インフィニット・ストラトス 火力と愛と絆と 作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)
代表決定戦の翌日、朝のショートホームルーム。なぜか、大波乱の予感がした。
「えーと、結果からクラス代表は有澤君となりました‼」
俺がクラス代表だと⁉ 聞いてないぞ…………なんのための拒否権だ、バカバカしい。
「お前の拒否権は、私の拒否権で無効にした」
「あんたえげつねえよ、織斑先生‼」
この元凶人が‼ 俺に仕事きたらどうするんだよ、稼げねえよ‼ 俺は開発部の人間だけど、傭兵部隊第一小隊の隊長なんだよ‼(第一小隊には、オツダルやベルリオーズ、新しく入ったラインアーク所属、旧『バンカーバスター』バスター8のレギア・オルフェス、乗機はホワイト・グリント。おなじくラインアーク所属、オペレーターのフィオナ・イェルネフェルトがいる)
てか、企業連の稼ぎの三割は傭兵が稼いでいるからな。七割は、グレードを落としたライフルやらショットガンを売りまくって稼いでる。というか、最初から売っておけば、現在のような状況にはならなかったんじゃねぇの。
「これで他のクラスから一歩リード‼」
「私達は楽しめる‼」
「そして、他クラスに情報が売れる‼」
「一粒で二度おいしい。最高だね、有澤君‼」
お前ら、俺を出汁に儲けようとすんな。儲けの99.9%はもらうぞ。
「龍之介、ドンマイ」
「…………一夏、お前放課後アリーナにこい。武装テストする」
「い、いや、やめとくよ」
「遠慮すんな。なに、たかだか刃渡り3.7mのブレードの斬れ味を確かめるだけだ」
「それ死ぬからな‼ お前が言う兵器すべて致死量レベルの代物だろ‼」
確かに、HW03ユナイトソードのコンセプトは、『操縦者諸共叩き斬る』だったな。うん、これも対IS用殲滅兵器だ。
「お前ら、静かにしろ。代表は有澤でいいな?」
「「「はい‼」」」
あぁ、頭が痛え。団結は素晴らしいよ。でも、こんな時に活用せんでもいいだろ。
だが、俺の頭痛の種はこれだけじゃない。俺の手元にある学校新聞。その一面に載っているのが、昨日取られたと思われる、箒が俺に抱きついているシーンのやつだ。おかげで、俺は朝っぱらから好奇心のエサになってんだよ。ほらみてみろ、女子の目が飢えたハイエナの目みたいに見えてくるぞ。
その後の休憩時間。
「ねえ、有澤君‼ し、篠ノ之さんとどういう関係なの⁉」
「篠ノ之さん‼ 有澤君と何があったの⁉」
はい、ハイエナがたかってきました。マジでまずい。女子ってさ、確か話を広めたくなる癖ってもんがあったような気がするんだよな。ま、いつかはバレる事だったんだ。それが、早くなっただけか。
「どういう関係って…………恋人か?」
だが、そう言ったのがまずかった。
「この情報確定‼」
「すぐに、今までの経歴を洗っといて‼ 明後日までよ‼」
「私、新聞部に情報売ってくる‼」
女子、大暴走。まじめに。裏付けを取ろうとする奴もいれば、新聞部に情報を売りに行った奴、いろいろだ。やべ、昨日の野郎を撃ちたくなってきた。グレじゃなくていい、パルスマシンガンで蜂の巣だ。
「り、龍之介、どうしよう…………?」
「任せろ、すべて撃つだけだ」
「いや、まずいってそれ…………」
箒、仕方ねえだろ。情報が漏洩してしまっているんだ。本元を潰す以外方法はねえよ。
「わぁ、篠ノ之さん、可愛い…………」
「なんか、初々しいよねぇ」
「有澤君は、堂々としてるよね。でも、それが篠ノ之さんの初々しさとあいまって、なんとも言えないわ‼」
「このカップルは、保護対象よ、保護対象‼ 他のクラスになんと言われようと死守せよ‼」
「その通り‼ 代表とその伴侶の恋路を邪魔するものを排除せよ‼」
…………なんなんだ、このクラスは。企業連並に変態だが、俺が落ち着けるような空気だ。すげえ、こいつら。何人かネタじみてるけどな。
「お前ら、次はグラウンドにて実習だ。遅れた奴は、それなりのペナルティがつくからな、覚悟しておけよ」
「次、グラウンドだってよ、龍之介」
「そうらしいな。専用機持ちが実演する事になるだろうよ」
「なんでわかるんですの、龍之介さん?」
昨日の戦いの後から、セシリア(オルコットと呼んだら怒られた、親しみがないと)の態度が柔らかくなった。一夏にでも、惚れたのか?
