東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

今年も残すところ一か月もありませんね。今回も少し遅刻のほのりんです
さて、前回の榛奈さん。旧都へ向かう途中で橋姫と遭遇。特に何もなく進みました
今回は旧都に着くようですが......
今回もゆっくりしていってね!!


第42話『旧都です。なんであなたがいるんですか!?』

[旧都]

 

 

 橋姫と別れてしばらく道に沿って飛んでいれば着くのは日の光の届かない地底でも火で明るく灯された旧き都であった

 入り口には扉の付いていない門が建っていて、都の中では人ならざる者達が行きかっていた。中には人の姿すらしていない妖怪もいる。皆それぞれ騒いだりお酒を飲んだりして騒々しい。どうやらここが旧都で間違いないさそうだ

 

榛「はー。まさか本当に着いてしまうとは......」

 

――何言ってるの。さっきから見えてたのに――

 

 それでもいざ目的地に着くと実感が湧かないの。そりゃ見えてたけどさ

 

――はいはい。それよりも早く彼の元へ行こう。待ちくたびれてるかも――

 

 “待ちくたびれてる”って私が今日来ること知ってるのか?

 

――ちょっと連絡を取り合ってね――

 

 どうやって?

 

――禁則事項です♪――

 

 それを使われると困る......

 

――ま、とにかく行こ。道案内は向こうから来るだろうから、適当に歩いてれば会えるよ――

 

 はいよ。とりあえず真っ直ぐ歩くか

 

 そう会話して門をくぐり歩く。すると周りから聞こえてきていた騒々しさが別のものへ変わるのを感じた

 できるなら絡まれるのは勘弁なんだけどなぁ......

 とか思ってたら目の前に巨体が立ちはだかった。視線を上にあげるとそこには赤い体、二本の角を持った所謂赤鬼が私を見下ろしていた

 はぁ、やっぱりそうなるか......

 しょうがない。とりあえず強気でいきますか

 

赤鬼「よぉ、嬢ちゃん。ちょっといいか?」

 

榛「おういいぜ。何か私に用か?」

 

赤鬼「嬢ちゃん、人間だろ?こんな地下深くまで何しに来たんだ?」

 

榛「すごいな。さすがは妖怪。私を一目で人だと分かるとは」

 

赤鬼「そら分かるだろう。で、人間が何でこの旧都にいるんだ」

 

榛「何、ちょっと人探しに来ただけだ。私はそいつがここにいると聞いてな」

 

赤鬼「ほう、なるほどな」

 

榛「だからここを通してはくれないか?」

 

――気付いてる?――

 

 ああ。周りが囲み始めてやがる。まあこの程度、想定済みではあるがな

 ああくそ。そのニヤケ面、今すぐブッ飛ばしてぇ......

 

赤鬼「それはできねぇ相談だな。俺みてぇな優しい妖怪ならまだしも、ここには人間を食う妖怪がうじゃうじゃいる。食われねぇうちにさっさと地上に帰ってねんねした方がいいぜ」

 

榛「はははっ。自分で自分を優しいという妖怪がいるなんて面白いな。だが生憎と私はお前らのような妖怪に食われるほど弱くはないんでな。ご心配ご無用だ」

 

赤鬼「おいおい、せっかく人が心配してやってるのにその言い草はねえじゃねぇか??」

 

榛「何を言ってる。人じゃないだろうに」

 

赤鬼「ハッ、違いねぇ。ってことはよ、嬢ちゃん。喰われる覚悟はできてるってことだよな」

 

榛「ん?そんな覚悟はいらんだろう?お前“達”程度、すぐに片付けられる」

 

――あんまり挑発すると後が怖いよ――

 

 知るか。私はさっさと先に進みたいのに立ちはだかってくる奴が悪い

 それにこいつらは美鈴ほど強くもないからな。一人くらいならいけるだろ

 

赤鬼「へっ。言ってくれる。なら一発、俺たち妖怪の恐ろしさを教えてやらなきゃなぁ!!」

 

 そう言いながら赤鬼は右手の拳を突き出してくる。安直な攻撃だが、スピードが違う。見えないわけじゃないが、拳をはっきり目で捉えられるほどの速度ではなかった

 だが......

 

赤鬼「んなっ!?」

 

 私の能力があれば、この程度の攻撃は喰らわない。だって守ればいいのだからな

 

――...あまり自分の能力を過信しないで――

 

 何を言ってる。こいつら程度なら平気だろうが

 

――.........――

 

榛「...ふん。たかが人間、と甘く見るなよ」

 

赤鬼「く、クソがッ!」

 

 今度は左手を突き出してくるが、それも通らず、私の目の前で見えない何かに阻まれて止まる。向こうからすれば壊れない壁を殴っている感覚かもな

 

赤鬼「な、なんだこれ...まるで見えねぇ壁を殴りつけてるみてぇだ」

 

 ざわ...ざわ......

