物だったのもあってお小遣い片手によく来てうどんを食べていったっけ

 いやはやあれから数年。昔よりボロくなったように見えるけど、この匂いは健在。ということはつまり......

 

 ガララララ......

 

榛「...こんにちはー......」

 

?「おやいらっしゃい。これはまた怪しげな人が来たねぇ」

 

 店の中には一人の老人、私や魔理沙姉が昔お世話になった『ばあちゃん』が変わらずにいた

 いや、昔より老けたか?元気そうなのは変わらないんだが......

 

ばあちゃん「どうしたの?扉の前に突っ立ってて。好きな席に座っていいわよ。今日はまだ誰も来てなかったからねぇ」

 

 まってばあちゃん!?誰もってそれでよくこの店を保ってられるね!?

 いや昔も私達以外の客と会うことがレアだったけどね、今でもそうだと流石にどうやって食べていってるのか心配になるよ?

 

 まあそんなこと心の中で言っててもしょうがないので適当に選んだ席に座った。ばあちゃんはお茶を持ってくるのか奥に行ってしまってこの場には私しかいない

 ...うん。暇だ

 お品書きでも見て食べるものを決めてもいいけど内容はほぼ覚えてるし、既に決まってるし、そもそもフラン様たちが来るまでじっと待っていないといけないし

 ......早く二人とも来ないかなぁ。お腹すいたぜ......

 

ばあちゃん「...はい、おまたせ。緑茶よ。温かいのでよかったわね?」

 

 考え事をしていたら奥に行ったばあちゃんがお盆に湯呑みを乗せて戻ってきて、机のうえに置いてくれた。見るからに湯気が出ていることから温かいことがわかる。うんうん。ばあちゃんよく分かってるねぇ

 お茶はお茶でも紅茶や麦茶、烏龍茶は冷たいのでもいいけど緑茶は温かいのじゃなきゃ私は好きになれないからね

 

榛「はい。夏でも秋になりそうな日でも緑茶は温かいのが一番ですからね」

 

 飲めるようにお面を少し上にずらしてっと

 ズズッ......

 

榛「...ふぅ......」

 

 いやぁ、今日もお茶がうまい!

 

ばあちゃん「それで注文は決まったかしら?」

 

榛「いえ、あの......実は私、ある人達と待ち合わせをしていまして......注文はまだ......」

 

ばあちゃん「そう、それじゃあその時また呼んでちょうだい。私はそれまで奥に行ってるからね」

 

 ばあちゃんはそう言うとまた奥に行ってしまい、また私一人だけになってしまった

 そうなると暇になってしまう。手元に暇を潰せるものがないから余計にだ

 フラン様達、早く来ないかなぁ......

 

 ズズゥ......

 

榛「...ふぅ......」

 

 何か起こらないかなぁ......

 

――そう何度も事件が起こられても困るけどね。特に里側としてはね――

 

 そりゃそうだけど、二人が来るまで暇なんだよ

 暇つぶしくらい持ってくればよかったな

 

――そういえばあの本は?今日は持ってきてないの?――

 

 『変守録』のことか?

 あれは鍵付きの引き出しの中だ。特に持ち歩こうと思うようなものでもないからな

 

――どうせ君のポケットはなんでも入るんだから入れておけばよかったのに――

 

 だが今は何かに集中するようなのはダメだからな。持ってこなくてもよかっただろ

 

――あぁ、君は確か集中し過ぎると周りが見えなくなるんだっけ?――

 

 まあ周りが見えなくなるとは違うと思うけど、そんな感じかな。前にあの本を書いてた時もコアが来ても気づかなかったし

 

――集中するのも程々にね――

 

 おう

 

榛「...ふわぁ......」

 

 にしてもこうも暇だと眠くなるなぁ......

 

――なら寝たらどう?――

 

 でもいざ二人が来た時に起きてなきゃダメだし......

 

――目を閉じてるくらいは大丈夫だよ。なんなら来たら起こそうか?――

 

 いやお前がどうやって起こすんだよ

 

――その辺は気にせずに――

 

 まあ目を瞑ってるだけならいっか......

 おや......す...み......

 

――あ、寝るのね――

 

 

 そんなやつの言葉を片隅に聞きながら私は意識を手放した。お腹空いたままだから食べ物系の夢が見れたりするのかなぁ......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 ??said

 

 [???]

 

 

 ...ここはどこ?

 あれ?前にも同じことがあったような......

 

?「どうしたんだぜ?ぼーっとして」

 

私「...なんでもないよ」

 

 そう私?は目の前の幼い少女に答えた

 その下を見れば料理がある。私?は食事中だったのか

 左手に持った箸で右手に持つ茶碗の御飯の一部を口に運び、咀嚼した

 もぐもぐ......美味い

 普通に美味しいな。ただのお米のはずなのに......

 

?「...変なのっ。んでかあさん。そろそろ私に魔法を教えて欲しいんだぜ!」

 

私「今は食事中。また今度ね」

 

?「それ前にも言った〜。どーして私に魔法を教えてくれないんだぜ?...もしかして実は魔法なんて使えなかったりするのか......?」

 

私「私、これでも上級魔法使いだよ?取り乱してる時だったらまだしも、通常時に魔法が使えないわけないでしょ」

 

 と言いながら川魚の身をほぐし、御飯と共に口に運ぶ

 うんうん。この魚、塩加減が絶妙で米によく合う。これを作ったやつはどんな人なのだろうか。きっと素敵な人だろうな......

