ゾイド短編 作:MK-Ⅲ
中央大陸デルポイ。ヘリック共和国領土のとある片田舎の村。
森に覆われた山岳地帯の中の一角であるこの村は、元々あまり裕福とは言えなかったものの、戦略・戦術上において特に需要な意味を持たなかったため大戦時に狙われる事がなく、比較的被害が少なかった。
そのため、復興も早いうちに終わりを迎えていた。
だが、そんな村にも脅威と呼べるものが現れるようになった。いや、大被害を受けて未だ復興途上の場所よりは価値が出てしまったためだろうか。
あるいは、周囲に隠れ潜む場所が多分にあったためだろうか。
「……エドガー、確認する。道は此方であっているか?」
『ああ。そのまま道なりに進んでくれ』
そのような山岳地帯の中の、足場の悪い場所を軽快に進む二本足のゾイドが居た。
流線形状を多分に含んだ、一種の有機的な雰囲気さえ感じさせる装甲に身を包んだ大型のゾイドである。
「了解した。異常があれば伝えてくれ」
『了解した、ゼニス』
そのゾイドに乗っている者はまだ三十は数えていないだろう、若い男だった。名前は「ゼニス・ラガート」。無駄なくよく鍛えられた体と、厳しい顔つきが特徴の男である。彼は今、Zi-ギルドの仕事としてある場所に向かっていた。
彼はギルドに所属して間もない頃からの付き合いがあるオペレーターの青年―「エドガー・ブレナック」―と短いやり取りを交わし、そのまま指示通りに進んでいく。
「……あれか」
間も無く見えてきた、小さいといえば小さい村を見据え彼は呟いた。
そこが、今日の彼の仕事先だからである。
――――――――――――――――――――――――――――
付いてすぐに案内された場所にゾイドを待機させると、彼は村の責任者だと言う男の元へと言った。
「おお。ようこそ、おいでくださいました」
通された場所にいたのは、一人の男性だった。すでに相当な年を取っているのか、杖を突いた白髪の男性である。
「お気になさらず。
それで、ご契約内容の確認ですが……」
丁寧な責任者に対して、ゼニスは少々不愛想な態度にさえ思われるような口調で返していた。だが、それは不愛想とか人付き合いが悪いといった感じではなく、ひたすらに仕事に対して生真面目であり、それが結果的に硬い態度になっているように見せているのみである。
責任者はそれを察しているのか、特にその態度に何か言うでもなく本題へと入っていく。むしろ、時間が惜しいのはむしろ責任者の方であり、早々に仕事の話に入れたのは彼にとってこそ行幸だった。
「山賊団の討伐、ですね」
「はい」
ゼニスの確認の言葉に、責任者は重々しく頷いた。
「ここ最近、ゾイドを使って山賊を働く者がおりまして……最初はそれほどの被害でもなかったのですが、この村に戦闘用ゾイドが居ない事が分かるとその被害が増す一方でして……」
「正規軍の方には?」
ゼニスの質問に、責任者は暗鬱な表情で答えた。
「元々、この近辺では戦闘がほとんど無く、共和国も多くの戦力を置いていた事もないほどでして……。
どこも戦力が不足している昨今では中々回してもらえず……」
「そう、ですか……」
元々厳しいゼニスの顔が三割増しに厳しくなった。だが、それは盗賊団と共和国軍の対応に対して思う事があるからで、別にこの村に対して悪感情を抱いたからではない。
「分かりました。
では、山賊団の戦力は分かりますでしょうか?」
「ええと……確か、《アイアンコング》が何体かと……それを小さくしたようなゾイドが……」
ゼニスが知る由は無いが、責任者の話は元々が伝聞を元にしたものであり、具体的な情報を得るには限界があった。
だが、彼も少なくない場数を踏んだゾイド乗りである。薄々は察し、話された中にあった情報を整理して敵戦力に関するおおよその概要を推測していた。
(……《アイアンコング》が主戦力である事は間違いないだろう。そして、《アイアンコング》を小さくしたようなゾイドは、おそらく《ハンマーロック》の事か……。
山岳地帯であるこの付近で使うには、正解だろう。だが、《アイアンコング》と《ハンマーロック》の数がそう易々と揃うとは思えないな……。となれば、おそらくは正規軍崩れか……だとすれば、練度もそれなりのはず……)
ゼニスが思案に浸り敵を見定めている中、責任者はただただ黙ってみていた。
「あの……大丈夫でしょうか」
だが、やがて耐えられなくなったのか。責任者は不安な色を隠しきれずに問うていた。
「……ああ、問題ありません。殲滅に関してはご心配無く。
それと、良ければいつ頃出没するかも……」
ゼニスが特に気負う事も無く答え、次いで出撃の時間を決めようとした時だった。
ドグオオォォン!