 周りで見てた妖怪たちの雰囲気がまた変わる。さっきまでは格下を見るような眼だったのに、まさか格下の相手が自分たちと同じぐらいの力を持つ鬼の拳を受け止めるなんて思わなかっただろう

 だが私は元々この能力は鬼の拳だって受け止められると何となく感じていた。だから心に余裕を持つことができる

 まぁ、こちらの攻撃は力不足で通らないだろうけどな......

 

赤鬼「...てめぇ、何者だ」

 

榛「霧雨榛奈。地上に住む人間の魔法使いだ」

 

 

 

赤鬼「...がっははははは!そうかそうかっ!人間か!がははははは!」

 

榛「...え。ど、どうした......?」

 

 名乗るといきなり笑い出す鬼。戸惑い周りを見れば妖怪達も同じような反応だった。皆笑う。それも嘲笑うのではなく、まるで楽しそうに

 よく分らん。何がどうなってる。私が人間だってのは最初から分かってただろうに

 

赤鬼「あー、悪い悪い!いやなんせ俺たち人間と会うのは久しぶりなんだ。それも弱いやつじゃなく、嬢ちゃんみたいな強いやつとはいつぶりだろうってぐらいなんだ。しかも昔いた人間みたいに正面から来るとはな!まさか嬢ちゃんのような人間がまだいたとは驚いた!」

 

榛「そ、そうか......」

 

 さっきと打って変わって砕けた話し方をする赤鬼

 なんだなんだなんなんだ。昔いた人間みたいってどういうことだ?

 

赤鬼「なあ嬢ちゃん。よかったら俺と戦わないか?」

 

榛「えっ......」

 

 うわっ。超断りたい

 って思ってるのに周りは「いいないいな!」とか「おいおい、俺だって戦いたいんだぞ!」とかそんな感じの声が湧く

 いやだいやだ。私は防御ができる程度で攻撃はあなた方相手だと無に等しいんだからなっ!?

 

赤鬼「な?ちょっとだけでいいんだ。勿論命だって奪いやしないし喰いもしない。いいだろ?」

 

 嫌良くない。全く良くないだろ!

 あなた方私を何だと思ってるんだ!こちとら純粋な人間なんだぞ!?ちょっと吸血鬼の館で働いてて、何度か死にかけてて、能力のおかげで防御が固いだけの弱い人間なんだぞ!?それなのに戦いたいとか馬鹿なのか!一発で死ぬわ!

 

――「私は弱くない」とか言ってた人が何言ってるんだか――

 

 それはそれ。これはこれ

 鬼相手とか余裕で死ぬからな!?

 

榛「い、いや...あの...えっと......」

 

 戦いたくない。マジで戦いたくない。というか死にたくない

 ど、どうしたら......

 

?「おいおい、そこまでにしとけ。彼女が困ってるだろ」

 

赤鬼「へっ!?あ、兄貴!?」

 

榛「は?“兄貴”?」

 

 声のした方を向けばそこにいたのは紺を基調した所々に白銀の線が入った和服を着た黒髪黒眼の男性だった

 というかすごい知ってる顔なんだけど......

 

龍「よぉ榛奈。久しいな。だがこんな短期間にもう一回会うなんてこと今までなかったし、久しぶりでもないか」

 

榛「あ、ああ。そうかもな」

 

龍「あ、なんで俺がここにいるんだ?って思ったんだろ?それなら道すがら教えてやるから、とりあえず移動しよう」

 

榛「わ、わかった」

 

 くっ、見事に私の思考を当てやがった。ま、まぁ大体の人がこういう時に思うことを考えてただけなんだけどな

 とりあえず龍の言う通り場所を変えよう。色々話を聞きたいし

 

赤鬼「ま、待ってくれ兄貴。俺その嬢ちゃんと戦いたいんだが......」

 

 まだ戦いたい気でいたのか!?私は本当に嫌だぜ!!

