うん。なんでこの時期に8月の話をしてるんだろうな~とか、本編どうしたんだー!とか、思う人はたくさんいるとおもうんですけど、言わせてください。
「本編が思うように書けない!」
そう、書けないんです。だから気分転換に書いたら、一日で書けました。この意欲を本編に持ち込みたいです。
それはともかくタイトル通り、彼女の誕生日を祝ったお話となります。
「え?あの子に誕生日とか設定してあったの?」という質問に対してはこう答えます。
「私(ほのりん)が誕生日なんです!」と。
それはともかく、今回簡単に書いたものなので、地の分全くありません!それと『GL』、『ヒロインはフラン』タグが正常に機能する作品です。
そういうわけで、コーヒー片手にゆっくりしていってね!!
「――8月20日。それは世間から見たら何の変哲もない日であり、しいて言うならば、真夏である。
そんな日を、私は何故ここに持ち出したかというと......」
「今日は私の誕生日だからである!!」
「いや、急に来てどうしたのよ」
「だから!今日は私の誕生日なんだよ!」
「そうなのね。おめでと」
「ありがとー!...って、そうじゃなくてね!?」
「何よ、祝って欲しかったんじゃないの?」
「そう、祝って欲しいんだよ!この年にもなってまだ誕生日を祝って欲しいのかって呆れられるかもしれないけど、祝って欲しいの!なのにレミリア様達ってば酷いんだよ!?「午後の仕事ださぁ頑張るぞー!」って気合入れてたのに急に「外に出てろ」って紅魔館から追い出すし、帰ろうとしても美鈴が見張ってるし!!」
「あーはいはい。そういう話はアンタの姉にでもすればいいじゃない。まったく、なんで私に......」
「.........だもん」
「え?」
「だから、魔理沙姉もあっち側なんだもん!」
「あ~...そう...」
「フラン様も魔理沙姉もレミリア様達と一緒に何かやってて、私だけ除け者だよ!?何かしてるなら私も混ざりたいのに!!」
「...うん。そればっかりはアンタが混ざっちゃいけないんじゃない?」
「なんで!?...はっ、まさか私、気付かぬうちにレミリア様を怒らせるようなことをしてしまったから、これは私に対しての精神攻撃!?罰なのか!?」
「それはないから。とにかくそういう厄介事をうちに持ち込まないで。里にでも行ってればいいじゃない」
「うわあん!霊夢まで追い出すのぉ!」
「うざいわねぇ......」
「うざいって言われた!霊夢にうざいって言われた!これだけでもう私幻想郷で生きていけないよぉー!」
「その程度で生きていけないんなら、アンタはもうとっくの昔に死んでるわよ」
「なら大丈夫か」
「そうね。ほら、里で甘い物でも食べてこればいいじゃない」
「甘い物...うん!あっ、霊夢も行こうよ!」
「嫌よ。...お金ないし」
「だいじょーぶだいじょーぶ!私が奢るから!」
「ホント!?なら行くわ!支度してくるから少し待ってなさい!」
「わーい!霊夢とデートだー!」
「...アンタ、今日私と出かけたことを『でーと』って言うんじゃないわよ。アンタの主に知られたらこっちに被害が飛ぶんだから」
「......?よく分かんないけど、分かった!」
「なんか今のアンタって幼児退行してない?」
「知らなーい!」
「はぁ...まったく...これは後でレミリアのやつに何か貰わないとね」
~少女移動中~
「ん~♪やっぱり此処の餡蜜は格別ね~♪」
「おいしいね!れーむ!」
「...うん、アンタが更に幼児退行してなかったら、もっと良かったんでしょうね......」
「ん~?あっ、れーむも私のよーかん食べたいの?いいよ~!はい、あ~ん!」
「いや、別にアンタに食べさせてもらわなくても......」
「...たべてくれないの?」
「ぐっ......わ、分かったわよ......」
「やったー!れーむ、あ~ん!」
「あーん...もぐもぐ......うん。やっぱり此処は羊羹も最高ね」