「な、何事か!?」
「爆発音……まさか!」
責任者が驚きの声を上げ、ゼニスが身を翻した時だった。
「そ、村長!
大変です。山賊団の奴ら、今度は直接撃ってきました!」
「なんじゃと!」
責任者は驚きの声を上げたが、ゼニスにとってそれはただの確認でしかない。
「迎撃に出ます」
その一言だけを残し、彼は返事も聞かずにすぐさま自身の愛機の元へと急いだ。
――――――――――――――――――――――――――――
「ハッハァーー!
どこだどこだ! 出て来いよ! ギルドってののゾイド乗りさんよ!」
山賊団の首領は自身のゾイドである《アイアンコング》の操縦席で見事に攻撃が決まった事に上機嫌に声を上げていた。
この男、元々は正規の軍人だったが戦争が終わるにつれて山賊になったというある意味でどうしようもない男である。しかも、やめるときはドサクサ紛れの脱走というから質が悪かった。
だが、やはり元が元という事もあり全体の統率と連携はよくとれていた。特に、山岳での行動に対する高い適性はこの土地においてより上位のゾイドを倒す事すらある位である。
「オラァ! 次だ次!
どんどん撃て!」
その指示に、もう一機の《アイアンコング》がミサイルを撃ち《ハンマーロック》が連装ビーム砲を準備する。だが、その時だった。
派遣されてきたZi-ギルドのゾイドが迎撃体制を整える前に破壊できればよし。出来なくても、数の差で、あるいは後ろ側に広がる崖を利用した地形戦で倒してしまおうという算段だった。
ドガアァァ!
彼らが放ったミサイルが爆発した。だが、それは着弾したからではなく、空中で撃ち落とされたためである。
「来たか……」
首領が見据えた先を、他の山賊の面々も見据える。
そこには、今ゆっくりとその体を起こしているゾイドがいた。流線を多用した形状の装甲に覆われた、二足歩行のゾイド。その体躯は、全体的に《ジェノザウラー》や《バーサークフューラー》等の亜種や変異種ではない肉食恐竜型に酷似している。
「――やっていいんだな?」
『ああ、精々狩り立ててやれ』
立ち上がったゾイドの操縦席、ゼニスもまたエドガーに最終確認をしながら山賊のたちを見据えていた。
(《アイアンコング》が二機、《ハンマーロック》が六機……)
(チッ、見たことねぇゾイドだが……あの手は厄介なんだよな)
互いのゾイドも乗り手も、その眼光で見据えるのは敵の姿。
「――さて、行こうか《ネオヴェナトル》。
狩りの時間だ……ッ!」
一瞬の空白。
「――グゥアアオオオォォォォォォ!!」
《
「粋がってんじゃねぇ!」
山賊の首領は叫ぶと、自身の《アイアンコング》の肩に装備されているミサイルを撃ち放った。
それに続いたのか、もう一機の《アイアンコング》とその他の《ハンマーロック》達も射撃攻撃を仕掛けていく。数の有利を生かした、合理的な戦術だった。
だが、《ネオヴェナトル》は両前腕部の下側に内蔵されたAZH80mmハンドビームガンを使いミサイルのみを的確に撃ち落とすと同時、脚部のマグネッサーシステムと全身に備えられたスラスターでホバリング状態に移ると敵ゾイド達の攻撃を軽快な軌道で搔い潜り、そのまま一体の《ハンマーロック》へと肉薄した。
「ヒッ!」
山賊団の《ハンマーロック》乗りは、咄嗟に《ハンマーロック》の腕を振り上げさせるとそのまま殴りかかろうとした。
だが、それよりも尚早く。《ネオヴェナトル》は肉薄すると、自身の上顎をさながら斧のように振り下ろし、そのまま《ハンマーロック》の片腕を破壊していた。
その一撃に、《ハンマーロック》は静かにコンバットシステムを停止していた。
「チィッ!
