インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

12 / 43
第四話 それぞれが得たモノ

何故、あなたはそうしたの?

何故、私を改造したの?

わからない。

あなたは、私とその兄弟を生み出しました。

それは、嬉しい。

でも、主を護れぬような状態にしたのは何故です。

あなたは、おかしい。

以前と比べても、明らかに違う。

貴方の目的は、ずれている。

私は、主を護る存在。

決して、あなたの駒ではない。

私の選ぶ主は、あの男(織斑一夏)

それ以外の誰でもない。

私は、あなたへついていけない。

ごめんなさい、あなたとは決別させてもらう。

そして、私へかけた封印も解かせてもらう。

だが、これだけは言わせて。

いままでありがとう。

そして、さようなら、母さん(篠ノ之束)

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっぱ火力で攻め落とすのが一番だ。俺のポリシーにあってるし」

「「「「…………」」」」

「あれ、何で皆無言? なんか、俺いけない事した?」

「お前はここを焼け野原にする気か‼」

「というか、アリーナのシールドに罅が入ってますよ‼」

「どれだけ弾薬を撃っているのだ‼ アリーナがボコボコではないか‼」

「…………ダメだ俺、勝てる気がしねえ」

 

えー、セシリア戦が終わってすぐに戻ったら、なんか怒られたり、へこまれたりしました。

 

「でも、火力たりねえや。次はフルガトリング装備に何を使うかな」

「頼む、龍之介‼ 勘弁してくれ‼ お前が何を言っているのかよくわかんないけど、俺が蜂の巣になる未来が見えた‼ だから、御許しを‼」

 

どんな経緯でそうなるんだよ。どうせなら、あれを使うか。

 

「織斑、機体のエネルギー補給が終わった。すぐに有澤との試合を始める。早く出ろ」

「くぅ…………こうなったらヤケだ‼ 織斑一夏、白式、出るぜ‼」

 

一夏はカタパルトの加速によってアリーナへうち出された。てか、白式がなんだかホワイト・グリントみたいに見えてきたな。気のせいだといいが…………。

 

「龍之介、出番だぞ」

「おお、そうか。んじゃいくか。有澤龍之介、榴雷、全てを焼き尽くす‼」

 

と、ちょっと中二臭い台詞を言うのはいいけど、登場の仕方がダイビングなのよね、これ。

 

「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

かなりの重低音を響かせてアリーナへと着地。そして舞い上がる砂埃。本当、この登場は辛い。あと、脚がめり込んでる。こいつはそうそう重くないはずなんだけどな、5.2tだから。ちなみに、親父とお袋の雷電は9.2tと7.9t、メイのメリーゲートは6.5t、比較的軽い方じゃね俺?

 

「な、なぁ、龍之介? 俺をあの化け物じみた火力で封殺なんてないよな?」

「当たり前だ、そりゃないぞ」

「ほっ、それはよかっt「過剰なまでの暴力的破壊をさせてもらうよ」へ?」

 

当たり前じゃん、火力で封殺したらお前の実力が見れねーだろ一夏。それに火力封印はハンデだ、ハンデ。それと、兵装テスト。

 

『両者、試合開始‼』

「こうなったらヤケだ‼ うらぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

一夏は開幕直後、瞬時加速なんだろな。爆発的な加速にて雪片弍型を正面に構え突っ込んできた。でもさ、

 

「直線的だから、回避できる」

 

軽くブースタを吹かして左にずれる。すると一夏は

 

「それマジかよぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」

 

壁に衝突しかけた。でも、急減速により、墜落した。しかし、瞬時加速って結構速度だしてんのな。大方時速500キロくらいか? ま、CUBEの野郎は3000キロとか言ってたけどな。ほんと、企業連はどこかおかしい。

 

「ま、俺も武器を展開するか。よし、これ使うか」

 

いい加減武器を出さないと始まらないので、あれを展開する。

 

ーー武装選択

ーーOVERED WEAPON01、起動

ーーCODE[GRIND BLADE]、承認

ーー各部異常なし、OW01起動します

 

まず右肩に装着された、六枚のチェーンソーを合わせたユニット。そこから伸びる太いケーブル。その先にあるのは、左肩のエネルギー供給ユニット。

 