「だよね!あっ、れーむのあんみつもちょーだい!」
「えぇ......」
「...くれないの?」
「うぐっ...わ、分かったわよ......どうせアンタの金なんだし」
「わーい!ほら、はやくはやく!」
「はいはい。ほら、口開けなさい」
「うん!あー―――」
「...お前ら、甘味処で何してんだ?」
「んぐっ!?んッんぐっ、けほけほっ」
「あら魔理沙じゃない。アンタも此処の餡蜜食べに来たの?」
「いや、私は榛奈を捜しに来たんだが...大丈夫か?」
「だ、大丈夫...というかどうして魔理沙姉が......?それに一体何時から......」
「榛奈が霊夢に羊羹を食べさせようとした辺りからだ。ったく、食べてもいないのに口の中が甘くなったじゃないか」
「あっ...あれは、そのっ......///」
「榛奈がアンタらに追い出された~っていうから不満解消に付き合って上げたの」
「だからってわざわざ甘味処で食べさせあいなんてするか?普通」
「そこは榛奈に聞きなさいよ。私は榛奈の行動に付き合ってあげただけなんだから」
「ふーん。で、榛奈?」
「あうぅ......あうあう......///」
「...あーうん。暴走したのか?」
「あうぅぅ......!」
「したんだな。まっ、榛奈がフランから何かしら拒否されたらこうなるのは分かってたし、何かしら起こすんだろうなーっとは思ってたが、まさか霊夢となぁ......」
「だ、だって、他に話せるような人、思いつかなくて......」
「そうかい。とにかく、フランが榛奈を呼んでるんだ。紅魔館へ―――」
「フラン様がっ!?じゃあじゃあ、私紅魔館に戻っていいの!?」
「あ、ああ。というか戻って貰わんとせっかくの準備が......」
「分かった!よく分かんないけど、私はフラン様の元へ帰ってもいいのは分かった!あっ、これ代金ね!霊夢、残り食べていいから!今日は付き合ってくれてありがとう!またね!」
「えっ、ちょっ、お釣り!...って、行っちゃったわね......」
「ははっ、相変わらず榛奈はフランが好きだな」
「そうね...というか準備ってやっぱり榛奈の?」
「お?なんだ霊夢、お前今日が榛奈のって」
「あの子が来た時に祝って欲しいだなんだって騒いだのよ」
「あー、そりゃ悪かったな。フランの希望を叶えるには、榛奈が紅魔館にいるとまずかったんだ」
「それ、榛奈に言ってあげなさい。あの子すごく寂しがってたわよ」
「ああ。まっ、それはフランが言うと思うけどなー。おお、そうだ霊夢。お前も参加するか?」
「そうね。これを食べ終わってから参加するわ」
「なら榛奈の分は私が......」
「ダメよ。これは私が貰ったんだから」
「ちぇっ。いーよ。私は先に紅魔館へ行って霊夢の分の御馳走も食べてやる!」
「ならその分魔理沙のを頂くわ」
「それじゃお前に食べられないよう両方とも確保しないとな!それじゃ、お先だぜ!」
「はいはい...ふぅ。今日も平和ねー」
~少女移動中~
「おや、おかえりなさい榛奈ちゃ―――」
「ただいま美鈴!フラン様は!?」
「えっ、フラン様でしたら食堂に―――」
「わかったありがと!」
「あっ、はい。...ふふっ、本当に榛奈ちゃんとフラン様は相思相愛ですね」
「そうね。見ていて羨ましいほどだわ」
「おや咲夜さん。どうされましたか?」
「お嬢様からの伝言。「今日は中で、一緒に祝いましょう」だそうよ」
「本当ですか!?あっ、ですが門番は......」
「妖精メイドに任せるわ。どうせ今日来るのはあの子を祝いに来る人ぐらいだもの」
「そうですね!わーい、何を食べましょうか!」
「色々作ったわよ。ほら、連れてくわね」
「ありがとうございます、咲夜さん!」
「んー、なんでフラン様は食堂へ......?夕食にはまだ早いような......まっいいか。フラン様ー!」ガバッ!
パンパンパンッ!