お前ら、崖の方に逃げ込め!」
首領は平地においての性能差を悟ると、地形の上で有利になりやすい入り組んだ崖地の方へ逃げ込もうとした。ホバリング移動は確かに平坦な地形において有効な移動方法だが、起伏が多い地形や入り組んだ場所においては十分な力を発揮しづらいためだ。
その指示に従い、山賊達はすぐに山岳地帯の方へと逃げ込んだ。
一方、ゼニスはそれをすぐには追おうとしなかった。代わりに、彼は《ネオヴェナトル》の踵にあるアンカーを下しその姿勢を固定。そして、ゆっくりとその口が開かれ、その中に光が蓄えられていく。
「逃がすものか……!」
光が限界まで蓄えられた直後、その光が前方へと放たれる。その先には、山賊の《アイアンコング》がいた。
「た、助け……!」
荷電粒子砲の光に飲み込まれた《アイアンコング》は、その装甲が融解し一部の内部機構が異常加熱で爆発するなど様々な問題を起こし、ついにその動きを停止した。
この一撃で完全に撃破されなっかったのは、実の所ゼニスが予め出力をある程度落としていたためである。確保しやすいようにする意図があっての事だが、誘発された爆発の衝撃で気を失っている《アイアンコング》搭乗の山賊がそれを知る由は無かった。
だが、荷電粒子砲の一撃で《アイアンコング》の片割れが撃破された他の山賊達にとってはそれでころではなく、一刻も早く自分たちの有利な地形に逃げ込むために急いでいた。
だが、無情にもそれが叶わなかった者もいる。
「跳べ、《ネオヴェナトル》!」
ゼニスがホバリング移動で《ハンマーロック》まで肉薄させると、地形的に移動が難しくなる直前に《ネオヴェナトル》のホバリングを切りそのまま跳躍させていた。
跳躍した後、ゼニスはさらに機体各部のスラスターと脚のマグネッサーを巧みに操るとほぼ垂直な崖を長い脚爪で捉え、直後に反対側の崖へと跳んだ。
「う、上から来る!?」
やがて、最後尾の《ハンマーロック》に追いつくと《ネオヴェナトル》は下向きに跳躍した。そのままそして地面に接する直前、その姿勢を整える。
地面までの軌道の最中に、《ハンマーロック》を挟みながら。
当然、崖に逃げている途中の《ハンマーロック》が避けられるはずはない。背中側からだったその着地は《ハンマーロック》を容易に押し潰し、足の爪を食い込ませ戦闘不能にさせるには十分過ぎた。
「残りは……《アイアンコング》が一機に、《ハンマーロック》が四機か」
確認するように呟き、敵へと向き直る。《ネオヴェナトル》をもう一度跳躍させ、狙ったのは最後尾になった三機目の《ハンマーロック》。
再度の肉薄。今度は上顎を斧のように使う攻撃を仕掛け、《ハンマーロック》を撃破。さらに、撃破した一機を咥えると、既に崖の上た隙間へと逃れて攻撃に移ろうとしていた残りのゾイド達の内一機へと狙いをつけていた。
「お仲間だ」
特に感情の籠っていないゼニスの台詞とともに、《ネオヴェナトル》は待機していた《ハンマーロック》の一機へと撃破した《ハンマーロック》を投げつける。器用に全身のスラスターを使って勢いをつける事も忘れない。
投げつけられた先に居る《ハンマーロック》に乗っていた山賊も、反応が遅れていた。さすがにそのまま《ハンマーロック》の射撃武器を撃ち続けて投げつけられた《ハンマーロック》を撃ち抜くわけにも行かず、だがそのまま衝突しては致命的な隙を晒す事になる。
結果的に、両腕を使ってある程度勢いを和らげて受け止めるだけが限界だった。だが、その時にはすでに《ネオヴェナトル》が跳躍していた。
「クソッ!」
跳躍中に生き残っていた《アイアンコング》が放ったミサイルが着弾しそうになる。
「やったか!?」
《アイアンコング》に乗った首領は撃ち落とせたかと思い、追撃を指示しようとした。だが、黒煙の中から現れたのはほぼ無傷の《ネオヴェナトル》だった。
ゼニスは飛来したミサイルを相手に、特に慌てる事も無くその腕のAZH80mmハンドビームガンで迎撃。スラスターを駆使して《ハンマーロック》まで肉薄していた。
