魔法科高校の変わり者 作:四葉夜々
「よ、タッツー……入学おめでとう」
『何だ知ってたのか』
「俺も入学してるからな。同学年の名を確認するのは必要なことだと思うぞ?昔別れた幼なじみとの思わぬ再会があるかもしれないからな」
入学式の後、羊はこの世界初の男友達である司波達也に入学祝いの言葉を贈る。
『そうだったのか。そっちもおめでとう』
「おう」
『ところで、3月25日の事だが、深雪を助けたのはお前か?』
「そうだよ。何、お礼がしたいのか?なら俺と一緒にCAD造ろうぜ」
『お前の作るCADは人間に扱えるものじゃないだろ……却下だ』
「………ッチ」
達也に断られ舌打ちする羊。今日こそ達也と共にGANTZを造ろうと思ったのに残念だ。
羊はこの前見たGANTZ:Oにはまっていた。
「あ、そうそう……もう一人タッツーに祝いの言葉を贈りたがってる奴がいたんだ……ほい」
「え?ちょ…きゃ!」
『………もしもし?』
羊はチラチラこちらを見ていた深夜に携帯を投げ渡す。深夜は慌ててキャッチして思わず耳に添えると達也の不思議そうな声が聞こえてきた。いくら羊が四葉家の関係者だとしても電話してくる相手が思いつかないのだろう。何せ達也は四葉真夜に会うことはまれで彼女の変化に気づいていないのだから。
「あ、えっと……あの、その……」
『…………?』
ただの親子の電話だが何せ息子を息子と思わぬように扱ってきた深夜だ。何を言えばいいか解らずパクパク口を動かす。
「お、おめ……おお……おめでたい!」
それだけ言うと羊に携帯を投げ返した。直ぐに自分が言った言葉を思い出したのか赤くなって悶える。
「タッツー今から写真撮りたいから切って良いか?」
『ああ、所で俺は何故バカにされたんだ?いや、何となく解る。合格できたからと浮かれていた俺を叱責したんだろう。その人にすみませんと伝えておいてくれ』
「タッツーってまじめな馬鹿だよね」
羊はそう言って通話を切ると早速悶えている深夜を撮影し、ついでに動画も撮っておく。さらっと穂波が照明を調整していた。
「やった!とうとうソロで砦の制圧が出来たわ!」
「ところで奥様、達也殿と羊に連絡は……」
「今それどころじゃないの!砦を取り返しに来たわ………ふふ、返り討ちにしてくれる!」
葉山は主の様子を見てゲームが終わった頃には忘れているなと予想し代わりに達也達と羊達に合格祝いの言葉贈った。
羊は現在夢を見ていた。
夢だと認識して、これはただの夢ではなくあの趣味の悪い女の仕業かと顔を歪める。足元は赤い血の池、遠くは暗闇で見えず、見える範囲には幾つもの死体が転がっている。
それは嘗て血の繋がった両親、引き取ってくれた叔父叔母達や血の繋がりを持たぬ義父義母、義兄弟姉妹……そして18人の嘗ての恋人達。
「いったい何のつもりだクソ野郎」
「野郎じゃないもんね~」
ヌルリと絡み付くようなねっとりした女の声が響き辺りの風景が歪み加工でもしたように歪み、集まり人型になると表面の混沌とした模様がパリパリ剥がれ一人の美しい少女が姿を現す。
「神ちゃん参上!」
こ人間離れした美少女こそ、羊を転生させた本人(本神)である。何時の間にか肩に担いでいた鎌が特徴の死神。名前はない。世界に信仰される死を運ぶ神と言う概念の集合体が彼女だからだ。本来なら人が認識することは出来ず、だからこそこうして人の姿を取る。
「何のようだ、明日は早いんだ後にしろ。お前のせいで目覚めが最悪になるだろ空気読め入学二日目で遅刻させる気か」
「はぁはぁ……ワンモアプリーズ!」
うぜえこのドM。
「まあまあそんな嫌わないでよ、トラウマ見せたのは神ちゃんが悪かった。ね、機嫌直して?罵倒して良いから、むしろしろ!」
「何しに来たか聞いてるんだが………」
「原作開始祝と……新たな特典について」
「特典?」
「そう!その名も神身召喚!ぶっちゃけ奥の手だね、章が切り替わる事に一追加。つまりのこりの残量一……この特典は神身召喚!って心の底から使おうと願うと発動して、敵は一切合切滅ぼしてくれるありがたーい特典なのだよ。大切にしなさい」
そう言うと死神は姿を消した。
「最悪の目覚めだ」
羊はパチリと目を覚まし呟いた。酒でも飲んで一気に忘れたい気分だが学校もあるのにさすがにそれは出来なかった。