『榛奈、お誕生日おめでとう!!』
「......へっ?...え?え?」
「ほーら!そこに立ってないで、こっちだよ!」
「え...?あの、これは一体......?」
「今日は貴女の誕生日でしょう?色々と準備したのよ」
「いや、あの...ちょっと待ってください!」
「どうしたの、榛奈......?もしかして今日じゃなかったの......?」
「い、いえ。確かに今日は私の誕生日なのですが...どうしてそれを皆さんが知ってるのですか?私は言った覚えはありませんが......」
「数日前に魔理沙が教えてくれたのよ。今日が貴女の誕生日だって」
「それをパチェが私達に教えてくれて、だったら祝おうってフランが」
「うんっ!だって一年に一度しかないことだもん。それに、今日は榛奈が生まれてきてくれた日だから!」
「フラン様...皆さんも......うぅ...うええぇ......」
「えっ!?ど、どうしたの榛奈!?も、もしかして、嫌、だった......?」
「ち、ちが...ぐずっ......」
「あらら、泣いちゃいましたね。いよっ、さすが妹様!罪な女~」
「こあ、あんまり茶化さないの」
「ど、どーしよお姉様!」
「慌てなくてもいいわよ、フラン。榛奈のあれは、嬉し過ぎて涙が出ただけよ。ほら、榛奈もそのままでいいからそこに座りなさい。いつもは私の席だけれど、今日ばかりは主役である貴女が座る席よ」
「うぇっ!?そ、そんな、座れませんよ私なんかが......」
「こらっ!“私なんか”なんて言っちゃダメ!それに今日は榛奈が主役だから、いいの!ほらほら!」
「は、はい!」
「それじゃあ、咲夜!あれを持ってきて♪」
「はっ。どうぞ」
「わぁっ......!美味しそうなケーキ......!」
「えへへっ。私が作ったんだよ♪」
「フラン様が!?すごい...すごいですよフラン様!」
「うんっ!」
「あら?咲夜に教えてもらいながらじゃなかったかしら~?」
「お、お姉様!それは言わなくていいの!それに、私が作ったのはホントだもん!」
「ええ。それはもう、一生懸命、何度失敗しても諦めずに作り続けた、妹様の努力の成果ですわ」
「さ、咲夜!失敗したとか言わなくても......!」
「フラン様っ......!私のためにそんなに努力されて......!すっごく嬉しいです!もう、私は世界一...いえ、全次元一幸せ者な従者です!!もう従者とか抜きにしても幸せ者ですよ!!」
「ほんと......?...えへへ、そんなに喜んでもらえて、頑張ったかいがあったよ!」
「あ~でもそうなると食べるのがおしいっ!フラン様の努力の結晶...そのままの形で部屋に飾れたり出来ないかな?」
「生ものだから早く食べなさい。腐るわよ」
「食べずに腐らせるのはもっと嫌です!!うぅ、どうすればこのままの形で保存できるのか......いっそ写真でも撮れば......」
「あやや、どうやら私の出番のようですね?」
「あ、文!?どうやってここに......!」
「門にいた妖精達に招待状を見せたら、素直に通してくれましたよ。あぁレミリアさん、お招きいただきありがとうございます」
「いいのよ。今日は是非、そのカメラで色々と写真を撮って頂戴。後で買い取るわ」
「ええ、では早速ケーキをパシャリと。もひとつ本日の主役とパシャリと」
「わわっ、きゅ、急に撮らないでよ」
「いいではありませんか。ではでは、続きをどうぞどうぞ」
「ええ。パチェ」
「はい」
「あっ、ロウソクに火が......」
「榛奈、ロウソクに息をふーってかけるんだよ。ふーって」
「は、はい。はぅ...ふーっ!」
パチパチパチ......
「それでは改めて、せーのっ!」
『お誕生日、おめでとう(ございます)!!』
「皆さん...あ、ありっ、ありがどうごじゃいばじゅっ!!」
「ああほら、これで拭きなさい」
「びゃい......ずずっ...ありがとうございます、咲夜さん。後で洗って返します」
「どういたしまして」
「榛奈榛奈!早く食べてみて!」
「はいっ!...ぱくっ。もぐもぐ......」
「ど、どうかな......」
「ごくっ......う、うぅ......」
「は、榛奈!?も、もしかして不味かった......?ご、ごめんね!無理矢理食べさせて......!」
「ぢがいまず...おいじいんでず......!おいじずぎで、じあわぜずぎで、涙が......!」
「も、もう!驚かせないでよ、榛奈」
「おー、もうやってるなー!」
「
「おぉいおいおい。酷い顔してるなぁ。どいつだぁ?私の妹を泣かせた奴は?」
「へっ、ま、魔理沙!これは、あのね!」
「やっぱりフランか。私の妹を泣かせやがって、うりゃうりゃー!」
「わあっ!魔理沙ってば、もう、やめてよ~!」
「にししっ。おぉ、それがフランが作ってたっていうケーキか。美味しそうだな」
「えっ...だ、だめっ......!」