 

龍「おおそういやそんなこと話してたな。だが今はダメだ」

 

赤鬼「そんな。せっかく俺たち鬼とまともに戦えそうな人間に会えたのに」

 

龍「おいおいお前ら。こいつがお前らとまともにやり合えると本当に思ってるのか?」

 

赤鬼「え?どういう意味で......」

 

龍「こいつは人間だ。ちょっとその場の雰囲気に流されやすくて、そのくせ人間には打ってつけな能力を持っただけの弱いやつだ。その人間が、鬼とまともにやり合えると思ってるのか。と訊いているんだ」

 

赤鬼「だが確かに俺の拳を受け止めたんだ。その人間は相当のやり手だと俺は思うんだよ」

 

龍「それは能力あってのことだ。能力が無ければ妖怪にすぐ殺されるような弱いやつだよこいつは。大体こいつの攻撃だってお前らに通用するわけない。今のままならな。てなわけで悪いが今こいつを死なせる訳にはいかないんでね。対決だか喧嘩だかはしばらく待ってくれ。こいつを鍛えるからよ」

 

赤鬼「...わかった。兄貴がそう言うなら」

 

龍「おう。納得してくれたようで何よりだ。それじゃ行こうか榛奈」

 

榛「...ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 龍の後をついていく形で私は旧都の中を歩く。周りの妖怪たちは私の姿を...人間を見て色々と話そうとして、龍の姿を見た瞬間やめる。さっきの赤鬼が龍を“兄貴”と呼んでいたことにも関係あるだろうが......

 

榛「なあ、そろそろ話してくれないか?何故お前が此処(地底)にいる?お前の住む場所は此処とは真反対の上だろう?」

 

龍「まあなに、色々あるのさ。例えばお前を鍛えるための下ごしらえをするとかな」

 

榛「...もしかしてあいつが言ってた教えてくれるやつってのは......」

 

龍「○○が言ったのは残念ながら今回は俺じゃあない。あくまで俺は話を通すのと案内役だけだ」

 

 ...違和感がして、その正体はすぐわかった。

 私はまだ龍に教えてない。さっきっから黙りっぱなしのこいつのことを

 そもそもこいつは最後に龍に会った日よりも後に私に干渉してきた。だから話したことあるわけない

 なのに何故龍は私の中にいる○○のことを知っている?

 

榛「...私は確かお前に話したことなかったはずだよな。私の中にいるこいつのこと」

 

龍「これでも神様だからな。お前の中にいるもう一つの人格みたいなやつのことは既に認知してるさ」

 

榛「ふぅん。全知全能ってわけか?」

 

龍「まさか。知ってることは知ってるし、知らないことは知らない。できることもできないこともある。神だって完全な奴は少ないぞ。というか完全だとつまんないじゃないか」

 

榛「そうかよ」

 

龍「ははっ。ま、話を順番に話すとな。まずお前の中の奴が意識だけで俺に会いに来た。...いやこの表現は正しくないな。正確には奴が願い、俺を呼び出した。お前が寝ている間にな。俺はそれに応えて彼女と話したんだ。誰しもが持ってる意識だけの空間でな。そこで奴は俺に相談してきたんだ。『私を認知できるようになってきたってことはあの娘はそろそろ限界を感じ始めると思う。今のままの環境での成長の限界を。だから新しい成長の環境を作れないかな。あの娘はきっと今以上の強さを求めてるはずだよ』って。だから俺は提案した。誰かお前に強くなるためのやり方を教えてくれる奴を探してみる。それでそいつにお前を預けてみないかって。奴もそれに賛同し、さっそく探したんだ。そしたらこの地底に丁度いい妖怪がいた。そこで俺が此処の来て、その妖怪にお前を指南してやってほしいって頼み込んだんだ。色々あったが話はついた、ってやってた時に丁度お前が例の成長の限界を自覚し始めたんだな」

 

榛「そんなことがあったのか......」

 

 まさかあいつがそこまで私のことを考えてくれていたとは......

 普段は素っ気ないくせに、隠れて心配してくれてるなんて優しいんだな。お前

 

――.........――

 

 ...いつまで黙ってるんだか。

 

榛「もしかしてさっきあの妖怪がお前を“兄貴”って呼んでたのは......」

 

龍「あぁ、あれはちょっと最初に来た時に色々とな。それ以来何故か俺のことを兄貴兄貴って呼ぶんだ。まぁそう呼ぶのはノリのいい奴らか、或いは俺と戦ったことのある奴だけだけどな」

 

榛「...さっきの鬼はそこまでノリのいい奴には見えなかったけど」

 

龍「あいつとは素手で戦ったなぁ」

 

 ...つまり鬼と素手の殴り合いをしたんですね分かります

 はは、さすが神様......