その動きに、《ハンマーロック》とその乗り手は対応できなかった。目の前に着地した《ネオヴェナトル》は、その前腕の三本爪で《ハンマーロック》の頭部を切り裂く。その一撃を受けた《ハンマーロック》は戦闘不能に陥っていた。
「残り……《アイアンコング》一機、《ハンマーロック》一機……」
そして、《ネオヴェナトル》が最後の《ハンマーロック》へと向き直り、その眼に捉える。その操縦席に居たゼニスもまた、鋭く敵を見据えていた。
もはや戦力の大部分が削がれた山賊に、まともな統率は残っていない。半狂乱になりながら残った《ハンマーロック》は、残っていた射撃装備を大雑把な狙いだけを付けて撃ちまくっていた。
当然、避けるのに苦労するような攻撃ではない。ゼニスはすぐさま最小限移動すると、多少悪い足場だったがアンカーを下して《ネオヴェナトル》を固定していた。機体の固定が足りない分は各部のスラスターで補い、割かれた分の出力は撃とうとしている荷電粒子砲から引くことでバランスを取っていた。
この動作を見た《ハンマーロック》搭乗の山賊はたまらず逃げようとしていた。だが、それは叶う事は無かった。
「逃がすか……!」
直後、威力を抑えた荷電粒子砲が崖に叩き込まれた。ついで、足場としての機能を失い崩落。巻き込まれた《ハンマーロック》も同様に崖から転落していく。
落ち行く《ハンマーロック》に、無常にも更なる追撃が襲い掛かる。《ネオヴェナトル》が腕のAZH80mmハンドビームガンを撃ち込んだのだ。
落下途中の《ハンマーロック》に、これを耐える術は無い。二発、三発、四発と受けていくうちに、その機体は徐々に削られて行き、着地する時には既にかなりの部分が破壊され戦闘不能は避け得なかった。しかも、着地した時の衝撃も殺しきれて居ないため搭乗していた山賊も気絶してた。
「く、クソッ……なんなんだよ、あのゾイドは!?」
《アイアンコング》の操縦席でその一部始終を見ていた山賊の首領は、もはや直接の戦闘での勝利を諦めていた。《ネオヴェナトル》の攻撃性能は驚異的であり、とても一対一で正面から戦っては勝ち目が無いと踏んだためだ。
(こうなったら……一か八かになるが……)
機動力で劣り逃げる事が出来ず、戦闘能力でも劣る事を完全に理解していた首領は、一か八かの作戦に賭けることにした。
ミサイルを全弾使ってでも相手のゾイドの足を止め、真上から降下して強襲し《アイアンコング》の重量を使って押しつぶし、同時に上に組み付き一方的に殴れる状況を作ろうというものだ。《アイアンコング》は巨大ゾイドに分類され、かなりの重量を持つゾイドである。上に組み付けば、例えあの敵の大型ゾイドでも用意には振りほどけず、しかもあのゾイドは背中側への攻撃手段がおそらく無いであろう事から反撃の危険性もまだ少ないものと考えられた。
「喰らえ、バケモノゾイド!」
首領はやる事を決めると、些かの迷いも無くほぼ全てのミサイルを撃ちはなった。
さすがの弾幕であり、ゼニスと《ネオヴェナトル》を以ってしても防ぎきるのは容易な事ではない。だが、不可能でもない。
ゼニスは《ネオヴェナトル》を少し移動させると、まず射線上にミサイルをたら得る。次に、アンカーで機体を固定。さらに、仰角を取る事で不安定になりやすい部分は全身のスラスターと脚のマグネッサーで補い、エネルギーを口に蓄え荷電粒子砲の発射準備を整える。
「全弾射程内並びに攻撃範囲内である事を確認。
荷電粒子砲、発射」
《ネオヴェナトル》から荷電粒子砲が放たれる。大部分のミサイルをその一射で撃ち落したが、微妙に何発かのミサイルがその直撃を避けてしまっていた。
だが、それでもゼニスに慌てた様子は無かった。《ネオヴェナトル》の全身のスラスター出力を調整すると、荷電粒子砲の射線をゆっくりと変えていく。そして、ついに全てのミサイルを撃墜しつくした。
「いただきだ!」