「あっ、いや。別に欲しいわけじゃ...いや、欲しいけど、それは榛奈の物だからな。奪わないぜ」
「...欲しいの?」
「そりゃ、それだけ美味しそうなら...って、いや、いらないからな!?それは、お前の物だから......」
「...咲夜さん。ナイフを貸していただけますか?」
「いいけれど......はい」
「ありがとうございます。では、ナイフを入れるのがもったいないですが八等分に...えいっ!後はお皿に......はい!魔理沙姉、どうぞ!」
「おっ、くれるのか...っていやいや。それは榛奈が貰ったケーキだから......!」
「でも一人で食べるより、皆で食べた方が美味しいよ。皆さんも、どうぞ!」
「自分で作ったケーキ...本当に大丈夫だったかなぁ......?」
「大丈夫ですよ、フラン様。まあ、榛奈さんならフラン様の作ったもの全部に美味しいと言いそうではありますが、絶対美味しいですよ」
「パチュリー様♪見てください!妹様の作ったケーキですよケーキ♪」
「はいはい、私も貰ってるから、自慢にならないわよ」
「私も貰ってよろしいのでしょうか......?」
「いいわよ。今日の主役が言うんだもの。食べない方が失礼だわ」
「あっ、文の分忘れてた...わ、私の食べかけでよければ......」
「いえいえ、それは榛奈さんが食べてください。私は皆さんのことをこのカメラでたっぷり撮らせていただければそれで十分ですから。ほらほら魔理沙さんも、主役が良いって言うんですから、受け取らないと」
「お、おう。そうだな。それじゃ、お言葉に甘えて......ぱくっ...もぐもぐ...おぉ!美味しくできてるじゃないか!やったなフラン!」
「う、うん!よかったぁ......」
「そうね、咲夜のと比べるとまだまだだけれど、一応合格かしら」
「レミィ、咲夜のと比べるのはどうかと思うわよ」
「お嬢様、ここは素直に妹様の成長を祝いましょう」
「いやこれ、榛奈の誕生日を祝うもののはずだけど...ま、美味しいわよ」
「んん~!まさか妹様の手作りケーキを味わえるなんて......!パチュリー様に召喚してもらってよかった~!!」
「くぅ...あんなに小さかったのに、いつの間にかこんなにも成長されていたのですね、フラン様。嬉しい...嬉しいですよフラン様!」
「いや貴女を雇った時にはもうフランは今と同じぐらいだったはずなのだけれど......」
「お嬢様、精神的な問題ですよ、精神的」
「う、うん。どうして私は二人の従者に責められたのかしら......」
「ははっ、まあいいじゃないか!で、もう他の料理も食べていいだろ?」
「ええ。色んな人や妖怪に声をかけたから、たくさん用意させたわ。もちろんお酒もあるわよ」
「よっしゃ!それじゃあ楽しむぜ~!!」
「主役を置いて行かないでよー!」
「勿論榛奈もだよ!」
「さてさて、どれから食べましょうね、パチュリー様!」
「軽いものを適当に取ってきてちょうだい」
「かしこまりましたー!」
「うんうん、相変わらず咲夜さんの料理は美味しい...いえ、違いますね。日々上達してますね!」
「ありがとう美鈴。貴女もいつもお疲れ様」
「いやぁ、咲夜さんにそんな言葉をかけられたら、また明日から頑張れますね!」
「じゃあもう居眠りしないでね?」
「そ、それは...あはは......」
「もう...美鈴ってば」
「まあまあ、咲夜。今日はめでたい日なんだもの、怒るのは明日にしなさい」
「明日怒られるんですねー......」
「あや、あやや、あやややや!皆さん良い表情です!これは良い写真が沢山撮れますよー!!」
「もう始まってるわねー。当然料理は無くなってないでしょうね?」
「おー、霊夢。意外と早かったな」
「あの後すぐ食べて来たの。それとこいつらも来たわよ」
「おーい榛奈ー!アタイ達が来てやったぞー!」
「わはー、誕生日、おめでとうなのだー」
「おめでとうございます、榛奈さん!」
「八目鰻いっぱい焼いてきましたー。これぐらいでいいですか?」
「ええ、ありがとう。机の上に適当に置いておけば、誰かが食べるわ」
「いえいえー。どうぞ皆さん!ミスティア特製八目鰻ですよー!」
「ボクからも。虫たちが頑張っていっぱい蜜を集めてくれたんだ。とっても美味しいから、食べてみてよ!」
「わぁ...綺麗な金色......」
「まるで榛奈の髪の色みたいだね!」
「えぇ!?そ、そうですかね......?」
「フランちゃんもそう思う?ボクもそう思ったから、集めてもらったんだ!」
「うえぇ?そ、そんなに甘そうな色かなぁ......」
「普通に綺麗な色ってことだろ。まっ、お前は甘そうというより、甘やかしそうだけどな!」
「うぐっ。否定できない......」
「おや、もう始まっていましたか」
「あやや、椛も招待されてたの?」
「はい、此処のメイド長から是非にと。もっとも、少しばかり哨戒仕事が長引いてしまい、出遅れてしまいましたが......」