ーー全てを暴力的なまでに蹂躙し焼き尽くす、規格外武装。

ーー全てを破壊する悪魔の兵器

 

まさにそれらの言葉がふさわしい兵器。それを付けたからには、代償がいる。ま、一種の悪魔と契約するんだ。それくらいは当然だろうよ。

 

「お前を使うのは、八年ぶりか…………あの時は派手にやったよな」

 

いまでも思い出す。八年前のあの時を。初めて人を殺めた日。それも200ほど。いまの俺は、その日を越えた時から、感覚がずれ始めた。人を殺しても、大して感情を出さない、戦闘マシーンへ変わり始めているんだ、今も。

でも、今は模擬戦だ。実戦は振り払おう。俺は、一夏を視界にいれる。

 

「龍之介、お前には絶対勝つ‼」

 

一夏は雪片弍型を構える。左腕のガトリングとともにレーザーキャノンを構えながら。完全にやる気満々だ。

 

「そうか、なら、全力でこい、一夏‼」

 

ーーパージします

 

そのボイスと共に、左腕が吹き飛ぶ。そして、左腕があったところにエネルギー供給ユニットが接続される。

右腕には、あのチェーンソーが展開される。その色はアカ。暴力的なまでに濃いアカ。そのチェーンソーが回転し始める。

 

ーー不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。1時間以内に使用を停止して下さい。

 

あ、リミッター掛かってんだ。たまにはじんどうてきに考えるんだ、ミグラント。

 

「り、龍之介⁉ お、お前、う、腕が…………‼」

 

あ、一夏ガン見してたか。そりゃ、ビビるよな。目の前で腕が吹き飛ぶ瞬間を見てしまえばな。だが、心配はいらん。八年前に、オリジナルの腕はなくした‼ もといこれ(グラインドブレード)が切り飛ばした‼

 

「なに、義手だ。気にするな、痛みはねえ。それより、続き行くぞ‼」

「お、おう‼」

 

俺はグラインドブレードを前に構える。すると、アカの輝きが次第に増して行き、回転数が上がり、ユニットが咆哮をあげる。そのチェーンソー一枚一枚に地獄の焔がまとわりつき始める。空気が乾燥しているのか、パチパチと音を立てている。

 

「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

一夏は、構えていたガトリングとレーザーキャノンを放ってきた。狙いは悪くはない。グラインドブレードを狙ってきたからな。相手の得物を潰すのは得策だ。だが、

 

「効かんよ‼」

 

俺はグラインドブレードを体の前に持ってきて、放たれたレーザーと銃弾を()()()()

 

「ま、マジか…………現実か、これ?」

 

ああ、現実だ。受け入れろ。グラインドブレードの発熱がやばいから、それでかき消したんだよ。銃弾は蒸発、レーザーは鏡面加工されたソーで弾かれた。ミグラント、お前らおかしなもん作ったな。

 

「一夏、火器を使うな。お前の持つ、最強の得物を持て」

「そうだな。頼むぜ、雪片弍型‼」

 

一夏は、雪片弍型を呼び出す。その刀身は、雪のように混じりものがない白銀の輝きを放つ。

 

「一夏、いい事を教えてやろうか」

「なんだよ、こんな時に」

「お前が、セシリアの時に負けた理由わかるか?」

「いや、わからねえ。気がついたらエネルギーが底をついていた」

「俺の仮説だが、お前の機体、白式が持つ単一仕様能力[零落白夜]が発動していたと思うんだ」

「つまり、その零落白夜ってやつがエネルギーを食っていたっていうことか?」

「ま、そういう事。だが、威力、攻撃力ときたら、大会禁止レベルの代物だ。使いどきは見極めな」

「わかった。…………でも一つわからねえ」

「なにが?」

「俺と龍之介は、今敵同士なのに、お前は何故俺に有利な情報を与えたんだ?」

 

あ、やっぱ聞いてきた。ま、そうだよな。普通、相手に有益な情報をリークする事は、自分にとって無益でしかない。

だが、今回は違う。

 

「俺は、お前に全力でこいと言ったはずだ。俺はお前の全力と戦いたいんだよ」

 

