東方変守録   作:ほのりん

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前書き~

インフル、怖いね!
投稿した日には体調はある程度回復してますが、これ書き終わったのインフルになる前日とかいう偶然。その日のうちに投稿しておけばもっと早く皆さんに続きを見せられたのにな、とか思ってます。
それはともかく、今回から書き方を変えました。そのうち前に投稿してある分も変えようとしてます。
違和感あるかもしれませんが、ゆっくりしていってね!


第3章『妖々夢です。強くなったかな』
第43話『春がこないのは絶対異変だぜ!』


《5月》

 

 幻想郷は今5月で、例年なら桜はもう咲き散って、だんだんとジメジメしていくこの時期。でも今年はおかしなことに外では雪が降り積もっている。それは今日だけかといえば、そうでもなく。冬からずっと春に変わらず、毎日のように寒い気温と雪が続いている。

 これは明らかに異変だ。そう思い行動した一人、魔法の森に住む魔法使い『霧雨 魔理沙』は暖かい服へ着替え、箒と帽子を片手に空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 時を同じくして紅魔館では瀟洒な従者が頭を悩ませていた。

 去年までの冬と違い今年はずっと春が来ないため、そろそろ館にある暖炉の薪が切れそうになっていたのだ。このままでは部屋を暖かくできなくなる。かといって里に行っても、もう売り切れているだろう。どうするべきか。

 そう考えている従者の元へ彼女の主がやってきて言った。「これは異変よ。てことで咲夜、この異変を解決して紅魔館の名を幻想郷中に知らしめてきなさい」と。

 従者はこの寒い中出るのは嫌だなと思ったが、主に命令されてしまった以上しょうがない、と気持ちを切り替えていつものメイド服で門を出ようとすると門番からこのままでは寒いから、とマフラーを着けさせられ、そのまま異変の手がかりを探しに向かった。

 

 

 

 

 

 それから少しして、神社では巫女が部屋で炬燵に入り込んでお茶を啜っていた。するとそこへ襖が勢いよく開かれ、魔理沙が現れた。

 

「おい霊夢!異変だぜ!」

「...ええ分かってるわよ。だから早く閉めて。寒いんだから」

「お、おぅ悪かったぜ...じゃなくて!異変だぜ!?異変!解決しなくていいのか?」

「そうねー、解決しなきゃねー」

 

 そう言いつつも霊夢は剥いた蜜柑を一粒口に入れた。完全に興味なさげである。

 しかしそんなことお構いなしに魔理沙は霊夢を連れ出そうとする。

 

「だったら蜜柑なんて食べてないで行くぞ!さっさと解決して花見するんだぜ」

「花見、ねぇ」

 

 『花見』という言葉に少しだけ反応する霊夢だが決断には至らない。自分ひとりで行ってもいいが、霊夢といた方が楽に...ごほん。楽しく異変解決ができるんだが...と魔理沙が思っていると、そこへもう一人神社に降りてくる人がいた。

 

「こんにちは霊夢。何か情報は持ってないかしら?」

 

 紅魔館の銀髪の従者、十六夜咲夜だった。

 何か異変を解決する手掛かりがないか考えると、神社に行って霊夢に聞いた方が早いと考えた彼女が神社に来たのだ。

 

「おう咲夜じゃないか。どうだ?調子は」

「そうね、あの子がいない分仕事が忙しいこと以外は変わりないわよ」

「ってことはまだあいつは帰ってきてないのか......」

「ねぇ、それはいいから早く閉めて」

「いやいや、だから異変なんだぜ?異変だって分かったら解決しに行くのが巫女だろ?」

「別に異変なんて人間が解決すればいいんであって(博麗の巫女)が解決しにいかないといけないわけじゃないわ」

「あら、それじゃあ貴女(博麗の巫女)がいる意味がないわね」

「そ、そんなことは...ない...だろ......?」

「そりゃそうよ。他にも悪さをする妖怪退治や神社の掃除だってあるのよ」

 

 昔から霊夢を...博麗の巫女の仕事を見ていた魔理沙はどんなものがあるのかある程度は知っていた。だから異変解決以外に大きな仕事があるかと言われれば特に思いつかず、思わず霊夢を見る。霊夢は霊夢で咲夜に言い返す。

 しかしそれも他の者でもできるのでは、と咲夜は思うもあえて言わず、今起きている異変に関して訊くこととした。

 

「それで霊夢、この長く続く冬について何か知らないの?」

「知らないわよ。そこらの妖精にでも訊けば?」

「もう訊いたわよ。うちの前によくいる馬鹿(チルノ)に」

「そしたらなんだって?」

 

 魔理沙は多分倒されたんだろうなと同情しつつも、何か得られたのか気になり訊く。

 それに咲夜は肩をすくめて答えた。

 