「大丈夫よ、まだ始まったばかりだから、椛も楽しんでいきなさいな」
「どうして文様がデカい顔して言うんですか。まあ楽しんでいきますけど」
「そうそう、それでよし。もちろんその可愛らしい顔に出る表情を色々とこのカメラにおさめさせてもらうわね!」
「あんまり調子に乗らないでくださいね」
「あらぁ?ちょっと来るのが遅れちゃったかしら~」
「いえ、幽々子様。どうやらまだ始まったばかりのようです」
「そう~?ならまだいっぱいごちそうがあるわね~」
「...あの、幽々子様?本日の主役は榛奈さんですから、あまり目立たぬよう......」
「分かってるわよ~。妖夢ってば心配症ね~」
「幽々子様がやらかしそうで怖いんですよ......」
「もう賑やかになってるわね」
「来たのね、アリス」
「ええ。榛奈の誕生日パーティと聞いたら来ないわけにはいかないでしょ。せっかく呼んでもらったんだし。それにあの子には色々助けてもらってるから」
「アリスにもそう言われるって、あの子は一体いつも何をしてるのよ」
「さあ?私のところでは人形作りを手伝ってもらってるから。今日はそのお礼よ」
「ふぅん。それがあの子へのプレゼント?」
「ええ。上手にできてるでしょ?あの子に直接聞いて作ったの」
「わ、私のもあるのね......」
「パチュリーもって榛奈がね。じゃ、これを渡してくるから、またね」
「ええ、また」
「ずいぶん盛り上がってるわね。私達も早く混ざりましょうか」
「はい、紫様」
「あら、隙間妖怪じゃない。まともに門から入って来るなんて、明日は嵐かしら?」
「榛奈の誕生日ですもの。正式に招待されているし、今日くらいは普通にお邪魔させてもらいますわ」
「そう。貴女にもそんな心があったなんてね。...そういえば貴女の式ってもう一人いなかったかしら?」
「橙は藍の式。あの子ならあっちよ」
「にゃー!また一つ年を取ったのね、榛奈!」
「う、うぅん。確かにそうなんだけど言い方......」
「間違ってないでしょ?ほらこれ!藍様と選んだのよ!」
「マタタビ...?しかも大量......」
「私からのいっぱいの気持ちよ!ありがたく受け取りなさい!」
「ははぁ......それではありがたく頂きます。そして後日その辺に撒いて猫を招きます」
「紅魔館中に猫がいっぱいとか、掃除が大変そうだな」
「いいんじゃない?来るのが神社だったら許さないけど」
「さすがに館に入れないよ~。湖の外でね」
「...喜んでもらえた?」
「勿論!ありがとう、橙!」
「っ...!ふ、ふーん!あんたが誕生日だからだもんね!それじゃ私はチルノちゃんのところに行ってるから!」
「うん!...マタタビ...使いどころを誤れば天国は地獄へと変化する代物を貰ってしまった......」
「そんな危険なものじゃないだろ......おっと、そうだった。私からもプレゼントな。ちょっと目を閉じてろよ?」
「え?うん、わかった」
「じゃあこれを......ぐぐっ...こっれをぉ......!」
「ぷぷっ」
「あっこら霊夢笑うな!あーくそっ、榛奈、しゃがめ!」
「わ、わかった!」
「よし、これで......できた!もういいぞ」
「う、うん。えっと...これってもしかして......」
「白いリボンだけじゃ寂しいからな。私お手製の星の飾りだ。あー、せっかく付けたんだ。後で鏡で確認しろよ?」
「わあっ!うん!うんうん!分かったよ魔理沙姉!ありがとう!すっごく嬉しいよ!魔理沙姉!」
「わっ、きゅ、急に抱き着くなって!倒れるだろうが...ったく、しょうがないやつだなぁ」
「えへへ......」
「流石ねぇ魔理沙。榛奈が喜ぶものをちゃんと用意するなんて。てっきり変なキノコでも渡すのかと思ってたのに」
「お前の誕生日ならそれを渡すのもありかもな?」
「やめてちょうだい。ほら、榛奈。私からもね」
「これ...お札だ」
「アンタが誕生日だって今日知ったから、碌な物を用意できなかったの。来年は覚えてたらもう少しいいものを用意するわ」
「...ううん。これでも十分嬉しいよ。だって霊夢の想いが籠ってるんだもんね」
「そ、そう言われると照れるわね......」
「...クーデレ万歳......」
「くー...なんて?何が万歳よ?」
「なんでもないよー。とにかくありがとう!魔理沙姉!霊夢!」
「榛奈、お誕生日おめでとう」
「アリスさん!はい!ありがとうございます!」
「その髪飾り...魔理沙からはもう貰ったのね」
「あれ?アリスさんはこれが魔理沙姉のプレゼントって知ってるんですか?」
「ええ。だってその髪飾りの作り方を教えたの、私だもの」
「そうだったんですね...アリスさんに教えてもらって魔理沙姉が作った髪飾り...家宝ものですね!」
「それ、魔理沙が自分で作ったものを自分の家の宝にされるのと同じよ?とにかく、はい。私からも」
