今年はまだまだあるけど、今日で平成最後ですね!
次の『令和』を口に出すのは慣れないですけど、平成と同じくそのうち慣れるものでしょうね。十回くらい言えば慣れるかな。令和令和令和れいわれいわれいわれいわ......
は、ともかく前回のあらすじ!
前回、霊夢は騒霊三姉妹と戦いました。魔理沙は山で猫又と戦って色々拝借しました。咲夜は里で買い物しました。榛奈さんは九尾の狐と戦うようで......
今回は騒霊を倒し終わった霊夢さんと、そこに合流した魔理沙さんと咲夜さんのお話です。
是非ゆっくりしていってね!!
しばらく時間の経った頃、死者の世界へ繋がる道に、三人の少女がいた。
一人は紅白の巫女。一人は白黒の魔法使い。もう一人は銀髪のメイド。
彼女達は、少し前に霊夢が倒した三人の騒霊から、冬が終わらないのは春が奪われたから。その春が冥界に集められているとの情報から、冥界に異変の犯人がいると目星を付け、霊夢の勘で冥界へ繋がる結界を見つけ、それを突き破って此処にいたのだった。
「ここが冥界って場所か。あんまり居たくない感じがするぜ」
「そりゃそうでしょ。普通私達人間は生きている間は来ないはずなんだから」
「にしても、あの妖怪たちが言っていたのは本当のようね。結界を破った先はこんなにも暖かい」
「さっきあいつらが言ってた春の欠片ってやつが集まってるんだろ。ったく、せっかくあいつがいつ帰ってきても宴会が開けるようにって思ってたのに、春にならないから花見もできないだろ」
「アンタそんな準備してたのね」
「そりゃあいつはまだ宴会をしたことはないって言ってたからな」
「そうね。紅魔館じゃパーティーはやっていたけれど、まだ日本形式の宴会っていうのはやってなかったわね」
「そうそう、だから私が絶対開いてやるって約束したんだ。だからあいつも約束を守って“生きて”帰ってきてくれるはずだ」
「でも、もしかしたら此処にいたりするのかもね......っ」
霊夢はそう口に出してから後悔した。その言葉は、遠回しに魔理沙の妹がもうこの世からいなくなっているのを指していたから。
別に霊夢は魔理沙を悲しませたいわけじゃない。彼女が悲しんでいると自分も調子が狂うのは過去に、自分の妹が里からいなくなったと彼女が知った時に経験済みだ。
だが霊夢の気持ちは杞憂だった。魔理沙は大きく「大丈夫だぜ」と言うと、霊夢の方を向いた。
「私の妹が、約束一つ守れない軟弱者なわけがない。だから絶対、榛奈は帰ってくる。怪我をしてでも、心が壊れていようと、“生きて”帰ってこいって約束したんだからな!」
「...そう。そうだといいわね」
「そうじゃなきゃ私の方も困るのよ。あの子がいない分楽が出来ないし、妹様の機嫌も悪くて」
横から話に参加してきたのは咲夜。彼女もまた自分の部下の帰りを待っているのだ。
「そういやあいつが出てってから図書館の空気が妙に暗かったんだが、それも榛奈がいないからか?」
「パチュリー様にとっても榛奈は大切な家族だもの。いなくなって落ち込んでるのも無理ないわ...ってお嬢様が」
「お前が思ったんじゃないのかよ」
「そんなこといいから、さっさと異変を解決しに行くわよ。この上に犯人がいるようだし」
「はいはい。ちぇ、神社じゃあんなにも行くのを断ってたくせに」
「事情が変わったの」
「意見がころころ変わる巫女ね」
そんな咲夜の言葉を無視して、霊夢は、そしてそれにつられて二人も上へと続く長い長い階段を見上げる。石段作りの階段は、遥か遠くで途切れていた。そこが冥界への出入口のはずだ。
霊夢たちがいるのは冥界の中心よりも少しばかり遠い場所だが、それでも肌に纏わりつく死気は、霊夢たちに、ここが死者の国であることを体感させる。
さっさと異変を解決して、さっさとこんな場所を出る。
霊夢たちは、こんなところ早く出たいと思っていた。
死者の気配は、生者には毒なのだ。
しばらく階段の上を飛んで進めば、ようやく見えてくる階段を上ったその先。そこには大きな門と、高い塀が此処から先が冥界だと区切っていた。
とはいえあくまで目に見える形で区切っているだけで、霊夢たちが結界を破りながら入ってきた時点で冥界だが、あそこはあくまで道だ。地上より辺りを漂う死気が強いだけで、門から先は、これまで以上に死の気配が強いだろう。普通の人間なら精神が侵されて廃人同然となるかもしれない。
そして、その門の前には、一人の少女がいた。
真っ白な髪に黒いリボンを着け、白いシャツに青緑のベストとスカートを着た少女。その腰には二刀の長さの違う刀が携えており、傍らには白く、通常よりも大きな霊魂が浮いていた。
「この先は白玉楼。人間がここに来るということは、それ自体が死のはずだけど」
「少なくとも私は生きてるぜ」
