前回のあらすじ
妖怪の山の近くではようやく地底から帰ってきた榛奈が久々の幻想郷の空気を楽しんで、それから異変解決へ乗り出しました。
今回は前々回で異変へ乗り出した魔理沙、咲夜の話です。
それではゆっくりしていってね!!
雪の舞う中、人里へ向かって飛ぶ影が一つ。
先ほど博麗神社から出てきた咲夜だった。
彼女はよく買い物で人里を訪れる。そこから誰か冬の妖怪を知っている人物に会おうとしていたのだった。
彼女には霊夢のように勘が鋭いわけでもない。魔理沙のように幻想郷を知っているわけでもない。
ならばこうして、自分の持つ人脈を頼りにしてみるのも一つの手だと考えたのだ。
まぁ最も、彼女は人里で異変の犯人の情報が見つかるとも思ってないが。
ついでに今日の夕飯の材料でも買っていこうと考えている程度である。
しかし彼女のそんな思いとは別に何かに当てられた妖精達は飛び回り、彼女に襲い掛かり、即座に落ちる。所詮雑魚妖精である。
そんな彼女の前に、現れたのはさっき見た気がする青い妖精だった。
「あーっ!みつけたわ!さっきの人間!」
「あら貴女は...さっき落とした妖精ね。何?復讐でもしに来たのかしら?」
「ええそうよ!ってことでレティ!やっちゃって!」
そうチルノに言われて出てきたのはウェーブがかった髪に白い帽子を被った1ボスだった。
「くろまく~」
「そう、貴女が黒幕ね。なら早速貴女を倒してこの長い冬を終わらせるわ」
「ちょい、待って!私は黒幕だけど、普通よ」
「普通の黒幕って何よ。大体貴女妖怪でしょう。何妖精に従われてるのよ」
「別に従ってるわけじゃないわ。この子がちょっとうるさかっただけよ」
そう言ってレティは目線をチルノへやる。チルノはそんな会話をしているなんて知らず、少し遠くで「いけー!レティ!生意気な人間なんて倒しちゃえー!」なんて言っている。思わず咲夜も同情しかけた。
「...そういうわけだから、形だけでも戦ってもらえないかしら」
「時間がもったいないわ」
「まぁまぁ。私自身、さっさとこの長く続く冬を終らせてもらって、早く春眠したいのよ。だから正直あなたの邪魔をしたくはないのだけど、だからってあの子がうるさいままなのも嫌なの」
「だからあなたに付き合えと?」
「そういうこと」
「嫌よ」
「そこをなんとかね?」
「こうやって話してる時間だってもったいないわ」
「少しはこの異変について教えてあげるから」
「...それは欲しいわね」
「ほんと?」
「あなたの知ってる情報って何かしら?」
「ええ、それはね...って教えるわけないじゃない!私に勝ったら教えてあげるわ!」
「はぁ...仕方ない」
咲夜は諦めてレティと距離を取る。
そしてお互いにカードを構えたら、誰に言われずとも勝負が始まった―――
場所は変わって妖怪の山。その麓を飛ぶ箒に乗った魔法使いがそこにいた。
「あーくそ。レミリアの時もそうだが、こうも視界が悪くっちゃ周りが見えにくくていけないぜ。しかも霧の時は暑さを和らげてたからいいが、今回は寒いのが続いてるもんだからなー。どうせならもう少し着こんでくるべきだったか?」
なんて独り言を言う彼女に反応するものはいない。山の中でも麓だからか、哨戒天狗も突っかかってこないようだった。
だがどうせなら今回は一人でも来てくれれば話でも聞けたのに。面倒な時ばかり来て、肝心な時に来ない奴らだぜ、と魔理沙は思った。
そうこうしているうちに、ついに自分の居場所も分からなくなってきた魔理沙。森の中を飛んでいたのが悪いのだろうか。迷子にでもなってしまったかと思っていると、視界に気になるものが映った。
「お?ありゃ家か?なんでこんなところに......」
そう思っても知識がないのだから分かるわけもない。とりあえず異変の手がかりでもないか、と少し寄ってみることにした魔理沙は、その場所へ向かって飛ぶ。すると魔理沙の体は森を抜け、空けた空間にたどり着いた。そこには古く、あまり手入れされているようには見えない家が立ち並んでいた。
「どれも廃家だな...此処は昔村だったのか?」
魔理沙もかつて住んでいた人里は幻想郷でも主に人間が集団生活する場の代表ではあるが、それ以外にも村はある。とはいっても人里以外は幻想郷の法に守られているわけではないので、大体は知性のない妖怪の餌食となることが多い。この村の人間も妖怪に食われてしまったのだろう、と魔理沙は思った。
しかしこういうところにこそ、お宝は眠っているものだ。
「ふむ...ならばここはお宝をぬす...借りていくか。ほらあれだ、異変に関係するものがあるかもしれないからな!」
誰に言い訳しているのか分からないが、とりあえず魔理沙のいつもの泥棒癖...もとい借りる癖が出たようだ。
早速家に入り込もうと近くに降り立つと、物陰から何かが飛び出してきた。
「おわっ。...なんだ猫か。ってそういやなんか多いな。この辺り」
飛び出してきたのは茶色の毛の猫だ。そこで魔理沙はこの辺りに猫がやたら多いことに気が付いた。里でもそこそこ猫はいたが、こんな廃家が並ぶ場所にこんなにいるとは、もしやここは猫の巣か何かか?
「ま、私としては良いものが手に入ればそれでいいが......」
「呼ばれて飛び出て......」
「出る杭は打たれる、か?」
魔理沙が声の聞こえた方を見ると、そこには緑の帽子を被った少女がいた。しかし頭には猫の耳、後ろには細い二本の尻尾が見える。間違いなく妖怪だ。
「私は
「四本足の生き物に用などないぜ」
「迷ヒ家にやってきたって事は、道に迷ったんでしょ~?」
「道なんてなかったけどな」
「さっきから吹雪で視界悪いし、風向きもころころ変わってるから」
「そうか、風向きが変わっていたのか」
「もう帰り道も判らないでしょ」
「どうりで」
ここまできたらやることはただ一つ。
相手の妖猫もそれは分かっていた。
互いにカードを構えれば誰の合図もなし。
迷ヒ家は本人たちが舞いつつ星やら球体やらが舞う弾幕の光で包まれた。
後書き~
次回は榛奈があの人の下へ向かいます。
次回もゆっくりしていってね!!