 

榛「で、その私が限界を感じ始めたタイミングであいつはお前に言ったってことか?」

 

龍「そうそう。だから旅立つ前日ぐらいにまた連絡くれって言って、俺は俺で一度離れた此処にまた来たってわけだ。そして今日お前が来るってことは伝えてある。もう待ち構えてるぞ」

 

榛「まじか。待たせてしまったな」

 

龍「そんなことはない。むしろもう少し遅くなるかと思ったのに、意外に早かったな」

 

榛「そうか?途中仙人とか土蜘蛛とか橋姫とかと会ってたぞ?」

 

龍「だからこそもっと遅くなると思ったんだが、戦闘にならなかったのか?」

 

榛「いや、仙人には殺されかけたし、土蜘蛛とは強制的に弾幕ごっこをさせられたし、橋姫とは話すだけだったな。心配してくれたけど」

 

龍「...なあお前、殺されかけること多くないか?」

 

榛「いやそんなことは...ない...はず......」

 

 あ、あれ?そんなことない...よね?私極力戦闘は避けたい派だよ?遊びはともかく

 

龍「ま、いいか」

 

榛「...そうだな」

 

 人生そんなもんだよね。殺されかけることが多い人生とか勘弁だけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 そんな会話をしながら奥へ奥へと進んでいけば大通りからは離れていって、気づけは人気...じゃなくて妖気?がなくなっていた。どうやら旧都の中でも妖気の少ない場所にその妖怪とやらは住んでいるようだった

 しかし周りに建つのはまるで寝るためだけに建てられたような小屋ばかり。表の酒屋ばかりとは正反対だな。まあ妖怪の都だし私には関係ないけどね

 と周りを見ながら歩いていたら前を見るのをおろそかになっていて、足を止めた龍の背中に追突してしまった

 

榛「わぷっ」

 

龍「っと。ちゃんと前見ながら歩いてないと危ないぞ」

 

榛「あはは、悪い悪い。ちょっと里とは違った感じで思わず見渡してたんだ」

 

龍「里と違うのは当たり前だろう。ここは妖怪の都なんだから色んなところが妖怪基準だ」

 

榛「それは分かってるんだけどな」

 

龍「ま、田舎者が都会に出てきたときと同じような反応するのも無理ないか」

 

榛「...それは私が田舎者だと言いたいのか?」

 

龍「まさか。お前は外来人なんだから、幻想郷の中じゃ都会の人間のようなものだろう?住んでるとこなんて貴族の館だ。そんな人間が田舎者だなんて、それだと幻想郷中の人間妖怪が田舎者になっちまう」

 

榛「ふん。本心はどうだかな」

 

龍「おいおい。...ま、それはともかくついたぞ。ここに例の妖怪がいる」

 

榛「...こんな辺鄙なとこにか?」

 

龍「まあ確かに大通りからは離れているが、逆に大通り付近に住んでると昼夜問わず喧しいから眠れないだろ」

 

榛「あ、そう考えれば確かにこれぐらい離れてたほうが逆にいいのか」

 

龍「そういうことだな。それに対して不便でもないらしいぞ」

 

榛「ふぅん。そうなのかー」

 

龍「そうなのだー」

 

榛・龍「わはー」

 

?「...なに人の家の前でふざけている?というか話が長い。待たせすぎじゃ」

 

 別にわざとふざけていたわけじゃなくて、ただそうなのかーって言ったら龍も乗ってきただけで、そしたら思わず言ってしまうだろ?“わはー”って

 ってこのおじいさんどちら様?目の前の小屋の扉から出てきたけど......

 

龍「おおじいさんすまんな。ほら、こいつが例の魔法使いだ」

 

?「ほう。こやつがお主の話しておった娘か」

 

榛「え、えっとはじめまして。霧雨榛奈です」

 

妖忌「うむ。儂は魂魄(こんぱく) 妖忌(ようき)と申す」

 

榛「...はぃ!?」

 

 お、おいまて今この爺さん魂魄妖忌とか名乗らなかったか!?

 魂魄といえばあの白の玉の楼の庭師の家系の名だったよな!?

 しかも妖忌って現庭師の祖父じゃ......!?

 

妖忌「どうした?」

 

榛「い、いえちょっと待ってください。おい龍!!」

 

龍「お?どうしたそんな驚いた顔して」

 

榛「そりゃ驚くだろ!?ちょっと面貸せ!」

 

龍「お、おいおい。そんなカツアゲするような学生っぽいこと......」

 

榛「い・い・か・ら!こっちこい!」

 

 一旦妖忌から離れ、ついでに少し魔法かけて声が聞こえないようにして龍と小声で話す

 

榛「(お、おいどういうことだよ。何であの魂魄のおじいさんがいる。ここは地底だろ?冥界じゃない)」

 

龍「(その辺りは俺も知らん。地底でお前の師となりそうなのを探した結果、偶々あのじいさんがいただけだ。で、以前弟子がいたんならまた弟子を取るくらいはしてくれるだろうって思っただけだし)」