「それは、あれだ。勘だ、勘」
「…………それ、昔も言ってたよね」
「…………箒、そう言うな」
あ〜、八年前を思い出すわ。
「とりあえず、グラウンド行こうぜ」
「そうだな。鬼の説教だけは、勘弁したいもんな」
「「「「「同感(ですわ)」」」」」
よし、そうと決まったら、さっさと行くぞ‼
「今日は、ISの基本的操縦を専用機持ちに実演してもらう。織斑、有澤、オルコット、機体を展開しろ」
「了解」
「は、はい」
「わかりましたわ」
俺は、榴雷を展開する。
ーーシステム、起動。パーツチェックを開始します。
[MEIN PARTS]
HADEーー
BODYーー
SHOULDERーー
ARMSーー
LEGSーー
完全ステルス・不可視モードーーシステム異常なし
[ウェポンラック]
[コジマドライヴ]
一号炉ーー稼働率98.5%
二号炉ーー稼働率97.8%
三号炉ーー稼働率99.6%
四号炉ーー稼働率99.1%
プライマル・アーマー展開ーー異常なし
ーーシステムチェック完了。三八式一型、タイプ
特に異常もない。良好だ。セシリアも展開は完了したようだ。あれだけ派手にぶっ壊した専用機ブルー・ティアーズも修理が完了した模様。
ただ、一夏は未だに展開できてない。あいつ、なにやってんの? 心の中で呟けば起動できんのに。
「来い、白式‼」
結局、機体名を言う事で起動を完了した。あとで、教えておくか、裏ワザと言うものを。
「終わったな。よし、飛べ‼」
「了解ですわ‼」
セシリアは、一気に高度100メートルまで飛翔した。いいねぇ、飛べる機体は。
「あれ? 龍之介、お前は飛ばないのか?」
「ここで、残念なお知らせ。俺の機体は、準陸戦仕様。つまり、オーバード・ブースタ以外の推進器はついてねえ」
「え、それじゃ、どうするんだよ⁉」
「燃費悪いから使いたくねえけど、エクステンド・ブースターを使うわ。一応、装備だけど。ほら、お前は早く飛べ。怒号が飛ぶぞ」
「お、おう。わかった。後で必ず来いよ」
「わかっとるわ」
失敗したわ。こんなんだったら、ナーガを使えばよかった。あれは、ブースタがついてるからな。さすがにオーバードブーストで飛ぶと飛距離足りねえし。エネルギーモリモリ喰うし。
「バックユニット、エクステンド・ブースター展開」
ーー受諾、エクステンド・ブースターを展開します。
バックユニットに追加されたこの、バカに大きいスラスターがエクステンド・ブースターだ。一応、推進力は他のメーカー(GAやMSAC、オーメル)のよりはるかに高いんだが、大飯食らいなんだよ。一時間通常状態でふかしていると、シールドエネルギーが1000減っていたりする。フルでなんて使ったら…………ぞっとする。
「気が進まんが、行くぞ‼」
俺は、エクステンド・ブースターを点火する。その瞬間、背中で爆発が起きた。いや、爆発したわけじゃない。通常のスラスターがいきなり全力で起動したような衝撃が起きた。今、榴雷の速度は1218キロ。二基でこの速度か。四基も積んだらどうなるんだ?
