母からの手紙   作:しがみの

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はっきりと言います。中身クソです。当話の内容に関する意見は一切受け付けません。感想は受け付けますがね・・・。


4話 母からの手紙

お通夜が終わったので、私は父に母について詳しく聞こうしたが、その直前に球磨さんが私を呼んだ。

 

「ちょっといいクマ?」

 

私はふと、球磨さんの右手を見ると、そこには1つの封筒が握られていた。

 

球磨さんは私を縁台に連れていくと、端に座り、私にも座るように促した。私は球磨さんに言われた様に座ると、球磨さんは右手に握っていた封筒を私に差し出した。

 

「香苗からの手紙よ。貴女宛の。」

 

封筒を私に差し出した時の球磨さんは、真面目な表情になっていて、しかも語尾に〝クマ〟をつけていなくなってた。

 

 

私は球磨さんから封筒を受け取ると、封をしている猫のシールを剥がし、中から手紙を3枚目出し、開くと、そこには母の特徴的な丸い文字が書かれた文書が書かれていた。ボールペンで書いたのか、文字はすべて濃い黒色だった。

 

「読んでみなさい。」

 

と、手紙をちらっと見た後、球磨さんの顔を見た時に言われた。それを聞いた私はコクリと頷き、手紙を読み始めた。

 

 

 

〝ー千秋へー

元気にしていますか?この手紙を貴女が読んでいるということは、私が戦死したという事です。千秋には黙っていましたが、私の職業は艦娘です。黙っていた事に怒りを感じているかも知れませんが、それは仕方ない事です。艦娘だと言うことは、軍規や法律により、艦娘であった本人が死ぬまで一切口外不可能です。最近は少しずつ艦娘についての情報が公開されてきているので、もしかしたらもう知っているかも知れません。ですが、私は多分、情報公開前か、公開直後に死んでいると思います。貴女は知らないかと思いますが、この手紙は半年に1回は書き直しています。それは、私を余り好きではない貴女に知ってほしい事があったからです。〟

 

 

1枚目はそこで終わっていたが、私は直ぐに1枚目を3枚目の後ろに入れ替え、2枚目を読み始めた。

 

 

〝私は艦娘を大学卒業後から始めました。その頃は、深海棲艦が現れた直後であったので、日本国内の食料が不足し、情勢がかなり苦しかった頃でした。それと同時期に艦娘という対抗手段が発見されました。私は艦娘の適性がある事から無理矢理艦娘になり、大海原を駆け抜け、日本国内や、国内の物資供給に必要な貨物船などに攻撃してくる深海棲艦から守っていました。私が横須賀基地の司令官と結婚した時は深海棲艦の活動も穏やかになってきたので、艦娘を辞めようとしました。しかし、上層部が許してくれませんでした。それは、私の練度が原因でした。その頃の私の練度は東日本地区最大。上層部が私を手放したくないのは馬鹿でもわかる程でした。何度か辞めようとしましたが、上層部が許しを出してくれませんでした。そして、貴女や姉の美穂を産んだ時も、産休を取ろうとしました。提督、そして夫である和樹は上層部にバレないようにこっそり産休を許可しましたが、誰かがバラしたのか、直ぐに海上自衛隊上層部にバレて、和樹と私は5割の減給処分や2週間の謹慎処分を受けました。上層部にそれを訴えると「兵器に休みなど必要ない」と言われました。奴らは我々艦娘を上層階級に行く為に使う只の駒と認識していたのでした。貴女が私を好きでなくなったのは、すべて上層部のせいです。私は貴女を世話する為にこっそり基地を抜け出そうとしました。しかし、直ぐに見つかり、連れ戻されました。私が死んだのは、上層部に艦娘の有り難さを知って欲しかったからです。それは、腐った上層部の間違った事で戦力が減っていく事を実感して欲しと思っていたからです。あと、攻撃してくるからといって決して深海棲艦を恨まないようにしてください。友好関係を築こうとする深海棲艦もいるので。それに彼らも私達を殺らないと自分達が殺られてしまう。つまり、彼らも生きるのに必死なのですから。〟

 

2枚目はそこで終わっていた。私は最後の3枚目を見ると、そこには・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝最後に。

 

貴女が私を嫌いになっても、

私は貴女が大好きだよ。

千秋。

 

ー香苗よりー〟

 

 

それだけが書いてあった。その文章はところどころインクが滲んでいて、母が泣きながら書いていたのが誰から見ても分かるようだった。最後の文書を読んでも、私は泣かなかった。手紙だけでは相手に全ての気持ちが伝わる訳では無いし、本当の気持ちが書いてあるかも分からない。つまり、手紙だけでは信じられないのだ。

 

「あと、これも預かってた。死ぬ前に渡してくれたやつよ。」

 

それを見ていた球磨さんは私にある小さな箱をを渡してくれた。

 

「それは・・・?」

 

「香苗から貴女への誕生日プレゼント。

 

私はその箱を開けると、中にはミュージックプレーヤーが入っていた。そのミュージックプレーヤーは私の欲しかった物だった。しかも、色も機種も欲しかった物とピタリと一致する。その瞬間から私の目の前が歪み始めていた。私は思い出したのだ。母が私に対して優しくしていた事を。私が熱を出して学校を休んだ時、母は時間が無い中、お粥を作ってくれたり、学校で嫌なことがあった時は私が落ち着くまで抱いてくれたりしてくれた。私の誕生日を覚えててくれていて、さらに、居間で「欲しいな・・・。」と呟いていたミュージックプレーヤーを買ってくれていたのだ。母は私の事がとても大好きだった。その事を私は忘れてしまっていて、さらに、否定してしまった。

 

「ごめんなさい。お母さん・・・。ごめんなさい・・・。ごめんなさい!!」

 

私はその事を忘れ、しかも優しくできなかった母に対し、冷たくしていた私が許せなく、その場に泣き崩れた・・・。


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