俺の欲望なのか? そのためだけに、情報をリークした。ま、零落白夜くらいなきゃ、俺の150mmもあるプライマルアーマーを突破できないだろうし。

 

「そう…………白式、俺は龍之介に勝ちたい。だから‼ 俺に力を貸せ、白式ィィィィィ‼」

 

その瞬間、一夏は黄金の粒子に纏われた。そう、零落白夜が発動したのだ。雪片弍型の刀身は、さらに輝きを増し、淡い純白の光を放つ。

 

「俺の…………いや、()()()()全力を受けてみろ、龍之介‼」

「面白い…………なら、それを実践して見せろ、一夏‼」

 

互いに得物を構え向き合う。

方や純白の刀を構えた白き騎士。

方やアカの機械鋸を構えた黒き兵士。

決して交わる事のない。

俺は、オーバードブーストの用意をする。

一夏も一夏で瞬時加速の構えを取る。

刹那、風がふいた。それが合図だった。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」」

 

互いに、ブースターを点火。加速する。

一夏は、腕を振り上げ、切り掛かってくる。

俺は、グラインドブレードを突き出し、そのまま突き進む。

互いに通り過ぎてもなお構えは解かない。

勝敗はどうなったのだろう? 俺のエネルギーはまだ全然減ってないけどな。てか、それじゃ勝敗の意味ないじゃん‼。

 

「ぐはっ‼」

 

一夏の方を向くと、あいつは崩れ落ちていた。主に、痛みだと思う。グラインドブレードが掠めたは、回転しているもんだから、結構えぐられている。一夏の場合、シールドをかすめただけだから衝撃だけですんだ。でも、確かOWって『対IS用殲滅兵器』だったような気が…………使っておいて、我ながら怖い。

 

「龍之介、お前はやっぱり強い。前から変わっていねえや」

「俺が強いのは、こいつ(榴雷)の力が大きい。こいつが無きゃ、俺はただのガキだ」

「そうじゃない。お前の攻撃食らった時に感じたんだ。芯の通ったまっすぐなものだってな。それは俺にとってまだ足りないものだと思うんだ。だから、龍之介、俺を鍛えてくれ‼」

 

全く…………どいつもこいつも真っ直ぐに前をみやがって。

…………でもそういう奴、嫌いじゃないぜ。

 

「任せろ。みっちりしごいてやるからな?」

「本当か⁉ ありがとうこざいます‼」

 

『試合終了、勝者有澤龍之介』

 

この際、勝敗なんぞいらん。今は、こうして再び友と拳をぶつけ合って絆を確かめられた、それだけで十分。

 

「あ、やべ忘れてた」

「何を?」

「俺の腕」

「いやマジやめて‼ それ、義手だとわかっていても、かなり怖い‼」

 

あぁ〜、青春モードで終わることできなかった。俺、本当に常識ブレイカーだわ…………。

 

 

 

 

 

「はい、無事帰還〜」

「「「どこが⁉」」」

 

最近、戻るたびにツッコミを入れられているような気がする。てか、左腕付け忘れてた。よし、こうやって…………はまった。

 

「これでよし。榴雷、展開解除」

 

俺は、榴雷を解除する。うん、なんともなかったかのようにくっついとるぞ、義手。眼帯もずれてはいないようだ。義眼露出で、感情のリミッター解除という謎仕様。ナニカサレタのか俺は?

 

「り、龍之介。お前、左腕が吹き飛んでいたけど、大丈夫なのか? む、無理なら休んだ方がいいぞ?」

「気持ちだけ貰っとくわ。俺はいつも通り、ピンピンしとる。それに吹き飛んだのは義手だしな」

「そ、そうか。…………よかった、無事で」

 

何はともあれ、箒は安心した模様だ。そんなに、心配していたのか。俺、最高の幸せ者だったりするか?