「死んでてもこんなところ来たくないのだけれど」
「あぁなるほど。勘だと思ってたらあの世にお呼ばれしてたのかぁ」
「あなた達はまだお呼びではないから、帰りなさい。この先へ進むことは、生きた人間の常識で物を考えると、痛い目にあうわ」
「それはちょいと出来ぬ相談だな」
「相談なんてしてないんだけど」
「とりあえずその門を開けてくれない?アンタ門番でしょ?」
「私はこの白玉楼の剣術指南役兼庭師だ!門番ではない!」
「じゃあなんで門の前にいるのよ」
「私はこの冥界に侵入者が入りこまぬよう見ておくようにとお嬢様より仰せつかったの」
「...ねぇここってもう冥界じゃないの?」
「いや、あの結界を超えた時点でここは冥界だろ?」
「もうすでに侵入者が入りこんでるわね」
「......あっ」
「まぁ見ておくだけなら私達が入ったのを見てればいいじゃないか。何も行動せずにだ」
「それってうちの門番より役に立たないじゃないの」
「ぅえーい!侵入したからにはこの先へは死んでからじゃないと進ませない!」
「死んだら進めたのか」
「どっちにしても生きて異変を解決するけれどね」
「さっさと冬が終わってくれないと、薪がなくて凍え死んでしまうわ」
「いいからお前たちの持つなけなしの春を奪ってやる!」
「へぇ、やるのね?」
「いいぜ、相手になってやる」
「時間のムダな気がするんだけれど、お嬢様に命令されちゃったしね」
「妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、あんまり無い!」
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「とか言ってたが、大したことなかったな」
そういう魔理沙の背後には、ボロボロで倒れ伏した、先ほどの少女の姿があった。
無論死んでいるわけではない。きちんとスペルカードルールに
とかなんの罪悪感もなく思えるのは、彼女の人格故である。普通の人は相手の承諾なく三対一の勝負になった時、正々堂々とやったなどと胸を張るのは、ただの恥知らずなのでやらないように。要は相手に許可を取ればいいのだ。
「そりゃそうでしょ。さすがに三人でやったんだから」
「むしろよく三対一でよく持った方よ」
「そうかい。で、この先がこいつの言っていた白玉楼とかいう処だな」
「“お嬢様”とか言ってたし、間違いなくこの先にいるんでしょうね。春を奪った犯人が」
「なら行きましょ。早く異変を終わらせて花見をするわよ!」
そう言って彼女達は門を潜る。
門の先には大きな和風の屋敷があり、庭園まであった。その屋敷を囲むは、今年はまだ見れてない満開の桜の木々。地上でもあまり見れないほど美しい光景だ。
だがそれ以上に、此処が冥界であると証明するかのように漂う霊達の姿が目に付く。
こんなところじゃ例え呼ばれてたとしても宴会はしたくないなと三人は珍しく意見を揃えた。
そしてそんな大きな屋敷を跨ぐと、石畳の道が奥へと続いており、その先にはここからだと視界に収まることがないほど大きな大きな大樹にはピンク色の桜をつけているように見える。その樹の元には、誰かがひとり、浮いていた。
なるほど、おそらくあそこにいるのが春を独り占めする犯人だな。
そう思った魔理沙はさっそく行こうとするが、それを霊夢が止めた。
「おいおい、なんだよ霊夢。まさかこんなところで怖気づいたなんて言わないよな?」
「私が怖気づくわけないじゃない。そうじゃなくて、この先、妙に嫌な予感がするのよ」
「それを怖気づいたというんじゃなくて?」
「まあまあ。霊夢、それってお前の勘か?」
「ええ」
「なら警戒した方が良いな」
「前から思ってたのだけど、どうして魔理沙は霊夢の勘をそこまで信じるのかしら?」
「まぁ昔から霊夢と居て、霊夢の勘がよく当たるのは知ってるからな。榛奈のも当たるし」
「ふぅん。なら警戒しときましょうかね。あの従者だと主も大して強くなさそうではあるけど」
「まっ、それもそうだな」
「相手を侮るのはいいけど、警戒はしときなさい。何かあっても知らないわよ」
「あいよ。じゃ、一番乗りだぜ!」
「ちょっと!話聞いてないでしょ!」
「警戒、ね。私が負けるとは思えないけど」
後書き~
...これが、平成最後の投稿です......
次は令和に投稿ですよ。というか変守録投稿し始めてもう数年なのに、まだ妖々夢とか投稿スピード遅いなぁと思いつついますが、まあこれから少しずつ上がっていけるといいな、と思います。令和はそれとなく頑張る。
次回、桜の亡霊姫との闘いです。多分カットはしません。弾幕表現は控えめですが。
久々に言いますが、誤字報告お気に入り感想評価いつでもお待ちしております!!
それでは次回もゆっくりしていってね!!