アラガミ転生記2〜飛べ!!メイデン隊長!!!〜   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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メイデンさん、久々に食事を取るようです。


第2話 食事。そして前進。

俺はあのイヌ科っぽい生き物が去った後、再び地上に出た。

 

そして地面に潜る以外の行動ができないか模索した。

 

結果、体のハッチが空いてそこから針を出したり、頭が割れてそこから砲弾が出せることが分かった。

 

......完全に人外だ。

 

そんなことはさておき。俺は動きすぎたせいで......

 

「........」

 

お、お腹が空いた。

 

もうやばい。腹が減りすぎて目の前にある石がコロッケに見えてきた。

 

この体でどうやって食事するかなんてどうでもいい。

 

何か、何かくれぇ......

 

そう願って何か出てくるなら世話がない。

 

わかって居ながらも、もはやこうして願うくらいしかできない。

 

そう思っていた次の瞬間。

 

ヒューン......ドシン!!!

 

そんな音がして、そらからあのイヌ科っぽい生き物が降ってきた。

 

......え?

 

な、何が起きたんだ?

 

よく分からない。

 

しかし、今はそんなことどうでもいい。

 

食いたい。喰いたい。

 

そう体が指示を出す。

 

だが、俺自身はこんな物食いたくない。

 

だが体が、体の中の何かが、これを欲して止まない。

 

俺の意思を無視して、体のハッチが開く。

 

いやあの、待って、待ってください!!

 

そこから、ギラギラ光る針が顔を出す。

 

そして、

 

「.....!!!」

 

ジャキン!!とうとう針が飛び出し、イヌ科っぽい生き物を貫いた。

 

そのままハッチの中に引きずり込み、取り込む。

 

........美味い。

 

空腹は最高の調味料とは誰が言ったか忘れたが、俺はそれを今身を持って知った。

 

思わず泣きそうになるくらいに美味い。

 

だが同時に、俺は人間を完全に捨てたことを痛感して、泣きそうになった。

 

食事を取れた嬉しさと、イヌ科を食べた罪悪感が混ざって、とてつもなく複雑な気分になった。

 

まだ口に残るイヌ科っぽい生き物の味は、これ以上に無いほどの満足感をもたらしていた。

 

 

 

 

 

 

 

......よし、心の整理が付いた。

 

俺は今日を持って、人間だった頃の俺と、今のメイデンな俺を完全に切り離す。

 

今のままじゃ生きていけない。

 

俺は、人間をやめるぞぉぉぉ!!ジョ〇ョぉぉぉ!!!

 

ふざけることが出来るくらいには回復した。

 

ただ、人間だった頃の知識やらは活用することにする。

 

この世界に人間が居るかは知らないが、もし居るのなら仲良くしたい。

 

人間を辞めたからと言っても、人間を相手にするのは嫌だし。

 

どうにか仲間になってもらいたい。

 

その為にまずは何をするべきか。

 

一番最初に思い浮かんだのは、断られた時の為に力を付けること。

 

そうすれば、相手も断りにくくなるし、断られた時も対応できる。

 

この世界にはあのイヌ科っぽい生き物みたいなのがわんさか居るようだし、ここの人間がどんな文明や武器を持っているかわからない。

 

力を付けること。それだけで一石五鳥くらいの得が出てくる。

 

言語はまだ後だ。ここには言語を学ぶ為の物が何一つ無い。

 

その為には足がいる。

 

まず、動けるようになることから始めるとする。

 

 

 

 

 

 

その日から、俺の訓練は始まった。

 

地中に潜っては出てきて、潜っては出てきてを繰り返してみたり、体を捻ってみたり、前に行こうと体を思いっきり仰け反らしてその反動を利用しようとしたり.....etc

 

だがそのどれもが効果無かった。

 

訓練を初めて10日。未だ収穫は無い。

 

もしや俺が生まれ変わったこのメイデン的な生き物は、ペンギンが飛べないのと一緒で歩くことはできないのだろうか。

 

そんなマイナス思考が頭を過ぎるようになってきていた。

 

......しかしそこで、天啓が浮かんだ。

 

歩けないなら、飛べば良いじゃないか。

 

ペンギンは飛べないし、このメイデンも歩くことはできないかもしれないが、俺はペンギンではない。

 

幸い、使えそうな機能も有るのだ。

 

試す価値は充分にある。

 

半ば祈る様にして、俺は体のハッチを開き、前のめりになった。

 

地面に針を突き刺し、グッと力を込める。

 

そして、一気に......!!

 

俺の体を引き抜くようにする!!

 

「.....!!!」

 

すると、奇跡が起きた。

 

俺の体がスポーンと地面から飛び出し、宙を舞っていた。

 

綺麗に着地を決めたものの、俺は自身に起きたことを理解しきれていなかった。

 

すこし落ち着いて、現状を理解した。

 

.....マジで?

 

やりきったのか?俺は......

 

い、い、イヨッシャァァアアアアア!!!!!

 

飛んだ距離はたかが5m。

 

人間にとって、これは本当に小さな一歩かもしれない。

 

しかし、俺自身(メイデン)にとっては、とてつもなく大きな一歩となった。




主人公、前進!!

それと、骸骨王さん。盛大な誤字報告をありがとうございます!!

作者のやる気は読者のコメントと評価です。

読者の皆さんが読みやすくなるのであれば、基本誤字報告は受けております。

しかし、悪意のある誤字報告は却下していますので 、ご了承ください。

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