「わあっ!フラン様にレミリア様に師匠、それに魔理沙姉の人形!可愛い~!って、これってもしかして前に訊いてきた......」
「ええ。貴女が大切だって言ってた人達を模した人形。さすがに全員はやらなかったけど、十分でしょう?」
「はい...はいはい!それはもう、魔理沙姉からのプレゼントに匹敵するぐらいです!ほんとにもう、すっごく嬉し過ぎて......!」
「ちょっ、泣くほど?」
「な、泣きませんよ...まだ泣きませんから!まだフラン様のプレゼントが残ってますから......!」
「そ、そう......ふふっ、そんなに喜んでもらえると、その子達も喜ぶわ。あぁそれと、来年の貴女の誕生日は、他の霊夢や咲夜の人形をプレゼントするつもりだから、そのつもりでね」
「う、うぅ...私、生きる!来年も再来年も、何度でも誕生日を迎えて、アリスさんから人形を作ってもらって、いつか幻想郷の住人全員分作ってもらいますから!」
「それは大変そうね。頑張って生きてちょうだい」
「はいっ!」
「それとこれも。香霖堂の店主からよ」
「これ...外の世界の本だ。しかも今は懐かしき
「ここに来るときに寄って来たの。そしたら自分は行けない代わりにって」
「これはこれは...後で霖さんにもお礼を言わなくては。持ってきて頂いてありがとうございます!」
「ついでだもの、お礼されるようなことでもないわ」
「...相変わらずアリスさんは平和ですね......」
「いやどういう意味よ」
「はぁい。貴女の大好きなゆかりんよ~」
「ゆっかり~ん!」
「相変わらずノリが良いですわね。それで、どう?色々貰っているようですけれど」
「うん!いやぁ、我ながら交友関係が広いと自覚するぐらいの量だよ。転生前じゃ絶対こんなに貰えなかったもん。...友達が少なかっただけだけどさ」
「あらら。今の人生を楽しんでるようで何よりですわ。では私からも一つ......」
「これは...まさかのインスタント麺!?」
「ええ。外の世界で暮らしていた貴女には懐かしいものでしょう?いつも貴女が食べているものに比べれば貧相で味も劣り、しかも健康に悪いけれど、それもまた良いでしょう?」
「うんっ!幻想郷じゃ絶対手に入らないからなぁ...懐かしいものをありがとう、紫!」
「いえいえ、どういたしまして。インスタント麺なんて安いものですわ」
「そうだね。価格にしたら大体一個約200円ぐらいだもんね」
「ええ。その程度で喜んでもらえたのですから、安い女ですわね?」
「いやっ、確かに安いカップ麺で喜んだ私だけど、そういう意味とは違うからね!?」
「ふふっ、冗談ですわ。そうそう、藍も渡す物があるのでしょう?」
「はい、では失礼して、これを」
「これは...え?まさかの油揚げストラップ!?こんなの売ってるの!?」
「外の世界に行った際に見かけたのだ。この形、この艶...間違いなくこれをデザインした職人は油揚げが好きだな!」
「う、うーん。確かに嬉しいけど、まさかの物で驚きの方が増してるよ......」
「せっかく私があげたんだ。大切にしろ」
「わ、わかった...大切にする」
「それでよし」
「しかしこれ、藍のストラップの方が価格的には金がかかって......」
「ならば増やせばいいですわ。貴女のお部屋にいっぱい置いておきますわね」
「そ、それはそれで困るような......贅沢を言うなら、色んな味をお願いします」
「はいですわ」
「榛奈-!アタイ達からもプレゼントを持ってきたぞー!」
「おー!チルノが用意したプレゼントって、別の意味で気になるよ!」
「おぉ!そうかそうか!なら喜んで受け取るといい!アタイが今朝湖で見つけた蛙の氷漬けだ!」
「うわぁ、予想を裏切らないチルノのおかげで、逆に安心したよ」
「なんだ?嬉しくないのか?」
「いやいや、嬉しいよ。...気持ちが、だけど」
「嬉しいか!なら良かった!ほら、大ちゃんもルーちゃんも!」
「う、うん!あの、これ、私と
「これは...わぁ、可愛い...これってポプリって言うんだっけ?」
「はいっ。幽香さんに教えてもらって、皆で材料を集めて作ったんです。榛奈さんはよく本を読んでいるので、読書に合った、ゆったりした香りを集めて......」
「どれどれ、すんすん...おぉ、これはこれは。確かに読書に合う香りだね。うん、こういうのって名前しか知らなかったけど、なかなか良いものだね」
「あの、喜んでいただけましたか......?」
「それは勿論!ありがとう、大ちゃん!皆にもよろしくね!」
「はい!榛奈さんが喜んでくれたって伝えますね!」
「私からもこれをやるのだー」
「これ...綺麗な石だね」
「その辺を飛んでたら見つけたのだー。綺麗だから宝物にしてたけど、あげるのだー」
「えっ、そ、そんなに大事な物なのに、私が貰っちゃっていいの......?」