「速っ‼ え、お前、おかしいだろ、その速度⁉」
「なんなんですの‼ その化け物みたいな速度は⁉」
気がついたら、一夏とセシリアがいる空域まで来ていた。速ぇ、たった十秒しかかかってねえ。それなら、フラジールはどうなんの、あの速度。
「エクステンド・ブースターの推進力だ。てかこのブースターは使いにくいわ。エネルギーがかなり減って来た」
すでに5000きっている。なんだよこの飯くらいが。
「聞こえるか。これから、急降下と急停止をやってみろ。目標は、地表10センチだ」
「了解。そいじゃ、お先に」
俺は、他の二人を置いて先に降下する。エクステンド・ブースターを瞬間的にふかす。そして、地面が近くなったら、反転、エクステンド・ブースターをふかす。そして、ブースターはパージ。地面へ着地する。
「おい、私は地表10センチと言ったはずだが…………」
「すんませんね、榴雷が準陸戦仕様で。オーバードブースタ以外の推進器は積んでないんすよ」
千冬さんに言われると長くなりそうなので、準陸戦仕様と言って黙らせてみる。これは、今朝の仕返しです。
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
どっかの馬鹿の叫びが聞こえたと思ったら、墜落の音。よく見れば、一夏が犬神家状態になっていた。てか、すげえクレーター。誰埋めんの。
「…………期待した私が馬鹿だったか」
さすがの千冬さんも呆れている。てか、セリフがセレンさんにめちゃくちゃ似てるんですけど‼
「一夏、何やってんの」
「い、一夏さん、怪我はありませんこと?」
呆れている俺と、心配して駆け寄るセシリア。あぁ、これ、惚れたな、一夏に。
まぁ、いいだろ。こうして、この授業は無事終了した。
なお、一夏が一人で穴を埋めていたことは、放って置いても問題ないだろう。
「問題あるわ‼」
「…………誰に突っ込んでいる?」
「…………いや、すいません」
その夜
「「「「有澤君、クラス代表おめでとう‼」」」」
俺の代表就任パーティが開かれた。寮の食堂を貸し切ってしているんだが、現在時刻八時。あ、まだ大丈夫か。
「いやぁ、有澤君がクラス代表になってくれてよかったよ」
「だって、あの総火力‼ 耐えれる機体があればみてみたいよ」
こうもてはやしてくれる。意外と楽しいし、気分もいいものだな。
「あ、それとこのパーティにはもう一つの意味があるんだよ」
「そうそう、忘れてはいけない大事な意味」
なんだか、静寐と簪が意味深に言ってくる。はて、どんな意味なのだろう?