 

榛「(そ、それであ、あの庭師の師に声かけたってのか?)」

 

龍「(その通りだが...何をそんなに驚いて...って怯えてるのか?)」

 

榛「(そ、そりゃ怖いもん。だって相手はあのピンクの悪魔さえ苦手とする厳格な存在だぞ?その相手とか怒られるかもって怖くもなるわ......!)」

 

龍「(ああ、その辺りは心配しなくてもいいぞ。どうもその辺りは現役を引いた身だからか、緩くなってるみたいだし)」

 

榛「(そうはいうけどなぁ......!)」

 

妖忌「おい、そろそろいいか?」

 

榛「はははぃ!いいです!大丈夫ですぅ!!」

 

妖忌「そうか。ならひとまず上がるとよい。茶を出してやろう」

 

榛「あ、ありがとうございます!」

 

 お、怒られるのは嫌だよ私。怖いの嫌いだもん

 と、ともかく怒らせないようにいけばいいんだよね。それで色々教えてもらえれば......

 

 素直に玄関から小屋に入れば中は言うなれば1Kのアパートみたいな感じだった。ホントに寝れればいいやみたいな。ただ隅々まで掃除されているのは、誰の目で見てもわかるくらいだ。荷物も整理整頓してあって、全く散らかっていない。私の部屋も職業柄日頃から片づけてあるが、彼には敵わないな。さすがだ

 

妖忌「そこに座って待っておれ。すぐ茶を入れよう」

 

榛「ありがとうございます」

 

龍「さんきゅー」

 

 ちょっ、龍!?

 そんな言葉遣いだと怒るんじゃ......

 そう思っていたけど、妖忌は特に気にした様子もなく茶を沸かし始めていた。龍の言う通り本当に緩くなっているらしい。私の知識だと自分にも相手にも厳しい、厳格な人だって情報だったんだけど、そう構える必要もないのかな

 龍は部屋の中央にあるちゃぶ台の周りに敷いてある座布団の一つに座る。私もそれに続いて隣の座布団に座る。しばらくすれば妖忌はお盆に載った急須と三つの湯飲みをちゃぶ台に載せた

 湯気の立つ熱々の緑茶。お茶の中では好きな分類に入るそれも、少しは解れたけど今の私は緊張で手が出ない

 今までの相手はそう大して礼儀とかいらなかった。でも今回はまさに事欠くとすぐ切られそうで怖い

 

妖忌「霧雨よ。あまり怖がるでない。別に取って食いやしないぞ」

 

榛「そ、それはわかってます」

 

龍「大丈夫だ妖忌。こいつはちょいと昔色々あってな。初対面の男相手だと怖がるだけだ。時期に慣れる」

 

妖忌「そうか。それは配慮が足りなかったな。すまない」

 

榛「い、いえ!妖忌さんのせいではありませんから!」

 

妖忌「ならばよかった。それで本題に入るのじゃが......」

 

 その途端空気が変わった。とても真剣な場。ふざけるなんてできないな

 ここでもし本人に断られてしまったら、何のためにここまで来たんだ、となってしまう

 そのまま紅魔館に帰るなんて、恥知らずにも程があるからな

 絶対ここで修行する。強くなるんだ!

 

龍「ああ。前にも言ったとおりだ。こいつを鍛えてやってほしい」

 

榛「お願いします!」

 

妖忌「ふむ......」

 

 私は頭を下げ続ける。その間妖忌の見定めるような視線が刺さってくるが、我慢我慢......

 

妖忌「...よかろう。じゃが儂の修行は厳しいぞ」

 

榛「覚悟の上です」

 

妖忌「ほっほっほ。ならば今日から鍛えてやろう」

 

榛「~~!ありがとうございます!!」

 

妖忌「じゃがお主が儂の期待を裏切るようならば即中止じゃ」

 

榛「無論、そのようなことのないよう精進してまいります」

 

妖忌「ならば着いて参れ」

 

榛「はっ!」

 

 そのまま妖忌は外へ出ていき、私もそれに続く

 これからの修行。きっと...いや絶対厳しいだろうが、絶対に負けない

 主フラン様のために!

 

龍「...俺も少しは教えてやるかなぁ......」

 

 そんな龍の言葉は誰にも伝わることなく響くだけであった




後書き~

最近ノートPCを軽くて薄い最新の格安に買い替えた...というより執筆用に買ったので少しは書ける時間が増えるかなと考えてます
とは言っても書けるかはまた別の話なのがなぁ......
次回、もしかしたら数か月くらい時間が跳ぶかもしれませんが、
ゆっくりしていってね!!
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