「うんー。もちろんなのだー。それに他にも宝物はあるのだー」
「そっかー。じゃあありがたく貰うね!ありがとう、ルーミア!」
「喜んでもらえたようで何よりなのだ」
「うん!」(...これ、ペリドットの原石だよね......?私の誕生日石の......本当にこんな高価なものを貰っていいのだろうか......?...ま、いいか)
「これは...沢山貰っていますね」
「椛!椛も来てくれたんだ!」
「はい。招待されましたので。ではどうぞ、誕生日の贈り物です」
「おぉ、川の幸に山の幸...なんだか誰が用意したのか分かる様な選別......」
「ご想像通り、魚などはにとりが、山菜などは山の神が選んだものです。...私も手伝いましたよ?」
「そんなこと疑ってないよー。わぁ、どれも美味しそうだなぁ......」
「喜んでいただけたようで何より。...っと文様は何か渡さないのですか?」
「私?私はほら、今撮ってる写真が贈り物だから」
「それでいいのですか......?」
「いいよいいよ、椛。写真って形で今の楽しい日々を残せるんだもん。だからどんどん撮っちゃって!」
「はい!この私、『文々。新聞』の射命丸文にお任せください!皆さんの生き生きとした表情、いっぱい撮っちゃいますよー!」
「まあお二方がそれでいいのならそれで」
「はっ、フラン様の可愛らしい笑顔!」
「シャッターチャーンスッ!」
「榛奈~、お誕生日おめでとう」
「こちら、幽々子様のご用意した贈り物です。お受け取りください」
「こ、これは...!」
「うちで咲いた桜の花を押し花の栞にしたのよ~。綺麗でしょう?」
「はい、凄く綺麗で可愛くて...って、どうして真夏に桜の花が?」
「先日の異変では、冥界の桜も全て満開となりましたので」
「そういうことよ~」
「そういえば冥界なら余計に魂があっちこっちですもんね」
「そうなのよ~。それで、その時咲いた花をいくつかを取っておいたから、そこから選んだの~。本に挟むのにちょうどいいんじゃないかしら?」
「はい!それにそういう花なら魔力の通りもよくて、ずっと魔法をかけておけばずっと綺麗なままですし...ありがとうございます!こんな素敵な物をプレゼントしてくださり......」
「うふふ~。喜んでもらえたのなら何よりだわ~」
「はい!」
「さて、そろそろ私達もプレゼントを出しましょうか。はいこれ」
「これは...新しいティーカップですね。デザインが凄く綺麗で繊細で......」
「でしょう?私が選んだのよ」
「レミリア様が!?わわっ、気楽に触れてしまいました!傷や汚れを付けないようにしないと......」
「別にティーカップなんだから、普段のお茶に使っていいのよ?割れたらまた買ってあげるわ」
「そんな...!勿体ないお言葉です......!ですが、せっかくレミリア様から頂いたティーカップ。極力壊れぬよう、扱いには気を付けます!」
「そう...人の趣向はそれぞれだものね」
「レミィの次は私ね。はい」
「本...?って、これ......!」
「私の魔法の一部を書いたものよ。私の弟子なら、少しでも再現してほしいものね」
「それはもちろん!一生懸命読み解いて、練習して、師匠の技を盗んでやりますとも!」
「それは楽しみね」
「えへへっ、師匠の魔法の一部~♪師匠の一部~♪」
「肝心なとこを略さない」
「はーい」
「パチュリー様の次は私ですよー。はい、どーぞ!」
「座布団...いやクッションだ」
「どちらでも同じ意味な気がしますが...そうです、クッションです!長時間椅子に座ることの多い榛奈さん用に柔らかくてお尻の痛くならないものを作らせていただきました!」
「...ってことはコアの手作り!?すごい!ありがとう!」
「いえいえ、簡単な物でしたから。それで喜んでいただけるなんて、やはり榛奈さんは安い女......」
「って、それ聞いてたの!?あと全然違うからね!?」
「ふふふ~冗談ですよ~もう~」
「小悪魔の冗談もほどほどにして、私からもね」
「咲夜さんまで!?しかもこれってもしかして......」
「ええ。私がブレンドした、オリジナルの茶葉よ。その紙は上手に淹れるためのレシピ」
「わぁっ、嬉しいです!嬉しいですけど...上手に淹れれるでしょうか......?」
「大丈夫よ。貴女なら私と同じくらい美味しい紅茶を淹れれるわ」
「そうでしょうか......?っと、まだ淹れてみてもいないのに弱気じゃ駄目ですね。頑張ってこの茶葉で美味しい紅茶を淹れてみせます!」
「ええ。頑張って」
「はい!」
「咲夜さんの次は私ですね~。どうぞ、榛奈さん」
「これは...カーディガン?」
「はい。今の季節は必要ありませんが、これから寒くなってきますから。夜に本を読むときなど、身体を冷やさぬようにと思いまして......」
「じ、実用的な物が多い......」
「おや?気に入りませんでしたか?」