「「「有澤君、篠ノ之さん、交際おめでとう‼」」」
そういうことか‼ なんだこれ、結婚披露宴かよ、おい‼
「あ、ありがとうございます…………」
「しかし、本当に龍之介と箒が付き合うとはな。俺の勘が当たった」
「…………自分のことには鈍感な癖に」
「ん? なんか言ったか、セシリア?」
「なんでもありませんわ‼」
箒は、みんなに祝ってもらえて嬉しそうだ。
というか一夏、お前がそう思っていたのか。それなら、世界が終わるぞ。
「ま、飲むか。ほい、箒」
俺は、箒にお茶の入ったコップを渡す。ちなみに俺も同じもんだ。さすがに酒はまずいだろうからな。
「それじゃ、みんなコップを持ったな?」
「「「うん‼」」」
「では、乾杯‼」
「「「乾ぱ〜い‼」」」
やはり、宴会の始まりといったら乾杯だろ。ん? これはパーティだって? 同じもんだろ。
これから、楽しもうとした時、乱入してくる人間が一人いた。
「はーい、新聞部でーす。話題の専用機持ち有澤君と、その恋人の篠ノ之さんを取材しにきました」
ああ、間違いねえ。昨日のスパイ野郎だ。て言う事で、ナーガを展開。
「なんですか、あなたは」
「ここは、一年寮ですよ、なぜ二年のあなたがきたんです、黛薫子さん?」
まず静寐と簪が乱入してきた人間ーー黛薫子という奴を止めにはいる。
「大丈夫よ、織斑先生に許可は取っているから」
「ほう、千冬さんの許可を取ったからすべて問題ないとな」
「そう、その通ーー」
「俺の許可はねえぞ。一年一組の代表に断りもないのか?」
俺は、ナーガを起動。右手にキャノンKO-9K2、左手にライフルTANSY RF-12を展開する。そして、キャノンの砲口を薫子の頭にセットする。
「そ、それはまだーー」
「だろう? ならばすべき事はなんだかわかるよな?」
「な、なにをすれば、い、いいのでしょう?」
「簡単な事だ、教えてやろうーー消えろ、イレギュラー‼」
「ひいぃぃぃぃぃぃ⁉」
薫子は、即座にここを後にした。ハッハー、最高だぜ‼
「あれ? 有澤君の専用機ってあれだっけ?」
「そうだけどな…………龍之介は専用機を二機持ってるんだ」
「「「それマジでぇぇぇ⁉」」」
「うん、マジ。さ、楽しくもりあがろうか、その方が楽しいだろ?」
今度こそ、楽しくやれる。それからは、みんなでかなり盛り上がった。俺に女子が集まってきて、箒がむくれていたり、それをなだめるために静寐と簪が相手になっていたりとしていた。
ただ、俺は気配を感じたので窓の外に目を向け、眼帯を排除する。すると望遠カメラを装備した薫子がいた。
「あんの野郎…………ぶっ殺す‼」
もう一度、ナーガを起動。スナイパーキャノンを二丁展開。窓を開けて狙い撃つ。無論、最初っから一撃狙い。さすがにこれには懲りたのか、薫子は撤退した。
「ふう、やっと、落ち着ける」
「龍之介、やり過ぎ…………」
「問題ない、殺してはいない」
「そう…………まだ、グレネードを使ってないだけいいか」
「? ま、箒も楽しめよ、このパーティの主役は俺たちだからよ」
その後、11時までパーティは続いた。俺は少し疲れが来たので、箒もなんだか疲れているように見えたので、先に部屋へ戻った。
「あー、飲んだ、飲み過ぎた」
「全く、はしゃぎすぎるんだから」
「まーまー、いいじゃんか」
部屋に戻ってすぐ、俺は布団へダイブ。パーティの時に有澤マークの浴衣を来ていたので即刻寝れる。
「でも、これからが大変だね」
「確かに。代表戦か…………どんな奴が相手になるんだろな」
クラス対抗戦、来月ある大きな大会だ。俺にしては、初の公式戦だ(いつもは非公式に、各国のISや通常兵器を相手にしてた)。実のところ、すごい楽しみだ。
「さあ、わからないよ」
「それも、そうか」
「それと、龍之介。その、着替えるからーー」
「向こう向いときゃいいんだろ。わかってるって」
俺は箒とは反対の方を向く。同居するにおいてこうでもしないと、理性が崩壊する。
でもな、わずかな衣擦れの音とか恐ろしく気になるんだよ。こわい、本能って怖い。
「終わったよ…………」
「そうか。そいじゃ、寝るか」
「うん。じゃ、お休み」
「ああ、お休み〜」
俺は、どこから出た疲れなのだろうか。今日はよく眠れそうだ。その夜は、直ぐに眠りに落ちた。
その頃、
「あ、今回出るの忘れた‼」
一人の少女が受付でそう言葉を漏らしたとかしてないとか。