 

 

 

 って何私はこの光景に馴染んでるんだよ......

 ようやく思い出してきたが、これって前に見た夢と同じようなものなのか?

 この少女......いや幼女は見たことない......いやある?ない?......いやどっちでもいい!

 ともかくここは何処だ!?この私がいる視点の人物は誰だ!?目の前の幼女は!?この料理作ったやつは!?

 疑問が湧き水どころか間欠泉並に湧いてくるぞ!

 誰か答えとおかわりをくれぇ!

 

 

 

?「じゃあなんで教えてくれないんだぜ〜......」

 

私「そりゃ私はまだ君から魔法を教えてもらいたい理由を聞いてないからね」

 

?「だから前にも言っただろ?私は人里の外で暮らすために力が必要なんだ。その為に魔法がいるんだ!」

 

私「それは私が聞きたい理由じゃない。それに力が必要なだけなら人里で身体を鍛えるとか霊力を扱えるようにするとか色々とね?霊力は人によって武器にできるぐらいある人とない人とあるからそこは運だけど」

 

?「それじゃダメなんだ!体を鍛えたって意味は無いし、霊力なんて私にはあるわけない!とにかく人里の外で力を付けたいんだよ!」

 

私「ふぅん。...あ、ほら。魚の一番美味しいって言われてる部分。はい、あーん」

 

?「は?え?あ、あーん......」

 

 夢中で魚を食べていると魚の脂身が出てきた。それを私は箸で纏めて掴み、幼女の口に入れようとする。幼女も素直に口を開けてくれたおかげで脂身は幼女の口の中に入っていった

 幼女はそれの味を確かめるみたいに慎重そうに咀嚼しているんだけど......別に気軽に食べてくれてもいいんだけどな......

 

?「もぐもぐ......うん、美味しいんだが......」

 

 なんだかちょっと不服そうな顔をしてるけど美味しいというお言葉をいただきました。うん、美味しいよね。素直でよろしい

 

私「とにかく今は教えられないよ。君から理由を聞いてないのもそうだけど、君のことをまだハクタクに言ってないし、これから君を預かることも言ってない。君の衣類や生活用品も無いし、此処(博麗神社)で暮らすならそれなりの準備や許可がいるわけでね。そんなわけでしばらくはそれらの準備だよ」

 

?「えぇ...... 私は今すぐ教えて欲しいんだぜ!!」

 

 幼女はその言葉と共に勢いよく机に手をつき身を乗り出した。そのせいで机に乗っていたものが跳ねたり湯のみが傾いたりするが零れるような気配はないから大丈夫だ

 

私「無理なものは無理だよ。諦めて」

 

?「嫌だ!今すぐ教えろ!」

 

私「......」

 

?「おい!」

 

私「...はぁ......」

 

 全く......

 相手は幼女とはいえ食事中くらい静かに食べれないのか?

 ましてや机を叩くなんて......

 ここは一つ礼儀というものを教えてやるか

 

私「ねえ?君は確か私に魔法を教わりに来たんだよね?」

 

?「ああ、だからそう言って――」

 

私「それなのにその態度は何?」

 

?「――え?」

 

 幼女は私が纏う雰囲気が変わってることに気づいたのか、ハッとした表情になった。が、もう時すでに遅し

 

私「君は私に教えを乞うために来てるんだよ?それは私に得なんてない。なんなら教えなくても私は損をしないし、むしろ君に教えてる時の時間を私は損してる。だってわざわざ君のために私の時間をあげるんだからね?それで実らなかったら余計に損でしょ?だっていうのに君のその態度は?なんで偉そうに「教えろ」?身の程知らずにも程があるよ。そんな態度ならこの話はお終い。私は君に何一つ教えようとは思わないよ」

 

?「なっ!?は、話が違うぜ!!」

 

私「違うって何が?別に約束した覚えは無いよ?だいたい君は私に教えてもらう立場なんだよ?なのにそれ相応の態度もできないクソ餓鬼なの?」

 

?「う、うぅ......」

 

私「私に教えてもらいたいなら、自分の立場を自覚し、それ相応の態度で示しなさい。君が本当に強くなりたいならね」

 

?「ぅ......」

 

 どうやら叱ったのが効いたのか大人しく座って顔を下に向けてしまった。でも実際態度がなってなかったのは事実。私は間違ったことを言ったつもりはない。これで彼女が此処を立ち去るというなら私は人里まで送ってあげようと思う

 魔法というのは簡単そうで実は複雑。扱うだけでも難しいのだ。それを簡単に教えてもらえると思ってるだけでも頭の中お花畑なのに、扱うことが出来ると簡単に思ってるなんて夢の見すぎだ

 だから私は簡単には教えてあげない。谷で例えるなら、何度落としても這い上がって来る根性がないなら教えない

 逆に言えばそんな根性があるなら教えてあげようかな。私自身も誰かに教わって魔法を得たから、彼女の魔法が使えるようになりたいと思う気持ちは少しならなんとなく分かるからね

 

 そう考えながら、()は彼女の答えを待った――――




後書き〜

次に投稿できるのはいつなのか......
更には本編を更新するのか、番外編でも出すのか......
というか最後の方の話は何なのか......
最近になってようやく榛奈さんの髪型をツーサイドアップと呼ぶことを知った私ですが、頑張ります。
大丈夫、小説アカのTwitterが更新されてたりする限り、失踪はしません。絶対に

次回、どっちを投稿しよう......
それでは次回もゆっくりしていってね!

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