「ううんっ!すっごく気に入ったし、嬉しいよ!しかしこうも皆さんからのプレゼントを並べてみると、なんだかこれを使ってる光景が鮮明に頭に浮かびますね......。咲夜さんから貰った茶葉で淹れた紅茶を、レミリア様から頂いたティーカップに注ぎ、美鈴から貰ったカーディガンを羽織って、コアから貰ったクッションを椅子に敷き、師匠から貰った魔導書を読む......うん。すごく頭の中で描ける...というかこれ、もしかして示し合わせましたか?」
「あら、よく分かったわね。そうよ。私達皆で決めたの。そしてまだ、残っているでしょう?ほら......」
「あっ...う、うん......」
「......フラン様?」
「えっと、えっと......や、やっぱり私は後で!///」
「えっ、あっ、フラン様!?」
「...さっき覚悟は出来たって言ってたのに」
「あはは...先はまだ長いですねー......」
「え?え?あの、皆さん、フラン様はどうして逃げて...?」
「ちょっとまだ覚悟が固まってなかったみたいね。まっ、そのうち出来るわよ」
「案外その前に榛奈さんの方からいったりして...きゃっ」
「こあの妄想も意外とありえそうね。でも、まだしばらくかかるかしら」
「あ、あの、出来れば私にも分かるように説明を......!」
「そのうち分かるわ」
「それまでの辛抱ね」
「ええ?ど、どういうことなんですかー......」
~少女お開き中~
「...フラン様、こんなところに居ましたか」
「...榛奈......もう終わったの?」
「はい。皆さん帰っていきましたよ。酔いつぶれた方は咲夜さんがベッドまで運びましたが。その中に魔理沙姉の姿を見た時は頭を抱えました」
「ふふっ、魔理沙らしいね」
「そうですね」
「.........」
「...フラン様、夏とはいえ、夜は冷えます。あまり外におられると、風邪を召されてしまいますよ」
「...うん。でも、もう少し......」
「...かしこまりました。何か温かいものをご用意いたしましょうか?」
「ううん。いらない。だから、榛奈。少しでいいから、一緒に......」
「...はい。少しと言わず、いつまでも」
「...ありがとう」
「...今宵は満月ですね」
「うん...綺麗だね」
「はい......」
「...星も、綺麗だね」
「そうですね、星も月に負けないぐらい綺麗で......」
「...うん」
「......?」
「...ねえ、榛奈。今なら渡せるから、これ。誕生日プレゼント」
「これは...紅い宝石の付いた指輪のネックレスですか?」
「うん。この間里を歩いてたら見つけたの。宝石の名前は『スカーレット・レッド』って言うんだって」
「...まるでフラン様やレミリア様のためにあるような宝石ですね」
「...うん、そうだよ、ね」
「...どうかされましたか?」
「ううん。なんでもない」
「そうですか。...フラン様、ありがとうございます。こんなにも素敵で、綺麗な贈り物。一生の宝物です。本当に、すごく素敵で...大切で......」
「...榛奈?もしかして、泣いてるの......?」
「...はい。凄く嬉しくて、幸せで、もう怖いくらいで......」
「...大丈夫だよ。怖くないよ」
「...はい。フラン様、本当にありがとうございます。ずっとずっと、大切にしますね」
「うんっ」
「あっ、でもこれ......」
「あっ、そっか...もう榛奈には大切なネックレスがあったんだった......」
「...でしたら、こちらを外して、指輪の方の鎖に通して......」
「わぁ...すごく綺麗......」
「はいっ。陰陽玉と龍、そして紅い宝石...スカーレット・レッドの付いた美しい指輪。とっても綺麗で、美しくて......」
「(...榛奈がいつまでも、幸せでありますように)」
「...?何か言いましたか?フラン様」
「ううん。なにも。それよりほら、付けてあげる」
「...ありがとうございます。では、お願いしますね」
「うん。...はい、出来たよ」
「はい...本当に、凄く嬉しいです......」
「えへへ...喜んでもらえてよかった。...そろそろ中に戻ろっか」
「はい。そうですね」
「...ねえ榛奈、我儘言ってもいい?」
「はい、何なりと」
「...今夜は榛奈と一緒に寝たいな」
「...喜んで」
後書き~
20日の月がどんなのか調べた結果、たまたま2005年の8月20日は満月の日だったらしく、更にその数日前には花映塚がコミケで発売した日......
これはその要素を取り入れるしかないと書いた所存でございます。
そうそう、皆さん、「月が綺麗ですね」というフレーズを御存じですか?
そして「星が綺麗ですね」というフレーズも。
意味を知ったのなら、後は分かりますね?
そういうことですよ。切ないです。
それでは次回も、ゆっくりしていってね。