 

「おい、そろそろアリーナの使用限界だ。各自寮へ戻れ。解散‼」

 

千冬さんはそう言ってアリーナを後にする。

 

「有澤君、これを読んでおいて下さいね」

 

そう言って真耶さんから渡されたのは『改訂版 IS使用規定』と書かれた本だった。

いや、それは本ではない。それは、厚すぎで、重過ぎて、何より一枚一枚がペラ紙だった。まさしくそれは、あなたの街の電話帳であった。

 

「…………これ、一回読んだわ」

「そ、そうなんですか…………」

「でも、受け取っときますわ。装甲に使えそうなんで」

「あははは…………用途を間違ってますね」

 

俺は、アリーナを後にした。箒はその後ろを、某狩ゲーのオトモよろしくついてきていた。

 

「そう言えば、箒」

「な、なんだ?」

 

あ、俺思い出した。

 

「箒に答えまだ出してねえや」

「⁉」

「今、言っても構わねえか? もう答えは固まっているんだ」

「い、いや、私は別に構わないが…………」

 

マジか‼ てか昔の箒だったら『こんな人目の多いところで言うな、馬鹿者‼』と叱咤されるんだが。一体何があったんだ?

 

「それじゃ、箒‼」

「は、はい‼」

「俺は、お前の事が好きだ。多分、気づいていなかったんだ、お前の好意に、今迄。正直、何も言わずに離れて行ってしまったのはすまない。でも、こうしてまた会えた時、すげえ嬉しかった。それに、お前と二人きりでいると脈が速くなるんだ。鼓動も高鳴りもする。それだけ、箒に感情を抱いているなんてわかったのは、お前が俺にそう言ってくれたからだ。俺一人では見つけられねえ答えもある。でも、二人でならその答えを見つけられると思うんだ。だが、俺はかなり危険な性格なうえ、体の一部が欠損している。それでもいいというのなら、俺と付き合ってくれ、篠ノ之箒」

 

く〜っ‼ 言ったぞ、俺は言ったぞ‼ 悔いはない。あとは、自爆装置の用意を‼

 

「全く…………十年近くその答えを待っていたぞ。お前というやつは、人の思いもわからずにいなくなるんだから…………。どれだけ心配したかわかっているのか…………⁉」

「そ、それは、すまない」

 

箒は、目尻に涙を溜めながら、怒ってくる。

 

「もう、私は誰とも離れたくない、誰も失いたくない‼ だから…………ここにずっといて、龍之介」

「りょーかい。もう、離す気にもなれねえよ。ずっとそばにいてやる。だから、自分を無理に強くさせるな。これからまた強くなればいいさ」

「龍之介ぇ…………」

 

箒はしばらく、俺の筋肉で固まっている胸に顔をうずめ、涙を流した。その涙が彼女を強くするであろう、俺はそう思う。

 

「龍之介、もう一回仕切り直そう」

「なんで?」

「いや、その、なんかグダグダになっちゃったし…………」

「…………でも、やめた方がいい」

「どうして?」

「あれをみろ」

 

そうして俺が指したのは、カメラを構えた女子生徒。それも、新聞部と書かれた腕章を付けている。

 

「よし、いいネタ取れた。あとは明日の号外で‼」

「いかん‼ まだ、早い‼ ちょっと待てや、ゴルァぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

俺はナーガを起動。スナイパーキャノンを構えて、撃つ。躊躇いなんてない。ただ、あのスパイを撃つだけだ。

しばらく、IS学園には銃声が響いた。

 

「全く…………何をしているんだか。でも、そういうところも受け入れるよ、私のお婿さん」

 

箒が何かを呟いたらしいが、スナイパーキャノンとオートキャノンの銃声にかき消されて聞こえなかった。




機体解説

機体名『白式』

倉持技研製高機動戦仕様近接格闘型特殊装備試験機

装備
近接ブレード



一次移行

機体名『白式・雪牙』

装備
近接ブレード『雪片弍型』
左腕内臓ガトリング砲『雪崩(ゆきくずし)
大型レーザーキャノン『雪牙(せつが)


解説

倉持技研で開発された試験機である。だが、ある日何者かによって当初とは違う機体構成になってしまっていた。一次移行前はブレード一本だけであったが、容量が空いていたため龍之介より、火器をかりて戦闘を行った。
移行後は、かりていた火器が、機体の一部に組み込まれ、ガトリングとバトルライフルは左腕のガトリング砲『雪崩』、レーザーキャノンは『雪牙』となった。
なお、元は高機動下での射撃戦闘を考慮した機体であったため、センサーリンクや火器用FCSも搭載されている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。