「残念ながら何も分からなかったわ。館の前で騒いでたから何かあるのかと思ったのだけれど......」

「あ~、多分氷精だから冬が長く続いてはしゃいでるんだろうな」

「ええ。本人もそんなことを言ってたわ。それに私が冬を終わらせたいと言ったら攻撃してきたし」

「落としたのか?」

「真っ逆さまに」

「おぅ、こりゃ咲夜も霊夢と同じで敵には容赦ないな」

「あら、これでも自重している方よ」

「ああそうかい」

「だからさっきから言ってるけど閉めなさい。あと出ていきなさい」

 

 ついに、というかさっきから魔理沙達を睨みつけていた霊夢は、とうとう二人に出ていくよう言った。しかし魔理沙も魔理沙で諦めない。

 

「だから霊夢、外に行こうぜ。なんならどっちが先に異変を解決するか競争だ」

「あら、それは私も参加させてもらおうかしら」

「おういいぜ」

「私はしないわよ。二人で勝手にやってなさい」

 

 どこまでも行かないと強情な霊夢。

 ここまでくると自分が何言っても無理だなと、とうとう諦めた魔理沙はため息を吐いた。

 

「はぁ、わかった。だったら私が異変の犯人をぼっこぼこにしてやる。後から来て出番がなかったって嘆いても知らないからな!」

「はいはい」

「あら魔理沙。異変を解決するのは私よ。お嬢様の名も広めなければならないし」

「へへっ、どっちが先に解決できるか勝負だな!」

「望むところよ」

「わかったからさっさと出てけ」

 

 霊夢に追い出されつつ、二人は相手よりも先に異変を解決しようと繰り出す。魔法使いは妖怪の山の方向へ、従者は里の方へと。

 ようやく人がいなくなり落ち着いてゆっくりできると思った霊夢。

 しかしどうやら周りは彼女を放っておかないようだった。

 

「......ねぇ、そこで見てないで出てきたらどうなの?」

 

 誰もいないはずの部屋で、霊夢はそう言う。すると霊夢の向かいに一筋の切れ目が出て、パックリと割れた。気味の悪い目がギョロギョロとこちらを見ているその空間から出てきたのは、白い帽子を被った九尾の狐。

 

「気づいていたか」

「隠す気なかったでしょ」

 

 霊夢は睨みつけながらそう言った。

 霊夢にとって目の前の狐...妖狐が出てくるのは厄介事を持ち込まれることが多く、そんなものに首を突っ込みたくないと考えている霊夢はどうしてもこの狐の相手をするのは苦手だ。何分この狐の主でさえ来ると毎回お茶か茶菓子を無断で持っていき、自分の前に現れれば何修行だのなんだのと面倒事だらけになる。

 毎日お茶を飲んでだらだらしていたいのに。

 そんな霊夢の気持ちとは裏腹に目の前の狐は問題事を持ち込んだ。せっかく先ほど追い返した問題を。

 

「先ほどの人間も言っていたが、霊夢。これは異変だ」

「それは分かってるわよ」

「ならば分かるだろう。異変を解決するのは博麗の巫女としての仕事」

「確か何かの決め事だと異変は妖怪が起こして、人間が解決すればいいんでしょ。私じゃなくても......」

「その人間の一例が博麗の巫女だ。そして博麗の巫女の仕事は異変を解決することでもある。お前が博麗の巫女として生きている以上、幻想郷で起こる異変は解決してもらわなくては困る。でなければ......」

「チッ...あーもう!分かったわよ!異変の犯人とっちめればいいんでしょ!分かったから用件がそれだけならさっさと出ていきなさい!」

「分かったのならそれでいい。それではな」

 

 そう言うと狐は気味の悪い空間へ戻ると、そのまま空間は閉じ、消えた。

 霊夢はめんどくさそうに頭を掻き、盛大にため息を吐くとようやく炬燵から立ち上がった。

 そして箪笥から必要な物を取り出すと、外に出て空を見上げた。

 相変わらず空は雲で覆われ、白く小さなものが降っていた。

 息を吐けばもう見飽きた白い息。

 それらを見ながら、霊夢は諦めたように空へ飛んだ。

 行く先は勘の向くまま。その体は自然と空へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

【???】

 

「紫様、巫女が漸く動くようです」

「そう。他に動く人はいたのかしら?」

「私が言う前に二人程。巫女と仲の良い魔法使いと紅魔館のメイドが」

「思ってた通り、その二人も動くのね。でももう一人動きそうな子がいた気がするけれど......」

「現在式神を使い探しておりますが、全くと言っていいほど姿が見えません」

「そう、彼女、どこへ行ってしまったのかしら」

「申し訳ございません。私がしっかり監視していなかったせいで」

「それはもういいわ。どちらにしろ、彼女の力は私には遠く及ばないでしょう。藍、しっかりと彼女たちを監視しておきなさい」

「御意」

 

 

「さて、ここまで異変を放っておいたんだもの。きっと幽々子のところは凄いことになってるでしょうね。あの桜が復活しなければいいけれど......」

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