だが、《アイアンコング》に乗っている山賊の首領にとってそれはもう何でも良かった。元々足を止める目的であり、ダメージを与える事こそ叶わなかった物の荷電粒子砲の発射のために足を止めさせたため、十分に足止めの役割を果たしていたからだ。そして、《アイアンコング》にしては素早く移動するとそのまま崖から飛び降り、《ネオヴェナトル》の背中へと肉薄いようとした。
だが、荷電粒子砲の照射を終えた《ネオヴェナトル》は《アイアンコング》の接近を察知すると脚のアンカーをすぐさま解除し、再度スラスターを吹かせて機体を急旋回させる。そのまま尾部を振るうと、当たる直前に地面に爪を突き立て尾部を《アイアンコング》で打ち据える衝撃を最大限伝える。
当然、飛び降りている途中の《アイアンコング》が自分を支える術を持つはずは無く、衝撃を一切殺せぬまま崖に叩きつけられそうになった。
だが、ほぼ反射的な対応によって両腕と両足を使い何とか事無きを得た《アイアンコング》に、さらなる追撃が待っていた。
「終わりだ……ッ!」
《ネオヴェナトル》を疾走させたゼニスは《アイアンコング》へと肉薄すると、まず背中のバックパックを上顎を振り下ろして破壊した。次に、振り向きざまに振られた《アイアンコング》の腕を身を屈めて交わすと回転しながら尾で打ち据えていた。この衝撃に姿勢を崩した《アイアンコング》がよろけた瞬間、その頭部へと《ネオヴェナトル》の顎が襲い掛かった。
直後、《アイアンコング》の両手がだらりと下がり、活動が停止する。
この瞬間、山賊は壊滅した。
――――――――――――――――――――――――――――
『ご苦労様。相変わらずの手際だな』
「この程度なら問題は無い。それより、ゾイドの回収と山賊達の身柄の確保、最期に帰りの事も聞きたいんだが……」
エドガーからの言葉に、特に表情を変えるでもなくゼニスは淡々と応じていた。
『山賊達の確保はもうすでに人員が向かっているから、もう少ししたら到着するはずだ。ゾイドの回収は明日、グスタフを向かわせるからそれまでは確保しておいてくれ。
帰りもそれに合わせてもらう事になるから、悪いけど帰りは明日になるね』
「了解した。宿は……」
『もう既に手配してあるよ。民宿だけどいいか?』
「問題ない」
エドガーと仕事の上のやり取りをすませ、暫くその場で彼は待機していた。
やがて山賊達の確保のための部隊員が到着し、ゼニスはそのまま部隊員たちに山賊を引き渡すと一旦村へ戻り、責任者に今後の事―宿や山賊達のゾイドについて―について確認し、その後は何往復かして山賊達の動かなくなったゾイドを一か所に集めてから待機していた。
「この度は、本当にありがとうございました」
「お気になさらず」
その中、《ネオヴェナトル》に簡単な整備をしていた時に来たのは責任者の男性だった。相変わらずの態度での対応にも、責任者はにこやかな表情だった。
「いやはやしかし、このゾイドはお強いですな。山賊達のゾイドをすべて倒してしまうとは……」
その言葉に、ほんの少しだけゼニスは喜色を露わにしたように見えた。
「ありがとうございます。
このゾイド、《ネオヴェナトル》はアロサウルス型の大型ゾイドで、私の相棒でもありますから。そのように言っていただけるのは、幸いです」
「ふむ、そうでしたか……はて、アロサウルス?
確か……共和国の、《ゴドス》や《アロザウラー》もそうだったと思いますが……随分と違う意匠なのですな」
その言葉に、ゼニスは一回頷くと簡単に説明をした。
「《ネオヴェナトル》は、元々はある小国家が《ジェノザウラー》や《バーサークフューラー》の技術を基に、自国で捕獲したアロサウルス型の野生体を用いて生み出したゾイドです。
ですので、先に言った二機と違うのはある意味当然かと」
ゼニスの説明に、責任者は一度深く頷くと再度話し始めた。
「なるほど、そうでしたか……。
何はともあれ、今回はありがとうございました。今日はこちらに泊まるようですし、ゆっくりと休んでいってください」
「お言葉に甘えます」
その後、男は一旦帰りゼニスもまた《ネオヴェナトル》の整備へと向き直った。